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interview

HOTSQUALL “RAIN GROOVES” INTERVIEW!!

HOTSQUALLが1月26日にコンセプトEP「RAIN GROOVES」をリリースする。バンドにとって初のコンセプト作品は、「太陽」や「SUN」を歌ってきたHOTSQUALLのイメージを覆すような、“雨”をテーマにした1枚に。本作の制作の経緯を、メンバー3人に聞いた。

Interview by Chie Kobayashi
Photo by Akira”TERU”Sugihara

 

「俺たちには似合わない」と考えずに好きなことをやってみた

──そもそもコンセプトアルバムを出そうと思ったのはどうしてだったのでしょうか?

チフネシンゴ(Gt, Vo):最初からコンセプトアルバムを作ろうと思ったわけじゃなかったんです。最初はフルアルバムを作ろうと思って曲作りをしてたんだけど、いろんなタイプの曲のネタができていく中で「あれも入れるこれも入れる」っていうよりも、今、自分たちのやりたいテーマに沿った曲たちを入れるだけでいいやって。もっと今までの俺たちっぽいというか、いわゆるメロディックなチューンもあったんだけど、あえて気にせず、今やりたい曲を追求したらコンセプトアルバムになったという感じかな。

 

──あえて自分たちっぽいメロディックチューンを外すのって、勇気いりませんか?

チフネ:いります。作ってる最中や録ってる最中は超楽しかったし、できたあとも「すごくいい作品ができたな」と自分たちでは満足してるんだけど、でも、今までの自分たちを知ってる人たちにはどう聴かれるかなという意味でドキドキはしてますね。不安というわけではないけど。

──ドウメンさん、アカマさんはいかがですか?

ドウメンヨウヘイ(Dr, Cho):手応えはめちゃくちゃあります。今までも作品ができるたびに僕は「満足いくものができた」と思うんだけど、今回はメンバーみんな「納得いくのができた」っていう感触があって。

 

アカマトシノリ(Vo, Ba):うん、すごく満足してる。いろんなキャラの曲が入っていたり、今までにないようなリズムがあったり、そもそも作品の始まりがアコースティックの曲だったり、最初聴いたときの手触りとしては「これ、本当にHOTSQUALL?」って感じに思うかもしれないけど、“この道の先にはこの曲がいるよね”っていう感じで曲を選んでいったから、作品として一本筋が通っているというか。そういう意味ではとても満足しているから、もちろんドキドキもしてるけど、それよりもワクワクしてます。

──自然に出てきた曲たちとのことですが、今までとは違う曲ができたのはどうしてだと思いますか?

チフネ:もともと好きな音楽はたくさんあるんだけど、今までは自分たちでやるにはバンドのキャラとかテーマに合わないなと思って、勝手に外してたものもあって。でもやっぱり好きなモノだからいつかやってみたいと思っていて、ついに今回一生懸命チャレンジしてみたっていう感じですね。

──今回「自分たちのバンドのキャラとかテーマに合わない」ということを気にせずに出せたのはなぜですか?

チフネ:前作の『SEVEN SHOUTS』(2020年9月発売)とその前の『ALRIGHT!!!』(2017年10月発売)で、自分たちのテーマの主軸となる部分ではそれなりに納得のいくものができて。それでまた同じようなことをやろうとしても今はその作品たちを超えられないと思ったのが大きいかな。だったら「バンドのイメージがこうだから」とか「俺たちにこういうことは似合わないだろう」とか余計なことを考えずにフラットに自由に好きなことをやってみようと。もともとはUKロックも大好きだから、そっちよりの洋楽っぽいサウンドにしてみたいねって。とはいえ、バンドのテーマが変わったわけではなくて。熱があって、大好きなパンクロックで思いっ切りみんなの背中を押す、“人生を笑え”、っていうのは絶対変わらないけど、それを違うアプローチで表現してみたのが今回やりたかったことですね。


斜め上から主人公を見て歌を乗せていく

──この作品で軸になった曲はありますか?

チフネ:「January Rain」ですかね。この曲ができたときに、作品としての方向性が一気に見えた。ポップでアッパーでどこかチャーミングだったりとかっていうのが俺らのイメージかなと思うんだけど、今回はそれだけじゃなくて、シンプルにカッコいいロックをやりたいなって。そこから「January Rain」と並んでも相性が良さそうな曲をチョイスしていきました。

──「January Rain」はどのようにできていったのでしょうか?

チフネ:この曲は、まずメロディーがあって、それをアコースティックギターでなんとなくGONTITIみたいなイメージでインストで録音だけしていた曲で。メンバーにも聴かせてて何かと「いいメロディだよね」って話にはあがるけどそれだけで終わってて。だけど今作の選曲ミーティングのときに、ふとこの曲を改めてみんなで聴いて、そのときエンジニアさんが「これ速い8ビートで、キーも上げたらすごくよくなるんじゃないか」って提案してくれて。その場ですぐやってみたら、すごく熱量が出てカッコよくなったから、ほぼその瞬間にできました。

──もとがアコースティックギターのインストだったとは想像がつかないですね。

ドウメン:確かに、あれからこれは想像できないよね。

チフネ:うん。

──アカマさんはこの曲を、テンポとキーを変えて歌うことになったときはどう感じましたか?

アカマ:ギターのインストの状態ですごくロマンチックないいメロディって印象だったから「バンドではできないでしょ」って思ってたんです。だからテンポとキーを変えて歌ってみようということになったときも、どう熱を入れていいかわからなくて。今までのようなメロディックチューンって感じでもないし。でもみんなですり合わせていくうちに、物憂げに雨が降っていて、サビでガッとアガるっていう景色が見えてきて。いろいろ試していくうちに「来た!」と思ったのが、斜め上からその主人公を見て、歌を乗せていくような感覚。その感覚をつかんだときに、見たことのない新しい扉が開いて。そういう意味で俺にとっては発見のある1曲でしたね。

──今作ではこの曲に限らず、物語や主人公が曲ごとに変わります。これまでのHOTSQUALLは“HOTSQUALL”が主人公で、アカマさんが感情のままに歌っていたと思うのですが、アカマさんはボーカルとしていつもと変えたところはありますか?

アカマ:曲調もいつもと違うから、最初は歌い方にこだわっていたんですけど、歌っていくうちに歌い方じゃなくて、大切なのは声色なんじゃないかということに気づいて。いつもは歌詞を思い浮かべながら歌うんですけど、今回は映像というか、景色を想像しながら歌いました。
 

──作詞を担当したチフネさんは、今回はこれまでと違う物語を紡ぐような歌詞の書き方をしたのはどうしてだったのでしょうか?

チフネ:それも、同じようなことをやっていても意味がないと思ったから。それこそ自分が好きで聴いてきた音楽にはいろんな表現があって、今回はその中から、小説みたいな、他人のことを歌っているような歌詞で自分を重ね合わせられるような歌詞を書いてみたいなと思って。いつもの「太陽」とか「SUNSHINE」じゃなくて、「Rain」を使ったのは、“晴れた日もあれば雨の日もあるし、光もあれば影もある”ということをよく分かったうえで、それでもポジティブになりたいっていうのを打ち出したかったからで。今って、誰もがモヤモヤを感じてると思うし、最初から最後までポジティブではいられないから、“最後にはポジティブになろう”と言いたいなって。やっぱね、ハッピーでいたいけど、1から10までハッピーでいられるわけじゃないから。「みんな悩んでるし、大変でしょ」っていうのを、今回は思わず書いちゃった。もっと陰の部分にも、雨の日にも寄り添って、そこにもフォーカスして「でもハッピーになりたいんだよね」「それを探していくのが人生ですよね」っていう歌詞になったんじゃないかなと思います。いつもとは違う形の“人生を笑え”というか。

アカマ:その距離感が良いよね。ちゃんと雨と向き合って、でもマイナスなことだけじゃなくて、でも「結局前向いて行きたい」って言う。

チフネ:しみったれたくはないからね。あくまでも“最後はハッピーでポジティブに”を目指して。あとは俺らの持つ熱量はなくさないように。新鮮なリズムを入れたり、違うアプローチの歌詞を書いても、この熱量さえあればHOTSQUALLでしょっていうのは感じてたから。この作品は決して、HOTSQUALLのアナザーストーリーじゃなくてど真ん中なんだっていうのは思っているし、しっかり伝えていきたいことでもあります。