カジュアルな"死"を描く新作「スサ死 e.p.」 SPARK!!SOUNDS!!SHOW!! INTERVIEW
Interview by Ryo Tajima[DMRT]
Photo by Takaki Iwata
今年の3月にリリースしたENTHとのスプリットアルバム「#ワイタイスカッ」の記憶も新しいSPARK!!SOUNDS!!SHOW!!(以下、スサシ)。新作となるのは4曲入りのEP「スサ死 e.p.」だ。9月2日にデジタルリリース。楽曲はスサシらしいデジタルパンクの様相をより一層強め、四つ打ちのリズムやサウンドにハイブリッド感を思わせる。
タイトルに"死"という単語が入っているだけに、今のコロナ禍を受けたコンセプトがあるのかも…と思ったのだが実はちょっと違う様子。ではでは、一体どんな作品なのかをインタビューで聞いてみようじゃないか。Dr、169 イチローのワークアウトの模様や悩殺・女豹のポージングを交えてお届けしたい。
タナカユーキ(Vo,Gt)
偶然4曲とも"死"にまつわる内容になったんです ータナカユーキ
ー久しぶりじゃないですか。みなさん、お元気でしたか?
169 イチロー(以下、イチロー):ええ、元気にしていますよ。最近ではウェイトアップのためにトレーニングを開始したところです。
タナカユーキ(以下、ユーキ):(トレーニングのメニュー)今、やってみてよ。
イチロー:いいよ。コンニチワ! SPARK!!SOUNDS!!SHOW!!のドラム、イチローです! ただいま上腕二頭筋並びに三頭筋、外腹斜筋及び大腿四頭筋を痛めつけながらインタビューに臨ませていただいております! 今日はよろしくお願いします!!!
チヨ:9月2日デジタルリリースのEP「スサ死 e.p.」はどんな作品に仕上がりましたか?
イチロー:「スサ死 e.p.」はですね。筋肉で例えるなら三角筋が該当致します! 非常に鋭利な作品になっているのではないでしょうか? 4曲収録の本作ですが、なんと私イチロー、2曲! 2曲もレコーディングで叩いております。
ー前作のスプリット作「#ワイタイスカッ」(ENTHとのスプリットアルバム)は全部打ち込みでしたもんね。
ユーキ:だから、イチローは「(レコーディングするの)久々だ」って。1作分飛ばしてるから1年以上ぶりだったわけですよ。レコーディングスタジオが。
参照:ENTH×SPARK!!SOUND!!SHOW!! INTERVIEW!! ~7人の白虎隊的対談珍道中編~
チヨ:1回しか叩かんようなシンバルも並べて写真撮ったりして楽しんだよな。
~以降、イチローはおよそ1時間に渡るインタビューを常時筋トレしながら過ごした。息もキレギレになり、回答が喘ぎ声になったので発言はほぼ割愛~
ーやはりタイトルが気になります。「スサ死 e.p.」ということで"死"というワードが鮮明に感じました。
ユーキ:結果的に作品が出来てから付けたタイトルなんですけど。タクマが楽曲を制作し、そこに自分が歌詞を書いて対応していったら4曲とも"死"にまつわる内容になったんですよ。だから"死"をタイトルに入れたEPにしようってことになったんです。歌詞を書いているときは『どうせ誰だっていつかは死ぬんだし、今は楽しもう』ってノリだったんですよね。
タクマ:この4曲を作っていたのは今年の1月くらいかな。2曲目「DEATHTRUCTION」に関しては随分前に出来ていたんです。
ーでは、コロナ禍で騒ぎになる以前に「スサ死 e.p.」の楽曲は出来ていたんですね。
ユーキ:そうですね。タクマの言う通り「DEATHTRUCTION」は『NU BLACK』(2019年9月発表の2ndアルバム)に入れれたんちゃう? くらいなタイミングで出来ていたんで、全然コロナ以前の話ですね。
今日死ぬ可能性50%ですから。もう、しゃーない ータナカ ユーキ
ー歌詞も世間に対するスサシらしい攻撃的なリリックが並んでいたので、てっきりタイトルの「スサ死 e.p.」の"死"は最近のコロナ禍を受けてのものと勘違いしていました。
チヨ:そう、コロナとはまったく関係ないんですよ。
ユーキ:そういう風にいい感じに勘ぐってもらえるのは別にいいんですよ。コロナ禍以前に作ってる楽曲がたまたま"死"に絡んでいたことで、コロナが関係しているんじゃないかって思われるのはあるでしょうし、実際にそんな時代じゃないですか。ただ、制作においてコロナがまったく関係なかったわけではなく、レコーディングは延期しました。そもそも「スサ死 e.p.」は2020年のツアーを回った後の秋にリリースする予定だったんですけど、ライブもないんで前倒しして出そうってことになって今です。ま、ヒマなんですよね。曲作る以外に明確に出来ることがほとんどないんで。
チヨ(Ba,Cho)
イチロー:ァァアッ! ハァハァ…。本当に4月は野球ができなかったし、何していたかって記憶がないくらいですよ。そのときに"死"を意識しましたね。「何もねぇじゃん…オレ…」って。 ー『自身の存在意義を野球に見出している』と仰っている気がしました。バットとドラムスティックであれば、どっちを握っていたいですか?
イチロー:そりゃあバットですよ。ハァハァ…。
タクマ(Syn/Gt/Cho)
タクマ:野球チームのグループラインがあるんですけど、練習や試合前日にスタメンが誰なのか連絡が来るんですよ。で、<ピッチャー イチロック>みたいなラインがユーキと制作しているときにパッと来るのを2人でチラッと見るっていう。その頻度が高くて。大体、毎日野球してるんだなって思いました。
チヨ:野球チームのマネージャーさんもけっこう厳しい方なんでね。忙しいところにスケジュール面で無理を聞いてもらって2曲も叩いてもらったEPです。
イチロー:次作は全曲叩きたいなと。ハァハァ…。
タクマ:できたらいいけどね。ドラフト入りしちゃうかもしれないじゃん。
ユーキ:あとは普通に『バンド、クビ』っていう。
一同:笑
イチロー:ハァハァ…。今こそ……"死"を身近に感じています。
ーさて「スサ死 e.p.」の作曲は4曲目の「ゆーれい」がユーキさんとタクマさん。それ以外はすべてタクマさんですが、楽曲自体のコンセプトや目指した方向性、世界観などはありますか?
タクマ:特にないです。が、基本的には今までなるべくやっていなかったようなことはしようってことと、何をやっても良い評価をしてもらえるという思いがあったんですよね。調子に乗っているという意味ではなく。だから躊躇せず作曲していった感じです。
ーバンドとしても楽曲で表現する自由度の高さが増したような感覚がありますね。それは作詞に関しても同様ですか?
ユーキ:作詞に関して自由度は意識していないです。厨二病まっしぐら的な感じで"死"ってカッコいいよな、みたいノリをなるべく言いたい感じでやっただけなので、全然縛りみたいなものは意識していないですね。
「スサ死 e.p.」ジャケットアートワーク
ー"死"という単語はヘヴィですが、Margt(PERIMETRON所属のディレクターズユニット)による「スサ死 e.p.」のアートワークはポップな印象があります。作品としての世界観も"死"に対するポップなイメージを描いているんですか?
ユーキ:ポップというニュアンスとはちょっと違う感じですね。知り合いや家族、友人が死んだら悲しいけど死ぬことは誰にも平等じゃないですか。なんなら、このインタビューが終わって家に帰るまでにオレが死ぬかもしれない。今日死ぬ可能性50%ですからね。生きているか死ぬかで言ったら。もう、しゃーない。服着るくらいのカジュアルな意味合いの"死"って感じですかね。
"みんな死んだらHIGH(灰)になる" HIGH(灰)になった理想郷的空間を作りたい ーチヨ
ーなるほど。コロナ禍も踏まえリリース後にポップアップツアーを開催する予定なのだとか?
チヨ:はい。POP UP TOUR『-天獄-』を予定していて「スサ死 e.p.」のバーチャルツアーも兼ねています。これは緊急事態宣言が解除された頃に思いついたんですけど、マーチャンダイズの豊富な展開やデザイン性はスサシの特徴の1つだと思うんですよ。これまでもポップアップを開催してきたんですが、より高いクオリティで実現したいと考えています。何せリリースしてもツアーが出来ない状況なわけじゃないですか。だったらライブ以外のやり方で自分たちらしくやった方がいいし、ポップアップという空間作りだからこそ実現できることがあると思うんです。スサシの世界観をライブではない形で表現することは、これまでにない新たなアプローチになるはずだし新しい価値観を生み出すことができると考えています。自分たちだけではなく今作のアートワークやMVも担当してくれたMargtも交えてアトラクションを構築していこうと企画しています。
ー『-天獄-』というタイトルがまた情緒ありますね。
チヨ:今作のコンセプトは"死"なわけですけど、それについて話しているときにユーキがパッと言った「みんな死んだらHIGH(灰)になる」って言葉が興味深いと思って。HIGH(灰)になった理想郷的空間を、来場者がわかるような世界観で表現したいと考えているんですよ。
169 イチロー(Dr,Cho)
オレらが楽しんでることに価値が付いたら楽に生きられるな ータナカユーキ
ーEPから離れた質問になりますがライブやツアーが出来ない現状に対して、みなさんはどんなことを感じますか?
チヨ:最初はちょっと落ち込むものがあったんですけど、その期間は短かったですね。ずっとバンドを続けてきて、こんな風に時間を使える期間は今までなかったので、純粋にやってみたかったことや、これまでやってきたことでも、もっと丁寧に時間をかけてやったりとか。例えば、楽曲の素材を自分からタクマに渡して編曲をお願いしたりしているんですけど、それは僕らにとって新しい取り組みなんですよね。考え直す機会になったし良い意味で自分の充電時間というか、成長の時間だと捉えていますよ。
ユーキ:オレはついにパソコンを買いました。コロナになっていなかったら絶対に買っていなかったし、買ってみて思うことはもっと早くに始めていれば良かったってこと。今までスタジオでジャムりながら曲を作ってたけど、パソコンを使って作業に集中できているので。このスキルを自分が身につけていったら、いい感じの楽曲を発信できるようになるし、その楽曲がライブで出来ないものであったとしても、結果的にバンドにとって良かったなっていう。ライブやりたいは前提やけど、それはしゃーないから、しゃーない中でアイデアだけで楽しいことを考えてますね。今後、出来てくる楽曲のクオリティは自ずと上がってくると思っていますよ。チヨも言っているようにポジティブに捉えるしかないしなって。
イチロー:ムァァアアッッッ!!!!(インタビュー終盤、ついにイチローの筋肉が悲鳴を上げたときのリアルな雄叫び) !
ー確かに。では、今後スサシはどうありたいと考えますか?
チヨ:スサシは面白いことをやってなんぼだと僕は思っているんですよ。さっき話したポップアップツアー『-天獄-』も、そこじゃなきゃ見れないし体験できないんだっていう新しいやり方で提示できれば、スサシっぽくて面白いことになると思うし、他のバンドに出来ないことなんじゃないかって感じるんです。僕らのフィルターを通して面白みや新しさを感じることを形にしていきたいですね。それは音源もそうだしライブも同様。まずは自分たちがワクワクしながらやっていけたらいいな、と。だから、もしかすると次のフルアルバムは全曲イチローが歌っているかもしれないし、辞めているかもしれないし。僕らがワクワクするのであれば、そんなことだって実現すると思います。
ユーキ:個々が持っているスキルを活かしていくしかないですからね。曲を作れるヤツは曲を作って、デザインできるヤツはデザインして。野球やれるやつは野球をやって。各々のアビリティを最大限に活かして。
チヨ:そこでいくと、僕の勝手な解釈ですけど、SPARK!!SOUNDS!!SHOW!!っていうバンドを母体として、それを媒介として様々な形で表現していくクリエイティブ集団的な存在になっていけばいいってイメージがあるんですよ。表現手段が音楽やアート、マーチャンダイズであったり、それ以外のケースもあるんでしょうし。スサシのTシャツを僕らのことが知らない人がデザインが好きで着ているのだっていいと思うし。そこで『あ、スサシ知ってるの?』『スサシって何?』『バンドだよ』なんて会話があれば、また新しい扉が着ている人の前に開くわけじゃないですか。そんな風に僕らのコミュニティを広げていけたらいいと思っていますね。
ユーキ:そういう表現集団的存在。過去を振り返れば多くのレジェンドもそんな感じでやっていましたからね。中にはフォトグラファーもメンバーでいたりして。バンドとそれ以外で線引きするのなんて無しでいいし、そうした方がコロナ禍の制限が多い今の時代ではやれることも多そうですね。バンドやからライブハウスから発信しなきゃいけないなんてことないと思うんで。なるべくふざけて、オレらが遊んで楽しくしていることを周囲にも伝えたいし、その姿を見て周りにもっと楽しんでもらいたい。オレらが楽しんでいることに価値がついたら楽に生きれるなって思います。
”スサ死 e.p.”
9月2日デジタルリリース
01.good die / 作詞タナカ ユーキ 作曲タクマ
02.DEATHTRUCTION / 作詞タナカ ユーキ 作曲タクマ
03.TOKYO MURDER / 作詞タナカ ユーキ 作曲タクマ
04.ゆーれい / 作詞タナカ ユーキ 作曲タナカ ユーキ、タクマ
https://va.lnk.to/plB3NP
SPARK!!SOUNDS!!SHOW!!
https://sparksoundshow.com/
https://www.instagram.com/sparksoundshow_official/
https://twitter.com/susasiii
SPARK!!SOUND!!SHOW!! POP UP TOUR <天獄>.
2020.10.24-25 TOKYO OZ studio
2020.10.31?11.1 OSAKA PINEBROOKLYN SPACE C
2020.11.7?8 NAGOYA L3F
TICKET:¥1,000(入場特典有り)
チケットはこちらから URLhttps://eplus.jp/ssspopup/
詳しくはSPARK!!SOUND!!SHOW!!のオフィシャルHP https://sparksoundshow.com/をチェック