LIVE REPORT

Crystal Lake “TRUE NORTH FES 2018” LIVE REPORT!!!

Report by Mame

Photo by Takashi Konuma

 

 

2018.09.16 Crystal Lake "TRUE NORTH FESTIVAL 2018" @SHINKIBA STUDIO COAST




自分たちとつながりのあるアーティストをゲストに呼び、幅広いジャンルのアーティストとの競演を地元で見せるといった、バンド主催のフェスが各地で行われるようになった。そんな中、Crystal Lakeが主催する「TRUE NORTH FESTIVAL」は他のそれとは一線を画す。なぜなら、彼らはあくまでもジャンルにこだわったラインナップをそろえているからだ。しかもその出演者は国境を超える。国内外の“ヘビーミュージック”を鳴らすアーティストが一堂に会すのである。

バンド15周年を記念して行われた昨年に引き続き、2回目の開催となった今年の「TRUE NORTH FESTIVAL 2018」。昨年同様、「ALPHA STAGE」「OMEGA STAGE」「FREEWILL STAGE」の3つのステージが用意され、若手からベテランまで、国内外のアーティスト全17組が熱演を繰り広げた。

会場に到着して最初に思ったことは「昨年より観客が多い」ということ。最終的な来場者の数は昨年と変わらないのかもしれないが、13:00開演というライブキッズにしてみれば随分と早くから始まるイベントであるにも関わらず、スタート時にはすでに「ALPHA STAGE」「OMEGA STAGE」が用意された東京・新木場STUDIO COASTの屋内にぎっしりと観客がつめかけていたのだ。もちろんそれは「ALPHA STAGE」のトップバッターNOISEMAKER観たさなのかもしれないけれど、同時にイベントとしての期待度……「このイベントに出るバンドだったらすべてカッコいいんだろう」みたいな期待を来場者が持っているように感じられた。実際に、昼過ぎから集まる観客の数の多さに驚き、NOISEMAKERのAG(Vo)は「愛情でぶっ殺す!」と声を弾ませていた。

またこのイベントで注目すべき点の1つは、オーディションの実施だ。室内のサブステージ「OMEGA STAGE」には冒頭から3バンド、今年はHOTVOX、Jester May Fail、Paleduskが、オーディションを勝ち抜き「TRUE NORTH FESTIVAL」への出場権を手にした。このオーディションでは一次審査としてCrystal Lakeのメンバー自らが、送付されてきた音源や動画をチェックし、一次審査を通過したバンドによるライブ選考でもメンバーが投票を行う。つまりオーディションを通過したバンドは、そのまま文字通りCrystal Lakeに認められたという称号も手にしたことになる。3組は出演できたことを喜びつつも、それぞれが「これがゴールではない。次はデカいステージで」と闘志を燃やしていた。“シーン”というものは、横のつながりだけでは終わってしまう。次の世代へのバトンも、Crystal Lakeは現時点ですでに用意しているのだ。

屋外に用意された「FREEWILL STAGE」ではVersus the Nightがこの日限りで復活。昨年は同じステージで初期メンバーのCrystal Lakeがライブを行ったが、今では簡単に集まることのないバンドが再結成するというのは、バンド主催イベント以外ではなかなかできないことである。Crystal Lakeが常にシーンを意識し、仲間や先輩後輩と切磋琢磨してきたからこその再結成のステージだと思う。ちなみに「FREEWILL STAGE」のトリ・HER NAME IN BLOODのステージでは、「THIS IS RETRIBUTION」のプレイ時にCrystal LakeのRyo(Vo)がフィーチャリングゲストとして登場した。自らの出番が直後に控えているにも関わらず、仲間のステージに駆けつけてしまうなんて。Crystal Lakeの、出演アーティストへのたゆまぬ愛情とリスペクトを感じられるひと幕だった。

さらにこのイベントの特徴は、オーストラリアのデスコアバンド・Make Them Suffer、アメリカのメタルコアバンド・ERRA、スウェーデンのメタルコアバンド・AWAKE THE DREAMERとAvianaと、海外のバンドがいくつも出演していることにもある。海外のバンドを自らのイベントに招集できたのも、Crystal Lakeが地道に海外でのライブを重ねたこと、海外でも通用するライブを各地で見せて来たからこそ。彼らのライブを観ながら、Crystal Lakeの名前も「TRUE NORTH FESTIVAL」というイベントも、日本を飛び出す日がそう遠くはないような気がした。


そして主役のCrystal Lakeはと言えば、圧倒的な存在を感じさせるライブを展開。ステージ後方に映像が映し出され、大歓声が上がる中で登場したメンバーは、1曲目に最新シングル「The Circle」を投下。この日、終始ヘヴィな音楽を聴いていたはずなのに、一層重みのあるサウンドにオーディエンスは一気にヒートアップした。大盛り上がりのフロアを見渡したRyoが「疲れてる暇ねえぞ!」と観客を焚きつけ、バンドは「Matrix」へ。すると先ほど「FREEWILL STAGE」での出演を終えたばかりのIkepy(HER NAME IN BLOOD)がステージへ。Ryoとは趣の異なる深みのあるシャウトを聴かせ、興奮したRyoはフロアへ飛び込んでいた。

ステージに戻って来たRyoは「TRUE NORTH、最高じゃねえか!」と絶叫。続けて「今年も俺らとお前らにしかできねえ最高のヘビーミュージックフェスティバルを開催することができました。ありがとう」と感謝を述べる。さらに「俺らの遊び方の基本」として「みんなでサポートしあって、(終演後には)笑顔でコーストの門くぐろうぜ!」とファンに呼びかけた。そして「今しかねえだろうが!」と再び咆哮すると「Six Feet Under」でライブを再開。

 


Ryoは「1年分のヘビー感じたでしょ?」と観客に尋ねていたが、ファンはそれでも足りないとばかりにCrystal Lakeのヘヴィなサウンドに全身で応える。一方でバンドも、次々と変わる展開でグルーヴィなプレイを見せつけたかと思えば、「Machina」ではRyoがパワフルなグロウルを聴かせるなど、彼らはその確かな演奏力を惜しげもなく披露していた。

壮大な「Apollo」で、さらに彼らの世界観へ誘ったあと、バンドは最後に「Prometheus」を投下。Ryoの「今日いちデカいサークルピットを見せれくれ」という言葉も手伝って、フロア全体を使った大きなサークルピットが発生し、場内は異様な熱気に包まれた。アンコールではファンによるシンガロングに包まれる中、バンドは「The Fire Inside」をプレイ。



Ryoはフロアへダイブしたあと、クラウドサーフする形で、ファンにマイクを向けたり、拳をぶつけあったりしながらフロア内を一周。最後にステージに戻ってくると、うれしそうにバンドメンバー、観客を見渡してイベントの幕を下ろした。

イベントタイトルの「TRUE NORTH」には文字通りの「真北」という意味のほか、真北が船舶などが針路を定めたり、方向感覚を調整する基準であることから、「進むべき方向」や「目指すべき到達点」という意味もある。Ryoはライブの終盤「日本の仲間も海外の仲間も、フードもアパレルもみんなでここまで来た。俺たちは間違ってなかったんだって思う」と噛みしめるようにこの日を振り返っていた。Yudai(G)もフロア内に古くからのファンと、最近出会ったファンが入り混じっていることを喜び、「この気持ちをみんなに伝えてもっともっと素敵な場所を作っていけたら」と語っていた。Crystal Lakeがどのような“TRUE NORTH”を掲げてこの15年間を走り続けて来たのか、そして今目指している“TRUE NORTH”は何なのか。それがはっきりと見えた1日だったように思う。彼らは11月28日にニューアルバム「HELIX」をリリースする。さらに飛躍していく彼らの未来、そして彼らが牽引していくヘビーミュージックシーンの未来が、楽しみになった。







【SETLIST】
01. The Circle
02. Matrix
03. Mercury
04. Six Feet Under
05. Machina
06. Lost In Forever
07. Apollo
08. Prometheus

en01. Twisted Fate
en02. The Fire Inside



>>CRYSTAL LAKE OFFICIAL HP