FUCK YOU HEROES「Just do what you wanna do.」INTERVIEW!!
Interview by Chie Kobayashi
Photo by Akira”TERU”Sugihara
FUCK YOU HEROESが11月11日にフルアルバム『Just do what you wanna do.』をリリースする。14年ぶりのフルアルバム、結成20周年……。本作に込めた想いを、メンバー3人に聞いた。
20周年でアルバムを作らなかったらもう作らないんじゃないか
──こんな質問から始めるのもおかしな話なのですが……14年ぶりのアルバムということで、どうしてアルバムを作ろうと思ったんですか？
RYOSUKE（Ba, Vo）：あはは（笑）。
ANDREW（Dr）：単純に結成20周年だからっていうのが理由だけど、前から「古い曲をずっとやっててもしょうがないよね」って話はしていて。でもアルバムを作るきっかけがなかったんだよね。
RYOSUKE：15周年のときに作ろうとしたんだけど、それぞれが忙しくて作れなくて。でもいよいよ20周年が近付いてきたときに「20周年でやらなかったらもう作らないんじゃないか」という話になって、2020年から少しずつ動き出した。
──Instagram（https://www.instagram.com/fuckyouheroes_jp/）も2020年に開設されましたもんね。
RYOSUKE：そうそう。カウントダウン的に。
ANDREW：写真も映像も死ぬほどあったの。だからせっかくだしと思って。それが今回の特典にもつながったしね。
──曲作りも2020年に入ってから？
ANDREW：そう。1年で18曲作りました。アルバムができたのはコロナ禍だったからじゃないかなと正直思ってて。
RYOSUKE：うん。これまでは3人が合う時間がなかったから……。
ANDREW：そうそう。それぞれのライフスタイルが変わって、昔のようにライブができなくなって、できないなりにやっていこうっていうのが今のスタンス。2019年までそんな感じだったから、「気付いたら来年20周年だけど」っていう状況になっても、最初は動けなかったし。コロナ禍で良くも悪くも時間ができたことが大きかったな。
──FUCK YOU HEROESの曲作りってどんな感じなんですか？
RYOSUKE：それぞれが「こういうのやりたい」という片鱗を持っていってそこから広げる形。例えばANDREWだったら「こういうの叩きたい」ってドラムのパーツを送ってきて。そこから広げていくみたいな。どっちゃんはある程度形になったものを作ってきてくれるけど、俺は本当にリフだけとかで、あとは二人にお任せ。だから自分の想像とは全然違う形になることも多いんだけど、でも「なんか違う」とはならないんだよね。
──ひさしぶりにこの3人で曲を作ってみて、何か変化などは感じましたか？
ANDREW：あんまり変わんなかったかな（猛爆）。
DOTU（Gt）：でもやりやすくなった。「こう返ってくるだろうな」って思いながらパーツを投げるんだけど、その精度が上がったというか。
RYOSUKE：意思疎通の精度？（笑）
DOTU：そうそう。
RYOSUKE：歳食ってくると、テクニカルに寄ったり、やりたいことが昔と変わってくると思うんだけど、FUCK YOU HEROESの場合はあんまりそれがないのかも。昔からずっとカッコいいと思ってるものが変わらない。ずっと初期衝動が好きで。その幹がブレないから、何をしても大丈夫って思ってるところもあるし。
ANDREW：今回のアルバムではバラードがあったり、今までやったことないことにも挑戦してるんだけど、俺らがやればFUCK YOU HEROESになるんだなってわかったよね。
RYOSUKE：それこそ2ndアルバム（『I'm nothing more than myself.』）の頃は、「こういうのやりたい」っていうのがちょっと変な方向に向いていて、3rd（『We will show you how you should be.』）作るときに気付いて方向を戻したの。それを経てからの14年間はただただライブをやっていただけだけど、「俺たちの好きなのはこれだな」ってわかった感じがするね。
「あなたのバンド名は何ですか？」って聞かれたら「FUCK YOU HEROES」って答える
──この14年間、作品作りはしていないものの、ライブをやっていたからこそFUCK YOU HEROES像みたいなものが、研ぎ澄まされていたのかもしれないですね。
RYOSUKE：といってもそんなにライブをやれてたわけではないんだけど。でもそのぶん、ライブ1本1本が楽しかったからそれはよかったのかも。昔はライブをめちゃくちゃやってたから「今日のライブやらなきゃよかったな」とかそう思うこともあって。あとは他のバンドのときとかは「めんどくせーな」と思うこともあったんだけど、FUCK YOU HEROESにはそういう窮屈に感じることがほとんどないんだよね。よくFUCK YOU HEROESのことは家族って言ってるんだけど、本当にそんな感じ。
ANDREW：腐れ縁だしなー。プライベートで飲みに行くこともないし。近すぎないのもいいよね。近すぎないけどやりたいことが一緒だからそんなに仲が悪くなることもない。
RYOSUKE：もちろんケンカもたくさんしたけどね。2nd出したくらいのときに、俺が「このバンドやってる意味ねーじゃん」って言ったことがあって。そしたらANDREWが「でもやめる意味なくない？」って言ったの。それ言われて「あ、そうだね」って（笑）。
ANDREW：今思い出したけど、結成したときに3人とも「これが最後のバンドだ」って思ってたんだよね。FUCK YOU HEROES結成後、結局3人とも別のバンドもやったけど、FUCK YOU HEROESをやってなかったら他のバンドもやってなかっただろうし。俺は今もいろいろバンドやってるけど、「あなたのバンド名は何ですか？」って聞かれたらたぶん「FUCK YOU HEROES」って答える。それくらい自分のバンドだと思ってるし、「これが最後のバンドだ」って思って結成したバンドだったから決意が強かった。それがメンバーチェンジせずに20年続けてこられた１つの理由なんだと思う。
DOTU：俺も同じように思ってるかな。帰る場所っていうか。コロナ禍になって、みんながライブできなくなってる一方で、俺らはこの1年すごいたくさんスタジオに入って楽しかったし。
RYOSUKE：今回のアルバムを作るにあたって、今までで一番スタジオに入ってるんじゃないかな。
DOTU：確かに。でも「めんどくさいなー」って思うことが全然なくて。
──バンドを始めたときみたいな感じですかね？
DOTU：俺はそういうふうに感じた。
ANDREW：俺もそんな感覚だな。
&page:&
「これは歌うってことだよな」
──先ほど、今回のアルバムでは新しいことにも挑戦しているというお話も出ましたが、“新しいことをやってみよう”というモードだったんですか？
DOTU：作ってるときは新しいと思ってなかったんです。結果的にやってなかっただけで。
RYOSUKE：そうそう。20曲目の「Walk Together」はメロディがある曲なんだけど、別にそういう曲を作ろうと思ったわけじゃなくて。どっちゃんからリフが送られてきて、「これは歌うってことだよな」って感じたから歌うメロディにしただけ。もともと俺とどっちゃんはLEGGOっていうメロディックバンドをやってたこともあって、なんかわかったんだよね。
DOTU：FUCK YOU HEROESを組んだときから、こういう曲をやりたいと思ってたんだけど、ちょっと照れくさかったりしてできなかったのもあるかもしれない。
RYOSUKE：そうそう。
──今は照れくささはない？
RYOSUKE：ないね。シャウトしてるのと同じテンションで歌えるメロディにしたから。もしかしたらお客さんは「急にテンション違うな」とか思うかもしれないけど。
ANDREW：実は13曲目の「Behind」と17曲目「RxAxMx」は20年前の曲なんだけど、「Behind」に関してはライブでどんどんシャウトする歌い方に変わっていってたから、今回収録するにあたって「20年前の歌い方に戻してくれ」って言ったんだよね。このアルバムにはそっちのほうが合うと思って。
この3人で奏でたときに超面白かった
──20曲のうち、特に好きな曲や印象的な曲を挙げるとしたらどれを挙げますか？
ANDREW：俺は12曲目「Freedom」かな。この曲はミックン（DOTU）が土台を持ってきたんだけど、やたらむちゃくちゃカッコよくしたくなっちゃって（笑）。その結果、すごいカッコいい曲になったと思う。1stアルバム（『I'm not going to become like you.』）を出す前、ミックンがいろんなデモを持ってきてくれてたんだけど、なんかその頃を思い出した。
DOTU：俺は1曲に絞るのは難しいけど……でも「Walk Together」かな。アルバムを作る段階で、最初に聞いてもらったデモなので。いい歌詞も付けてもらえたし。
RYOSUKE：いっぱいあるな～。3rdアルバムのあたりは特に、高円寺20000Vでハードコアの人たちと対バンしてた時期に作ってたから、けっこうそっち寄りの頭だったんだけど、自分が聴いてたパンクってもっとふざけた感じだったなと思って「Just a Coward」を作ってみたり。あとは1曲目「Brace Yourself」。この曲は、このままだとアルバム完成に間に合わないからANDREWは来られないけど俺とどっちゃんで曲を作らないとってなったときに、スタジオじゃなくてどっちゃんに俺の狭い事務所に来てもらったのね。そしたら結局ANDREWも来れることになって。３人で狭い事務所で曲作りをしたんだけど、俺とどっちゃんが弾いてる横で、ANDREWが壁をドラムにして立って壁を叩いてて。
ANDREW：壁ドラムね（笑）。
RYOSUKE：しかもけっこう真面目な顔で（笑）。「これってもはや友達ん家じゃん。中学生じゃん」と思って。なんかその感じが面白かった。あと女の人のシャウトが入ってるんだけど、それはANDREWの知り合いで。
ANDREW：ただ近所に住んでるだけの人妻ね（笑）。「女の人のシャウト入れたいなー」って亮ちゃん(RYOSUKE)が言い出して「あっ居た！」ってなって。で、来てもらってブース入ってもらって「ゴキブリ出たときの声やって」って。
RYOSUKE：で、声枯らして帰っていったよね（笑）。
──その方も、まさか14年ぶりのアルバムの1曲目に入っているとは思わないでしょうね（笑）。先ほどの「Walk Together」のお話にもありましたが、今作は全体的に歌心があるアルバムだなと感じました。
RYOSUKE：確かにメロディはいつも以上に気にしてたかも。冗談半分で友達に「FUCK YOU HEROESはメロディあるから（笑）」みたいなことをずっと言ってたの。やっぱり、俺はメロディックパンクも大好きだから。で、今作を作ってるときに改めて「俺、もうちょっと歌心あるはずなのにな」って思って。
ANDREW：自分でも言うのもなんだけど、だからFUCK YOU HEROESって面白いよね。2001年に結成した時点で、俺とミックンは、メロディックパンクやってたけどハードコア大好きで。でも亮ちゃんはそんなにハードコア通ってなくて。そんな3人で奏でたときに超面白かった。ハードコアの土台に、街で弾き語りをやってた人のボーカルが乗っかって。「こういうバンドってやばくね？」って。その感覚がいまだにあるんだよね。
RYOSUKE：駅前で弾き語りしてたからね（笑）。ハードコアに尾崎豊乗っけたらどうなるんですか？って。
ANDREW：それがFUCK YOU HEROESです！ってね。
&page:&
どうやったら楽しくできるかってことしか考えてない
──『Just do what you wanna do.』、総じてどんなアルバムになったと思いますか？
ANDREW：今のところ、今までのアルバムで一番好きかも。よく「1stアルバムは超えられない」って言うけど、そんなことないじゃんって思えるくらい好き。20曲入りのアルバムを作ると、ツアーやる場合は収録曲の半分くらいしかたぶんできないんだけど、でも全曲やりたいって思えるから、相当いいアルバムなんじゃないかな。
DOTU：俺もそう。すごく好き。
RYOSUKE：そもそも前作が14年前と考えると、“前作がこうだったから今作はこういうふうにして”とかはもうないんだよね。14年の間にFUCK YOU HEROESを知ってくれた人からすると1stアルバムだろうし。そう捉えてもらって過不足ない作品にできたかなと思う。
──FUCK YOU HEROESとしての今後の展望はあるんでしょうか？
RYOSUKE：うーん……ないね（笑）。考えないから、20年間続いてるのかなって思う。
ANDREW：また30周年のときにこれをやってるくさいね（笑）。
──30周年のときは30曲入りのアルバムですね（笑）。
ANDREW：……25周年で1回やっとくか（笑）。
RYOSUKE：25周年のときに誰かがやろうっていうんだけど、流れるんだよね。で、29周年あたりから「来年やらないと」って（笑）。50代か……叩ける？
ANDREW：そのとき叩けるやつを叩くよ（笑）。でも今作、1stより……。
DOTU：速いよね。
ANDREW：だよね（笑）。
RYOSUKE：まあ、常に自分らが一番楽しいことをしていたいから無茶をしないでやっていきたい。「あのときのBPMカッコよかったから、またあのBPMの曲やろうぜ」って言って、もし無理しないとできなくて、楽しくなくなるならやらなくていいし。活動についても、どうやったら楽しくできるかってことしか考えてないかな。それは俺らだけじゃなくて、どうやったらお客さんが楽しんでくれるのかなってことも含めて。だから20年経ってもFUCK YOU HEROESを楽しんでくれてる人がずっといるんだろうなと思うし。何万人を相手にしてるバンドじゃないからさ。それよりも目の前にいる何十人、何百人が楽しんでくれればいい。この考えはずっと変わらず。
──これからも楽しみにしています。では言い足りないことがなければ終わりにしようと思いますが……。
RYOSUKE：とにかく音源作るのが楽しかった！ やっぱりバンドって楽しいなって思ったね。
ANDREW：それに尽きるね。バンド最高!!
FUCK YOU HEROES「Just do what you wanna do.」
01.Brace Yourself
02.20th Year
03.No Victory
04.Just a Coward
05.Push The Button
06.Useless
07.Do Celebrate
08.Work For Myself
09.Bomber
10.Infected
11.FxYxHx Blues
12.Freedom
13.Behind
14.Indomitable Spirit
15.I Feel So Peaceful
16.Do Not Forget
17.RxAxMx
18.Dear KUSOYAROU
19.Wander
20.Walk Together
2021年11月11日発売 / 2750円(税込)