Some Life “BIRTHDAY” INTERVIEW!!
Some Lifeが5thミニアルバム「BIRTHDAY」を7月31日にリリースした。2022年から精力的に配信リリースを続けてきたSome Life。本作はこの2年間で発表された楽曲に多彩な新曲を加えた、彼らの進化を感じられる1作に仕上がっている。本作について、メンバー4人に話を聞いた。
Text by Chie Kobayashi
Photo by Inokoshi Zenta
にっこりです
──ミニアルバム『BIRTHDAY』という作品が出来上がって、現時点での手応えや反響はどのようなものですか?
DAIYA-TAN(Vo) 反応はいいですね。毎回新曲を出すたびにみんな「やばいね」と言ってくれますけど、今回は特に。映像チームとかも「この曲めちゃめちゃいいわ」と言ってくれて、俺らも「そうだよね!」って。
KaeDe(Dr) にっこりですね。
DAIYA-TAN 今のSome Lifeのやりたいこと、最新のライブの印象が伝わりやすいという意味で、めちゃくちゃSome Lifeの今を表すアルバムだなと思います。
KaeDe これからライブで新曲もやっていくわけですが、ライブでパワーアップすれば自然と音源もパワーアップするような気がするので、あとは一生懸命やるだけですね。
kohei(Gt) うん、ライブが楽しみです。
──RYOMAさんはいかがですか?
RYOMA(Ba) にっこりです。
デジタルシングルリリースという“実験”の結果は
──本作は2022年から配信で発表していた楽曲も含めた8曲入り。2022年のシングルリリース時から、ゆくゆくは1枚のアルバムを作るという構想はあったのでしょうか?
DAIYA-TAN はい。実験的にシングルを出していって、いつかは形にしたいなと思っていました。
──配信リリースは“実験的”だったんですか?
DAIYA-TAN もちろんアルバムで一気に曲を出すのもいいんですけど、1曲ずつ出して反応を見てみたいなと思って。例えば「Higher」なんかは、完全にやりたいことをやってみた曲だったので、当時は「どういう反応になるのかな」と思っていたんですけど、作ってみたら全然違和感がなかったし、ツアーでの反応も良くて。だったらもっとたくさん聞いてもらえるように、フィジカルで出したいなと思いました。
──シングルをこまめに出していくという“実験”はいかがでしたか?
DAIYA-TAN 録ってすぐ出せるので、リリースのタイミングでもまだ熱が残っているというか。作りたての気持ちで出せたし、その気持ちのままツアーも回れたので、リアルに反応も見られて。しかもどの曲も反応がよかったので、「間違ってなかったんだな」という気持ちになれました。
KaeDe その都度ツアーを回れたのが楽しかったですね。“思い出いっぱい!”って感じで。シングルだったこともあって、ツアー自体はそれぞれ3〜4カ所だったんですけど、それもまたよくて。曲によってツアーのテーマも変わってくるので、「この曲に合いそうだな」っていう箱の選び方ができたりして。1曲1曲大事にライブができました。
kohei 結構いいタイミングで曲が次々出せたしね。そもそもリリースできることがうれしいですし。うん、リリースする喜びも感じられました。
DAIYA-TAN 映像も1曲ずつ作れたし。
KaeDe 作品によって絡む人も変わるし、そのぶん新しく出会う人もいて。リリースするたびに違う対バンと出会ったり、新しい場所に行ったり……人間レベルが上がっていく感じがして。それがライブにも反映されていった感じがします。
出会う瞬間に別れることも決定している
──そうやって1曲ずつしっかりテーマのある曲たちを、『BIRTHDAY』という1つの作品にしたわけですが、ミニアルバムとしてはどのようなイメージで?
DAIYA-TAN 1曲ずつ出してみたんですけど、やはりフィジカルで出すくらいには広がらなかったというのが正直なところで。だからまとめてフィジカルで出すことで、もっと広がってほしい、知らない人にも届いてほしいという思いを込めて。ここ数年の俺らを届けたいという思いで作りました。
──そこで表題曲として出来たのが「BIRTHDAY」です。
DAIYA-TAN この2年間、シングルを出してバンドをやりながら、普通に20代としての生活も送っていて。人がいなくなったり、新しく出会ったりした。その中で、“出会う瞬間に別れることも決定しているんだな”と感じるタイミングがあったんです。現状は、命はいつかなくなるものだから、出会った瞬間に、いつかその人と別れることも決まっているんですよね。この「BIRTHDAY」は、身内が亡くなったときに書き始めた曲だったんですけど、まさにそういうことをテーマに書きました。身内が亡くなるということを初めて経験したんですが、そのタイミングでちょうど仲間に子供が生まれて。それだけじゃなくて、ツアーで出会った人とかもそうだと思うし。この考えを持ってツアーも回れたらもっと成長していけるんじゃないかなと、今は思っています。
──仲間に子供が生まれたということですが、koheiさんにお子さんが生まれたそうですね。
kohei はい!(と言いながら、子供の写真を見せる)
──わぁ、かわいい! ありがとうございます! 出会いと別れをテーマにしたこの「BIRTHDAY」という曲を、お子さんが生まれてから聞くとどんな気持ちになりますか?
kohei やっぱりそれまでとは全然違って。新しい気持ちが生まれましたね。
──お子さんが生まれることによって、ご自身から出る音楽性にも変化はあるものですか?
kohei はい。全てのものに対する気持ちが変わりましたね。
KaeDe 熱くなってる?
kohei 熱くなってます。それまでがのほほんとしていたからなのかもしれないですが、今は燃えています。
RYOMA 実際、子供のリリース間近はいつも以上にエネルギッシュで。僕らもそんなkoheiくんからエネルギーをもらっています。
KaeDe 俺も。
DAIYA-TAN 最初「パパになります」って言われたとき、僕は「ちょっとバンド休む?」っていう話をしたんですよ。いろいろと忙しくなるだろうし。けどkoheiくんは「いや、むしろ精進していきます」と言ってくれて。それを聞いて、俺らの一音一音に命がかかってくるなと思いました。シャレにならんなと。楽しくやっていたところから、ある意味で使命感的なものも生まれた。その気持ちの変化がこの先どういうものになるかはわからないけど、メンバーの気持ちは確実に変化していますね。
KaeDe koheiくんに子供が生まれたことで、自分の中でライブへのモチベーションも進化していて。それがこの曲のグルーヴにも合っている気がします。
──「BIRTHDAY」のメッセージ性については先ほど伺いましたが、サウンド面ではどのようなイメージがあったのでしょうか?
DAIYA-TAN 今回は初めて管楽器も入れてみたんですが、バンドサウンドに囚われずに、いろんな音を使って「BIRTHDAY」という曲の世界観を作っていこうと思っていました。僕らは初期の頃からライブでもシーケンスを使っていて。最初はちょっと不安もあったんですけど、今ではバンドサウンドに囚われないことも武器だと思ってやっているので。
──曲の持つ世界観に終始した曲作りができると。
DAIYA-TAN そうですね。「BIRTHDAY」でいえば、最終的には管楽器のプレイヤーを呼んでライブで披露できたらいいなと。
KaeDe 野外でやったら良さそう!
ライブでの「CAKE」の変化が楽しみ
──収録曲の多くがこの2年間で作った楽曲ですが、改めて聞くと印象が変わる曲や、逆に鮮明に当時のことを思い出すなど、改めて向き合ってみて感じることがあれば教えてください。
KaeDe 「Higher」とか「光」は結構変わったかな。「光」はリリース時に自分がイメージしていたノスタルジックな感じからさらに進化しているし、それがライブにも出ていて、テンポも早くなりました。今はメンバーを鼓舞する曲になっている気がします。
RYOMA 「Utopia」は、アルバムにしたときにここ(最後)に入るよねと思いました。
KaeDe 確かに。いい意味で予想通りというか。
RYOMA タイトルの通り、最後に、桃源郷だったり、未来を見せられていいなって。
kohei 新曲ですけど「CAKE」はライブで映える曲だと思うので、みんながどんな反応をするのかも含めて楽しみです。
DAIYA-TAN 「Flower Bed」はレベルアップした感じがありますね。自分がデモの段階で想像していたものよりも広がったというか。
──「Flower Bed」は歌詞の雰囲気がほかの楽曲と違いますよね。
DAIYA-TAN あー。この2年くらい、抽象的なものよりもわかりやすい言葉を選んで歌詞を書いていたんですが、この曲はちょっと前に戻って、わかりづらくなっちゃうけど自分の使いたい言葉を書いたからかもしれない。
──その歌詞に対する意識の変化というのは?
DAIYA-TAN 童謡とかって、めちゃくちゃわかりやすいじゃないですか。フックもすっと入ってくるし。そういう歌詞が書けるのってすごいなと思って。自分にしかわからない歌詞を書くのは簡単だけど、やっぱりみんなにも理解してほしいし、いいと思ってもらいたい。そう思ったときに、もっとわかりやすい歌詞にしようと思って。まだできているかはわからないですけど、徐々にわかりやすい歌詞になっていっているんじゃないかと思っています。僕はそれをセルアウトだとはまったく思っていないし、むしろそうやって作っているこの曲たちがもっと広がるべきだとすら思っているので。もっと老若男女に刺さる歌詞が書けるようになりたいです。
それぞれの人生においても自分たちを鼓舞する1枚に
──『BIRTHDAY』収録曲のうち、“この曲のここを聞いてほしい”というポイントを教えてください。ご自身のパートでもいいですし、単純に好きなパートやフレーズでも。
kohei 言わずもがな「Flower Bed」のギターソロです。“侍”みたいな気持ちでカッコよく録ったので。というか「Flower Bed」は全部で3〜4種類くらいギターを使っていて深みのある音になっているので、ソロだけじゃなくて、全体的にギターに注目して聞いてほしいです。
KaeDe 僕は「CAKE」ですね。速いフレーズが好きなので、いかにカッコよく叩くかを意識してレコーディングしました。あと、ライブではドラムのカウントを聞いてほしいです。言ってみれば、カウントってドラムソロなんで。好きなバンドだったらギターの雰囲気とかで次の曲何かわかったりするじゃないですか。そんな感じでドラムのカウントで次に何の曲やるかわかってくれたらうれしいです。
RYOMA 僕は「neo」。頭に日本料亭の竹の……。
──ししおどし?
RYOMA そうそう、ししおどしみたいな音がするんですが……。
KaeDe カウベルね。
RYOMA カウベルか!
KaeDe ししおどしだと思ってたんだ!?(笑)
RYOMA うん(笑)。そこでバンドインするのですが、あの音をきっかけに、鳥が飛んでいくような、動物的なホルモンが出る感じがするので、気に入っています。
DAIYA-TAN 僕は全曲解説したいくらいですが……インタビューで言わせてもらえるなら「Intro(Young Water)」かな。この「Intro」を基盤にアルバム全体の曲順も考えたくらいの曲で。この曲には、僕らの地元・今池の地下鉄の音声をサンプリングしていたり、ゲームの起動音や選択音が入っていたりして。要は、ゲームを起動して、今池から自分たちの人生というゲームが始まるというイメージなんです。ライブでもたぶんライブの最初に流すと思いますが、この曲でSome Lifeのキャラクターがステージに現れるみたいな、物語の始まりになればなと。聞く人もこの曲から『BIRTHDAY』の世界に入り込んで聞いてもらえたらうれしいです。
──お話を伺っていると、いろいろな意味で今はバンドとして転換期なのかなと思うのですが、その中で発表する『BIRTHDAY』という作品は、バンドにとってどのような1作になりましたか?
DAIYA-TAN 本当に転換期といえば転換期ですね。どういう結果になるかはわからないけど、このアルバムによって俺たちの結末が確実に決まっていく、そんなアルバムです。昔は明るさだけでやっていた時期もあったけど、だんだん僕らも大人になってきて。その中での成長痛みたいなものも、このアルバムには入っていると思う。だから、バンドを豊かにする音源になったと思うし、バンドとしてだけじゃなくて、それぞれの人生においても自分たちを鼓舞する1枚になったと思う。それが結果としてバンドに良い影響を与えたらいいな、というほうが近いかも。
──すごく素敵な位置付けの作品になりましたね。
DAIYA-TAN そうですね。この先に作りたいものも思い浮かんでいるし、僕らを前向きにさせてくれる音源です。
──8月11日から本作を携えたツアーが始まります。最後に、ツアーへの意気込みを聞かせてください。
DAIYA-TAN 去年も「Summer Tour 2023」と銘打って夏にツアーを回ったんですけど、Some Lifeは夏に似合う曲が多いなと思うんです。今回のアルバムも夏にぴったりだと思うし、そんなに本数が多いわけじゃないので、1本1本集中して、『BIRTHDAY』という作品がしっかり伝わるようなライブをしたいなと思っています。
Some Life「BIRTHDAY」
01. Intro(Young Water)
02. BIRTHDAY
03. neo
04. CAKE
05. Higher
06. Flower Bed
07. 光
08. Utopia
Some Life「BIRTHDAY」 Release Tour 2024
2024年8月11日(日)千葉LOOK
GUEST:kobore / 39degrees
2024年8月13日(火)下北沢SHELTER
GUEST:INKYMAP
2024年8月16日(金)今池HUCK FINN
GUEST:RAINCOVER
2024年8月21日(水)心斎橋BRONZE
GUEST:UNMASK aLIVE / EVERLONG
2024年9月11日(水)水戸LIGHT HOUSE
GUEST:IRIE BOYS / and more
2024年9月12日(木)横浜B.B. STREET
GUEST:HOTSQUALL / and more
2024年9月24日(火)京都MUSE
GUEST:Brown Basket / Garden Of Chicken Cokes / ヤングオオハラ
2024年9月27日(金)八王子RIPS
GUEST:HIKAGE / Kanna / May Forth
2024年10月4日(金)金沢VanVanV4
GUEST:POT / and more
2024年10月23日(水)神戸太陽と虎
GUEST有
2024年11月2日(土)名古屋RAD HALL
※ONE MAN公演