INTERVIEW

Interview: Crystal Lake アルバム“The Weight of Sound”で示すバンドの新たな出発点と集大成

日本を代表するメタルコアバンド、我らがCrystal Lakeが7枚目のアルバム『The Weight of Sound』を2026年1月23日にリリースする。すでにタイトル曲のMVも公開となり、その内容に全世界のエクストリーム・ミュージックファンが期待で呼吸を荒げていることだろう。ボーカルチェンジを経ての新たなスタートでもある。そんなアルバムの内容はどこまでもCrystal Lakeであった。今作のことから最近のバンドの状況について。バンドを率いるYD(Gt)をはじめ、TJ(Gt)、Mitsuru(Ba)の3人をインタビュー。

Text: Ryo Tajima

今のバンドを指し示す家族写真のようなもの

ーオリジナルアルバムという意味でいくと2018年発表の『HELIX』以来のニューアルバム完成になります。この間にコロナ禍があったり、ボーカルチェンジがあって体制が変わったりと、バンド的にも大きな変化があったと思います。そんな7年ぶりの新作『The Weight of Sound』について。まずは率直に、どんなアルバムになったのかメンバーの視点から教えてもらえますか?

Mitsuru:自分が加入して初のアルバムになるので、ようやく自分の息吹を吹き込めた気がしています。作曲のメインは今まで通りYDさんが担当しているんですが、そこに対して自分の意見が曲に反映されていたり、自分が弾いているフレーズが鳴っているわけなので、僕としては今のCrystal Lakeにとってのスタートの1枚になったと感じています。

TJ:僕もメンバーになってから初のアルバムなんですけど、これまでのCrystal Lakeの歴史も踏まえつつ、新たなチャレンジをしているのがすごく感じられるし、曲ごとにカラーが異なるので聴いていて飽きないし、バンドにとって挑戦した1枚になったんじゃないかと思います。個人的にもめちゃめちゃ好きですね。

ーそうか、2名が入ってから初のアルバムになるわけですもんね。では、YDさん。コンポーザーとしていかがでしょう?

YD:そもそもの話になっちゃうんだけど、正直アルバムという形態でリリースしたくないと思っていたんだよね。サブスク全盛のご時世的に必要ないんじゃないか? と思っていたし、みんなにとってもアルバムの概念って変わってきているはずだから。でも、やっぱりアルバムって存在が必要なんだなって改めて思ったの。

ー改めて必要だと思った。それはなぜですか?

YD:この2年間考えてきたんだけど、アルバムって家族写真のような存在で、よく言うと思うけど、その時々の名刺になるんだよね。Crystal Lakeが今どういう位置にあるのかってバロメーター的なものでもある。だから、俺としては「今のCrystal Lakeはこういう状況なんだよ」ってことを表現するためのマテリアルが今作だと思う。

ーははぁ、アルバムへの向き合い方について見解が1周したわけですか。

YD:内容としてはアップデートした部分もあるし、そもそもボーカルがJohnになったことはもちろん大きい。だけど、実際にやっていることは全然変わらなくてさ。ずっとメタル、ハードコアパンクが好きで、今作にも自分の好きなものを納得いく形にして詰め込んだっていうのは『HELIX』の時と何も変わらない。俺はCrystal Lakeのことを“究極の金太郎飴だ”って表現しているんだけどーー。

ーはい、どこを切ってもクリスタル節のヘヴィなリフと叙情的なメロリフが聴けるわけですから。

YD:うん。だから、今作も自分の引き出しの中からできる表現を詰め込んだって感じ。メロウな曲もあれば、SF感のあるハイブリットなハードコアチューンもあるのがCrystal Lakeで、今作もエクストリームな音楽が好きな人には刺さると思うから聴いてもらいたいね。


適材適所を意識したバンドの運営

ーさっき少し話に出ましたけど、ボーカルがJohnさんになったのは大きいと思うんです。新体制になって、今のCrystal Lakeがガチっと固まったのって、いつ頃だったんですか?

Mitsuru:うーん、RYOが脱退したタイミング(2022年秋頃)ですかね。あの頃、バンド内でシリアスな話をたくさんしたし、腹を割って会話したことを経て、今に繋がっていったので、あの時点でバンドが強固になっていった気がします。それまでは各々違うところを見ている感覚を持っていたんですけど、そこでマインドを擦り合わせることができて進んでいったと思います。

TJ:そうだね。それを経て、Johnが加入してから最初の海外ツアーに行ったのも大きいと思います。(2023年の)August Burns Redのツアーに参加して、翌年はSiMが海外ツアーに呼んでくれて。今のメンバーでガンガンやっていくぞって感じがすごくして、1つのバンドになった感じがすごくしました。

YD:コロナ禍以前はサポートメンバーで活動していた時期もあったし、自分がやらなくちゃいけないって感覚がすごく強かった。全部DIYでやって、自分の考え方を反映させないと満足できないって体質でやってきたんだけど、徐々に自分が完璧な状態を目指すことに美徳を感じなくなってきたんだよ。他に委ねて、その感覚を受け取るっていう楽しみ方にシフトしていってる感じだね。バンドの体制でいくと、Gaku(Dr)やMitsuruに任せていることもあるし、スタッフやチームに託していることもたくさんある。もちろんコンセプトは自分から伝えたうえでチームとして動いているんだけど、自分だけが動くことに美徳を感じなくなったっていうのが、今のCrystal Lakeにとってはデカいかもしれないね。

ー以前とはバンドの運営自体が変化しているわけですね。

YD:そう、ちょっとずつ自分から切り離していっている感じ。適材適所って言葉があるように、人によって得手不得手はあると思うから、向いていることを任せたり。その方が楽しいだろうからね。逆に、バンドが動けない時にメンバーが窮屈に感じていたことも、多分あっただろうから。

Mitsuru:そういう話もしましたよね。YDさんが言うように、この期間で自分もバンドに対する関わり方が大きく変わったと感じているし、それがいい方向を向いていると思ってますね。

YD:自分の中でもすごく決断が必要だったことではあるんだけどね。その方が新たなバンドとしてのダイナミクスが生まれるなら、またスタートを切れる面白さがあるのかなと思って。それで今に至るんだよ。


世の中の評価ではなく自分が納得できて面白いものを

ーそんな新体制としてのアルバム『The Weight of Sound』ですが、収録曲でもっとも古いのは、2023年10月発表の「DYSTOPIA」ですか?

YD:いや、10曲目の「Don't Breathe」は2019年頃に作ったし、「DYSTOPIA」も2020年にはもう出来てた。昔作った曲だから捨てようかなと思ったこともあったんだけど改めて聴いたら、めっちゃいいじゃんって思って。それで2023年にシングルで出した曲もあるし、アルバムに入れた曲もあるしって感じ。自分がいいと思う感覚もループするものがあるでしょ?

ーええ、改めて聴くと「全然古くないな」って思ったりしますよね。

YD:最近思うんだけど、何がブランニューで何がオールドなのかって概念もないじゃん。若い子たちが新しいと思って受けているものでも、ある人にとっては新しく感じられなかったりする。それはヒップホップにも言えることだろうし、新しいだけのものはやっぱり刺さらない。そんな時代の中で制作するにあたって、世の中の評価よりも自分の中の評価を大事にするようになったんだよね。アルバムを完成させるにあたって、世間に対する新しさ/古さっていう評価基準ではなくて、自分が内容に納得して面白いと感じられているかどうか、自分たちがCrystal Lakeになれているかどうかってところを特に重要視したんだ。自分たちが気持ちいいと思えるかどうかってことだね。

ーそれはすごくわかります。新しい、古いの匙加減が難しいし、価値判断基準が細分化され過ぎていて、何がトレンドなのかってすごくわかりにくいし難しいと思うんです。

YD:そのトレンドってさ、とある一定のエリアに住む人たちが作っているものなのかなって昔から思っているんだよね。国によってもちょっとずつ違ったりするじゃん。だから、そこは1回無視しようかなって思った。それよりも今、自分の周りの人たちと感じているものが大切だと考えているんだよね。その対象にいるのが仲間やチームだったりする。表現したいものを提案した時に、自分たちがハッピーになれるのかどうかって意味で考えているかもしれない。それは音楽だけじゃなくてもファッションとか他のことに対してもそうかも。結局、己の信念に基づいて動けばいいのかなってことは昔から思ってたからね。

ーでは、アルバム『The Weight of Sound』は、まさに最先端のCrystal Lakeのサウンドであり、変わらぬ信念に基づいた楽曲がぎっしり。集大成的な要素もあるわけですね。最近完成したって感じなんですか? 

YD:いや、完成したのは2024年末頃かな。リリースが2026年1月だから1年以上、寝かせていることになるんだけど、そんなスケジュール感で動くっていうのも今までとの違いだと思う。これまでは、いつ頃までにリリースして、そこを基準にツアーを組んでって発想が多かったんだけど、それをやめて、1番良い状態でみんなで肩を組んでリリースできるタイミングを模索していたんだよね。昨年、Century Media Recordsと契約して、彼らもファミリーの一員としてどうやったらCrystal Lakeとして一緒に動きやすいかを話し合ってきたから、その準備期間もあったと。それで、今回のリリースタイミングが決まったんだよ。

ーそうだったんですか! じゃあ、アルバム発表以降のツアーにしても身体に馴染んだ状態で収録曲をライブでやっていくような感じですか?

Mitsuru:ライブでやっているのは数曲くらいで、あとは長いこと眠っていた曲であることは間違いないので、ここからツアーを経て曲を育てていきたいと考えている感じです。

YD:この3年間の中でシングルカットした曲も多いんだよね。ただ、結局シングルはシングルっていうのを感じた期間でもあった。周りにいるバンドがアルバムをリリースする度にアルバムという存在の大きさを感じてきたからね。それもあって、冒頭に話した通り、やっぱり自分たちの名刺であり家族写真として、バンドを象徴するアルバムが必要なんだなって思ったから。今までのCrystal Lakeとは違う座組でやっているから期待しててほしい。


バンドは輪廻する存在 フレッシュな気持ちで向き合えれば

ー楽しみにしています。楽曲については、これまでとこれからのCrystal Lakeを存分に味わえるものであり、同時に最終曲「Coma Wave」でエモーショナルにまとめている辺り、新たなアプローチだと感じましたし、同時にアルバムの世界観を強く感じる部分でもありました。

YD:あの曲にはTomy Wealthでピアノを弾いているチエさん(CHIEKO KIKUCHI)が参加してくれているんだよ。海外のフィーチャリング勢もそうなんだけど、今作には今まで出会ったアーティストが参加してくれているのもポイント。

※YDはTomy Wealth氏、向達郎氏(kamomekamome / ヌンチャク)とADABANAという音楽プロジェクトを行なっている)

ーCrystal Lakeの周囲にいる人の繋がりも感じさせるアルバムでもあります。この「Coma Wave」が最後に来ることで、アルバムとしての余韻が強く残りますね。

YD:ああいう終わり方をさせるアルバムはこれまでになかったよね。曲順に関しても、サブスク時代を意識して、流れで聴いた時に「クリスタルってこういう面白さがあるんだね」って感じてもらえるように意識はしたかも。3種の神器的な感じで、ヘヴィネス・エモーショナル&パッション・キャッチーみたいな評価をしてもらえることが多いけど、アルバム全体を通して、その要素がクロスオーバーしている印象を持ってくれたらいいな。

ーリリース後、どう活動していきたいと思いますか? 目指すものなどについて教えてください。

TJ:世界中を巡りながら、いろんな人に聴いてほしいです。あと、個人的にですけどグラミー賞。ここは目指していきたいですね。

Mitsuru:いいライブをやっていくことは変わりないですけど、せっかく名刺ができたわけなので、それを配りにいきたいです。

YD:ライブするために曲を作っているし、やることは変わらないんだけど、アルバムをメインに携えたツアーをやったら、きっとみんなに楽しんでもらえると思う。自分たちが作り上げた1つのパッケージを世界中に届けて、そこで起こる確変をバンドにフィードバックして、また新たなCrystal Lakeを生み出していきたい。バンドはそういうループをする存在だと思うんで。それをフレッシュな気持ちでやっていきたいな。

Information

https://sonymusicjapan.lnk.to/CrystalLake_TheWeightofSound
Crystal Lake 『ザ・ウェイト・オブ・サウンド』
2026年1月23日発売
SICP-6763
¥2,860(税込)
解説・歌詞・対訳付
【収録曲】
1. エヴァーブラック feat. デイヴィッド・サイモニッチ
2. ブラッドゴッド feat. テイラー・バーバー
3. ネヴァースリープ feat. マイク・テリー
4. キング・ダウン 
5. ジ・アンダートウ feat. カール・シューバック
6. ザ・ウェイト・オブ・サウンド
7. クロッシング・ネイルズ
8. ディストピア feat. ジェシー・リーチ
9. シナー
10. ドント・ブリーズ
11. コーマ・ウェイヴ
12. メフィスト (ライヴ・アット・サマー・ブリーズ・オープン・エア 2025)*
13. ディスオベイ (ライヴ・アット・サマー・ブリーズ・オープン・エア 2025)*
*日本盤のみ、ボーナス・トラック
 

https://crystal-lake-band.lnk.to/TheWeightOfSound-Bio

https://crystallake-worldwide.com/