NOISEMAKER "GOLD IMPRINTS" INTERVIEW!!
初のZeppツアーを9/17に完遂したNOISEMAKER。来年はバンドの20周年を迎えるとのこと。AG(Vo)が紡ぐ、年月を重ね清濁併せ呑み込んできても、それでも背中を押すことをやめない前向きな歌詞と、インタビュー中「ギターも好きだし、バンドも好き、それにも優って音楽が好き」と言っていたHIDE(Gt)が創る、最先端でありながら情感もある楽曲が詰まった「GOLD IMPRINTS」のインタビューを敢行した。
Text by Suneo
Photo by TAKA NEKOZE
どこかで一歩引いて、何のために音楽を作ってるのかって考えなきゃいけないし、意識しなきゃいけない。 / HIDE
---新作「GOLD IMPRINTS」のインタビューです。宜しくお願いします。
HIDE:もう忘れてるかもしれない(笑)。Zeppツアーのライブ会場限定で先にリリースしたんで、9/20に(流通)リリースって言われても、出しちゃってるもんだからね(笑)。
AG:制作自体もだいぶ前にやってますからね。
HIDE:7月より前には出来たかな。
AG:サブスクとかではまだ(リリースされてなかった)だから、少しタイムラグありますよね(笑)。
---Zeppツアーでは「GOLD IMPRINTS」に入っている楽曲をすでに披露されているんですか?
AG:「LAST FOREVER」「Pushing My Back」「NO WONDER」の3曲はやってますね。
---「GOLD IMPRINTS」というタイトルですが。
AG:「金の刻印」ですね。最初、「LAST FOREVER」の紋章を考えて、次のアルバムをどうしようって考えてた時に、あの紋章がたくさんあっていいんじゃない?ってHIDEと話してて。来年が20周年なんで、今年初めてZeppツアーやったんですけど、それを持って20周年をより大きな活動に向かっていくってことで、濃い跡を残すってわけじゃないけど、DEEPとかも浮かんでたんですけど、「輝いている」=「GOLD」の方がいいね、ってなって「GOLD IMPRINTS」になりました。
---それって、普通20周年の時とかに使いませんか?
AG:20周年のことはまだ言えないんですが、しっかり考えてあるんで大丈夫です(笑)!
---Zeppツアーを行ってる最中(インタビューは札幌を残すのみのタイミング)ですが、反応はどうですか?
HIDE:すごくいいですよ。ライブ見てもらったのって、チッタでやった「NOISEMANIA Premium 2022」だったと思うんですけど、あれとは違ってワンマンではない対バン形式なんで、普通、、、とは言わないけど、ゴスペルとか入れて通常のライブよりはプレミアムな感じはありますね。SHOWってよりかはLIVE!って感じのZeppツアーかな。
AG:Zeppって、前だったら「どうやったら、ここで出来んだろ?」って思ってたんだけど、会場がコンパクトに見えて成長してるんだろうな、ってみんなで思えましたね。
---Zeppツアーはコロナ禍を空けてのツアーですが、戻ってきた?感じはありますか?
AG:NOISEMAKERのライブって、ラウドロックとされているシーンにもあった「盛り上がったもん勝ち」みたいな雰囲気がそもそも少なかったし、そこで勝負もしてなかったから。昔からきてくれている人たちの輪がちょっとずつ広がっている感じを受けただけですね。モッシュやダイブはもちろんありますけど、それが中心ではないから、大人になって「盛り上がったもん勝ち」を追いかけてる人たちは少なくなってきてはいると思うんですよね。
HIDE:俺らも20年やってきて、当時20歳だった人が、もう40歳でしょ?
AG:やばいっすよね(笑)。
HIDE:DOTS COLLECTIVEの展示会でお客さんにも言われたけど、「コロナ禍で3年間ライブに行けませんでした。」って。その3年って、やっぱり3年で、歳も取るし子供ができたり、環境が変わるわけで。俺らぐらいの年代の音楽を求めるより、自分たちより少し上のお兄ちゃんたちが聴いてるものに憧れやすいじゃないですか、当然。俺らもそうだったし。今の若い子達にはそれがHIP HOPで。昔よりもHIP HOPが受け入れらているから、当然入りやすいし。ロックが衰退してるってわけじゃなくて、そういう時期に入ってるだけって思ってますね。
AG:ラウドロックとされるシーンを好きな人たちって、(年齢的区分で)大人になってきてるんですよね。子供ができたりして、ツアーの遠征する機会も減ってると思うし。「今度は子供も連れて行きます」って声を掛けてくれるファンもいるし、回り始めてるんだなって印象もあります。
---20年やってないと感じられないことですよね。
AG:若い子ももちろん来てくれてるんですけど。フロア見たら、高校生みたいな子から目の前には白髪の混じったおじさんが拳突き上げて。自分より遥かに年上の人も来てくれるし。そんなに世代に幅があるフロアを見れるってのもいいもんですよ。
---シーンは新陳代謝していかないと腐っていきますからね。良いことだと思います。
では、、、前説はこれくらいにして。。
AG:前説なんだ、これ(笑)。
---前説からの続きにはなるんですが、「LAST FOREVER」は永遠は続かないって楽曲でネガティブかと思いつつ、実際はポジティブな内容になってますよね。アルバムの試金石として制作してましたか?
AG:一生懸命作ってて、一番初めに出来た曲ってだけですね(笑)。今回、結構難産な楽曲が多くて、ハマったら、スッと出るんですけどそこまでが長くて。前のアルバムがすごく良いもの出来たと思ってて、NOISEMAKERにしかできないニューサウンドをいっぱい入れてて。それをさらに進化させてブラッシュアップさせた音楽ってなんだろうって考えて、やっとできたのが「LAST FOREVER」ですね。それができてから、アルバムの方向性もできて、ポジティブに進んだって感じです(笑)。
---次にできたのは?
HIDE:「MAE」じゃない?
AG:その後に「STARS」、「NO WONDER」、「Pushing My Back」って順だ。「Pushing My Back」はギリギリで入りましたね。「Pushing My Back」はHIDEからトラック送られてきて、「面白いの作ってみたけど、やりたくなかったら次に回そう」って話だったんだけど、カッコ良かったからすぐに「やろう」って話になって、ぶっ込んでみたんですよ。最初、MV撮る予定もなかったんですけど、楽曲が仕上がった時に、「MVにした方が面白いよね」って話になってMVにもなりました。
---「LAST FOREVER」のシンセの重ね、良いですよね。
HIDE:作りながら、「天才だな~」って思ってました。
AG:爆笑
HIDE:いろんなアーティストの楽曲も聴きますけど、プラグインも好きだから、プラグインを買い漁ってて。プラグインの最新のものが揃うわけじゃないですか、それって、どこかのアーティストが使ってたからとかじゃなくて、同じ最新のもの(プラグインやサンプリング)が、ここにあるんだから、それは新しいサウンドとして鳴ってるよねって話で。「聴いたことある」みたいな音は避けてますね。一番最初に鳴らした音って、受け付けない人もいると思うんですよ。NOISEMAKERで言ったら、「Better Days」のイントロとか、音源制作した時はスタッフでさえ猜疑の目を向けてきてたけど、俺の頭の中では、広い会場でしっかり鳴っている映像が見えてるから自信があったし。「LAST FOREVER」もライブ、音源をしっかり想像して制作してたから、音像とか音のレイヤーとか。やっぱ、天才だと思うんだよな~。
AG:爆笑
---この音のイメージがあんまり評価されてないってのも、面白いですよね。
AG:爆笑
HIDE:海外のエンジニア、サウンドプロデューサーとか、それはそれで出来ると思うんですよ。でも、それを全部担ってるって、すごいことだと思うんですよね。第三者のいない状況下で、全部自分で判断しないといけないし、ギターリストだけど、ギター、ギター(ギター中心に)ってなってないし。どこかで一歩引いて、何のために音楽を作ってるのかって考えなきゃいけないし、意識しなきゃいけない。
AG:20年続けてきて、バンドで全てを完結できるようになったし。レコーディングするのに海外行かなきゃならない、海外じゃないとそのクオリティが担保できないって状況じゃないし。
HIDE:イメージと技術さえあれば、今このインタビューしている場所でだって良い音楽は作れるし。いろんなバンドマンと話す機会ありますけど、意外にDTMも使えない人とかも多くて。もっと、ちゃんと音楽と向き合えば、より良い楽曲はできるはずなのにな~とは思ってます。
---プレイヤーとコンポーザーの違いもあると思いますよ。さて、次にできた「MAE」ですが、頭のクロックの音が印象的ですね。
AG:曲のベースは俺が作ったんですけど、HIDEに送ったら、カチカチ入れられて戻ってきました、勝手に(笑)。
HIDE:はじめ、シンセベースだったかな、それがずっとループしてるみたいな。ループされても、ね?もう少し緩急があっても良いかなと。イントロで曲がわかるとか、イントロで曲を飛ばさないとか、サビまで頑張んないといけない曲って、聴いてて辛いから。。。ライブやって、映像付けた時のイメージを持ってクロックの音を足しましたね。「LAST FOREVER」よりはイントロが渋いから、そこでフックは必要だな、と。
AG:歌詞に「Now is the past and the future」って、時間のことも入ってるし、ちょうど良いかな。
HIDE:細かいこと言うと、クロックの音を少しズラしてるんですよ、わかるかなー!
---「MAE」は、ドラムのスネアが結構立ってる楽曲だと感じました。ラウドロックはキックに重きを置くのが当たり前なのに、ベースのループを活かすために音の置く位置も考えて作られてますか?
HIDE:どうだっただろう。。。でも、いわゆる、定番のキックの音が嫌いだから。バチっていう点(アタック)があって、その後にLOW感があって、真ん中が抜けてる、あの音。ドラムって、そもそもそんな音しないじゃん。メタルとかにはすごい合ってると思うけど、それ以外にはちょっと。。。ドラムの音はかなり考えてて、「MAE」とか「Pushing My Back」とかは、スネアだけ3種類使ってるのな、確か。生々しいドラムとパンチのあるドラムって使い分けてはいるけど、バスドラがバチバチなるような音にはしてない。それでいて、ドラムが埋もれてない。これってすごく難しいんですよ。元々の音がちゃんと鳴ってないと。それも、生ドラムの音をいっぱい揃えて、混ぜた時と混ぜてない時の音を比べて、混ぜた時にいい音を残して、スタジオでそれを再現して。ギターもベースも、ボーカルも、相対的に考えて、混ぜた時に良いものを一歩引いて選んでますね。
AG:面白い話じゃないけど、インタビュー大丈夫ですか?
一同:爆笑
挑戦的な楽曲って、NOISEMAKERの強みだとも思ってるんですよね / AG
---「MAE」はサビで日本語詞を採用してますが、意図してですか?
AG:サビって、キーが高くなるとサビって感じるじゃないですか?それを感じない曲を作りたくて。ドラムも細かく刻んでて。日本語で、このキーのトーンでって新しいアプローチをしたくて、このサビを採用しました。
---「Pushing My Back」ですが、サビ前から、、、
HIDE:この曲にはサビって概念がないですよね。
AG:これ、すごく大変なんですよ。2MCばりに歌詞が詰まってて。
---リリックが詰まってるのもそうですが、楽曲がほぼほぼループせず展開が多い楽曲であり、尚且つ、このシーンでは珍しいバイテンでリズムを取らせるような部分もあって、まさしくニューサウンドですよね。
HIDE:テンポチェンジの曲はやってみたいなーってのはずっとあったんですよ。
AG:このテイストは「Wings」とかでも試してたりしてて、それがブラッシュアップされた曲ですね。レコードとかには入ってるんですけど、Remixとかでは聴いてもらったことあると思います。こういった挑戦的な楽曲って、NOISEMAKERの強みだとも思ってるんですよね。
---二回し目のラップ部分ですが、裏で入ってるギター、ニューメタル感じるんですが、狙ってますか?
HIDE:そんなことないんですけどね(笑)。
AG:俺ら、ドンズバの世代じゃない。自分のルーツにある音楽が出てるのっていいですよね。
HIDE:Rage Against The Machineとかアガリますよね、今聴いても。
---「いつ差し出すの夢に心臓」すごく強い歌詞だと思います。
AG:DOTS COLLECTIVEの展示会時とかでもよく人生相談されるんですよ。「ずっとやってきたことをやめて、新しいことに乗り出そうとしてるんですが、どう思いますか?」とか、「音楽ずっと続けてきて、何か他のことをやろうって思ったことないんですか?」とか、、、そういう時は「見てるだけの天上いつ差し出すの夢に心臓」って言うようにしてます(笑)。
HIDE:めっちゃ薄っぺら。
一同:爆笑
AG:いつ覚悟決めんだ!っていう強い言葉は入れたくて。
---「STARS」は少しメランコリックなイントロですよね。
HIDE:AGが持ってきた時から仮タイトルで「STAR」っ入ってて、そのワードから漫画の宇宙兄弟を連想して。漫画とかアニメとか好きだから。野原から星を見上げてる時に、虫の鳴き声とか自然の音とかが聞こえてきてて、そのイメージが頭に残ってて。星って音が鳴らないからさ!
AG:星の音はSFでしょ。ゴゴゴゴッ!みたいな。
HIDE:ゴゴゴゴッ!って音入れられないでしょ(笑)。バラードチックな楽曲なんだから。「STARS」は元々AGが持ってきた時は、もっとシンプルなバンドサウンドで。
AG:Aメロはクリーンのアルペジオで。結構ストレートな音楽も好きで、俺。そのストレートな楽曲を渡したら、虫付けられて。
HIDE:笑
AG:宇宙兄弟の楽曲やらせてもらえないかな?
HIDE:奥田民生さんがやってたよ。
AG:ぴったりだな。一回映画化までされてるから、もう無理か。。。
---歌詞は対象があって書いてますか?
AG:恋愛ソングとか、あんまり好きになれなくて。どう受け取ってもらってもいいけど、どんな対象に当てはめても、いろいろな感情が見つけられる歌詞になってると思います。ストレートに書いてるんで。葛藤と喜びを赤裸々に書いてます。
---「NO WONDER」はゴスペルのコーラスワークをうまく取り入れてますね。お家芸みたいなところもあります。
HIDE:そういうことです。
AG:NOISEMAKER以外、ロックバンドでゴスペル入れるってやってないんじゃない?
HIDE:オーケストラってやりがちじゃん、バンドって。そうじゃないアプローチが出せたよね。
AG:ゴスペルもすごくよくて、これもMV撮りたいな、、、というか全部撮りたい!
---NOISEMAKERの楽曲は情景が浮かんでくる楽曲が多いですよね。楽曲のテイストは違うのに、情感がしっかり乗っていて、尚且つNOISEMAKERらしさを忘れてない。軸がしっかりしてるというか。今回の全楽曲はMVを全曲出したいって言ってますが、全部シングルでリリースされていても遜色ない内容だと思ってます。逆に言うと、シングルが集まったアルバムなのかな、と。
HIDE:良いアルバムだと思いますよ。めっちゃ他人事だけど(笑)。
INFORMATION
2023年9月20日(水)
NOISEMAKER
NEW EP「GOLD IMPRINTS」
CD・Digital Release
1. LAST FOREVER
2. MAE
3. Pushing My Back
4. STARS
5. NO WONDER
「LAST FOREVER」
Streaming and Download
https://noisemaker.lnk.to/LASTFOREVER