INTERVIEW

SATANIC PARTY 2022 対談 <ENTH/KUZIRA/Some Life>

interview 柴山順次
photo marin
edit SUNEO

 

10/30に渋谷にて行われるSATANIC PARTYに名古屋/岐阜からENTH、KUZIRA、Some Lifeの3バンドが出演。同じ地区、近い世代の中で一気に3バンドも注目されるにはきっと訳がある。東海地区を中心にシーンの底上げに力を入れてる2 YOU MAGAZINEの柴山氏にインタビューをお願いし、名古屋/岐阜シーンの今について語ってもらった。


■みなさん東海地区を拠点に活動していますが付き合いは長いのですか?

ダト・ダト・カイキ・カイキ​(ENTH):いつ頃からだろう、あんまり覚えてないな。いつの間にかみんないたって感じですね。

 

■バンド歴でいったらENTHが先輩だと思いますけど、KUZIRAとSome Lifeをどう見てますか?

ダト・ダト・カイキ・カイキ​:最高っすね。音楽がかっこいいのは勿論ですけど、遊び方とかカルチャーに対する気持ちとか、かっこいいなって思います。あとみんなキャラが立ってる。
DAIYA-TAN(Some Life):キャラはENTHが一番立ってますけどね(笑)。
ダト・ダト・カイキ・カイキ​:よく言われるんですけど、ENTHとSome Lifeって音楽的な部分じゃなくて遊び方が似ていると思うんですよ。そういう意味でも可愛い後輩ですね。KUZIRAはKUZIRAで、名古屋って若いメロディックパンクのバンドって実は俺ら周りには全然いなかったんですけど、人間性も含めて近いバンドが出て来たなって。しかもPIZZA OF DEATHに入っちゃうみたいな。まじかよっていう(笑)。

 

■名古屋のライブハウスシーン的にもニュースでしたよね。Suspended 4thやJun Gray RecordsのXero Fictionもいますけど、メロディックパンクのバンドがPIZZA OF DEATHからリリースするのってやっぱり特別感があるというか。

竜之介(KUZIRA):確かにそうですよね。
ダト・ダト・カイキ・カイキ​:やっぱりKUZIRAは滅茶苦茶純度の高いメロディックパンクをやってるじゃないですか。そういうバンドが名古屋のシーンにいて、PIZZA OF DEATHに認められたのは大きいと思います。

 

■Some Lifeは音楽的なバックグラウンドはどんなものだったりするのですか?

DAIYA-TAN:J-POPですね。あとはORANGE RANGEとかRIP SLYMEは直撃してます。

■確かにORANGE RANGEやRIP SLYMEを一旦何か悪いフィルターを通して吐き出しているような感じはありますよね。

ダト・ダト・カイキ・カイキ​:悪いフィルターね(笑)。
DAIYA-TAN:確かに(笑)。
ダト・ダト・カイキ・カイキ​:KUZIRAはやっぱりメロディックパンクなの?
竜之介:西海岸のポップパンクの影響が大きいと思いますね。
ダト・ダト・カイキ・カイキ​:あ、そうか。それもめっちゃ分かるわ。

 

■共通しているのは遊びやストリートカルチャーも含めて音楽に消化していることだと思うのですが、今名古屋の音楽シーンはジャンル問わず盛り上がってるじゃないですか。その要因ってなんだと思います?

竜之介:僕ら周りの話でいえば、やっぱりwataさん(綿谷剛:RAD CREATION)じゃないですかね。
ダト・ダト・カイキ・カイキ​:確かに。
竜之介:wataさんのやっているライブハウスもそうだし、イベントもだし、フェスもそうなんですけど、名古屋のかっこいい先輩がずっと出ているのを見てきたし、売れてるバンドだけじゃなくて若いバンドもちゃんとピックアップしてくれるじゃないですか。だからバンドが集まってくるんじゃないかなって。
ダト・ダト・カイキ・カイキ​:自分たちもそうだったけど「FREEDOM NAGOYAに出れるように頑張ろう」みたいな目標を持てるのは大きいかもしれないですね。そこに向けてライブハウスで日々切磋琢磨して頑張るみたいな。それでライバルも仲間も出来たし。

■RAD CREATION周辺の盛り上がりと並行して名古屋に今のシーンが生まれた気もしていて。04 Limited SazabysやBACK LIFTが出てくるまでに上の世代と間があったじゃないですか。

ダト・ダト・カイキ・カイキ​:10年くらい間がありましたからね。だから大阪とか横浜のシーンを見ていると世代を超えてシーンが出来ているから羨ましかったですもん。俺らの先輩って、それこそ04 Limited SazabysやBACK LIFTの上はいなかったので。でもそれは俺らより04 Limited SazabysやBACK LIFTが苦労してきたんじゃないですかね。ENTHを始めたときにはもうシーンがあったけど、そこを切り開いてきたのが04 Limited SazabysやBACK LIFTだと思うので。「名古屋ど真ん中計画」とか。
竜之介​:「名古屋ど真ん中計画」は凄かったですよね。
ダト・ダト・カイキ・カイキ​:04 Limited Sazabys、BACK LIFT、THREE LIGHTS DOWN KINGSね。初期はSpecialThanks、THIS MORNING DAY、PipeCut Weddingもいて。そこにもwataさんがいるから、やっぱり仕掛け人なんだなって。

 

■その頃の名古屋をSome LifeやKUZIRAはどう見てました?

DAIYA-TAN:TRUST RECORDSに入るまでは特にホームを決めてなかったし、あまりRAD CREATION界隈と絡みはなかったんですけど、俺らもR.A.Dとかその周りのシーンと合うんじゃないかなって思っていました。
竜之介:僕らはZIONをホームにしていたんですけど、そこで揉まれまくっていて。

 

■ZIONは名古屋のライブハウスの中でもストリートとの親和性が高いライブハウスですよね。

竜之介:そうなんですよ。ライブハウスの上にMARBLE RECORDSっていう僕らがお世話になっているレコード屋さんがあったり、服屋さんもあったり、あそこで遊び方を沢山教えてもらいましたね。

 

■地方には地方のカルチャーがあるじゃないですか。そんな中でこの数年で名古屋のバンドやシーンがSATANIC CARNIVALや今回のSATANIC PARTYなどに関わる機会も増えてきましたよね。

ダト・ダト・カイキ・カイキ​:そうですね。ENTHはSATANIC CARNIVALに初めて出たのは2017年なんですけど、それきっかけで色んなフェスに呼んでもらえるようになって。自分たちとしてもバンドの勢いが出て来たかなって時期だったと思うんですけど、それこそ最近だったらPIZZA OF DEATHからKUZIRAがリリースしたこともですよね。「マジで?」って思いましたもん。あと「チクショー!」って気持ちもあったり(笑)。でもそれくらいから下の世代がどんどん面白くなってきてるなって。Five State Driveとかも同じ時期だよね?
竜之介:そうですね。
ダト・ダト・カイキ・カイキ​:自分達より若い世代が同世代で組んで何か面白そうなことをしてるなって、この数年で思うことはめっちゃ増えましたね。Some Lifeとか、全然違う角度からいきなり現れたし。

 

■若手シーンが盛り上がっている中で誰よりもふざけてるのがENTHっていうのが最高ですけどね。やること全部規格外じゃないですか。

竜之介:凄すぎますよね。もう悔しいというか清々しさを感じちゃいますから。

 

■新しい時代のやり方というか価値観というか、それこそカルチャーを作っているなって。

ダト・ダト・カイキ・カイキ​:壊してるって言われたこともありますけどね(笑)。
DAIYA-TAN:でもENTHって本当に一緒にいて面白いんですよ。ライブハウスでも飲み屋でも、会うとニコニコしちゃう。そんなバンド、他にあまりいないですから。
ダト・ダト・カイキ・カイキ​:SHANKには「お前らと居るとアホになる」って言われました(笑)。

■確かにENTHは色んなものを開放してくれますよね。個人的な話をすると、僕はENTHきっかけで10年くらい辞めていたお酒を飲み始めていますから。

ダト・ダト・カイキ・カイキ​:あ!DERPでテキーラを飲んだときだ!覚えてる!

 

■DERPというバンドマンが集まるバーがあるのもこの界隈のシーンにとっては大きいですよね。バンドマンの社交場というか。

ダト・ダト・カイキ・カイキ​:皆様、是非KINOSHITAもご利用下さい(笑)。

 

■daiponさんは今年KINOSHITA(飲食、アパレル、ギャラリーをテーマにしたお店)も始めましたもんね。

ダト・ダト・カイキ・カイキ​:最高ですよ。ずっと楽しい。先輩も後輩も来てくれるし、そこで色んな話が動いたりするので。本当に思った通りの使い方をしてもらってるなって感じです。勿論バンドのお客さんも来てもらってOKなので、広がって欲しいですね。

 

■バンドマンが集まる場所があることでバンド同士が繋がったり何かが生まれたりするのはありますよね。KUZIRAが拠点にしている岐阜にある柳ケ瀬antsの経営するCOLORSというバーにもバンドマンやライブハウス関係者が集まっているじゃないですか。地方だからこそ、そこから発信しているカルチャーもあって。

竜之介:COLORSには岐阜の関係者は勿論、名古屋のZION周りの先輩たちも集まっていて。そうやって遊びながらカルチャーを発信する人たちと音楽を通して一緒にいられることが凄く嬉しいですね。
ダト・ダト・カイキ・カイキ​:別に何かシーンを作ろうとか思ってるわけじゃなくて、ただ遊んでるだけなんですけどね(笑)。普通に飲みたいだけ飲んで食いたいもん食って、それが何故か広まっていくっていう。

■名古屋の池田公園前で深夜しかやっていないハンバーガー屋さんを広めたのは確実にENTHですからね。

ダト・ダト・カイキ・カイキ​:黄色いワゴン車で深夜にハンバーガーを売りに来てるのを見つけて面白いと思って車にステッカーを貼ったんですけど、そこからどんどんバンドのステッカーやライブハウスのパスが貼られていって。全然バンドなんか関係ないハンバーガー屋なのに(笑)。でもそういうのが面白いんですよ。夜中3時くらいにいきなり現れる感じもゲーム性があっていいなって。

 

■結果、今の名古屋シーンは深夜の遊びから派生していると。

ダト・ダト・カイキ・カイキ​:遊んでばっかです(笑)。それでもこれだけかっこいいバンドが沢山名古屋にいるんだから名古屋最高ですよ。

 

■ちなみに東京に出ようと思ったことはありますか?

ダト・ダト・カイキ・カイキ​:友達が沢山いるから住んだら面白そうだけど、バンドで上京するとかは全くないです。2016年くらいに「行っときゃ良かったな」って思ったことはあるけど、東京っぽい売れ方をするつもりもないし、がっつりプロモーションかけてとか、別にないので。名古屋でまだまだ面白く出来るし。僕ら単体で言ったらアートワークもカメラもマーチも名古屋の友達で完結出来るんですよ。普通に遊びながら打ち合わせと称した飲み会をして、それこそKINOSHITAはそれを具現化した店をやりたくて作ったし、全部周りの友達と作れるんですよ。というか、友達と作りたい。だから名古屋から出る気は全然ないですね。
DAIYA-TAN:俺らはこれからどうなっていくか分からないですけど、上京したとしてもおっさんになったら名古屋に戻ってきてやってると思います。
竜之介:僕らも現時点ではあまり行く気はないですね。勿論そういう話は出ましたけど。でも名古屋や岐阜でやっている方が落ち着くんですよ。

 

■地元にいても面白いことが出来るというか、地方だから生まれるものもありますからね。また名古屋から面白いバンドも出てきていると思いますし。それこそKen Yokoyamaさんのツアーに大抜擢されたHONESTとか。

竜之介:HONESTはKUZIRAと同じPICTURE MOUSEにアートワークをやってもらっていたり、横山健さんのツアーに呼ばれたり、結構僕らと境遇が似てるんですよ。しかもまだ高校を卒業したばかりなのでこれからが本当に楽しみですね。
ダト・ダト・カイキ・カイキ​:そんなに若いんだ。
DAIYA-TAN:20歳くらいのバンドだとKannaとかも面白いですよ。僕らのツアーにも出て貰うんですけど名古屋にはあまりいないタイプのバンドなので期待してます。
ダト・ダト・カイキ・カイキ​:さっきも言いましたけど、色んな地方に面白い奴がいる今の状況って面白くないですか?それが東京やその他の地方のバンドが名古屋に来る理由にもなると思うんですよ。「名古屋行ったらENTHと遊ぼうか」みたいな感じで全国に友達が出来たら最高じゃないですか。この前俺たちはメンバーの実家でライブをしたんですけど、全国から実家に友達が来たら滅茶苦茶面白いですよね。そういうことが出来るのは名古屋だからだなって。
DAIYA-TAN:僕たちは名古屋の今池という町が地元なんですけど、毎年「今池祭り」の商店街でthe原爆オナニーズやnobodyknows+がライブをするんですよ。それが本当にかっこよくて。いつか僕らも今池祭りが似合うバンドになりたいなって思っています。
竜之介:町ぐるみのものって素晴らしいですよね。僕は野球が好きなんですけど、地方に球団があって、地元の人が応援する感じとか、優勝したらみんなで盛り上がる感じとか、凄く好きで。僕らもKUZIRAがいるから岐阜や名古屋が好きって思ってもらえるようなバンドになりたいですね。

 

■地方を背負うってそういうことですよね。

ダト・ダト・カイキ・カイキ​:そんな大袈裟なことじゃなくていいんですけどね(笑)。でも名古屋が好きだし、名古屋に住んでる人が好きだし、そこで音楽をやりながら死ぬまで遊んでいたいです。
DAIYA-TAN:付き合います。
竜之介:この後、何処行きます?
ダト・ダト・カイキ・カイキ​:とりあえずライブハウス行って飲みに行こか。(一同笑)

SATANIC PARTY 2022

日程:2022年10月30日(日)
会場:東京都 Spotify O-EAST / duo MUSIC EXCHANGE
出演者:
Earthists. / ENTH / FUNNY THINK / IRIE BOYS / JasonAndrew / KUZIRA / NEST / Paledusk / PROMPTS / Sable Hills / See You Smile / Some Life / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / Track's / 花冷え。 / AFJB

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