locofrank「READY?」INTERVIEW!!
Interview by Chie Kobayashi
locofrankが6曲入りCD「READY?」をリリースした。新メンバーとして横川慎太郎(Dr)を迎えて初の音源リリース。「メンバーが変わったときは絶望に近かった」という2年前から、locofrankはどう立ち上がり、どんな新譜を作り上げたのか。メンバー3人にリモートインタビューで話を聞いた。
新しいメンバーを入れたところでそれはlocofrankなのか?
──2年前の話になってしまいますが、Tatsuyaさんが脱退して、サポートメンバーに横川さんを迎えてツアーを回ることを発表されましたが、そのときから横川さんを新メンバーに迎えたいという想いがあったのでしょうか?
木下正行(Ba, Vo):俺と勇介は、Tatsuyaが辞めることによってバンドをどうしようかと悩んだ時期もあったんですけど、前向きでやっていこうと決めたときに、Tatsuyaがおらんくなってから次の動きまでに時間を開けたくなかったんです。だからすぐに声をかけて。もちろんお試しではありましたけど、やるなら、その場つなぎのサポートという気持ちではお互いにやりたくないという話を最初にして。一回でも一緒にライブをするなら、よこしんの名前を隠さずにやりかたった。……というよりも、あんまり深く考えてなかったです(笑)。
一同:あはは(笑)。
──Tatsuyaさんが辞めたタイミングで悩んだということですが、バンドを続ける以外の選択肢もあったのでしょうか?
木下:もうね、俺がやる気なかったんですよ。あの3人でやっていた時間が長かったので、一人が辞めることになったときに、新しいメンバーを入れて、果たしてそれがlocofrankなのか?って。自分の中では消化ができなくて。だったらもう辞めてもいいかなって勇介には言ってました。
──続けようと気持ちが変わったのはどうしてだったのでしょうか?
木下:勇介は始め「まぁまぁ落ち着いて考えーや」みたいに言ってくれていて。でもまだ前向きになられへんかったときに、勇介とふたりで、神戸にHAWAIIAN6とdustboxのライブを観に行ったんです。その日の2組のライブがめちゃくちゃ良くて。それでそのあと勇介と話したら、勇介が「お前が横で歌ってくれるんやったら俺はやりたいし、お前が横で歌わんのやったらやる意味もない」ということを言ってくれて、勇介とふたりでフロント張れるんやったらまだいけるか、と前を向けました。
森勇介(Gt, Cho):実際、俺も迷っていたというのが正直なところで。お互いどっちつかずだったんですよね、正解もない状況だったし。だったら、いいように丸めようというよりは、自分としてはやりたいという気持ちを正直に正行に伝えたほうがいいのかなと思ってそのときは正直に伝えましたね。
初めてのスタジオでほぼほぼ完璧ですごい
──そこで新ドラマーとして白羽の矢が立ったのが横川さんです。横川さんは、それまでlocofrankのことはどう見ていましたか?
横川慎太郎(Dr):locofrankとは対バンする機会もあまりなかったので、メンバーとの交流もほとんどなく、ただライブを見ていたという感じですけど、とりあえず男気あるイメージでしたね。あと、ちょっと怖い人たちなのかなって。
──サポートとして声がかかったときには、もう怖いイメージなくなっていましたか?
横川:いや……。Tatsuyaさんとはけっこう仲良くさせてもらってたんですけど、正行さんと勇介さんはしゃべるのほぼ初めてくらいの感じやったので、「何しゃべろ」みたいな。「どうしよう……」みたいな感じでスタジオに行ったのを覚えてます。
──まだほぼ話したことない状態でのサポートの話だったんですね。逆に、木下さんと森さんに伺いたいのですが、どうして横川さんに声をかけたのでしょうか?
森:さっき正行が言ってたことにも繋がるんですけど、当時ドラマーを見つけるに当たって、何かのバンドをやっている人に助けてもらうんじゃなくて、うちメインでやってもらえる人がいいよねって話をしていたんです。つまりバンドに所属していないドラムの子。その条件を最優先で探したところ、大阪には全然いなくて。よこしんだけが唯一暇人だったっていう。
横川:暇人!(笑) 暇じゃなかったけど!(笑)
森:バンドに所属してないドラマーが大阪によこしんしかいなくて。まぁまぁ、じゃあ声をかけてみようかなって。
横川:なんか気持ちよくない……(笑)。
木下:そんなことないよ!
森:運命だったんだよ(笑)。
横川:まぁ、じゃあ、いいっすわ(笑)。
森:もともとよこしんがやっていたバンドはそこまでメロディックパンクのバンドではなかったので、どうなのかなと思って周りのバンドマンとかいろんな人に話を聞いたんですけど、「よこしんはメロディックのドラムもすっごい上手に叩く」と聞いて。じゃあぜひうちでやってもらえないかなと思って声をかけました。
──実際に一緒にスタジオに入ってみていかがでしたか?
横川:最初のスタジオの記憶があんまりないんですよね、僕もけっこう人見知りやし、あまりしゃべったことない先輩とスタジオに入る、曲も覚えなアカンし、やべーなっていう状態だったので。
木下:スタジオまで3週間もないくらいのタイミングで、10曲くらい覚えておいてって話をしてしまったんですよね。そしたらスタジオで合わせたらほぼほぼ完璧で、純粋にすごいなと思いました。ドラムがうまいとは聞いてたけど、器用やし真面目やし、Tatsuyaとはまた違うタイプのドラムを叩くし。俺らは楽しかった記憶しかないんですけど……よこしんからしたら、あんまりしゃべったことない年上の偉そうなやつとスタジオ入って、抹消したい記憶なんでしょうね(笑)。
横川:ちょっと!(笑) 緊張してたんですよ!(笑)
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「またイチから作っていける」という面白みを感じる
──横川さんは、実際にlocofrankのサポートメンバーとして活動を共にするようになって、メンバーやlocofrankというバンドのイメージは変わりましたか?
横川:男気はやっぱりあるなと思います。あとはサポートでの期間を経て、いい意味で普通の人達やったんやなっていうのは思いました。怖いとか厳しいとかは全然なくて、本当に普通のお兄ちゃんっていうか。僕もいろんな意見をちょこちょこ言ったりするんですが、そういうのも聞いてくれて、その上で「それは違うんじゃない?」とか「いいね!」って言ってくれますし。
木下:まんまとこっちの術中にはまってます(笑)。正式メンバーになるまではものすごく優しくしたし、おいしいもんも食べたし。まぁここからですよ(笑)。
横川:(微笑)
木下:おい、よこしん! お前が苦笑いやったらウケへんやん!(笑)
横川:リモートって難しいですね(笑)。
──木下さんと森さんは、横川さんが加入して以降バンドに変化は感じますか?
森:前の体制のときは3人とも同い年で、20年以上やってきていたので、良くも悪くも当たり前すぎちゃっていて。相手の性格も知りすぎてる分、言えないこともあったんですよね。それをよこしんが入ってくれたことで一回リセットできたところはあります。全部を新しくするわけじゃないですけど、今までの要素も残しつつ、新しく作っていく部分もあって。バンドをこれからどうしていこうかっていうのを、イチから3人で話し合える。20年やってきた選手がそれを今さらやるってなかなか難しいところなので、よこしんくんが入ってくれて……。
横川:いきなりの「くん」!(笑)
森:(笑)。よこしんが入ったことで、自分たちが20年やってきたlocofrankですけど、新鮮な気持ちでまたイチから作れている感じがします。
──新しい風を入れるという意味ではいいタイミングだったのかもしれないですね。
木下:ほんまによこしんくんが……。
横川:「くん」!(笑) また距離空けてきたー!(笑)
木下:リモートの“天丼”、バリむずいな(笑)。でもほんまに曲作りとかライブも「またイチから作っていかなアカン」じゃなくて「またイチから作っていける」という面白みとか楽しみを味わえてる。それくらいの刺激がよこしんにはあって。よこしんはピアノが弾けるから、今までのlocofrankの曲に関しても「ここってこのコードに対してこの音ですか」とか言ってくれるんですよ。そこで初めて気づくこともたくさんある。曲も音楽も新しいタッチで楽しめてる感じがあるんですよね。バンド、音楽を飽きるくらいやってきたつもりでしたけど、一人メンバーが変わるだけでこうも変わるんかって。正直、メンバーが変わったときは絶望に近かったんですけど、そこを抜け出して、よこしん、勇介、俺でもう一回スタートってなってから考えたら、今は本当に楽しいですね。
──新体制になって新譜を出すまでに、横川さんが意見できるようになったというのもよかったんでしょうね。
木下:それも絶対あると思います。あとは、今年の1月から13カ所だけですけど1本ツアー(『Woodside River TOUR』)を回れたことも大きかった気がする。ほんまにあのツアーは充実していて、すごく清々しく終われたというか。課題もあったし、手応えもあったし、新しいものも見せられたし。コロナ禍でのライブというものに対しても、一緒に試行錯誤して成長できた感じがあります。
「Days」、いい曲でしょ?
──新体制で初めてのCD「READY?」には、全曲を通してバンドに対する思いが綴られている印象ですが、作る前に構想などはあったのでしょうか?
木下:構想は別になかったんちゃうかな。1曲よこしんの曲が入ったり、勇介節が光る曲があったり。こういうものを作ろうっていうよりも、「ええやんええやん」って昔みたいに、カッコええと思ったらできていた、みたいな曲作りで。
──横川さんが作った曲も入っているんですね。
木下:そうなんです、「Days」。いい曲でしょ? よこしんはピアノが弾けるから、アプローチがまた全然違くて、むちゃくちゃ……むずい(笑)。
──横川さんにも曲作ってほしいという話をしたんですか?
木下:いや、俺が全然曲できなさすぎて。で……見かねたんでしょうね(笑)。「ええ加減出せよー」「ないんやったら俺だすわー」みたいな。
森:でも本当によこしんが鼓舞しているというか、ケツ叩いている感じはあったよね。
木下:あった、あった。20曲くらい聞かせてもらって。
森:すごい作ってきたんですよ。迷惑なくらい(笑)。
横川:迷惑なくらい!?(笑)
木下:でも1曲しかよくなかった(笑)。
横川:まぁ、それはそうですね(笑)。
木下:リモートで笑い作るん、めっちゃむずいな(笑)。
横川:前のバンドのときもそうでしたけど、曲を作るのは好きで。正行さんも大変そうやったんで、ちょっとでもヒントになればなーみたいな感じでしたね。僕の好みとかバックグラウンドを知ってもらえるいい機会かなと思って。「こういうのも好き」「こういうメロディも自分の中にはあって」とかやってたら、いつのまにか20曲。でも採用されたのは1曲だけやったんで、もっとがんばろうと思います(笑)。
森:でもすごくない? 20曲で1曲採用されてんねんで? すごいで。
──以前、取材させてもらった際、私が「locofrankはブレないですよね」と言ったら、木下さんが「これしかできないんですよ」とおっしゃったんです。そこに、新しい角度やアプローチからの曲が作れるメンバーが入ったというのは、本当にバンドにとって大きそうですね。
木下:曲作れる・作られへんもそうですけど、前のドラムとはもちろんタイプが違って。性格も叩き方も。人としても俺と勇介ともまた違うタイプやし、それは面白いですよ。話は全然面白くないですけど(笑)。
横川:アタタタタタタ(笑)。
──1曲目「Motion」は3人になって初めて作った曲とのことで、歌詞からもバンドの決意がすごく表れている気がしましたが、3人になって今のlocofrankはどういうモードですか?
木下:ワクワクしていますね。今は「READY?」を提げたツアーのことしか考えられないんですけど、自分たちのツアーで30本近く、しかも対バンで。仲間たちにやっと今のlocofrankを見せられると思うと楽しみですね。
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今後も、元気に楽しく
──では「READY?」の中で特に好きな曲や聴きどころをお一人ずつ教えてください。
森:俺はよこしんの作った「Days」かな。さっきも正行がちょろっと言ったんですけど、よこしんの作った曲って今まで俺と正行で作ってきた曲とは違うんですよね。コード感だったり歌メロの乗せ方だったり。そこに自分なりのギターを乗せたことで、結果すごくロコっぽくなったのがいい発見でしたね。たぶんよこしんが持ってきたまま作っていたらよこしんらしすぎる曲になっていただろうけど、結果新しさがあるのにロコっぽくなった。そこをうまくまとめられたのは自分にとって大きかったですね。よこしんとはかなり話し合いましたけど。
横川:僕は「See You」です。一番自分のドラムが出ている気がして。“locofrankのドラムってこうよな”っていうのが、聴いてくれている人のなかにもあると思うんですけど、「See You」はサビでは今までのlocofrankにないビートを持ってきてみたり、冒頭のドラムがうるさかったりして、自分のドラムっぽいな~と改めて思ったので。そういう意味で「See You」が一番、新しい風の要素を取り入れられた3人の曲になっているんじゃないかなと思います。
木下:僕はいろいろあるんですけど……。前のドラムのことを書かないと前に進まれへんと思ったので、よこしんの曲にはその歌詞を乗せたし(「Days」)、「Motion」は絶望を感じたあとの次の一歩目の曲なんで、どうしてもがむしゃらに一歩踏み出した歌詞になったし。でも全曲通して、なんか元気やなって思うんですよね。勇介が書いた歌詞も、よこしんがつけたメロディも。ちょっとでも引きずってるフロント2人がいたり、ちょっとでも遠慮してるドラムを、音源から感じられたらどうしようと思ったんですけど、そういうのがまったくなかった。3人で照らし合わせたわけではないですけど、同じ方向を向いている3人が作った6曲が、全部元気だったのはいいなと思って。それが次に踏み出せている理由かなって、最近思うんですよね。これからツアーに来てくれる人は、メンバーが変わってから初めて観る人もおるやろうし、まっさらな気持ちで観てもらいたいですね。初めてlocofrank知ってくれたくらいの状態でも、胸張れるような状態かなと思っています。
──あぁ、「元気」ですね。聴かせていただいて、なんだか初期を彷彿とさせるなと感じていたんです。曲調が初期っぽいとかそういうことでもないのに、どうしてなんだろうと思っていたのですが、元気や勢いが初期っぽいんですね。
木下:ですよね。最初にコンセプト聞かれましたけど、ほんまにコンセプトがあったわけでもないし、バンドが好き、音楽が好きな3人が「それ、ええやん!」ってバンドを始めた頃みたいな感覚で作ったんですよ。だから面白くやれてるんやろうし、自然に笑顔になれる1枚になったんじゃないかなと感じています。
──バンドとして今後の展望はありますか?
木下:とりあえずはツアーでもう一発成長したいですね。各々が成長してさらに固められたら、おもろいことになっていくと思うんですよね、よこしんももっと化けるだろうし。「おい、まーくん!」「おい、ゆーすけ!」って呼ぶくらいまでいってほしいですね(笑)。
森:そっちのほうがよこしんしんどいやろ!(笑) 俺やったら絶対敬語使うもん、ずっと。
木下:そりゃ楽やけど、楽やったらアカンねんから(笑)。
森:そこを乗り越えてってことね(笑)。
横川:了解しました!(笑)
木下:まあ、もっと元気に、病気せず、楽しく。またいろいろなものを作っていけたらなと思っています。
locofrank「READY?」
1. Motion
2. See You
3. Days
4. NOT DEAD
5. BRAND NEW WORLD
6. Want
2022年7月27日発売 / 2200円(税込)
品番:IKKI-1024 / レーベル:IKKI NOT DEAD
locofrank presents READY? TOUR
日程:2022年8月28日(日)
会場:大阪府 LiveHouseANIMA
日程:2022年9月14日(水)
会場:福岡県 OP's
日程:2022年9月15日(木)
会場:大分県 clubSPOT
日程:2022年9月17日(土)
会場:鹿児島県 SR Hall
日程:2022年9月18日(日)
会場:熊本県 KUMAMOTO Django
日程:2022年9月23日(金・祝)
会場:京都府 KYOTO MUSE
日程:2022年10月9日(日)
会場:神奈川県 善行 Z
日程:2022年10月19日(水)
会場: 愛知県 HUCK FINN
日程:2022年10月20日(木)
会場:埼玉県 西川口 Hearts
日程:2022年10月22日(土)
会場:福島県 OUT LINE
日程:2022年10月23日(日)
会場:宮城県 MACANA
日程:2022年10月25日(火)
会場:茨城県 mito LIGHT HOUSE
日程:2022年10月26日(水)
会場:千葉県 柏ALIVE
日程:2022年10月28日(金)
会場:東京都 八王子RIPS
日程:2022年10月29日(土)
会場:山梨県 甲府Kazoo Hall
日程:2022年11月6日(日)
会場:福島県 南相馬BACK BEAT
日程:2022年11月8日(火)
会場:神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
日程:2022年11月13日(日)
会場:東京都 下北沢ERA
日程:2022年11月15日(火)
会場:北海道 旭川 CASINO DRIVE
日程:2022年11月16日(水)
会場:北海道 札幌 Bessie Hall
日程:2022年11月19日(土)
会場:青森県 KEEP THE BEAT
日程:2022年11月20日(日)
会場:岩手県 盛岡CLUB CHANGE WAVE
日程:2022年11月22日(火)
会場:岩手県 KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
日程:2022年11月23日(水・祝)
会場:岩手県 KESEN ROCK FREAKS
日程:2022年11月25日(金)
会場:宮城県 石巻 BLUE RESISTANCE
日程:2022年11月26日(土)
会場:福島県 club SONIC iwaki
日程:2022年12月10日(土)
会場:静岡県 UMBER
日程:2022年12月14日(水)
会場:千葉県 LOOK
日程:2023年1月12日(木)
会場:大阪府 UMEDA CLUB QUATTRO
日程:2023年1月17日(火)
会場:愛知県 NAGOYA CLUB QUATTRO
日程:2023年1月19日(木)
会場: 東京都 SHIBUYA CLUB QUATTRO