"東海ど真ん中計画2024" INTERVIEW!!
名古屋のライブハウス・栄R.A.Dのオーナーである綿谷”wata”剛によって2011年から2014年にかけて名古屋にて開催されていたイベント「名古屋ど真ん中計画」。BACK LIFT、04 Limited Sazabys、THREE LIGHTS DOWN KINGS、PipeCut Wedding 、THIS MORNING DAY、SpecialThanksの6組で始まった同イベントは回を重ねるごとにその規模を拡大し、2014年にはBACK LIFT、04 Limited Sazabys、THREE LIGHTS DOWN KINGSの3組で名古屋DIAMOND HALLを即完させた。そして2019年、新たなど真ん中計画として発足したのが「東海ど真ん中計画」だった。あれから5年、コロナ渦を経て15周年を迎えたR.A.Dの周年企画として「東海ど真ん中計画」が再び開催される。参加バンドはKUZIRA、Maki、Some Life、Track’s。この5年間で確実にステップアップした彼らが東海から全国に何を見せてくれるのか。末武竜之介(KUZIRA)、山本響(Maki)、DAIYA-TAN(Some Life)、生田楊之介(Track’s)、そしてこの計画の首謀者である綿谷氏を交え決起集会を行った。
Interview by 柴山順次(2YOU MAGAZINE)
Photo by サカイマサト
Q.「東海ど真ん中計画」が5年ぶりに開催されます。綿谷さんが今年開催しようと思ったきっかけは何だったのですか?
綿谷:前回の「東海ど真ん中計画」は栄R.A.Dの10周年のタイミングだったんですけど、あれから5年経って、今年栄R.A.Dが15周年を迎えるので、その一環として「東海ど真ん中計画」をやろうと思ったのがきっかけですね。この5年間でみんなそれぞれ色んなことがあったと思うのですが、このタイミングで集まることに特別感を感じたというか。
Q.綿谷さんは様々な側面からこの4組を見ていると思うのですが、この5年間で印象は変わったりしました?
綿谷:印象は当時から変わっていないですね。元々凄く才能のあった若いバンドたちが、当時の僕が思った通りの成長をして、結果も出しているっていう。
Q.皆さんもそれぞれ綿谷さんとはこの5年間しっかり関わってきたと思いますが。
響:いつもお世話になっています(笑)。
綿谷:こちらこそだよ。
響:綿さんって遊びから仕事まで俺らと凄く近い距離でいてくれるんですよ。ちゃんと仕事はしつつ、馬鹿になって一緒に遊んでくれるっていうか。そういうところがやっぱり好きですね。
末武竜之介:この5年間で実感するのはTRUST RECORDSに憧れる若いバンドが増えたなってことで。TRUST RECORDSや綿さんがそうやって見られていることが僕は結構嬉しくて。レーベルとしての実績と説得力が出てきたのかなって印象がありますね。
DAIYA-TAN:前回の「東海ど真ん中計画」の頃はまだTRUST RECORDSに所属していなかったんですけど、この5年間近くで綿さんを見てきて年々リスペクトの気持ち増えるし、Some Lifeにとって本当頼りになる存在ですね。
楊之介:綿さん、マジで最高っすね。会社の社長じゃないですか。だけど、さっき響が言っていたみたいに一緒に馬鹿やってくれるのが、何かちょっと今まで関わってきた大人とは違うなって。真面目な話も勿論するんですけど、距離が近いからこそ出来る話もあるし、バンドと同じテンションでいてくれるのが何よりも最高です。
綿谷:みんな、ありがとう。
Q.綿谷さんは2011年から2014年に開催されていた「名古屋ど真ん中計画」でひとつのシーンを作り上げたと思うのですが、2019年に「東海ど真ん中計画」を始めたのはどういう意図があったのですか?
綿谷:「名古屋ど真ん中計画」の次の世代として若いバンドの勢いを2019年当時、凄く感じたんですよね。みんなそれぞれ色んなレーベルから音源を出してツアーを回り始めた頃だと思うんですけど。
響:Makiは『Tao』を出した頃ですね。
末武竜之介:KUZIRAは『Pay The Piper』の頃かなあ。
DAIYA-TAN:Some Lifeは『Champloo』ですね。
綿谷:その頃はソニー?
DAIYA-TAN:そうですね。
楊之介:Track’sは『Always with my dream』っていうバクのジャケットのアルバムを出した頃です。
綿谷:そう思うとやっぱりその頃の東海地区って勢いが出てきた時期だよね。
Q.その当時は皆さんにとってどんな時期でした?
楊之介:僕は大学に行ってないんですけど、マインド的に大学生活的な時期だった気がしますね。当時はTHE NINTH APOLLO大学に通っていたんですけど(笑)。
響:偏差値は高くなさそうだね(笑)。
楊之介:あははは。でも本当にあの頃なんて何も考えていなかったと思う(笑)。起きたらライブ、起きたらライブっていう毎日だったし。
DAIYA-TAN:Some Lifeも同じ感じですよ。毎日酒飲んで、毎日バンドして。そんな中でなんとなく「レーベルどうしようかな」って考えていた時期だったので、TRUST RECORDSに声を掛けてもらって有難かったです。
末武竜之介:5年前かあ。僕、その頃の記憶があまりないんですよね。
響:すぐ忘れちゃうもんね(笑)。
末武竜之介:うん、すぐ忘れちゃう。でもその頃はシーンのこととか未来のこととか、あまり考えないでただ楽しくやっていた時期だと思う。
響:その頃の僕はとにかく1番になりたいなって思っていましたね。とにかくNo.1になりたかったので。
Q.「名古屋ど真ん中計画」も「東海ど真ん中計画」も、新しい時代の到来の予感を感じたことから始まったものだと思うのですが、回を重ねることでその予感が本物だったことを証明してきた印象があって。しかも徒党を組むのではなく、それぞれのシーンが確立した上で集まったときのパワーを感じるイベントだなって。
綿谷:まさに今おっしゃった通り、それぞれのバンドが信じる道を進んできた上で集まったときのとんでもないパワーをこの「東海ど真ん中計画」では見せることが出来ると思っていますね。4バンドとも、ただただかっこいいバンドたちなので。
Q.今回、この4組を選んだのは?
綿谷:シンプルに言えばバランスですかね。前回の「東海ど真ん中計画」は7バンドだったんですけど、今回はこの4組がバランス的にベストだなと思いました。
Q.それぞれ4組と綿谷さんの関係性はどうでしょう?
綿谷:Makiとは基本的にやってることは変わらないですね。Makiのやりたいことを自分がサポート出来ればとずっと思っているので。
響:綿さんって実家のような安心感があるんですよ。TRUST RECORDSに戻ってきて、勿論何でもやっていいって訳じゃないけど、僕らのやりたいことをやらせてもらったり、サポートしてもらったり、本当に自由にやらせてもらっています。
DAIYA-TAN:間違いないですね。
綿谷:Some Lifeも前回の「東海ど真ん中計画」の頃は知り合ったばかりだったけど、この5年間でコミュニケーションもしっかり取ってきたと思っていて。
DAIYA-TAN:真面目な話もするようになったし、何より一緒にいて愛されているなって感じることが増えて。ライブもしっかり見てくれて適格なアドバイスをくれるので信頼しています。
綿谷:Some Lifeはこの5年間でどんどん進化して、着実に自分らしさを確立してきたと思っているので、後はどう火を付けるかだと思っていて。
Q.進化といえばTrack’sの進化も目を見張るものがあると思いますが、綿谷さんとTrack’sもかなり長い付き合いですよね?
楊之介:長いですね(笑)。
綿谷:長いなあ。まだ高校生だったもんね。
楊之介:実はTHE NINTH APOLLOより先にTRUST RECORDSがTrack’sの音源をコンピで全国流通してくれているんですよ。単独は出してくれなかったんですけど(笑)。
綿谷:高校生の人生を抱える覚悟がなかったからね(笑)。でも時を経てENTHのGutz Ballに移籍してきて、また面白いことになってきたなって。多分今、メンバーやその周りのカルチャー含めて何かを生み出そうとしている最中だと思うんですよ。その過程を見られるのも凄く面白いですね。
楊之介:音楽性のことや僕らのビジョン的なことはまだそこまで綿さんと話が出来ていなくて。だからどういう風に評価してくれているかは結構気になりますね。
綿谷:ビジョンが壮大過ぎるからね(笑)。
楊之介:僕ら、音楽性が変わったじゃないですか。その理由の一つが、あのまま同じことをやっていたらバンドの最高地点が自分たちで見えてしまう気がして。でも思い切って音楽性を変えたことで視野自体がでかくなったと思っていて。そういうマインドの変化がバンドにあったことは綿さんも分かってくれていると思っているので。
綿谷:「変わっちゃった」って声もやっぱりあるんですけど、ENTHとも話す中で「Track’sはもう未来が見えているから」って確信もしていて。
楊之介:そういう先輩がいるレーベルに入れたことがまず嬉しいし、本当に有難い環境でやらせてもらっていますね。
Q.KUZIRAの活躍もこの5年間で大きく飛躍したと思いますが。
綿谷:KUZIRAはこれからのメロディックパンクシーンを引っ張らないといけない使命があるので。
末武竜之介:そういう意識が一番強いのが実は熊野なんですよ。でもピザ屋のバイトばかりしています(笑)。
Q.KUZIRAは例えばKen Yokoyamaのツアー帯同や、若手を招いた「GOT YOUR BACK TOUR」など、世代を繋ぐ役割も担っている気がしていて。それこそKen Yokoyamaの「Let The Beat Carry On」じゃないですけど。
末武竜之介:そうですね。やっぱりメロディックパンクとかパンクが若い世代に流行っていないというか、そんな気が凄くしていて。でも単純に僕はメロディックパンクが大好きなので、先輩から学んだことを吸収して、若い世代にかっこいい背中を見せていきたいなって気持ちは凄くありますね。そうやってシーンを循環させていくことが大事なのかなって。
Q.今皆さんがおっしゃっていたようなそれぞれのやり方や在り方を近くで見てきたのが綿谷さんだと思うのですが、この4組で今行う「東海ど真ん中計画」をどんなものにしたいですか?
綿谷:今回、東京と大阪での開催なんですけど、名古屋を入れなかったのは、分かり易く東京と大阪に名古屋というか、東海のパワーを見せつけたかったんですよ。今の東海地区の面白さを知らしめたいというか。
響:確かに。東京でバンドをやる夢みたいなことってやっぱりあるじゃないですか。でも、名古屋にいてもかっこいいことは出来るぞってことは伝えたいですね。「バンドをやるなら名古屋じゃない?」って思わせるくらい見せつけたいですね。
DAIYA-TAN:東海のいなたさも含めてね。
楊之介:僕らは静岡を離れちゃったので東海地区のバンドって言えるか分からないし、東海のマインドを全国にどう伝えたらいいかっていうのはあまり考えられないんですけど、このイベントに対してはまた違うモチベーションがあるから参加出来るんですよね。そこは本当に有難いです。
末武竜之介:僕は野球が好きで中日ドラゴンズのファンなんですけど、やっぱり名古屋は親子揃って中日ファンが多いと思うんですよね。家族でバンテリンドームに応援に行ったり。それで今度は日本代表になったら、日本中でそのチームを応援するみたいな。漫画とかでもあるじゃないですか。そういう存在になりたいんですよ。地元の誇りでありながら日本代表みたいな。そういう意味でも「東海ど真ん中計画」で岐阜の中日的な存在にKUZIRAがなれたらと思っています。
Q.綿谷さんはどんなツアーにしたいですか?
綿谷:そこがまだ想像つかないんですよね。でもそれが楽しみでもあって。「一体どうなるんだろう」っていうワクワクが凄くあります。出順もまだ全然考えていないんですけど、どの流れでも面白いだろうし、なんだかんだ自分が一番楽しみにしている気がします。
DAIYA-TAN:いや、本当に楽しみですよね。みんなのライブを観るのも楽しみですけど、自分たちはライブで分からせるので。
末武竜之介:「東海ど真ん中計画」のプロジェクトって、すぐに答えが出るんじゃなくて、5年後とか10年後に「この4バンドでやっていたんだ」って思わせることが計画成功だと思っていて。その為にはそれぞれがかっこよくあり続けないといけないし、今回5年振りの開催ですけど、5年後みんながどうなっているかが楽しみですね。
楊之介:僕らはもうぶちかますだけですね。それのみです。音楽だけじゃなくて、今自分たちがどんな仲間と一緒にいるか、東京で出会った友達やカルチャーも含めて興味を持ってくれるきっかけになったら嬉しいですね。
響:Makiもぶちかますだけです。色んな人が観に来てくれると思うのですが、Makiを観たことがない人でも1回ライブを観てもらえたら歌えちゃうくらい良いメロディーを歌っていると思っているので、初めての人にも届けられるライブをしたいと思っています。
綿谷:今回の「東海ど真ん中計画」は東京と大阪の大きなライブハウスで開催するのですが、それぞれがそれぞれの道を貫いてきた中でどんなライブを見せてくれるか僕も楽しみにしています。さっきも言ったように予測が全くつかないくらい面白い日になると思うので、ドキドキしながら今の東海を体感して欲しいです。楽しいことは確定しているので、その期待をどれくらい超えてくるのか、楽しみにしていて下さい。
東海ど真ん中計画2024
9/6(金)心斎橋BIGCAT
9/26(木)渋谷Spotify O-EAST
出演:Maki / KUZIRA / Some Life / Track's