FUNNY THINK "LIFE IS BEAUTIFUL TOUR"- LIVE REPORT!!
Report by Chie Kobayashi
Photo by ツバサ
2022.11.13
"LIFE IS BEAUTIFUL TOUR"- ファイナルシリーズ - @新宿ACB HALL
「俺たちが、東北岩手県、3人組・FUNNY THINKです。よろしくお願いします!」という金野一晟(Gt, Vo)の大きな声が新宿ACB HALLに響き渡る。「"LIFE IS BEAUTIFUL TOUR"- ファイナルシリーズ -」新宿ACB公演、そしてFUNNY THINKにとって初の東京でのワンマンの始まりだ。
「東京での初めてのワンマンはACBに」と思ってきたという彼ら。気合いと共に緊張も垣間見えるが、そんな緊張を吹き飛ばすように森亨一(Dr, Cho)とMarcy(Ba, Cho)の刻むビートから「We Are All Right」でライブの口火を切る。タイトル通り、<We Are All Right>というシンガロングパートがサビに用意されている楽曲だが、地下のライブハウスで全員が拳を上げながら<We Are All Right>と歌う姿はとても眩しい。その後、「革命は僕らの手の中」「逆光」と、アルバム収録曲順に実直なパンクロックが鳴り響く。さらに普段はなかなかライブで演奏されることのない「ディアヒーローズ」も繰り出されるなど、ワンマンライブならではのセットリストに、フロアのテンションはさらに上がった。
ショートチューン「Blue」のあとに、勢いだけでは突っ走らない「So long」を丁寧に届ける。こういう実直なところがFUNNY THINKの良さだ。それでいて、激情的な「CHANGE」や力の抜けた「(No)minority」など1stアルバム『ライフイズビューティフル』では挑戦的な楽曲も。ほかの楽曲とも、そしてフロアのオーディエンスともすっかりなじんでおり、良いツアーを回ってきたんだろうなぁと、演奏で見せてくれる。
「東北はもう朝には霜が降りそうなくらい寒いです。それが俺たちの住んでいる町なんですけど。そこの情景を思い浮かべながら作った曲を」との言葉から「夏の記憶」へ。<変わった風景><変わらない感情>と瑞々しく歌い上げ、オーディエンスが彼らの住む街へ想いを馳せたところで、金野が「今日ね、車で来たんだけど、車に乗りながらいろんなことを考えたのね」と語り始める。バンドを始めた中学生の頃好きなバンドが出ているということで新宿ACBを知ったこと、「絶対にそこに立ちたい」と思ってバンドを続けてきたこと、2019年3月に初めて1stデモのツアーで初めてACBでライブをやったこと、そこからバンドが始まっている気がしていること、ACBのブッキングスタッフ・RYOSUKEとの出会いなどを大切そうに話し、「東京で初めてワンマンライブをやるなら、絶対に新宿ACBでやりたいと昔から思っていた。結構時間かかっちゃったけど、今日、やっと叶いました」と丁寧に説明すると、温かな拍手が贈られた。そしてバンドは、そんな始まりの曲として、1stデモ「くだらない日々」の表題曲を熱演した。
さらに「初めて来たときはお客さんを一人も呼べなかったけど、3年経ってこんなに集まってくれてありがとう」と言ってから演奏したのは「君への歓声」。バンドの始まりの楽曲のあとに、リスナーを意識した応援歌を選曲するという、バンドの進化を感じさせるエモーショナルなセットリストだ。またライブハウスで出会ったファンに「生きる気力になりました」と言われたことで、金野自身も救われたという経験を基にしたという「陽はまた昇る」で3人は、力強くも優しい演奏で会場を包んだ。
初めて人のために書いた曲だという「カゼノシラセ」の演奏前には、「死んだ人には音楽なんか届かないんだけど」と話していたが、この日のFUNNY THINKの演奏はきっと届いただろう。そして、「この曲をこの場所で歌えて本当によかったです。でも死んだ人じゃなく、俺は目の前にいるあなたたち一人一人のために歌いたいと思っています」と、改めて気合いを入れ直すと、「僕らはきっと美しい」「COMPASS」と一気に駆け抜けた。
アンコールでは「ライブハウス」をライブで初披露。金野がアコースティックギター、森がタンバリン、Marcyはハンドクラップというアコースティック編成に。そんな3人が、高校生の頃から憧れていたという新宿ACBにて「ライブハウス」という楽曲を楽しそうに歌う。その事実はあまりにも感慨深かった。「パンクロックが鳴る夜に」では会場いっぱいの拳が上がり、バンドはこの日二度目となる「COMPASS」でライブを締めくくった。……はずだったが、アンコールを求めるクラップが止まず、みたびステージへ。「一瞬で終わります」というと、こちらもこの日二度目となる「Blue」で、熱狂のうちに初の東京ワンマンの幕を下ろした。
FUNNY THINKは、ライブで聴いてすぐに伝わるようにと、英語詞から日本語詞に変えた遍歴がある。それくらい、歌詞を、歌うことを大事にしているのだ。そんな彼らだからこそできる、まっすぐで瑞々しく、優しくて“BEAUTIFUL”な、東京初ワンマンライブだった。
セットリスト
01. We Are All Right
02. 革命は僕らの手の中
03. 逆光
04. ディアヒーローズ
05. Blue
06. So long
07. keep the edge
08. CHANGE
09. アカツキ
10. (No)minority
11. アイワナビーウィズユー
12. 夏の記憶
13. くだらない日々
14. 君への歓声
15. 陽はまた昇る
16. カゼノシラセ
17. 僕らはきっと美しい
18. COMPASS
<アンコール>
01. ライブハウス
02. パンクロックが鳴る夜に
03. COMPASS
<ダブルアンコール>
01. Blue