INTERVIEW

HEY-SMITH “Life In The Sun” INTERVIEW!!

Interview by SUNEO
Photo by Taiyo Konishi

 

 


史上最高傑作と銘打たれた“Life In The Sun”をリリースしたHEY-SMITH。ライブハウスで突如として発売されたシングル“Not A TV Show”を含む13曲が収めれたアルバムについて、猪狩秀平氏(Gt/Vo)に単独インタビューを敢行。ほぼ、ノーエディットのインタビューをお楽しみに。
 

それぞれのパンクで良いと思う 

ー前作 “Stop The War”から考えるとアルバムのリリースは2年半ぶりなんですが、その間にシングルを2枚出していて、1つは会場限定での販売なので、その間ライブも多かったと思います。活動のペースはリリースに合わせて決めてたりしますか?

猪狩:決まってる時もあるし、全く決まってない時もあります。今回は、“Stop The War”ツアーが終わって、まず“Let It Punk”は出そうって決まってましたね。“Stop The War”は結構シリアスなアルバムやったし、次は絶対明るくて「イェーイ」っていう曲を出そうって決めてたから、もう“Stop The War”ツアーの途中くらいで“Let It Punk”出来てたし、もうこれシングルにしようって思ってました。

ー会場限定で販売した “Not A TV Show”もシングルですが、こちらは逆にアルバムへの布石って言う感じですか?

猪狩:うーーーん、少しそれもあるし、、、こう、、、“Let It Punk”ツアーが終わってから、早く新曲を出したいなっていう気持ちがずっとあって、レコーディングの日程は取ってたんですよ、一応。新曲できたら、なんかリリースしようみたいな。なんですけど、新曲がその時点では1曲しかなかったんですよ。

ーそれが“Not A TV Show”?

猪狩:“Not A TV Show”しかなくて、で、シングル発売するってなってもやっぱり3~4曲いるじゃないですか。それで「出来へん出来へん、発売出来へん!」ってなって、まず最初の発想もそこからで。で、「もうちょっと時期ずらすか」って話にもなったんすけど、発売どうこうっていうより、「早く新曲を聴かせたいな」っていう頭が凄くあって。で、一々発売ってなったらそこからまたプレスして、なんだかんだ3ヶ月以上かかるから、「いや、もうすぐやりたい」ってなって。「会場限定ならすぐ出来る」って思って、流通販売しなくても会場来てくれる人に友達の分も買っていって貰って(笑)。

ー“Not A TV Show”のメッセージ性も「ライブハウスにいなきゃダメだな」っていうメッセージとともにあり、それを会場限定販売にすることにも意味を込めてたのかなって勝手に想像してました。

猪狩:ダブルミーニングで、掛かってきたって感じですかね、後追いで。最初は「通販にする?」とか「サブスク(サブスクリプション、以下サブスク)だけ流す?」とか、色んな要素があったけど、、、それは“Not A TV Show”っていうタイトルとか、曲の内容も込みで、どんどんそういう流れ(ライブハウスで販売する)になって行ったというか。段々そうなっていった。曲が聴かせ方をこう選ばせてくれたというか。そんな感じ。

ー曲が(リリース方法を)選ばせてくれたということですが、、、ちょっと話が脱線してしまいますが、リリース方法に関して、今、HEY-SMITHってサブスクに出していますか?

猪狩:出してますよ。全部のアルバムじゃないけど、メンバーチェンジ後、 “Stop The War”と“Let It Punk”に関してはサブスクでも出てます。

ーというのも、盤(CD)を作る意味ってどう捉えてるのか、気になりまして。サブスクが主流になってきてて、アメリカだと、Chance The Rapperみたいに盤(CD)は出さないけど、「トップのアーティストになるぜ」という事象もあります。このパンクロックシーンは、日本に特に限定して言えば、盤(CD)に対する思いってかなり強くあると思ってます。

猪狩:いや、盤(CD)の方が絶対に良いって思いますね。簡単に言えるぐらい。「良いも悪いも無いやろ、この世の中」とかっていうのが普通の話ですけど、それでも、絶対的に盤(CD)の方が良いでしょうね。それはやっぱり空気が違うんですよね。歌詞カードを見ながら、曲を追っかけていく感じとか、その歌詞カードとかブックレットの中に「こういう雰囲気のバンドだぜ」とか「こういう雰囲気のアルバムだよ」っていうカルチャーがどっかに入りまくってるんですよ。刺青(いれずみ)とか、スケートとか何でも良いけど、そういう背景とかバックグラウンドや、グラフィックアートでも誰がどんな作品を描いてるのか(盤に落とし込まれているのか)。それの素晴らしさとか良し悪しが分かるくらい、こっちは勉強してるし、マニアになってるからね、CDマニアに。

その時点で絶対にCDの方が良いですね。バックグラウンドを知れるっていうか。例えば、声と曲が良かったら誰でも良いんかって話ですよ。で、なくて、例えば「クソブスが歌ってる超透明なバラード」か「めちゃくちゃ綺麗な人が歌ってるバラード」どっちがいい?ってー、俺は綺麗な方が良いと思うんですよ。けど、このブスが、こう綺麗っていう概念を超えてね、その綺麗な人よりもっと良いって俺たちに思わせてくれる可能性もだいぶ高いじゃないですか。CDというものを通さないとそういう聴き方はまず出来ないから、だから盤の方が良いっすよね。でもサブスクも使いますよ。

ー普段サブスクは使ってます?

猪狩:使います。何でかっていうと理由は一つで、サブスクの方が音が良い場合があるからっていう。

ーそんな場合があるんですか?

猪狩:あります。これだけが俺がサブスクを使う理由ですね。とにかく良い音で聴きたいので。雰囲気がある音を聴きたかったらレコードを聴けば良いし、良い音で聴きたかったら、ビット数高くて、速くダウンロード出来るサブスクだと、盤(CD)をめちゃくちゃ良いCDプレイヤーで掛けるのと同じぐらいで聴けるけど、このCDプレイヤーは50万くらい出さないと買えない、それぐらいの物で聴かないとサブスクには負けちゃいます。そういう意味では使います。

ー話を戻しますと、思いの詰まった盤(CD)が、史上最高傑作完成って書かれたリリースニュースとともにボクの手元に届いてます!

猪狩:でも、それ(史上最高傑作)は会社が勝手に決めた話やから(笑)。

ーリリースをしていく度に「今回は最高傑作出来たな」っていう気持ちですよね?

猪狩:だいたいそう思いますよ、そりゃ。だって海外のアルバムだって最高傑作とか書きまくってるじゃないすか。何枚最高傑作あんねんって(笑)。

ー更新してってるんだぜっていうのか(笑)?

猪狩:こんなん書いてるだけでしょ(笑)。全然書いてるだけっす、一応書いとかないと(笑)。


ー売り文句として言っとけっていう(笑)。アルバムを通してあらゆる要素が入ってますね。パンクロックやスカパンクもそうだし、いわゆる純粋なスカっていう部分に関しても、全体的に網羅されて凝縮されているように感じてます。ストレートな “Let It Punk”や “No Mates”、王道のスカパンク感を持った “Love Summer”、ショートチューンの “Don’t Try So Hard”がありながら、ビートも違うしバウンスもさせるし、けど多様なスカのリズムも入っているアルバムで。 “Fog And Clouds”では、ダブで落として聴かせる部分も凄いあって、、、この曲たちは、アルバムに向けてまとめて作ってるのか、それともシングルをまず切って、アルバムに目掛けて、残りのピースや要素を足していった形なのか。

猪狩:“Let It Punk”と “Not A TV Show”は前から出来てるから関係ないけど、他の曲は、、、4ヶ月くらいで作りましたね。徐々に何曲か出来ていくとかじゃなくて、「この期間で作るぜ」って思って、1月から4月くらいまで、、、もう夏にはアルバム出したかったんです、俺(笑)。4月くらいまでやって5月にレコーディングして、「夏に出してやるぜ、アルバム」くらいの気持ちでやったんで、1月から4月はあんまりライブ入れてなくて。で、曲作るから、自分でも「もうここは減りまーす」って告知をしてて。その4ヶ月でダーっと作った感じですね。

ーピースをハメるように作ってるのかな?っていうぐらいハマりが良くて。

猪狩:あーーーそれはでも、一番最後に1曲だけありました。“Fog And Clouds”っていう曲で。結構マイナー調の曲で、他の曲と少し雰囲気が違って。“Stop The War”が結構シリアスやったから、今回のアルバムは凄くパンクにしたくて、アゲインスト(抗う気持ち)もそうだけど、ハッピー(幸福感)とか、ファニー(楽しさ)とかカラッとしたヤツもパンクやと思って。それも(パンクの持っている)良いとこやと思って、それを出したいってずっと思ってたんですよ。で、そう思ってるとホンマに明るい曲とか、「イェイ!イェイ!」な曲がマジで揃ってくる(笑)。

ー「イェイ!イェイ!」しか言ってないぞみたいな(笑)。

猪狩:「イェイ!イェイ!」ばっかりやから、「ヤバイ!ヤバイ!」ってなって、夏に出す予定やったんですけど、「いや、、、もうちょっとフック欲しいなー」って思って。で、「もっとマイナー調でカッコ良い曲作ろうぜー」って、“Fog And Clouds”だけ後から追加することにしたんです。

ーそうなんですね。これがアルバムの中で、他の楽曲とのバランスを取ってるというか。7曲目にさっと入ってて、ま、良い位置で、この後にリード曲も入ってくると思うんですが。

猪狩:リード曲がまさかの8曲目っていう(笑)。

ーそうそう、そう!もっと前ちゃうんかみたいな(笑)。いや、だけど、 “Soundtrack”についても、逆にメロディックパンクだな!っていう曲を1発目に持ってくるのは良いなって思ってまして。アルバムの曲順自体もかなり考えたのかな?って、勝手に思ってました。

猪狩:曲順はめっちゃ考えましたね。何回も聴き直して。やっぱリードトラックが1~4ぐらいに入ってるのが普通やって思うんですけど、もちろん最初はそうやってたけど、なんか“California”は(アルバムの)どこで聴いてもいけんなって思って。どの位置でも。やっぱ明るい曲が前にバーンてきてて。こんなの(曲順を並べ替えたりする作業)をずっとやってました。レコーディングが終わる前から、デモの段階からずっと曲順考えてました。

ー“Soundtrack”はメロディックパンクらしいメロディックって感じですけど、これはもう、ストレートに作ってやろうみたいな意識からですか?

猪狩:うん、そうですね、これはねぇ、、、新しいアルバム出るのにあれなんですけど、「3人でバンドやりたいなー」って思った時があって、、、「スリーピースバンドやりたいなー」って思った時があったんですよ(笑)。別に解散させてとかじゃないですよ?なんか、遊びでね。「スリーピースバンドでワーイとかやりたいなー」って思って。で、そのスタジオを想像して、「曲作るとしたらどんなんかな?」っていう感じで作ったのがキッカケなんですよ。

ーその次にくる2曲目“Not A TV Show”は先立って会場限定でリリースしているし、「パンクロックってこの現場(ライブハウス/ライブ)にあるんだぜ!」という意識と、ライブハウスでメロディックパンクをやってる画がこの1曲目と2曲目の流れで脳内に飛び込んでくるというか。

猪狩:“Soundtrack”っていう曲、結構、自分に向けて歌ってる曲で。「お前見失ってないか?」みたいな。こう、、、「お前、それで良いねんな?ちゃんと自分のやりたいことやれてんねんな?」っていうのを凄く自分に確認したい時期に作って。なんか、「夢とか目標、17歳とかあの頃から、変わって来てんちゃうん?自然に。」みたいな。で、凄い「それ大丈夫か?」って思ってた時期があって、それを一番最初に作ったんですよね。「1曲目の曲作ってやる!」と思って作りました。

ーこれでライブ始めてやるぜ!みたいな?

猪狩:うん。

ー狙い通り(笑)、本当に凄い刺さってくる。この1,2曲目で「あぁこういうアルバムなんだな」っていう想像をさせられた上で、Bob Marleyをスカアレンジにしてやってるっていう変化球が入ってきて(笑)。なんで?Bob Marleyを?と思わせる大胆なアレンジを加えて、あんだけユルいというか、スローなテンポの楽曲をHEY-SMITH節にしている意外性の高い曲ですよね。

猪狩:なんで?って言われたら、単純に好きやからっていうのが一番!俺、Bob Marleyを勝手に頭の中でカバーしたこと、何曲もあるんですよね(笑)。好きで勝手に「もし俺がやるんやったらこんなアレンジかなー」とか、想像しながら聴いちゃう時とかよくあるんで。Bob Marley、ただ単に好きなんですよ。

ー“Buffalo Soldier”という選曲のセンス!

猪狩: “Buffalo Soldier”、凄い、悲しい寂しいことを歌ってるんですけど、結構曲は陽気で。なんかそういう悲しいことをポップとか陽気に歌ってるその様とかも好きなんですよね。それでもう、選ぶの早かったですよ。

ーそうなんですね。アレンジが大胆というか「こんなリズムで行くんだな」っていう感じは凄いありました。聴いた時「聴いたことあるけど、これ誰の、、、???あぁBob Marley!!」みたいな。

猪狩:まるで違いますからね。

ー多分Bob Marleyだって言わなかったら、原曲だって思われる可能性ありますよ、今の世代のKIDSに関しては。

猪狩:あーーー。それも、なんていうのかな「こういうヤバイ音楽あんねんで」っていうのも伝えたいっていう気持ちも少しはあるんですよ。「Bob Marley、知らん」とかいう訳分からん奴いますからね(笑)。

ー「やってやんぞ!」と(笑)。次はリード曲に挙げられている“No Mates”ですが、ゆるいビート感とサビでのバウンスが、凄く良いなと思ってます。大きい舞台、フェスに参加している中で、いわゆるメロディックのバンドが一度壁に当たるところって、「速い(ビート)だけじゃやりきれない」っていうところが結構あると個人的に思ってまして、 “No Mates”は、それをしっかり打ち崩していける様な曲だなと思っています。ライブハウスでやっても、もちろん良いかもしれないけど、何千人、何万人っていう舞台で、この楽曲をやっているっていう姿が凄く目に浮かびます。そういうのを意識したりしてますか?

猪狩:全然意識してないすよ。そいうのを意識したのは逆に“Stop The War”の方で。確かに2~3000人規模のZeppなら2ビートとか速いビートもちゃんと乗れるんですけど、5000超えたり2万、3万になって来たら2ビートって何やってるか分からないんですよね(遠くで聴いているお客さんには)。「もっとおっきな8ビートとかじゃないと分からないなー」って思い始めてたのが “Now Album”やったんで、次のアルバムは8ビートをしっかりさせようと思って、 “Stop The War”作って、で、今回はまるで無視しましたね。ぜーーーんぶ無視したら普通にこういうのが出来た。

ー蓄積されたものが、今回で花となって咲いたという感じですか?

猪狩:そうなんすかね。まぁでも今回はほぼ全ての曲を、海とか公園とかそんなところで弾き語りで作ったんですよね。前はスタジオ篭ってて。

ーそれは何の心境の変化が(笑)?

猪狩:“Stop The War”の時は、めっちゃスタジオに篭ってて、「うぅ。。。」ってなったんですよ。ほんなら、すっごい集中して、ギターリフとかキメとかバンバンバンバン思いついて。それはそれで出来るんですけど、次は明るい曲欲しいなって思ってたから、「スタジオで篭って作業って感じでもないなぁ」って最初から思ってたんですよ。そんな感じでポーンって1回ちょっと弾き語りで行ってみるかみたいな。で、ポーンって行ってみたら、パパパッて出来たんで、「このやり方ええやん」って思って。

ー弾き語りはどこまで行きました?

猪狩:え?

ー近くの公園とか行っても、弾き語りできるところなんて限られていると思うので(笑)。

猪狩:あぁ!海はグアムとか、ハワイとか、オーストラリアとか。カリフォルニアも行ったし。いわゆる海(笑)。いわゆるみんなが知ってる有名な海、綺麗で有名な海。

ーそれは、リゾートとして行った訳ではなく曲作りのために?

猪狩:いやーもう絶対リゾートじゃないすよ、それは、はい(笑)。いや曲作りですよ、ちゃんとギター持って行ってますから(笑)。で、ほんま全部弾き語りで作ったから、おっきなビートになってるんですよ。

ービートチェンジという手法を上手く使えない人が、メロディックパンクの領域にはまだまだ居ると思っていて、ある世代からは自然にそれを吸収して出来ていて、そこがまた多くの人に伝わる要因にもなっているとも個人的には考えてます。

猪狩:うーーーん、どうなんかなぁ、、、俺、ずーっとビート自体が好きなんで、元々ドラムから始まりましたし、俺。楽器自体は。

ーそれ、知らなかったですね(笑)。

猪狩:そうなんです。ドラマー出身なんです。だからずーっと同じビートが続いたら、人は乗れなくなるってことは知ってるし、なんかちょこちょこ変えていかないとね。それはもうHEY-SMITHが始まった時からずっと思ってることで、それに関しては多分ほとんどのアルバムが、その方向でやってるつもりなんですよ。

ー楽曲に凄く活かされてますね。5曲目の“Sunday Morning”とかは、、、

猪狩:めっちゃ、ソッコー出来ましたね、それ。それは宮古島で作りました(笑)。

ー凄い限定されましたね(笑)。

猪狩:もう全部そういう作曲の仕方やったんで。

ーサビのビートがちょっとパンクのアプローチと違うなっていうか。それもドラム出身ならではなのか。。。

猪狩:多分そうなんですよね。なんかねぇ、4つ打ちになると何か嫌だなーってなるんですけど。

ー4つ打ちの曲無いですよね?

猪狩:無いっすね、基本。

ー好きじゃないでしょ(笑)?

猪狩:うん(笑)。なんか、みんなやってるじゃないですか。みんなやってるヤツ嫌やなぁってやっぱり最初に思っちゃうから。

ー曲調もそうだし歌詞もあいまって「あ、このビートでめっちゃ爽やかを推してくるんだな」と感じました。

猪狩:うん、“Sunday Morning”は結構ね、自分でも好きで。凄い自然に出来たし。宮古島でボーって浮き輪で浮いてて、「あぁ…」って思ってたら出来たんで(笑)。

ーあれ?ギター、、、(笑)。弾き語りしに行ったはずなのに、浮き輪で(笑)一旦休憩の間ですね?

猪狩:ボーッとして、あ、作曲はギターを大体横に置いておくんですよ。で、もう座ってずっと海見つめてるか、浮き輪に乗ってかどっちかです(笑)。ボーッとしてる時出来るんですよ。そこでホンマ、口笛と手と足の音で動画撮っておいて。で、それをギターに移すって感じなんですけど。それ最近見直して、「曲作りでーす」ってインスタに上げたんですよ。口笛吹いて、歌ってるヤツ。それと聴き比べてみたけど、全く一緒でした(笑)。

ーその時の自分を完コピ出来てたんですね、気持ちもそのままに(笑)。

猪狩:うん、だからインスタ見てる人は「あ!これや!」って分かるんちゃうかな、多分(笑)。口笛で「あ、このメロディや」って分かると思う。

ー6曲目。これもう散々色んなところで話してると思うんで、聞かなくても良いのかなぐらいだと思うんですけど。「パンクで行こうぜ!」って。これも“Soundtrack”と似たメッセージですが、自分に言い聞かせてるのか、それともみんなに旗振って「こっちだ!」みたいなノリなのか。

猪狩:うーん、自分も含めてみんなですよね。仲間とか、自分も含めたみんなに「行こうぜ!」みたいに。

ーパンクしようぜってことですか?

猪狩:うん。それぞれのパンクでね。

ー「それぞれのパンク」それは凄い良い言葉ですね。どうしてもね、パンクだっていうと価値観を押し付けてる人多いから。

猪狩:うん、それぞれのパンクで良いと思う。拘ってれば良いと思う。
 

見つけてくれてありがとう 

ー拘りがあって、それをみんなで共有して理解しあうのが一番良いですよね。7曲目“Fog And Clouds”、アダルトなスカと深いダブが共存した凄くセンスのある良い曲ですね、しかも、この曲順に入ってくるのが。しかもこれ、自分なりに訳してみてねって書いてありますね(笑)。いきなりボールの投げ方ヘタクソかよっていう(笑)。

猪狩:これ、エグいっすよね(笑)。メロディと歌詞を同時に書くことが多いんですけど、この曲に関しては、「和訳なんて無理や」と思って(笑)。英語でしか出来ない表現ってあるし、日本語でしか出来ない表現あるから、まぁなんか、近づけることが出来ても和訳ってなっちゃうと無理なんですよね、もう。和訳する時は、まぁ、大体の内容は沿ってるけど、結構俺が意味付け足してる部分とかめっちゃ引いてる部分とかもあるんですけど、“Fog And Clouds”は最初から全部英語で書いちゃったんですよ。もう1から10まで。で、訳そうってなったんですけど、、、「いや、訳されへん、どうしよう」ってなって。それでちゃんと、翻訳家の人とかに1回和訳にしてもらって。で、意訳にして自分で載っけようかとか考えたんですけど、和訳見ても「いや、そんな意味じゃないねん」と思って。「そういうことじゃないねんなー」「これって日本語でどうやって表現するんのやろ」ってマジで分かんなくなっちゃって。「いや!みんなに訳してもらおー」と(笑)。

ーもう、和訳も含めて(笑)。

猪狩:うん。日本語の表現方法が分かんなかったっす。もうね、大学出てないと絶対に分からないような言葉は使ってないから、全然自分で出来ると思うんですよね。

ー確かに。

猪狩:そういうのを含めてちょっと、こっちから出てきたものを聴いてもらうだけじゃなくて、逆に向こうから掘ってもらえる何かとかも入れときたかったんですよ。

ーこの曲調、、、掘って欲しいですが、フェス文化のお客さんには馴染みのない曲調ですし、DUB(ダブ)っていう物に対しての、なんだろな、、、さっきのBob Marleyを知らないって話じゃないですけど、「DUBってなに?」となりそうですよね。

猪狩:DUBってねぇ、誤解を恐れずに言うと、歌無くて良いし、吸わなくてもキマる音楽ですよ。

ー確かに!

猪狩:そういうの聴いたことない人もいると思うけど。これで、聴いて、「うわぁ」とか「うわぁ音に持ってかれるーーー」とか思ってる人がいたら本物ですね(笑)。

ーいいですね!

猪狩:音が見えてる人やなっ。

ー音が見えてる人(笑)。いい表現ですね、確かに(笑)。

猪狩:見えるようになるまで頑張ってください(笑)。

ーそれヤバイですね(笑)。さて次、8曲目“California”。本気でカリフォルニアでMV撮ってきたと噂で聞きましたが(笑)、本当ですか?

猪狩:いや、、、もうねぇ、ホンマはスタジオとかで撮っても良いかと思ってたんですけど、普通にその監督と友達なんで、「やっぱカリフォルニア行きたくない?」(猪狩)っていう話をしてて、「いやそりゃ行きたいっすよね」(監督)みたいに。「そりゃカリフォルニア行きたいよねー」(猪狩)ってなって、社長を入れて3人でミーティングする時に、「ちょっと俺1回言ってみるわ、とりあえず」(猪狩→監督)ってあててみよう、ジャブを。「ちょっと“California”って曲なんでカリフォルニアで撮らないとダメだと思うんすよねー」(猪狩→社長)って、とりあえずジャブあててみたら、もー社長はノックアウト寸前で。「やっぱねぇ、やるしかないと思ったんだよね!!」(社長)みたいな(笑)。軽い感じのジャブで倒せたから(笑)。で、「行けるんかーい!」(猪狩&監督)ってなって、「イェーイ!カリフォルニア行こうぜー!」って感じで、ホンマに、そんな感じで行きました。

ーカリフォルニアのことを歌ってる訳じゃないですが(笑)。カリフォルニアはいわゆる代名詞というか、どちらかと言うと歌詞的にはユートピアの方が近いかなという認識です。

猪狩:まぁそうかもしれないですね。あの頃に憧れてたバンド(Sublime、NOFX、Green Day、Rancidなどなど)や、今でも自分が好きなバンドがほとんどカリフォルニア出身で。で、なんかねー昔、ずっと呼ばれてる気がしてたんですよ、「来いよー!」みたいな。で、実際初めて行った時に、「あぁーこういうとこかーーー」みたいな、「こんな天気かーーー」みたいな。悪さと派手さが共存してて、天気が良くて海が広くてっていう平和な綺麗さと、ギャングがいて、なんかその辺にマリファナ吸ってるヤツがいるみたいな、悪さと共存してるあの感じ、「やぁこれかぁ!!」って。そういう時の気持ちかなー。

ーそこら辺のルーツを、みなさん1回聴いて欲しいなっていう気持ちがありますね。これはオーディエンスっていうよりかは、今の若いバンドマンにですが。日本のシーンだけを追っているよりも、見聞を広くした方が深さが出ますよね。

猪狩:(そのシーンだけ見て満足してしまうと)真似みたいになっちゃいますからね。だから、そのバンドより上の表現っていうのはちょっと難しくなっちゃいますよね。

ー若手で面白いなっていうバンドは「イーグルス聴いてました、お父さんが聴いてたから」とか。その感覚があるとやはり深さが違うというか、同じシーンのバンドを聴いてもやっぱり差が表れていると思ってます。何産、何産って分けるのはおかしいのは理解してますが。。。

猪狩:いや、でも、何産っていうのはあると思います。俺も別に評価したい訳じゃないけど、例えば、ニューヨークではこういう音楽が生まれるし、カリフォルニアではこれが生まれる、大阪ではこうで、東京ではこう、っていうのは人柄含めてやっぱあると思うんすよね。俺は東のニューヨークハードコアとかでも好きなのたまにいますけど、ヒップホップとかよりは、やっぱ西のね、サーフロックとかパンクロックの方が良いんですよね。人もね、東京より大阪の方が好きですし。そういうのもあるから、どこどこ産っていうのは絶対あると思うし、俺はそれを、、、そういうのが好きです。そうやって分かれてるっていうのが好きやし、日本の音楽しか聴いてないヤツが作った音楽はこういう方向性になってる、ってそういう分かれ方してるのは結構好きなタイプです。

ーボクみたいに否定ばっかりしてても何も生まれていかないですよね。受け入れていかないと。

猪狩:でも、1枚目は熱量がパッケージされてて「イェイ!」ってなるけど、2枚目から聴けないっていうパターンは前より増えたなとは思います。ねぇ、、、「新しい音楽になってなくない?」みたいに思って。多分同じようなこと、思ってる部分も無いことは無いっすよ。

ーさて、、、話を本筋に戻して、 “California”はMVにするだけあって、やっぱ良い曲ですね!

猪狩:やったぜーー!

ーこの曲に関しては猪狩さんの声、凄く伸びやかだなという印象です。歌い方変えた訳じゃないと思いますが、感情表現が豊かになったと思います。今までの楽曲は、割と言葉とメロディを前面に当てていくような音で曲を引っ張っている感じがしていました。今回のアルバムでは、もうちょっと吸い込んで言葉の意味やメロディが大きく広がっていくような歌い方になってるのかなと思っていて、特に “California”では顕著にそれが出ているか、と。

猪狩:恥ずかしながらー、、、5枚目のアルバムかな?で、やっとねぇ、あの、、、最近歌を練習するようになりまして(笑)。

ー今?(笑)

猪狩:はい(笑)。今ですぅ、今!あの、、、ギター小僧で、ギターは「イェーイ」ってずっとやってたんですけど、歌ってなんかもう大声で歌ってたら楽しいし、その練習の仕方っていうのがよく分かってなかったんですよね。なんか、発音とかは練習しないとダメですけど、「歌の練習ってどうやんのやろ」みたいな。

ー確かに。ボイトレとかに行ったってことですか?

猪狩:ボイトレも行ったし、あと自分が好きなボーカリストにどうやって歌って、こういう時はどうやって声出して、、、

ー誰に聞いたんですか?

猪狩:えーSuga(dustbox)さんとか、Taka(ONE OK ROCK)とか、、、かなぁ。

ー2人ともキーは高いけど、歌い方が違って、素晴らしいボーカリストですよね。

猪狩:そうなんすよ。Takaとか、俺、、、歌聴いた時、驚愕して。「死ぬー」と思って(笑)。「なんなんこれ」ってなって(笑)。ほんで、ただ単に「どうやって歌うの?」って聞いたり、ライブ見に行って「あ、あんな息の仕方してやがる」とか見たり、やっぱり凄く勉強になりました。だから、もしかしたら変わったんかも。

ーかなり変わりましたよ(笑)。“California”を聴いて、その感覚の違いを意識しながら、アルバムをまた聴き直すと、やっぱり節々に前の当てる歌い方じゃない、ちょっと違う歌い方をしていて、いわゆる「歌心」がプラスオンされてるアルバムだなと感じました。

猪狩:多分それは弾き語りで作ったっていうのも相当デカイかなっていう。メロディはいつも口笛とかで作ったりしてたんだけど、今回歌いながら作ったんで。自然とそういう風な感じになってる気がします。

ーそうなんですね。そして、次曲はいきなりショートチューン“Don’t Try So Hard”。YUJIくんが歌い切ってますね。

猪狩:大体ね、どの曲もそうなんですけど、2人とも歌ってみるんですよ、1回。

ーそうなんですね!フルで2人とも歌うんですか?作ってる時にもう歌い分けを決めてるって訳じゃなくて?

猪狩:だから歌い分けも「逆にしてみよっかー」とか、そういうの結構スタジオでやるんですよ。で、ハマる方が歌うんです。結構、民主主義よ、その辺(笑)。


ーキーは?

猪狩:いや、YUJIの方が全然高い。YUJIの方が2音くらい高い。結構違うんすよ。で、“Stop The War”の時は、自然と、、、それまでYUJIと管楽器の音を聴いたことがなかったから、こればっかり聴きたくなって、メロディもYUJIが歌うであろうキー、とかを勝手に意識して作ってたんすよ。けど、今回弾き語りで全部作っちゃったんで。、自分のところに大体合っちゃうんですよ(笑)。だけど、この曲は2人とも歌ってみてYUJIの方がハマるなーと思ったんで、YUJIに歌ってもらおうって。

ー“Love Summer”、これなんか王道のスカパンクって感じが個人的にはしてます。

猪狩:あ~そうですか?

ーはい。ボクの思うスカパンクは、多分入りがちょっとおかしくて、KEMURIとかRUDE BONESを聴いてたところからどんどんスカパンクって何だろうっていって、海外のバンドを聴くようになったので、ボクにとっては王道って逆に日本的スカパンクなんです。で、なんかその雰囲気を感じてしまいました。

猪狩:へぇー全然分かんないっすねー(笑)。まぁ、でも、そうやって思ってくれたら全然それでOK。

ー何かをイメージして作った曲ですか?これもしれっと出来た感じですか?

猪狩:しれっと出来ましたね、起きたら出来てました(笑)。友達と2人で海外の島に行ったんですよ、また。そいつも作曲しに来てて。で、その島のビーチでギター置いて「こんな曲出来ないかな~」とかって思いながら寝たんですよ。起きたらメロディ、バンバン出来てたんですよ。そこで弾きながら歌って「この曲聴いたことある?」って友達に確認して。なんかメロディが全部出来てたんで。

ーなんかのコピーなんじゃないか?って思いましたか?

猪狩:なんかの誰かの曲かなーって思って、弾き語ってみたら「いや分からん」って言うから、「じゃあ、俺が作った曲だ」って。マジ、秒で出来ました。けど、この曲のメロディが一番好き。結構、自分の中ではスイートな感じで。この曲のメロディが一番好き。

ー意外ですね。ボクはもうバシバシ当ててくる “Soundtrack”とかの方が好きなのかなって勝手に思ってました。

猪狩:それも好きなんですけど、、、なんか “Love Summer”な感じめっちゃ好き。

ー11曲目、 “I Will Follow Him”。Little Peggy Marchのカバー曲ですね。

猪狩:そうそう。『天使にラブソングを』でも歌われてたし凄い有名な曲ですよね。

ーこれも「自分なりに訳してみてね」、、、そうなりますよね(笑)。

猪狩:うん、人の曲なんで(笑)。

ー次、12曲目“Skate Today”。少し、ユルい楽曲ですね。

猪狩:これ、ユルいっすね。晴れた日にスケボーで、なんかね、ズシャーって漕いで、ランプを駆け抜けるとかじゃなくて、街乗りでゆっくーり行こうぜーみたいな。そういうイメージなんですよね。

ーそれは曲の中に表現出来てると思います。心地良い曲だなと感じました。

猪狩:それプラス、ちょっと下ネタなんですよ、この曲。「スケボーに乗って夜にはお前に乗るぜ」みたいな。凄いしょーもないとこで。なんかこの安くてしょーもない感じが好きなんですよね。

ー本当ですね。意訳だと分かりづらくしています?

猪狩:そうかもしれない。

ー最後、“Thank You For Being My Friend”。これは、アルバムが最後に迫ってるなという、締めくくってる感、凄い感じました!

猪狩:嬉しい、嬉しい。嬉しいです。

ーなぜか、社長の名前が頭の方で入ってるという(笑)。

猪狩:そう、普通にね(笑)。これはもう事実なので、歌ってる。ノンフィクションっていうんですか?そのまま歌ってて。最初はなんか「アイツが」とか「彼が」とか「バンT着てるデブが」とかね、色んな表現出来るじゃないですか。

ー完全にディスってるだけですね(笑)。

猪狩:いや、全然全然(笑)。色んな表現出来るんですけど、ここはもう「モッピーでいいや」って思って。森さんと出会った時の曲なんで。あと、Authority Zeroと出会った時の曲なんで、その時の呼び方で「もうそのまんまで良いや!」と思って。

ーこのブラザーはAuthority Zero?

猪狩:Yes!! カフェインボムツアー中にAuthority Zeroと森さんで、熱海へ温泉旅行に行ったんですよ(笑)。コの字になって正座して、浴衣着て飲んでたんですよね。

ージャパニーズ宴会スタイル(笑)ですね。

猪狩:ジャパニーズ宴会スタイルで飲んでたんすよ。Authority Zeroが、1人ずつこのツアーに対する考えとか、まぁ今が楽しいとかね、スピーチしてくれたんですよ。一人一人、立って。「これ、、、俺まわって来るやつや」と思って(笑)。スピーチも恥ずかしいし、曲をポンって作ってチャンってなんかやろー!と思って、ほんの10分くらいで、熱海の宴会場で、小っちゃいギターで1番だけ作ったんすよ。そん時に「モッピー」とかいう歌詞も入れてたから、「もうそのまんまいこうー」って思って。うん、そういう曲っすね。それを、そのまんまバンドアレンジしたっていうだけです。

ー対象は分かりやすく、社長のモッピーさんだとか、Authority Zeroっていう風になってますが、オーディエンスも、僕らもその中の1人なのかなって思わせてくれる曲ですよね。友達とか兄弟とか呼ばれてる中の1人なのかなって感じさせるような曲だなと。

猪狩:まぁ、思うのはみんな自由ですから(笑)。

ーそこは「そうだ」って、言ってもらった方がやりやすいんですけど、これは(笑)!!

猪狩:うん、はい、自由なんで(笑)。曲の捉え方は自由なんで(笑)。都合の良いように解釈してください。

ー都合の良いように解釈してって書いておきます(笑)。このアルバム全曲聴かせて頂いて、本当に非常にバランスの取れた良いアルバムだな、と思ってまして、このツアーがお客さん的にも楽しみだと思います。ツアーは前半戦だけ対バンを発表してて、日程は40本くらい発表してますが、続きがあるようですね。

猪狩:ファイナルシリーズって感じで、「Final Series Coming Soon!!」みたいになってるから「あるよっ!」っていう。

ー全部が、対バンツアーですか?

猪狩:全部対バンツアーです。ワンマンはしばらくやりません。10周年の時に1回やったんですよ。それが初めてのワンマンで。過去にまだ1回しかやってないから、ま、15周年なのか、20周年なのか、そういう感じにならないと多分ワンマンやらないっすね。なんですかね、楽屋が知りすぎてるメンバーとスタッフで、それだけっていう状況がね、、、「もうなんなん、この張り詰めて無さ、この緊張感の無さ」で。ライブが終わっても知りすぎてるヤツらとご飯行く訳でしょ?なんか「なんなんこれ」みたいな(笑)。どこに燃えたら良いか分からなくて。対バン見て「かっこええなー!これよりヤバイライブしたろ!」とか、やっぱそういうのあるんですけど、ワンマンって、凄くね自分の好きな人しか居なかったと思うし、なんか、何やっても盛り上がってくれるんですよ、マジで(笑)。

ーワンマンですから、そうあるべきですよ(笑)!

猪狩:いや、めっちゃ嬉しかったんですけど「アカンアカン、こんな甘い状況でやっとったらアカンでぇ」っと思って(笑)。

ーそういう考え方ですね(笑)。すでに対バンの発表してるところだと、前半、若いバンドが目立ちますね。ENTH、FOMARE、SIX LOUNGE、Azami。あとはキュウソネコカミ、ハルカミライ。ハルカミライも若いですよね。

猪狩:若いかー。確かに。でも、これたまたま前半戦発表して、若い人がもしかしたら目立ったかもしれないですけど、後半戦、多分往年ばっかりやと思う(笑)。

ー意図して分けた訳じゃなくて?

猪狩:全然全然。もうスケジュールの問題で。呼びたいバンドっていうのは決まってるんですよ。もちろん。で、順番に話して行って、みんなが出てもらえるように日程をあれだこれだ入れ替えて組む訳なんですけど。確かに頭に若いバンドが固まったっていう気はしますね。

ー後半になると、往年の!

猪狩:確かに。後半からそういう色ばっかりになっていきますよ。

ーそれは言って大丈夫ですか(笑)?

猪狩:いいっすよ。うん、全然。対バンめっちゃ拘ってて。なんか同じ世代の人たちでやりたいっていうのもだいぶあるんですけど。ちゃんと自分らのライブのクオリティも分かってる人に見てもらって、文句言ってもらって、ちゃんと切磋琢磨するっていうのも良いんです。けど、やっぱ若いヤツに見られたいってのもあるし、見せたいってのもあるし、若いヤツの刺激をもらったり刺激を与えたりしたいから、それも結構考えますね。なんか、「世代とか、全部超えたいなー関係ねぇ」って思ってる部分が結構あって、カッコイイ物は「60歳の人もハタチの人も一緒やろ」って思ってる。音楽人ならね。そういうのをちゃんと表現したいっていうのは結構あるんですよ。

ーそうですね。猪狩さん、一応年齢出してないんで、オフィシャルでは(笑)。

猪狩:あ、そっか。出してないっていうか年齢っていうのは無いんです(笑)。そして、これ以上の詮索は無用です(笑)。

ー言い方悪いですが、「見せる側になっていってる」というか、“HEY-SMITH”としてもそうですし、“猪狩”っていう存在もそうですし、それ自体をしっかり作って、後輩たちに見せる側のポジションになってるのかなっていう風に勝手にボクは思ってます。

猪狩:あ、、、段々そうなってきたかもしれないですね。自分としてはもう、、、あの頃っていうか10代の頃と変わってないんで。税金の申告書みたいなんが来た時に、マジでビックリしました(笑)。「え?俺、もう親の扶養外れてるんや!」って思って(笑)。もう何十年ずっと外れてるけど、まだそんな気分なんで、あの、、、大人っていう気分はまだ無いので、、、うん、あんまりそうっすね、その辺追いついてないっすね(笑)。

ー以前のインタビューの時の最後に、「KENさんにもうバトン託されてると思うよ」って問いましたが、その時「重いから無理です、重たいっす、そんな真剣にやってません」みたいなこと言ってましたよね(笑)。

猪狩:いやー重いっすねー、それ(笑)。そんなんいらん、そのバトン(笑)。


ー「私はもうそれぐらいの感じでやってます」と?

猪狩:うーん、やっぱそうですね、使命感みたいな物が無いんで。あの、、、うん、、、「仲間とつるんで、良い音楽出来て、良い音楽聴かせてもらったらえぇなぁ」っていう感じで来てるんで。もちろん聴いてもらえる人が多くなって欲しいけど、なんかね、、、目標にしてこうやって頑張るぜ!!みたいな、それはイイです(笑)。

ー「猪狩は、猪狩だ」と(笑)。「それ以上でもそれ以下でも無い!」と(笑)。

猪狩:(笑)

ー最後にライブに来てくれる、そしてCDを買ってくれるであろう方々に何かメッセージがあれば一言、お願いします。

猪狩:英語詞でインディーズで、テレビも出ないようなヤツ(バンド)は、やっぱ探さないと見つからなかったと思うんですよ。ただ単に生きてて聴いた訳じゃないと思うんで、「見つけてくれてありがとう」やと思うし。あの、、、そういうね、拘った趣味?偏った趣味?を共有出来て、好きなことを共有出来てホンマに嬉しいなと思ってますね。別にその人の為に書くってことは無いし、自分の為に書く曲ばっかりになってくると思うけど、それでもそういう部分が長く共有出来ると嬉しいなと思っております。





“Life In The Sun”
01. Soundtrack
02. Not A TV Show
03. Buffalo Soldier
04. No Mates
05. Sunday Morning
06. Let It Punk
07. Fog And Clouds
08. California
09. Don’t Try So Hard
10. Love Summer
11. I Will Follow Him
12. Skate Today
13. Thank You For Being My Friend

CBR-091 (¥2,470 + tax)



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