INTERVIEW

Knosis "The Shattering" INTERVIEW!!

Intervew by SUNEO

ex.Crystal LakeのボーカリストRYOと、Survive Said The ProphetのYoshが率いる音楽プロダクションチームThe Hideout Studiosによるプロジェクト”Knosis”。  先行の配信シングル"星砕"でシーンへ戻ってきたRYO。彼のライブを見ていた者は言った「King is back.」と。まだまだ謎めいた彼(彼ら)自身とデビューEP"The Shattering"のベールを一枚一枚めくっていきたいと思う。


自分にもみんなにも正直でありたい。

---Knosisのロゴ、蛇モチーフでカッコいいですよね。背中に入っているタトゥーも蛇ですし。

RYO:一番始めに腕に入れたタトゥーも蛇なんですけど、家庭が元クリスチャンで。蛇って悪魔の化身として扱われてて、アダムとイヴをそそのかして、知恵の実を彼らに食べさせたことで知識が備わって、セックスをして子供を授かったジェネシスがあるんです。蛇は僕にとって、より良く生きるための知識を与えてくれる存在。アンダーグランドな音楽って普通に生活しても触れる機会ってないと思うんですよ。だた、それに触れたことによってより見識が広がって、より良く生活ができることもあると思っていて、そういったツールだと思ってます、音楽って。新しい自分に気付けるきっかけになりたいって意味での蛇のモチーフなんですよね。Knosisは、”gnōsis”の意味も含んでいて、キリスト教でいう異端。”gnōsis”はゲームや映画などのモチーフにされることも多い宗派なんですが、クトゥルフ神話の基になった話もあったりして。ずっと、”gnōsis”という言葉を何かに使いたいなって思っていて、自分のプロジェクト名を決める時にこれだ!と思って。キリスト教の言葉で、”kenosis”って言葉もあって。神性放棄の意味合いがあって、キリストが神であることを放棄して、人間になって、その人間の罪を背負って死んだって件があって。神は死なないんですけど、人間だからこそ死ぬんで、、、そういったことも踏まえて使いたいなと思って、”K”を頭に入れたくて、”Knosis”にしました。”gnōsis”はギリシャ語で知識、英語で言うとKnowledgeなんですが、基を辿っていくと”gnōsis”になるんです。それに自分の名前がKINOSHITAなので、そこもシャレで(笑)。いろんな意味を込めて"Knosis"にしたんですよね。

---Knosisは、以前に所属していたバンドを脱退してから始めたのか、それとも個人で何かをアクションするということをバンドをおこないながら同時進行で進めようと思っていたのか、どうですか?

RYO:実は曲を制作し始めたのは、コロナ禍に突入した2020年4月です。ソロをやるとか、新しいモノをやるというとかそういうことは関係なく、セラピーのような感じでスタートしました。始めた当初から、サバプロ(Survive Said The Prophet)のYoshとやってるんですが、YoshとはCrystal Lakeの時から、歌詞を一緒に制作していて。2015年のThe Signというアルバムから、ずっとYoshは関わってて、一緒に制作もするしアイデアももらうしみたいな関係でしたね。コロナ禍に入った時に「これからどうしていこうか」みたいな雑談をする中で、「一緒に(楽曲)制作してみよう」という話が出てきて、彼は自分の家をスタジオにしていたので、ギターを弾きながらJAMって楽曲を制作してたのが始まりですね。そのタイミングで制作していた楽曲が今回の3曲の中に入ってます。

---先行で配信した”星砕”<セイサイ>ですか?「ほしくだき」?

RYO:本当は「ほしくだき」にしたかったんですが、読みづらいので、”星砕”<セイサイ>にしました(笑)。でも、最初に作ったのは”星砕”ではなく、”狂火”<くるいび>なんです。

---狂い火、、ELDEN RINGですか

RYO:そうです。ELDEN RINGです、全部(笑)。Yoshと二人で一生懸命、ゲームしてましたよ。何の話でしたっけ(笑)?

---Yoshとは当初から制作を共にしてますが、今作はThe Hideout Studiosがチームとして参加されてますが、どのようなチームなんですか?Yoshが参加しているという情報は頂いているんですが。

RYO:The Hideout StudiosはYoshが率いる音楽プロデュースチームで、自ら楽曲をリリースしたり、様々なアーティストに楽曲提供したりしてます。The Hideout Studiosの中でもYoshはプロデュースに力を入れていて、今回はそのような関わり方でKnosisには参加してもらってます。24時間、いつでも楽曲制作ができる状況にしており、プロデュースとしてもそうですし、楽曲、歌詞、MIXまでトータルで関わってもらってます。プロデュース業として、彼の中に今まではなかったアプローチの楽曲(メタルコア/メタル)をやってる感じですね。彼と自分のケミストリーが生まれたら面白いと思って制作に臨んでます。

---プロデュースチームとしてThe Hideout Studiosが関わっていることは分かりましたが、Knosisは、バンドなのか(ソロ)プロジェクトなのか。

RYO:表に出るのは基本、僕一人という形ですが、現状はYosh(The Hideout Studios)と僕で”Knosis”だと思ってもらっていいですね。†††(Crosses)、、、Deftonesのチノと、FARのショーン・ロペスがやっているプロジェクトに近いです。Crossesはショーン・ロペスがプロデュース面をやって、チノが楽曲を制作する分担になっていますが、Knosisでは自分もYoshも共に歌詞と楽曲を制作しています。

---ライブを拝見させて頂きましたが、バンド形態を取られてますよね。プロジェクトということですが、今後はライブの形態を変えて活動していくことは考えてますか?ファンは混乱していると思います。

RYO:混乱は狙ってる部分も実はあって。プロジェクトなので、バンド形式でライブもするし、DJセットでライブもできるし、ドラムだけでもライブが成立するようには考えていて、どんな形態でもライブができるフレキシブルに、今までのバンド像に囚われない活動をしていきたいと思ってます。捉えどころが無い、っていうのは自分たちはメリットだと思っていて、ライブも思うようにできないこの3年間で新しい形の「バンドでは無い何か」がシーンには必要だなと思ってて。DARKO USっていうユニットがいて。CHELSEA GRINとSpiteってバンドの奴らがやっているインターネットプロジェクトがあって。ライブはやらない、でも、スタジオでライブビデオみたいものは配信していくし、アルバムは定期的にリリースしていくプロジェクトで、自分たちはよりライブ活動にフォーカスしていくんですけど、「バンドでは無い何か」として、提案したいと思ってますね。

---デスコアやメタルコアとEDMがマッシュされているプロジェクトが最近気になっていて、一定数存在するということにも驚いてます。

RYO:そうなんですよ。最近は特にインダストリアルメタルコアみたいなのがアメリカのアンダーグランドでキテて。ドラムとボーカルだけ、ギターとボーカルだけ、みたいな編成が多いですが、インダストリアル、ノイズをバンドサウンドでやっているんですよ。徐々にそういうスタイルが流行ってきてるんですよね。King Josef(キングヨーゼフ)やTrace Amount、インダストリアルのシーンが出来上がってるんですよね。UKにもベースミュージックのシーンがあって、この間来日したWARGASMは、まさにそうですよね。2人だけど、バンドスタイルだし、クラブでもライブができる。UKでもそういうバンドが沢山出てきてる。日本だと裸絵札とか。彼らは長い間シーンにいますが、最近表立って活動をしていて、流れを感じますね。

---KnosisをSNSか何かで見た時、RYOのみが暗闇から出てきてパフォーマンスした動画を見て新しいこと始めたな、と思ってたんですよ。

RYO:あれはThe Hideout Studiosのスタジオでのプレイを撮影したものですね。あれも今後を見越した映像で。楽しみにしていてください。

---形態でいったら、twenty one pilotsにも共通したイメージを感じました。

RYO:Yoshと話してたのはメタル版twenty one pilots。メタルに囚われてるわけでは無いですけど、、、基本、自分がメタルしかやれないんで(笑)。メタルを基本としながらも、いろんなジャンルを吸収してやっていきたいですね。

---Knosisという全体像はつかめました。楽曲について教えてください。”星砕””忌鬼”<いみおに>”狂火”の3曲をリリースですね。

RYO:"忌鬼"はマルギットです(笑)。今のところ、誰もわかってくれないですね(笑)。SNSでELDEN RING?って書いてた人はいましたけどね。自分なりの律を掲げようかな、と。

---ラダーンの話になってしまいますが(笑)。”星砕”を先にリリースした意味はありますか?

RYO:一昨年末くらいに完成したのが”星砕”なんです。一番BADだった時に、本当に誰にも話をすることができない、横になって一日起き上がれないって時が、一昨年はじめくらいで。そこから、また音楽に触れられるようになって、Yoshとまた一緒に何かやらない?って、再スタートで制作したのが”星砕”なんです。休んでいる期間、自分もアップダウンがあったんで、なかなか前に進まない時期があって、、、脱退発表をしてから、幾分か気持ちも楽になって、またYoshと話すタイミングができて。これ、早く制作して、リリースしようって話になり、自分としてはこんなにガンガンやろうって気持ちには当初なってなかったんですけど。。。

---セラピーのつもりで始めたって言ってましたよね。

RYO:そうです。YoshとThe Hideout Studiosのマネージャーが(このままじゃ)ダメだ!って引きずり出してくれて。それですぐに完成させたのが、”星砕”ですね。本当はもっとゆるいタイムラインがあったんですけど、YoshがサバプロとStand Atlanticのツアーに呼ぶと決めてくれたので、そこに間に合わせなきゃ!って思いもありました(笑)。Yoshのぶっ込みがなかったら、僕は今ここにいない。一生、曲だけ作ってたと思いますね。Yoshの音楽に対する情熱だったり、より良い音楽を創りたいって気持ちがあったからこそ、余計なことを考えず、自分と自分の音楽と人生に向き合うことができたのかなと思います。導いてくれたのはYoshですね。”星砕”はカオスな曲ですけど、自分を詰め込んだ楽曲だなとも思って思ってます。メインストリームのロックも好きだし、ハードコア、メタル、グラインド、デス、、、大好きだし、「自分ってなんだろう」を突き詰めた楽曲が一曲目”星砕”なんです。

---その「自分を詰め込んだ」って部分、正に!と思ってまして、RYO以外にこれを歌える人いないですよね(笑)。

RYO:それは自負してます(照)。

---納得させる楽曲になっていると思います。Knosisの今を表すには一番適した楽曲だったのかなと思ってます。これが、”狂火”から先にリリースされていたら、また印象が違ったのかなとも思ってます。

RYO:今回の3曲の中から、どれを一番最初に出そうか本当に悩んだんです。”狂火”が分かりやすいバンドサウンドって意味で出した方が良いんじゃないか?って意見もあったんですけど、、一番自分と向き合って創ったのが”星砕”なので、、RYO KINOSHITAにしか出せない世界観と音楽を届けたいと思いました。

---バンドではなく、プロジェクト。この考え方を早い段階で提示するという意味でも”星砕”はすごくよかったと思います。

RYO:ただのバンドマンなので、、プロモーションとか見せ方の部分は考えてこなかったんですよね。そういった意味ではプロジェクトに携わってくれるメンバーの意見がすごい貴重で、今回それが上手く作用してると思いますね。

---バンドで”星砕”を表現できる?って思いましたよ。

RYO:バンドなのか?って混乱と、音で混乱させたと思います(笑)。海外のレビュワーも「なんだ、これは!」とかコメントしてましたしね。

---歌詞に関しては、3曲に共通して言えることは、今まで以上にパーソナルとも取れる感情を叩きつけてますよね。

RYO:自分という人間を隠す必要もないし、隠すというか、、自分に正直でありたい。それが一番大きかったですよね。今まで、散々カッコつけてやってきたけど、そんなんどうでもいいし、自分にもみんなにも正直でありたい。ピュアなアングリーミュージックが表現できたのかなと思ってます。なかなかできないと思うんですよね、立場や環境があってピュアな部分を出すって、それを上手く料理するのがアーティストじゃないですか。そういうのも抜きにした正直な自分。今しかできない。

---”忌鬼”は様々なゲームの要素を入れてますよね?

RYO:ベースはELDEN RINGなんですけど、APEXってゲームの名前でもあるし、DOOMedもあえて大文字にしてて、BFGっていうのが「ビッグファッキングガン」もDOOMの動きで。DMCはデビルメイクライです。

---Jackpotってワードが出てこなかったら、デビルメイクライには気がつかなかったですよ。

RYO:JackpotとStylishがデビルメイクライの攻撃していくとゲージが溜まっていって出るワードなんですけど、上手く韻でハメました。デビルメイクライをここに入れたのは裏テーマがあって、主人公がダンテ、兄がバージルなんですよ。子供の頃、読んで衝撃を受けた「神曲」。自分が歌詞を書く中でずーっとテーマにしてきたものでもあって。この世は地獄のようなものだと思っていて、罪を償って、煉獄に行って天国に行くって、要約するとそんなストーリーなんですけど。その地獄めぐりをする中で、ダンテを導いてくれたのがバージルなんです。自分がダンテだとして、導いてくれたバージルがYoshなんですよ。自分がどうしていいかわからない闇の中を彷徨ってる時に光になってくれた存在で。そういったリファレンスもあります。

---"狂火"はボクの感想から言わせてください。ニューメタル全開ですよね。

RYO:まさに、ニューメタル味と、2000年代初期のメタルコア、スクリーモをイメージしてました。Finchのセカンドアルバム”Say Hello To Sunshine”のダークでカオティックでシャウト入って、それとGlassjawとDeftonesがミックスされたようなイメージで、EIGHTEEN VISIONSやPOISON THE WELLみたいなメロもあるちょっとダークな世界観をニューメタルと混ぜたらどうなるんだろうってところから始まってたんですよね。

---この楽曲は、いわゆるラウドロックシーンにも受け入れられ易いだろうなと思っていて、これを一番先にリリースしていたら、Knosisの見え方はもっと違っていたかもしれないです。だた、これが3曲目にあることは逆に言うと安心感みたいな、アンカーの役割にもなってると思います。

RYO:デフトーンズコア、みたいなのが世界的に流行ってるんですけど、そこに入ろうと思って創ったわけではなく、よりダークなものを表現しようと思ったら、"狂火"ができました。剥き出しの暗い部分が、ニューメタルにも繋がっていったのかなと思ってます。生の感情を表現するって部分でも。そこにノイズインダストリアルみたいな要素を足して、新しいものを提示しようと思ってました。

---楽曲は申し分ないとして、次はワンマンツアーも予定してますよね。

RYO:まだ曲を作ってたりして、間に合うか不安です。。。急遽、アジアツアーも入ってしまって、だいぶ予定が狂いました(笑)。発表から3ヶ月で海外ツアーが決まるとは思ってもみなかったです。ビビり過ぎちゃって(笑)。

---予期していなかった海外ツアーだと思いますが、個人的にはいいことだなと思ってます。このシーンは日本という場所ではまだまだ小さいけど、海外ではちゃんと成り立っていて、その最前線で切磋琢磨できるバンドがいて、その経験をまた日本にフィードバックしてくれるのはすごくいいことだと思ってます。

RYO:ヨーロッパのエージェントとも話していて、近いうちに行く予定です。まだ、海外(レーベルをつけて)リリースはしてないですし、どうなるかわからない部分も多いですけど、ワンツアーしてくれば、ものにできると思ってます。”星砕”を発表して、海外レーベルからもバンバン連絡が来ているので、期待値は高く持ってもらってるんだなと嬉しく思ってます。今後も定期的に自主ツアーをやって、EPを作って。曲は常に創っているので。ストック自体はたくさんあるんですけど、完成まではいってない(笑)。コンスタントな活動をしていきたいと思ってます。ソロプロジェクトなので、今まで以上に自由なんで。今しかやれないことを好きな人達と一緒に楽しくやろうって思ってます。この前のツアーで、物販にも自分で立って、お客さんと触れ合って、、、海外ツアーの時は自分が物販に立つことも多かったので、その時の気持ちも思い出せたりして、ライブってやっぱりお客さんと繋がらないと意味が無いなって改めて思ったんですよね。ロックスターとしてみんなの憧れになるのもいいんですけど、みんなと同じ目線で同じものを楽しむっていいな、と。また、楽しめるようになったというか。自分を剥き出しにしたことで、より、みんなと正しく向き合えるというか。KnosisはRYO KINOSHITAという「生」を感じてもらえるかなと。

"The Shattering" 
1.星砕(Sei Sai)
2.忌鬼(Imi Oni)
3.狂火(Krui Bi)

 

>>>Knosis Linktree
>>>Knosis Stores
>>>Knosis Twitter