LIVE REPORT

G-FREAK FACTORY “VINTAGE” TOUR 2021-Final- LIVE REPORT!!

Report by ヤコウリュウジ
Photo by KAZUYA KOSAKA 

 

2021.6.26
G-FREAK FACTORY “VINTAGE” TOUR 2021-Final-@ Zepp DiverCity


 満を持して、という形では決してなかった。シングル三部作を経て完成したフルアルバム『VINTAGE』を昨年7月に発表したものの、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から多くの公演が延期や中止を余儀なくされ、ツアーらしいツアーを行うことはできない状況。
 このツアーファイナルさえも一度は延期され、開催が危ぶまれたのも確か。熱き夜を繰り返して辿り着いたモノではなく、力づくで手繰り寄せたという表現が適切だろう。

 加えて、オーディエンスが密集し、熱気が撹拌されるというのが彼らのライヴのスタンダードだったが、この日はフロアにイスが並び、積み重ねてきたライヴとは違う環境。何とかこぎつけたツアーファイナルであり、普段とは異なる風景に気負っても仕方ないと想像していたが、ステージに原田季征(G)、吉橋"yossy"伸之(Ba)、渡部"P×O×N"寛之(Dr)、サポートメンバーである多畠幸良(Key)が姿を現し、いつものようにジャムセッションで音を響かせると一気に彼らの世界観に惹き込まれてしまう。艶っぽく、確実に芯を食ったサウンド。そこに茂木洋晃(Vo)が加わり、まずは挨拶代わりにと「SOMATO」をドロップしていく。

 力強く語りかけるようでもあり、高らかに歌う茂木の歌が会場全体に広がれば、それに呼応するようにオーディエンスも拳を高く突き上げ、ライヴならではのエネルギーが席巻。そんな光景を目にし、「よく来たな!」と大きく叫ぶ茂木。何気ないひと言ではあるが、非常に胸を打つ言葉でもあった。
 壮大なイントロから小気味良いリズムとメロディーで突き進む「BE ALL AROUND」でさらに勢いをつけ、続けたのは「REAL SIGN」。フロアからは自然発生的に大きなハンドクラップが起こり、深く抉るような茂木のラップも秀逸。混沌としながらも雑味が一切ないG-FREAKらしいサウンド感がたまらない。


 ここで集まったオーディエンスへ茂木が感謝を述べてから、「ツアーファイナルを迎えられたんだけど、(ツアー)前半のライヴを飛ばしちゃってるから、そこにはもう1回、行かなきゃならねえなと思ってる。ただ、今日はここでとりあえず『VINTAGE』を終わりにする。次に行かないといけねえ、オレらもお前らも」とこの日に抱えた想いを口にする。
 制作、リリース、ツアーという流れは、ライヴバンドとして大切にしたいところ。その段階をしっかりと踏まず、何かを置き去りにすることはできない。とは言え、バンドとして足踏みを続けるわけにもいかず、ツアーファイナルが開催できたこと自体は喜ばしいが、そこには様々な葛藤があったことが伝わってきた。

 そして、「揺れろ! 揺れろ!」とアジテートして「SO LONG」へ。ゆったりと沁みるメロディー、少ししゃがれた茂木の歌声が温かく、優しく響いていく。ハンマーを振り回すようなアグレッシブさもあれば、こうやって包み込むような音も鳴らせるのが彼らの強み。
 胸を締め付けられるようなメロディーでポジティブな言葉を紡ぐ「AGAIN AND AGAINST」から原田のカッティングも鮮やかな「FAKE SPEAR」と繋ぎ、会場をさらにヒートアップさせたのは故郷への愛を高らかに叫ぶ「日はまだ高く」だった。彼らの代表曲のひとつでもあり、生み出す高揚感は格別。「上に飛ぶのはいいんだって」という茂木の言葉を待たずとも、大きくジャンプを繰り返すオーディエンス。G-FREAKに魅入られた大勢による振動が嬉しくもあり、懐かしくもあった。



 ここで自粛期間の中で新しく挑戦したアコースティック編成で「Unscramble」をプレイ。音と言葉がむき出しになったスタイルがG-FREAKに似合わないはずはなく、より生々しく濃いサウンドが深みを味あわせてくれる。
 そこで手にしたアコースティックギターを茂木が携えたまま披露したのがタイトル曲でもある「ヴィンテージ」だったのだが、これが非常に素晴らしかった。想いを書き殴るようにしてひと晩で生まれたというこの曲には、愚直なまでに真っ向勝負で積み重ねてきたバンドだからこそ発せられる光があり、この日は神々しさすら感じられるほどの輝きを誇っていた。


 そこから雰囲気を一変させ、激しく食らいつき、すべてを飲み込むかのような勢いで「FLARE」を叩きつけ、ステージ上から放たれるエネルギーでオーディエンスを開放させた「乞え~KOE~」から音と言葉で爆撃するかのような勢いを見せた「FOUNDATION」と続けたのもまた印象的なシーン。皆々が一体となり、上り詰めていくムードはG-FREAKのライヴにおける真骨頂だ。


 終盤に入っても一瞬たりとも冷めることのない展開。祈りと願いをこめた茂木の歌声が広がり、拳を突き上げたオーディエンスとしっかりと共有された「Fire」、激しく心を揺さぶられながら、サビの高揚感に酔いしれた「Too oLD To KNoW」、温かく包み込む「ダディ・ダーリン」と連続で放ち、ライヴは最高潮へ。
 「ずっとそのままでいい。きっと大丈夫」と茂木が力強く語り、しなやかな強さを持つ「らしくあれと」でグッと背中を押し、本編ラストには「呉々も日の暮れと」をセレクト。確かな音のみを折り重ねて見事に締めくくったが、フロアからは鳴り止まぬハンドクラップ。少しでも長く時間と空気を共にしたいオーディエンスに呼び戻され、「いつか、そのマスクが外れて、懐かしくなるまで」と茂木が話し、青空の下へ連れ出してくれる「GOOD OLD SHINY DAYS」、いいテンポ感で呼吸を整え、一気に加速し攻め立てる「奮い立て 合い燃えろ」と鳴らし、ラストは葛藤を抱えながらも大切に寄り添う気持ちを歌い上げた「EVEN」。どこまでも広がる大きなスケール感で包み込んでいった。

 いつもとは違う会場のシチュエーションに対して、心が慣れないというようなことも茂木はこぼしていたが、ライヴ中はもちろんのこと、ライヴ後に残った温かな余韻はG-FREAKだからこそのモノ。ひとまず『VINTAGE』に区切りをつけるライヴとして、最高の内容だった。
 もちろん、現在もライヴ活動に関して問題は山積みだ。すべてが解決したわけでないし、まだまだ見通しが立たないことも多い。だが、この状況でもやれることはあり、前を向いて未来を信じられるという、目には見えないが確かさを手にしたに違いない。



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