04 Limited Sazabys "Deliver 04 you tour" LIVE REPORT!!
Report by 柴山順次(2YOU MAGAZINE)
Photo by ヤオタケシ
2021.10.14
04 Limited Sazabys "Deliver 04 you tour"@ Zepp Nagoya
夏真っ盛りの9月3日から始まった04 Limited Sazabysのワンマンツアー「Deliver 04 you tour」。秋をすっ飛ばし、あわてんぼうの冬が顔を覗かせる10月14日、彼らの地元である名古屋にて迎えたツアーファイナル公演。昨年11月、愛知県の国際展示場「Aichi Sky Expo」にて開催された「YON EXPO’20」では架空の航空会社「YON AIRLINES」を設立し空の旅をアテンドしたフォーリミだが今回のツアーでは架空の運送会社「Yon Express」を設立してのツアーを決行。「架空の」とは言っているものの、約2年振りとなったニューシングル「fade/Just」も「Yon Express」による直送と、音楽を誰から誰にどう届けるか常に考え続けているフォーリミの姿勢には感銘を受ける。
けたたましく鳴り響き渡るサイレンの中ステージに現れたGEN(Vo&Ba)、HIROKAZ(Gu)、RYU-TA(Gu&Cho)、KOUHEI(Dr&Cho)の表情は何度も観てきたZepp Nagoyaでの彼らのどんな顔とも何かが違う気がした。ライブを観るときに悲しいかなコロナのことを考えてしまうようになって久しい2021年10月。どうしてもエモーショナルな感情が覆いかぶさって、ステージ上のメンバーもライブとは全く別次元での戦いを強いられる期間が長く続いている。だからライブに意味を求めてしまうし、ライブに意味を持たなければいけない錯覚をしていた時期もあった。そんな頭でっかちな自分に警笛を鳴らしたのがSEのサイレンだったのかもしれないし、ステージに上がっているフォーリミから放たれる「限界の先で、楽しもうぜ」という表情なのかもしれない。しっかりはっきり「届けたい」と歌う「Just」からこの日のライブが始まったことが最大のメッセージな気がする。
「climb」リリース当時のフォーリミは「ここまで来たなら信じなきゃなあ」「ここまで来て引き返せないから」と悩みながらも自らを奮い立たせていた。そしてコロナを経て、「ここまで来たら戻れない」「何処まで行こう 止まれない」と言い切るように歌うのが今のフォーリミだ。「届けたい今から」と真っ直ぐフロアを見つめ歌うGENの言葉が心のずっと奥の方に突き刺さる。でもほら、こうやってライブに意味を持たせてしまうのが良くないところ、ここからは純粋に単純に楽しむ時間だ。軽やかなステップでライブの楽しさを体現する「Kitchen」、超高速ビートで「先に進むだけ さらに進むだけ」と先導する「My HERO」と序盤から飛ばしまくる4人。「チューニングを名古屋に合わせている」とGENが語るように名古屋でのライブはやっぱりフォーリミにとって特別なようでメンバーも本当に嬉しそうに演奏している。立て続けに披露した「message」「monolith」では共にアルバム『SOIL』『monolith』の1曲目であることからCDを再生した瞬間の「あの感覚」が鮮明に蘇る。KOUHEIのドラムのアタックがいつにも増して強く響いた「escape」、オーディエンスを深い森にいざなう「mahoroba」とライブが進む度に心拍数も加速する。
「コロナでライブが出来なくなって、バンドマンの、ロックバンドの価値を考えて落ち込むこともあった」と語り披露したのは新曲「fade」だ。ささくれた気持ちも、しゃがみこんだ日々も、知り過ぎた日々も、全部この期間でフォーリミが、僕らが経験した体験だ。誰かに用意された新しい普通じゃなくて自分達で自分達の新しい生活を作っていきたい。惑わされるな、騙されるな、いなくなったのは俺の方だったんじゃないか。ラインを超えて確かめたいこと、コロナ禍で何度もあったけれど目の前で演奏している「fade」で気付かされたというか、再確認したというか、上手く文字に出来ないけれど、霧が晴れたような、そんな気がした。もうこうなったら無敵のフォーリミのライブを全身全力で楽しむだけだ。
RYU-TAのダミ声ヴォーカル大爆発の「discord」、展開ごとに表情を変えるGENの歌が炸裂する「Jumper」と、改めてフォーリミのヴォーカル陣のレンジの広さに驚かされる。声を振り絞るようにGENが叫ぶ「新しい歩幅で進む」というメッセージに、きっと何年、何十年後にライブでこの曲を聴く度に、この時期に世の中が大きく変わったこと、その中で前に進もうとしていたことを思い出すだろう。そしてそのメッセージは今現在を生きる僕たちにはとんでもなく力強い言葉でもあるのだ。
先程の「discord」もだが、フォーリミの武器のひとつであるリフが暴れまくる「fiction」では軽快なリズムと裏腹な歌詞の奇妙なバランスがライブでも堪能出来る。メロウな世界に浸っていると突然フロアに鳴り響く「ピンポ~ン」のチャイム音。どうやら「Yon Express」から荷物が届いたようだ。今回のツアーでは非常に優秀な「Yon Express」配達員から配達される荷物の中にメンバーにはシークレットな曲名が書かれており、その曲を演奏しなければいけないというミッションがある。曲名の書かれた紙を見てドラムセット前に集まるメンバー。話の流れからなんとなく予想していたけれど、ここはフォーリミの地元ということで名古屋のライブハウスの名前を連呼する愛のナンバー「758」を披露。名古屋で「758」を聴けるのが本当に嬉しいし、彼らが名古屋を背負って全国各地で戦っていることを誇りに思う瞬間でもある。
フォーリミが名古屋のライブハウスから愛される理由はここにあると思っている。そしてシークレットナンバー2曲目は「Grasshopper」。この曲も名古屋の小さなライブハウスで数えるほどのお客さんの前でライブをしていた頃の曲だ。この2曲を選曲するなんて「Yon Express」の配達員は本当に仕事が出来る。こういう遊び心にフォーリミがどれだけ良いチームと一緒にライブを作っているかがよく出ていると思う。遊び心といえばGENとRYU-TAのお決まりの小競り合いから始まる「Galapagos」の途中のガヤではドラえもんのキャラクターが大渋滞する一幕も。そのなかで「しずかちゃんのベッドイン」という言葉が聞こえてきたが深く考えないようにしよう、そうしよう。
あともうひとつ、暴走した遊び心の果てに2日間に渡りMCでも散々ネタにしていた名古屋ローカルお弁当屋さん「ベントマン」のCMトーク。若干のジェネレーションギャップも感じつつ、メンバーがケラケラ笑いながら擦りまくったベントマンネタだが、改めてCMを見て驚いた。CMの最後でベントマンのキャラクターが「配達OK!」と元気に叫んでいるのだ。そうか、今回のYon Expressの配達はベントマンからヒントを得ているに違いない。流石は地元名古屋を愛するフォーリミだ。
「me?」でオーディエンスから大きな元気玉をもらった4人が「midnight cruising」でZepp Nagoyaにお返しの流星群を降り注ぐ。こうやってお互いを支え合い、お互いを必要として、同じ時代に同じ場所で音楽を通してコミュニケーションを取れることって、ずっと当たり前だと思っていたけどやっぱり当たり前じゃないんだなってライブを観ながら思った。「当たり前」の反対語が「有難い」であるように、有ることが難しくなってしまった時代を一緒に生き抜くための音楽。それは人にとって色々あるだろうけど、今日ここZepp Nagoyaに集まっている人にとっては04 Limited Sazabysなんだと思う。「自分も音楽で救われた経験があるから音楽で誰かを救いたい。そうじゃなければロックバンドをやっている意味がないと思う」と心情を吐露したGEN。応援してくれるファンに「会いたい」という気持ちをしたためた「Letter」をプレゼント。さらに愛の補充を繰り返すラブソング「milk」とZepp Nagoyaを優しい空気が流れる。「Feel」は彼らが上京する時期に名古屋を思って書いた曲だ。「soup」「Feel」と別れの曲が続くが、名古屋のステージで「Feel」を歌うときのフォーリミの表情が溜まらなく好きだ。この流れで旅立ちの曲「Terminal」が来るんだからもう。「帰る場所があるって幸せだ」とGENが語っていたようにフォーリミにとっての名古屋がそういう場所であることが嬉しい。彼らがライブで言い続ける「名古屋の04 Limited Sazabysです」という言葉。ここに今日のライブの全てが集約されている気がしてならない。アンコールでは「swim」「Give me」を演奏。「いつでも会いにきてください。出来れば一生一緒にいてください。」と告げステージを後にした4人。久し振りのリリースを伴うワンマンツアーを経て、いよいよ11月にはYON EXPO’21だ。
[SETLIST]
1.Just
2.Kitchen
3.My HERO
4.message
5.monolith
6.escape
7.mahoroba
8.fade
9.discord
10.Jumper
11.fiction
12.758
13.Grasshopper
14.Galapagos
15.me?
16.midnight cruising
17.Letter
18.milk
19.soup
20.Feel
21.Terminal
EN1.swim
EN2.Give me
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