INTERVIEW

SPARK!!SOUND!!SHOW!! “akuma” INTERVIEW!!

photograph by Taio Konishi text by DMRT

 

SPARK!!SOUND!!SHOW!!が久々の新作EP『akuma』を2月9日にリリースした。本作はリミテッド仕様で会場とバンド通販限定での販売となる。また、3曲入りだが、トラックとしてのカウントは1つ。3曲続けて聴くという一風変わった内容になっているのも特徴的だ。

2月10日より、本作を引っ提げた「akuma tour 2022.02-04」を行なっているが、他とは少し異なる作品の発信の仕方にはどういった意図が込められているのか。そして、この3曲はスサシにとって、どんな楽曲なのかを作曲担当のタクマ(Syn/Gt/Cho)と作詞を担当するタナカユーキ(Vo/Gt)の2人に聞いた。

タクマ被害者の会による声明文「akuma」

 

ーLimited EP『akuma』が会場&通販限定で2月に発売となったわけですが、昨年6月にリリースされた「HAPPY BIRTH DIE feat.原田ちあき」以来のリリースとなりますね。

タクマ:そうですね。ただ、今回の3曲に関しては基本的に2020年には、ほぼ形になっていたんですよ。2曲めの「踊らない」のトラックに関しては3年前に形になっていましたね。歌が乗ったのは、大分後になったんですけど。

ー意外と前から出来ていたんですね。では、EP『akuma』収録の楽曲について1曲ずつ教えてください。まずはMVが公開されている表題曲「akuma feat.KAZUKI(SHADOWS)」から。この曲は、今までのスサシには見られなかったドゥームメタル的なアプローチが特徴的ですね。

タクマ:「akuma」は、ギターのチューニングが半音下げでやれるヘヴィな曲をライブのセットリストに入れたくて作り始めたんですよ。曲に何度か出てくるビートダウンのパート、あそこをオレたちはサビと呼んでいて。

ーえっ、あそこがサビなんですか?

タナカユーキ(以下、ユーキ):というのも、最初に、タクマから「akuma」のデモが送られてきたときに、このパートにピンときて。いつも、デモのトラックを聴きながら、サビを含む全体のメロディやリリックを考えていくんですけど、ちょうど制作時期が“曲にサビなんていらなくね?期”みたいな感じだったんですよね。

ーサビのメロディを明確に作らなくても曲が成立するんじゃないかと考えていたと?

ユーキ:そうっすね。あのビートダウンが曲の顔として立って、ほど良い尺(曲の長さ)で成立させられたら、めちゃくちゃパンチあるなって。それで充分だと思ったんです。で、最後にイントロやビートダウンに絡むメロディをオレが勝手につけたんです。コーラスが効いている聖歌っぽい歌のパートですね。

ーグッと引き込まれるイントロのパートですね。一方で「akuma」が終盤のギターとベースがユニゾンになったソロパートも特徴的です。

タクマ:ただメタリックな楽曲のままで終わらせるのもダサいと感じたんですよね。どうせやるなら、ここまでわかりやすいソロパートをくっつけてもオモロいんじゃないかなと。それで、ああいう展開にしたんですよね。

ー確かに、聴き方によってはレトロなメタル感があって、クスリとしちゃいますね。

タクマ:それまでギターソロなんて考えたことがなかったですからね。9mm(9mm Parabellum Bullet)とX JAPANを聴いて、インスパイアを受けながら考えました。

ーフィーチャリングでSHADOWSのKAZUKIさんが参加されていますが、これはどういう経緯で?

タクマ:最初の緊急事態宣言が出た時期、久々にKAZUKIさんに会う機会があって、色々と話をしているうちに、やってもらったら面白いんじゃないかって。それでお願いしたんです。

ユーキ:歌詞を書く段階で、KAZUKIさんのフィーチャリングが決まっていたんで、けっこうリリックにも影響があったんですよ。最初に歌詞を書く段階で、タクマから“悪魔降臨”という仮タイトルをもらっていたので、序盤は宗教ちっくな内容なんですけど、オレ的には中盤からコンセプトをマイナーチェンジさせているんです。

ーと言うと?

ユーキ:タクマの曲だし、タクマのことも書こうかなと途中から思って。しかも、KAZUKIさんが参加してくれるわけなんで、2人の関係性を考えたんですよね。いつも、タクマはKAZUKIさんと兄弟みたいな感じで遊んでいるし、よく考えたら、イタズラ好きなタクマはミニ悪魔的なところもあるし。それで、後半の歌詞はポップでキャッチーな感じにしているんです。雰囲気感のある歌詞からイタズラっぽいポップな方向性に1曲の中でシフトしていく表現は、「akuma」が初めてでしたね。絶妙にダブルミーニング的な感じで。何より悪魔をローマ字にして、Tをつけたら“Takuma”になるやんって気づいたのは発明でしたね。

ー悪魔のことでもあり、“Takuma”でもあるという。

ユーキ:ツアー中も、日頃も、メンバーを始め、関係者一同、タクマの悪戯で被害をこうむっているので、その被害者の会がタクマに対して出した声明文的なところが冒頭の英語のリリックだったりするんですよ。そう思って読んでほしいですね。

タクマ:なので、みんなには感謝してほしいっすね。オレの一連の行動によって、新たな歌詞表現が出来たわけなんで。

ー歌詞の内容でいくと<イニミニマニモー>って何ですか?

ユーキ:これは、海外にある子供向けの数え歌で昔からあるやつですね。『Chemical X』(2015年リリースのEP)にも、『セサミストリート』とかで流れていてほしいハードコアな曲ってコンセプトで作った曲を入れたりしていたんで。こういう要素は、昔からスサシにあって、もうマイクチェックワンツーぐらいのノリで使ってますね。

 

別に背中を押されたくない人だっている「踊らない」

ーでは「踊らない」について。まさしくスサシらしいダンスチューンでもありますね。

タクマ:そうですね。これを作った頃は“もう歪みのギターうるさいな期&生ドラムもういいや期”でしたね。だから、ギターの音もクランチみたいな質感だし、ドラムも打ち込みなんですよ。ライトで乗れる曲が少なかったんで作ったのもあります。

ー曲自体は3年前くらいにあって、メロディに時間がかかったというのは?

タクマ:どの曲もそうなんですけど、サビに関しては、ちゃんと耳に残るメロディがいいっていうのがあるんですよ。だから、この曲に限らず「akuma」もまとめるのが大変だったんですけど。だから10パターンくらいユーキにメロディを考えてもらいつつ、最終的にはエンター・シカリ(Enter Shikari)みたいなサビにしようって話をして、ああいうコーラス感に仕上がっています。

ー踊れるナンバーなのに「踊らない」っていうのがスサシらしいなぁと。

ユーキ:そこもありつつ。「踊らない」の歌詞は、思いっきりコロナ禍自粛中に書いていて、世間的にも陰鬱とした時期だったし、なんかこう、“みんなの背中を押しまっせ”的なことを発信しなくちゃいけないようなムードがあったような気がするんですよね。でも、別に“背中押されたくない人もいるでしょうに”的な(笑)。こう言うと、周囲には肯定されないでしょうけど、暗い方向を向きたい、向かざるを得ないって人も、少数派ながら存在するとは思うので。そんな感じの内容です。

それぞれが大事にする命への讃美歌「MO」

ー3曲めの「MO」は、まさかのスサシ初バラードということで驚きました。

タクマ:この曲は比較的、最近の曲で昨年の9月頃に作ったんですよ。なんでそんなテンションになっていたかは忘れちゃったんですけど、“優しい歌が作りたい期”だったんです。もともとユーキとも「いつかはバラードを作ろう」って話をしていたし、そう思ってるなら作ってみればいいんじゃないかっていうのが制作に取り掛かったきっかけでもありましたね。

ーバラードに挑戦するタイミングが訪れたような感じだったんですか?

タクマ:はい。バンド的にも色々な意味で大変な時期だったんで。この状況を打破するために、1曲のパワーを信じて、何かを作ろうっていうのもきっかけでしたね。

ユーキ:それに、バラードって意味では、オレはもともとJ-POP育ちですし、自分を含め、日本人ってバラードが好きだと思うんです。泣ける感じが欲しいと言うか。これ、多分、四季があるせいだと思うんですけどね。情緒が狂う感じ。

ー四季はあるかもっすね。私もバラードでしんみりしたい春や秋の長い夜はあります。

ユーキ:ーっていうの、あるじゃないですか。スサシの音楽的なこともあって、今まで作ってこなかったわけなんですけど、タクマが曲を持ってきてくれたので、バンドとしてもバラードを作る時期がきたんだなって。

ー「MO」では、ユーキさんならではの死生観が描かれているように思いますが、いかがでしょう?

ユーキ:この曲に関しては、色々な要素が含まれているんですけど……。過去に起きたことも含めた表現になっていて。デモの時点でタイトルが「MO」だったんですけど、“もう”は、過ぎたことを示すときに使うじゃないですか。そこでハマったんですよね。自分は、死んでみたら今よりも楽しい世界があるんじゃないか派で、死生観に対して悲観的な意見は持っていないので。その先を見たような内容になっています。

ー「MO」が楽曲のテーマとして、飼っているペットへ向けた愛情表現的な側面もあるとお聞きしたのですが、その辺りを連想させるリリックでもありますね。

ユーキ:そこも踏まえつつですが、飼い主目線でもなく、ペットに限らず、幅広く、それぞれが大切に大事にしている命に対して歌った曲ですね。『akuma』は悪魔降臨的な曲から始まり、「踊らない」を経て、「MO」では、命が天に登っていくようなイメージです。天使として逆降臨しちゃうような情景のある曲を3曲めに置くことでEP全体を通した世界観を描いているような印象です。

物としての価値をどう見出して表現していくか

ーなるほど、この曲順で歌詞の内容を並べると、そういったストーリー性を改めて感じますね。今作は会場と通販限定でリリースされています。そこには、スサシがライブバンドとして現場を大切にしているし、自分のライブへ来てくれる人へダイレクトに音楽を届けたいという思いも反映されているのかな、と。

タクマ:その思いはもちろんありますね。そもそも、CDやフィジカルの盤は欲しいと思う人だけが手に取ってくれればいいと思っているんですよ。

ーやはりフィジカルを手にして欲しいという思いは強いですか?

ユーキ:ライブ現場に来てくれる人を大切にしたい気持ちは大前提にありますけど、個人的にはフィジカルを大切にしてほしいというメッセージがあって、こういう販売方法を取っているわけではないですね。だからこそサブスクでも聴けるように準備を進めているわけなので。

タクマ:うん。世間的にもフィジカルの立ち位置は変わってきているので、そこに対しては色々と思うことはあります。例えば、サブスクできちんとミックスされた音源が聴けるようになっていて、会場で販売するCDには、スタジオでRECした別verだったりしても良いのかな、と。好きな人が手にしてくれるものだから、ちゃんと価値がつくようなものにしたいですよね。まったく同じものをCDとサブスクで聴いても仕方ないんじゃないかとも思いますし。物としての意味をどう出していくかは、今後も考えていきたい部分です。

ーそいこでいくと、EP『akuma』はCDでは3曲通して1トラックで聴ける仕様になっているんだとか? これは曲間も含めて、楽曲を飛ばさずに最初から最後まで聴いてほしいという思いが反映されているそうですね。

ユーキ:さっき話したように、EP『akuma』はリリック的にも3曲通して、繋がるような世界観にしているので、できることなら最初から最後まで、まずはこの順番で聴いてほしいというのはありますね。

タクマ:そういう聴き方でしか聴けないというのも、CDとサブスクの差だと思うので、EP『akuma』は、そういう楽しみ方を試してほしいです。ただ、発売前に予め告知しておけば良かったんですけどね(笑)。ツアーに来てくれてCDを買った人の中には、驚いている人も意外といたようなので。

ー現在は「akuma tour 2022.02-04」の真っ最中ということになりますね。3月2日にEP『akuma』がサブスク解禁されて以降も各地でのライブが予定されています。

タクマ:2月でツアーが3本終わって。まず対バンツアーっていうのが本当に久しぶりで。

ユーキ:2019年の「NU BLACK RELEASE TOUR」ぶりやもんな。

タクマ:そうそう。だから、3本目に高松をSHANKとやったときに、ああ、対バンに助けてもらってツアーが良くなっていくんだって思い出しましたね。あの日、オレらがリクエストしたセットリストでSHANKがライブしてくれて。それで、こっちの雰囲気も良くなって、ライブとして良い形になっていったんです。

ーなるほど。では完全に整ったと。

タクマ:いや、ツアーの続きが3月11日からと、また合間が開くんで。

ユーキ:スタジオの日程も決めてないしなぁ。

ーリセットされる可能性あり、と。ちなみに今後の予定としては?

タクマ:ツアーは4月1日までですが、今年は数多く新曲をリリースしていこうと思っています。色んな形で発表していくと思うので、2022年は注目していてほしいですね。

ーそれは、次のアルバムに向けての発信ということになりますかね?

ユーキ:まぁ、必然的にそういうことになりますよね。

ー詳細はTBAということで、ツアー含め、諸々楽しみにしております!

 

"akuma" Tour

3月11日(金) 名古屋ボトムライン with ENTH
3月18日(金) 大阪 BIGCAT with Hump Back
3月20日(日) 金沢 AZ with Maki
3月21日(月) 新潟 GOLDENPIGS RED STAGE with バックドロップシンデレラ
3月26日(土) 盛岡 CLUB CHANGE WAVE with SHADOWS
3月27日(日) 仙台 CLUB JUNK BOX with SHADOWS
4月01日(金) 渋谷 Spotify O-EAST with Crossfaith

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