INTERVIEW

Northern19 x KUZIRA x HOTSQUALL “TOKI ROCK NIIGATA 2025” 座談会

Northern19主催のライブイベント「TOKI ROCK NIIGATA 2025」が11月16日に新潟・GOLDEN PIGS RED STAGEにて開催される。

2014年から開催されている「TOKI ROCK NIIGATA」。今年はゲストにKUZIRA、HOTSQUALLを迎えて行われる。開催を記念し、笠原健太郎(Northern19)、末武竜之介(KUZIRA)、アカマトシノリ(HOTSQUALL)による座談会を実施。「TOKI ROCK NIIGATA」への思いや互いのバンドとの思い出などを語り合ってもらった。


Text by Chie Kobayashi

自分たちの出番の頃には気持ちがつるつるに 

──そもそも「TOKI ROCK NIIGATA」というものはどういう意図で始めたものなのか、改めて教えてもらっても良いでしょうか?

笠原健太郎(Northern19) 純粋に、僕の地元が新潟なので、自分たちのイベントを地元でやりたいなというところからですね。活動するなかで出会った仲間やカッコいいバンドを呼んで、新潟の人たちに「こういうことをやってきたよ」というのを見せたいという気持ちで始めました。

──続けていくなかで、「TOKI ROCK NIIGATA」はNorthern19にとってどういう存在になりましたか?

笠原 気が引き締まるというか。「下手なことができない」という気持ちになるイベントですね。あとは、自分たちが楽しむのはもちろんなんですけど、「楽しんでもらいたい」と感じるもので。毎回トリで自分たちがライブをやるわけですが、もうそのときには気持ちがつるつるになっているんですよ。すごい感情になってステージに立たせてもらっている感じがして、幸せです。

──HOTSQUALLは「TOKI ROCK NIIGATA」にはこれまで何度も出演していますが、「TOKI ROCK NIIGATA」ではどんな気持ちになりますか?

アカマトシノリ(HOTSQUALL) 俺らも千葉で「ONION ROCK FESTIVAL」をやっているので、さっき言っていた「気持ちがつるつるになっちゃう」っていうのわかるんですよ。“真っ白の向こう側”というか。それって、やっぱり東京じゃなくて地元でやっているからだと思うんです。地元を背負っているから。だからトキロックに呼んでもらうと、気合いの入れ方が普段のライブとは全然違うものになりますね。俺らもオニオンロックをやっているぶん、気持ちがわかるから。呼んでくれたこともうれしいし、ステージに立つ時のギアがちょっと違う気がする。

笠原 俺らもトキロックを始めてから、それこそオニオンロックとか、お呼ばれしたときのステージは気持ちが変わりました。「みんな、こういう気持ちでやっていたんだ」っていうのがわかると余計、肩回して「よっしゃー!」みたいな気持ちでステージに向かっています。 

──KUZIRAは今回が初めての「TOKI ROCK NIIGATA」ですが、どんな印象がありますか?

末武竜之介(KUZIRA) 去年出るはずだったんですが、出られなくなってしまったので、今年はリベンジでやらせてもらいます。僕らは地元でのイベントはやったことがないんですけど、プロ野球みたいな感じじゃないですか。地元背負って敵地に乗り込むって。

笠原 あー、確かに。

末武 それってすごいカッコいいなと思って。地元の人が「行ってこい!」って応援していて、みたいな。そういう誇りを持ってやっているイベントだと思うので、僕らも岐阜代表として挑みたいです。

 

この2組を呼んだ理由は「打ち上げが絶対楽しいから」

──そもそも今回、この3組でやろうと思ったのはどうしてなのでしょうか?

笠原 スリーピースで、世代の違う3組で、三者三様のパンクをやっている3組なので、面白くなるだろうなって。HOTSQUALLは昔からライブをたくさん見てきていて、ライブの雰囲気とか爆発力がすごいなと思うし、KUZIRAにもKUZIRAのやり方があるからそれを新潟でやってくれたらすごいことになるだろうなって。スリーピースバンドにしかわからないシンパシーみたいなものもあったりすると思うし。あとは……打ち上げが絶対楽しいから(笑)。

──それぞれお互いのバンドとの印象的な思い出を教えてください。

笠原 KUZIRAは今年の9月にKUZIRAのツアー「Smoke Life Away Tour 2025-2026」で酒田、秋田、八戸の3ヶ所を一緒に回ったんですが、それがKUZIRAとの思い出をめちゃくちゃ色濃く更新してくれました。本当に楽しかった! 熊野(KUZIRA)が初日に「俺、このツアーは寝るつもりないんですよ。なるべく起きて、ずっと何か楽しいことをやっていたい」って言っていたのが印象的で。ライブでも「田舎に火をつけたい」と言っていて。それを聞いてくらいました。俺らもそれに乗っかっていこうという気持ちで一緒に回って、本当に楽しかったから、またトキロックで会えるのは楽しみです。

末武 楽しかったですよね。僕たちってツアーバンドじゃないですか。「ツアーバンドってこれだな」と思いました。本質に戻れたというか。「楽しむためにバンドやっていたんだ」と改めて感じましたね。しかもそのグルーヴの良さってライブに出るじゃないですか。自然とMCでもNorthern19への言葉が出たりして。今回行った3ヶ所にはNorthern19とKUZIRAの名前は刻み込めたと思うし、またどこか一緒に行きたいなと思いました。

笠原 行こう、行こう!

──末武さんは今回のツアー以外でNorthern19との思い出や、もらった言葉で印象的なものなどはありますか?

末武 高校生の時にNorthern19の2ndアルバム「FROM HERE TO EVERYWHERE」が近所のTSUTAYAで推されていて。そこからNorthern19はずっと聴いていたので、まず一緒にライブができているのがめっちゃうれしいし、ライブでNorthern19の名曲を聴けるのうれしいし。こうやってイベントに呼んでくれることもヤバいことじゃないですか。だから今、こうして関われていることがうれしいです。

──ちなみにNorthern19で一番好きな曲を挙げるなら?

末武 いっぱいありますけど、やっぱり出会ったのが「FROM HERE TO EVERYWHERE」なので、「MORATORIUM」ですね。僕は8ビートが一番好きなんですけど、8ビートの良さが現れている曲な気がして好きです。

 

──HOTSQUALLとNorthern19の思い出はいかがですか?

笠原 HOTSQUALLとは気がつけば付き合いもかなり長くなって、思い出もたくさんあるんですけど、一番はすごく昔に、原宿アストロホールでやったときのオニオンロック。当時僕たちはまだペーペーで、トップバッターだったか、とにかく最初のほうの出番で。トリのHOTSQUALLのライブが最高だったし、自分はベロベロだしで、ホスコのライブでダイブしたんです。そのときに靴が脱げそうになって自分の靴をぶん投げたら、ドリンクカウンターの酒の瓶が並んでいるところに当たってしまって。そのときは気づいていなかったんですが、あとからめっちゃ怒られて。先輩のイベントで粗相しちゃった……と楽屋の隅っこで泣いていたんですよ。

アカマ 泣いてた、泣いてた!

笠原 そしたらライブを終えたアカマさんが「お前、最高だよ。お前はそれでいいんだよ!」って声をかけてくれて。粗相してしまったけど、楽しいということを体で表現したら「面白いな」って受け入れてもらえたのがうれしかったし、すごく印象的ですね。あとは対バンの日にアカマさんがベースを忘れてきたり……いっぱいあります。

アカマ 千葉の野外でやったオニオンロックにNorthern19が出てくれたとき、「俺たちのステージだ」っていうくらい、ステージを自分たちのものにしてくれたのもすごく覚えている。そのマインドがうれしかったから。あとは、壮大が入って最初のライブが一緒で。そのときのこともすごく覚えてるな。スリーピースで一緒にやってきた、俺で言うところのチフネのような存在が変わったわけで。そのときの、腹を決めて「こいつとやっていきます」という覚悟のステージは、見て泣きましたね。

 

──HOTSQUALLとKUZIRAには、何か印象的な思い出はありますか?

アカマ KUZIRAは新木場 Studio Coastでやったオニオンロック(“GRATEFUL ONION 2019 ~Rock Soldiers festival~”)に出てくれたよね。

末武 はい、あれは忘れられないです。

アカマ KUZIRAはバーカウンターのステージに出てくれたんだけど、「バーカンステージがとんでもないことになってる」とスタッフから聞いて「何だ何だ?」って走って見に行ったら、コーストがぐちゃぐちゃになっていて。伝説だったね。

末武 ヤバかったですよね。僕たちはあれが最初で最後のコーストでした。

アカマ 最近も僕らのツアーファイナルに出てくれて。成長したKUZIRAになっていて素晴らしかった。

──末武さんにとっては、HOTSQUALLはどういう存在ですか?

末武 ピュアの塊。健太郎さんもですけど、もうきゅるんきゅんの玉みたいな先輩ですね。

アカマ お前の髪型のほうがきゅるんきゅんの玉だろ!(笑)

末武 あはは(笑)。「こういう人って本当に存在するんだ」って思うくらい、結成からずっとピュアでいられると思うと、すごい食らいます。

笠原 俺からしたら、竜ちゃんもだいぶきゅるんきゅんの玉だよ。

末武 本当ですか!? じゃあ、このままでいたいなって思わせてくれる先輩ですね。


スリーピース最強説

──冒頭で、「スリーピースだからこそわかりあえるシンパシーもあると思う」という話がありましたが、スリーピースバンドの面白さや良さを皆さんはどう感じていますか?

笠原 “3”って絶妙なんですよね。割り切れないし。100パーセントを3人で割ると、33ずつで99にしかならない。そこに美学を感じるというか。

末武 (拍手)

笠原 それに、人数が少なければ少ないほど、ピュアにエネルギーが届く気がしていて。それを体現しているのがスリーピースバンドなのかなと感じます。バンドが一つになって同じ方向を向いてやっているときのエネルギーってすごいと思うんですけど、人数が増えれば増えるほど全員で100を出すのって難しくなっていく。だからスリーピースが一番出しやすいのかなって。音もそうだし人間のパワーみたいなものも、実はわかりやすく出せるのがスリーピースなのかなっていう気はしていますね。

末武 一番思うのは、ギャラが3等分なので、たくさん入ることですよね(笑)。例えばHEY-SMITHは6人だから、単純計算だと僕らの2分の1なわけで(笑)。

アカマ あはは(笑)。他と比べるつもりは全くないんだけど、俺の中では“スリーピース最強説”というのがあって。誰か一人でもヘコったらめっちゃダメなライブになる。他に助けようがないから。だけど、3人ともバチっと決まったときは、4人組や5人組がバチっとなったときは全然違う良さが出る気がしていて。だからスリーピース最強説です。あとは、4人以上になると、メインボーカルが真ん中に立つじゃないですか。つまりスリーピースだけトライアングルなんですよ。それも良いんですよね、見栄えがカッコいいし、3人の顔もパワーも見えて。

末武 3万人の帝国に対して300人で挑むという「300 〈スリーハンドレッド〉」という映画があるんですが、それも300人のほうがカッコいいじゃないですか。少数精鋭というプライドを、スリーピースバンドは持っていますよね。

笠原 そうだね。ただ、曲を作っていると「もう一本、ギターがいてくれたらいいのに」って思う瞬間もあって。そう思いながら20年以上やっているっていう(笑)。

末武 わかります!

笠原 あとは搬入搬出が超大変。

アカマ でもさ、メンバーがケンカしたとき、もう一人は絶対にフォローに回るわけじゃん。だから今回はこいつとこいつがケンカしたけど、別の2人がケンカしたときは、また別のやつが「まぁまぁ」って間に入って。満遍なくケンカもするし、満遍なく仲裁役にもなるっていう。「こいつとは全然喋んない」っていうのはできないよね。

笠原 そうそう。全員がバランサーにならなきゃいけないし、全員がリーダーにもならなきゃいけない。なんか3人が猛スピードで回転しているイメージです。

──そのバランス感から生まれるものがきっとあるんでしょうね。

笠原 そうですね。


それぞれのやり方で染めてほしい

──「TOKI ROCK NIIGATA 2025」当日は、KUZIRAとHOTSQUALLにどんなライブを期待しますか?

笠原 さっきアカマさんがオニオンロックのステージで、俺らが自分のものにしていたという話をしていましたけど、2組には「それでお願いします」っていう感じですね。その時間をてめえのものにしてもらって、思いっきりぶちかましてほしい。それぞれのやり方、それぞれの雰囲気でフロアやお客さんを染めてほしい。そしたら俺らもそれをやるしかないので。想像しただけでワクワクします。

──お2組はどんなライブをしたいですか?

アカマ 「ラブノーザン」っていう気持ちでやります。

末武 僕は去年キャンセルしてしまって……そのときに名前を出してくれたのも知っているし、もう呼ばない選択肢もあったのにここでまた呼んでくれたというのはNorthern19からのメッセージだと思うし、そこはわかっているつもりなので、自分の気持ちはもう定まっています。

笠原 去年KUZIRAが出られなくなってHOTSQUALLとツーマンになって。HOTSQUALLもいい感じにやってくれたし、すごく楽しかったんだけど、だからこそもう一回ちゃんとこの3バンドでやりたいっていう気持ちが募ったんですよ。それを今、思い出しました。

──そんな中でNorthern19はどんなライブをしたいと思っていますか?

笠原 2025年のNorthern19の集大成というイメージです。さらに、来年にはいろいろ楽しみなことが待っているんで、それも感じてもらえるようなライブにしたいです。

▲「TOKI ROCK NIIGATA 2024」の様子


Northern19 presents TOKI ROCK NIIGATA2025 

2025年11月16日(日)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
<出演者>
Northern19 / KUZIRA / HOTSQUALL


https://www.northern19.com/
http://www.hotsquall.com/
https://www.kuzirawkmgifu.com/