THE FOREVER YOUNG「証」INTERVIEW!!
Interview by Chie Kobayashi
Photo by Ruriko Inagaki
THE FOREVER YOUNGがミニアルバム「証」を9月29日にリリースする。
8月に、これまでサポートメンバーとしてバンドを支えてきたナカオタイスケ(Gt, Cho)が正式メンバーとして加入し、4人体制となったTHE FOREVER YOUNG。バンドが4人体制になったのは、2016年以来、実に5年ぶりだ。「絶望的だった」という2016年からの5年間、そして新生THE FOREVER YOUNGとして初めて発表する「証」について、4人にじっくりと語ってもらった。
4人に戻れてホッとした
──8月にナカオさんが正式加入し、バンドは4人体制になりました。正式に4人体制になった今の心境を教えてください。
ナカオタイスケ(Gt):正式に加入しました、ナカオタイスケです。今回やっと正式メンバーになれて、率直にうれしいです。僕はもともとTHE FOREVER YOUNGのファンで、MVが出たらすぐ見て、CDが出たら買って。クニさんがタワーレコードで弾き語りイベントをやったときには遊びに行ってサインももらったんです。
クニタケヒロキ(Vo, Ba):もともとはバイト先の後輩で。サポートメンバーとしてやってもらう中で、グルーヴも合うし、優しいやつだし、一緒にやっていけそうやなと思ってお願いしました。
──ナカオさんは正式メンバーになって気持ちは変わりますか?
ナカオ:しっかりやらないといけないなって。もう「手伝ってる」じゃないので。
──同じギタリストのタカノさんはいかがですか?
タカノジュンスケ(Gt):ようやく揃ったなと。これからが楽しみですね。これまではギターを一緒に考える人が曲ごとに違ったので、同じ人とずっと固定でできるのもうれしいです。
──オリジナルメンバーのオガワさん、クニタケさんはいかがですか?
オガワリョウタ(Dr):2016年ぶりに4人に戻れてホッとしたというのが一番です。2人でやっていたときは、正直、絶望的な気持ちだったので4人に戻れたのが単純にうれしい。
クニタケ:結婚したことないですけど、結婚相手が見つかった感じです。彼女から伴侶になったというか。一人だけずっと彼女の状態やったんで。
──2016年にオリジナルメンバーが2人抜けてクニタケさん、オガワさんの2人になり、5年かけて再び4人になりました。「絶望的だった」という2人から、再び4人にたどり着けたのはどうしてだと思いますか?
オガワ:今考えるとかなり無茶なことをしてたんですよ。2016年に2人抜けて、その2日後くらいに青森でライブをしたりして。車で青森まで行くのに16時間かかるので、脱退ライブを地元の久留米でやった、その日の夜にはもう青森に向かって出発して。前のギタリストは久留米にいるのに、新しいサポートギタリストは車に乗ってるっていう。
クニタケ:俺は車の中でクソ泣きながら(笑)。
オガワ:それは「絶対に止まらないぞ」っていう気持ちがあったから。そこからは“やるしかない”という気持ちでずっとやってきたので、5年かかったけどまた4人に戻れたんだと思います。
“4人で作った”「証」
──今作は4人で作った作品ですが、メンバーが変わると曲や作品にも影響ありますか?
クニタケ:純粋に“4人で作った”というのがデカくて。今回は制作期間が長かったこともあって、1回作っては壊して、また構築してっていう作業をけっこうやったんですけど、それをみんなでやれたというのはこれまでと全然違いますね。出来上がりをこの4人で想像しながら作れたのはよかったです。
──「出来上がりも想像して」ということですが、アルバムのコンセプトや全体像はあったのでしょうか?
クニタケ:曲ごとのイメージはありましたけど、アルバム全体のイメージとしては「ヤバいものを作ろう」っていう。俺らが好きなCDを作らないといけないなっていうのは、みんなで話していました。実際にそういうものができたと思います。
──タカノさん、ナカオさんとは年齢も少し離れていますが、「ヤバいもの」というイメージはすぐに共有できるんですか?
クニタケ:私生活もそうやし、音楽の話をしてても不思議と年齢の差を全然感じなくて。飲みながら「最近ヤバいバンドおるっちゃんね」って聞かせると「ヤバいですね!」ってなるし、逆に聞かせてもらっても「いいな」と思うバンドばっかりで。だから曲作りでもイメージをすり合わせるみたいな作業はそんなにないんですよ。ヤバいものができたなと思ったらみんな「ヤベえ」って思ってる。
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俺、これ言われたら泣くわ
──アルバム1曲目「証」の「ずっと独りで寂しかったかい?」という歌い出しは、2人が抜けてからのTHE FOREVER YOUNGを歌っているのかなと想像してしまいました。
クニタケ:ああ、そう言われたらそうですね。作ったときに考えていたのは、コロナ禍で「俺、何やってるんだろ」って思っていたときの自分に対しての曲ということで。でも確かに、オリジナルメンバーが2人抜けて、サポートメンバーを迎えてやっていたときの寂しかった自分にも向けてるのかなって、今言われて思いました。
──コロナ禍の自分に対して歌ったということですが、そこにはどんな想いが込められているんでしょうか?
クニタケ:今までは不特定多数の背中を押せたらいいなと思って歌ってたんです。不特定多数といっても、友達やったり、目の前にいるやつらだったりしてましたけど、結局まだそれは不特定多数だなと思って。コロナ禍でソロ音源(「夢幻」)を出して、「証」では、もっと具体的に、俺と同じ気持ちのやつを肯定したいなと思った。「俺も同じ気持ちだから一人じゃないよ」って。そう考えることでもっと、目の前にいる人や、俺らの音楽に触れてくれる人のことをリアルに考えられるようになったんじゃないかなと思います。
──背中を押すんじゃなくて、肯定してあげるだけ、と。
クニタケ:はい。俺は大したやつじゃないのに、聖者ぶってるのは違うなって。俺もキツいこといっぱいあるけん、一緒だよって。そういうことを伝えるほうが自分らしいなって思ったんですよね。
──THE FOREVER YOUNGは、はじめ自分のことだけを歌っていて、聴いてくれる人が増えて「聴いてくれる人のために」というモードになっていった印象があるのですが、また原点に戻った感じ?
クニタケ:そうです。原点回帰というか。コロナ禍ってみんなキツいやろうし、それは俺も一緒やけん。でも「だから我慢しよう」ってことじゃなくて、「俺も一緒やけん、一人じゃないよ」って。
──コロナ禍は人に会えないから「一人じゃない」って言ってもらえると心強いですしね。
クニタケ:はい。レコーディングしながら、俺も泣きそうになりました。「俺、これ言われたら絶対泣くわ」って。
バンドとして音楽作るのが楽しかった
──今、クニタケさんにコロナ禍での心境の変化を伺いましたが、ほかの皆さんはコロナ禍に音楽やバンドに対する気持ちに変化はありましたか?
オガワ:ライブができないのはキツかったですね。やっぱりライブは楽しいので。でも、その代わりに制作に充てられる時間が多くなって、改めて曲作りを面白いと思えた期間でもありました。一度出来た曲を作り直したり、単純にたくさん曲を作ったり、プリプロしてみんなで感想を言い合ったり。ずっとライブ中心で、音源を作るのもライブの合間とかだったので、バンドとして音楽を作るのって楽しいんだなって。ある種原点回帰というか、昔の気持ちを取り戻せたのかなと思います。
タカノ:僕も、曲作ることばっかり考えて楽しかったです。
ナカオ:僕はこの期間にTHE FOREVER YOUNGのメンバーになったので、初めてTHE FOREVER YOUNGの一員として楽曲制作して、レコーディングできたのがうれしかったです。
──しかも時間をかけて制作できて。
ナカオ:はい。逆にラッキーというか。きっちり作ることができたと思います。
──特に好きな曲や聴いてもらいたいポイントを挙げるとしたらどの曲になりますか?
ナカオ:僕は1曲目の「証」です。単純にこういう曲調が好きというのももちろんあるのですが、「神様は キミを救ってくれたかい?(中略)祈るその手を 今すぐほどけよ」という歌詞がすごく好きで。自分も不安なときは神頼みしてしまうこともあるんですけど、結局自分次第なんだなって思うことが今まで何度もあって。それをクニさんが歌ってくれてグッときました……って完全にファンの感想ですみません(笑)。コーラスで魂の叫びみたいなものを入れることもできて、すごく好きな曲です。
タカノ:僕は「ジェミニズ」です。この曲はクニさんが送ってくれた歌に、僕がコードを付けたんですけど、いい具合にハマったなと思って。弾いていても、聴いていても気持ちいいです。
オガワ:僕は2曲目の「FELLOWS」。
クニタケ:わ、俺「FELLOWS」言いたかった!
オガワ:じゃあ3曲目の「HEY YOU!」にします。今までのTHE FOREVER YOUNGとはまた違う曲になったなと。あとはドラムのパートが気持ちよくて。プレイヤーとして、ドラマーが叩いたら楽しいというか、そういう目線でフレーズを考えた曲なので、ドラマーの人にはぜひ試してみてもらいたいです。
──ではクニタケさん、「FELLOWS」について聞かせてください。
クニタケ:「FELLOWS」は、曲は早々にできていたんですけど、歌詞に悩んでいて。それと並行して、ほかの曲をまさに作っては壊してという作業をしていて、めちゃくちゃ自分に自信がなくなっていたんです。そんなときにふと、地元の友達が昔、「THE FOREVER YOUNGに曲作ったけん」ってくれた曲があることを思い出して。そいつの家にその曲を聴きに行って、あとから歌詞の和訳を送ってもらったんです。それを読んだらボロボロ涙が出てきて。そのことを書きました。アンサーソングのような形で、元の曲の歌詞もちょっと織り交ぜています。友達にもらった曲を聴いて改めて「がんばろう」って思ったことと、俺を奮い立たせてくれた地元の友達への感謝を歌った、気持ちの強い曲です。すみません、どうしてもこの話がしたくて。
──オガワさんも、好きな曲として挙げた理由を教えてください。
オガワ:今の話を聴いてさらに好きになったんですけど、単純に「めちゃくちゃいいメロディだな」と思って。個人的にオリンピックとか甲子園とかそういうもののテーマソングとかCMソングに使ってほししいくらい、気持ちいいサビができたなと思っています。
クニタケ:でも本当は絞りきれないです。全部好きなので。
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歌うことで自分も肯定されている気がする
──では、あとの2曲についても聞かせてください。まずは歌詞カードに「※この曲は歌詞を載せません。その時、その時のアナタの心で聴いてください。」と注意書きのある「本当の私になりたい」。
クニタケ:受け取り方によって、恋人に向けてだったり、家族だったり友達だったり。いろんな人に向けての曲になると思ったので、聴いた人がそのときどきで想う誰かに向けた曲になったらいいなと思って歌詞は載せないことにしました。ちなみに……1stアルバム「THE FOREVER YOUNG」のときに、部屋を暗くして号泣しながらレコーディングをしたことがあるんですけど、ひさしぶりにそれをやりたいなと思って、この曲は部屋を暗くして泣きながら録りました。「ちょっとやりすぎだね」って言われて、後日録り直したくらい(笑)。
──最後は「人間合格」。タイトルからインパクトのある1曲です。
クニタケ:コロナ禍で、俺もそうやし、THE FOREVER YOUNGを好きなやつもきっと、うまくいってないやつがいると思うんです。「なんで生きてるんだろう」「このままでいいのか」って悩むこともあると思う。そういうやつらを「俺たち人間合格」っていう、強い言葉で肯定してあげたかった。今、苦しいと思いながらも生きてることは間違ってないんだよって。歌うことで自分も肯定されている気がするんですよ。
──それこそ「証」のときに言っていた話と同じですね。この曲にも「証」という言葉が出てきますが、この2曲はリンクしてるんですか?
クニタケ:いや、偶然ですね。曲順は「証」が出てくるからループできるやんって考えましたけど。でも思っていたことは同じなんだと思います。 “これが新しいTHE FOREVER YOUNGの証だ”って。
──サウンド面で言うと、今作はずいぶん音がスッキリしたなという印象を受けました。
クニタケ:それはもうギタリストが。
タカノ:今まではコード弾きを2本重ねて、そのうえにライブで弾くフレーズを1本ずつ重ねていっていたんですけど、今回コード弾きを取っ払ってみたんです。
──取っ払ったのはどうしてですか?
タカノ:「ごちゃごちゃする」「どっちが何弾いてるかわからん」って言われたことがあって。「確かに」と思ったのでやってみたらスッキリして。“新しいTHE FOREVER YOUNG”の音になったなと思います。
THE FOREVER YOUNGのやり方で一人一人を抱きしめたい
──では改めて、「証」はどんなアルバムになったと思いますか?
タカノ:最高です!
ナカオ:スッキリしたと言ってもらえたように、ギターの録り方も変えていますし、進化した新しいTHE FOREVER YOUNGの新譜になったなと感じています。今までファンだった僕が毎回新譜が出たらすぐ買いに行っていたように、みんなにも早く聴いてもらいたいです。
オガワ:制作期間が長かったこともあって、膨大な曲の中からこの7曲に絞ったので、ぎゅっと詰まった、いい作品になったなと思います。意味がループしているという話もありましたが、どの曲も個性があるので、何周しても飽きないし、ずっと聴いていられるアルバムだと思います。
クニタケ:アルバムを作っていてうれしかったことがあって。レコーディング中、スタジオとホテルを行き来する生活だったんです。で、最終日全部録り終わって、エンジニアさんにもらったデータを、ホテルに帰る車の中で聞きながらみんなで「やべえ」って言い合っていたらグルーヴが最高潮に達して、ホテル戻ってから、みんなで音源を聴きながら飲んだんです。そんなこと初めてで。いい作品を聴きながらみんなで「やべえ、やべえ」ってなったというのが、この作品の結果なんだと思う。満足いく作品になりました。
──10月からはアルバムを携えたツアー「証を見つける旅」が始まります。
クニタケ:規制があったり、来れないやつもいると思うんですけど、本当にいい作品ができたので、THE FOREVER YOUNGのやり方で、一人一人を抱きしめてあげられるようなツアーにできたらいいなと思っています。4人で回る初めてのツアーなので、胸を張って「今の俺らはこれです」って、大好きな各土地で証明していきたいです。
THE FOREVER YOUNG「証」
01. 証
02. FELLOWS
03. HEY YOU!
04. ジェミニズ
05. 本当の私になりたい
06. 人間合格
THE FOREVER YOUNG「証を見つける旅」
日程:2021年10月2日(土)
会場:青森県 LIVE HOUSE FOR ME
※12月12日(日)に振替
日程:2021年10月9日(土)
会場:福島県 club SONIC iwaki
日程:2021年10月10日(日)
会場:栃木県 HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
日程:2021年10月12日(火)
会場:京都府 KYOTO MUSE
日程:2021年10月13日(水)
会場:兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
日程:2021年10月14日(木)
会場:山口県 Shunan RISING HALL
日程:2021年10月21日(木)
会場:長崎県 Studio DO!
日程:2021年10月24日(日)
会場:北海道 BESSIE HALL
日程:2021年10月30日(土)
会場:愛媛県 松山Double-u Studio
日程:2021年11月12日(金)
会場:東京都 渋谷WWW
日程:2021年11月14日(日)
会場:神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
日程:2021年11月15日(月)
会場:千葉県 千葉LOOK
日程:2021年11月16日(火)
会場:宮城県 LIVE HOUSE enn 2nd
日程:2021年11月18日(木)
会場:愛知県 名古屋RAD HALL
日程:2021年11月19日(金)
会場:大阪府 LiveHouseANIMA
日程:2021年11月26日(金)
会場:福岡県 久留米座
盛岡CLUB CHANGE pre.「TOHOKU DOUBLE STACK TOUR 2021」
日程:2021年12月10日(金)
会場:岩手県 KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
日程:2021年12月9日(木)
会場:岩手県 KESEN ROCK FREAKS
日程:2021年12月8日 (水)
会場:宮城県 石巻 BLUE RESISTANCE
THE FOREVER YOUNG official site