Crystal Lake “TRUE NORTH FESTIVAL EXTRA” LIVE REPORT!!
Report by Toya
Photo by John Gyllhamn
2019.10.14
Crystal Lake “TRUE NORTH FESTIVAL EXTRA”
@渋谷TSUTAYA O-EAST
天災を乗り越え実現した奇跡の1日
TRUE NORTH FESTIVALといえば、Crystal Lakeが主催し、ハードコアの王道や海外のバンドや今勢いのあるロックバンドを呼んで開催するフェスである。そんなフェスが台風の影響で延期となり、急遽2日後の10/14(月)に振替公演が開催されることになった。日付が変更になった告知を見てから、どれだけのオーディエンスが駆けつけるのか、どれだけの盛り上がりを見せるのか、当日、会場へ到着するまではそんなネガティブな事を考えていたが、そんな心配はライブがスタートすると同時に吹き飛んだ。14:00からスタートし、Crystal Lakeが登場する20:00ごろまでの間に、The ROAD to TRUE NORTHを勝ち進んだ3組の新星のVision of Fatima・Daybreak of Silence・The Last November、高円寺のハードコアの大先輩SAIGAN TERRORに、今改めて注目のNOISEMAKERと期間限定で再結成をしたBEFORE MY LIFE FAILS、そして、NYからはるばるやって来たSTRAY FROM THE PATHと計7組のバンドが、それぞれのスタイルで輝きを放ちオーディエンスを沸かせた。それは、大トリのCrystal Lakeまで想いを繋げるバトンリレーのようであった。そんな急遽変更になったにも関わらず出演した7バンドの想いを受け継いだ状態で、ついにCrystal Lakeが登場する。
『Aeon』の無機質な機械音が鳴ると、フロアからは待ってましたと言わんばかりの歓声が溢れ、Ryo(Vo)のヘヴィーな叫び声が会場に響き渡りCrystal Lakeのライブがスタートする。すでに7バンドもライブを行い、疲労が溜まっているはずのオーディエンスも、このバンドのサウンドを耳にするや否や、息を吹き返したかのように一曲目からモッシュピットが作られ、暴れまわるオーディエンスで更に熱気を増す。ど初っ端からバンドのヘヴィーでたまらなく心地いいサウンドに歓声が上がると、そのまま『Hail To The Fire』へ。フロア中のオーディエンスが飛び跳ね、「Zomba!Zomba!」の掛け声でバンドと会話をしているようであった。スローなサウンドのあとは『Six Feet Under』で一気にスピードアップし、柵で囲われ限りがある中でも強引にサークルピットが作られ、暴れまわり、ヒートアップする。『Machina』でもその勢いは衰えることを知らず、ウォールオブデスで盛り上がる。
「TRUE NORTH FESTIVAL EXTRAへようこそ~!」とRyoが叫び、続けざまに「振替って事で急遽遊びに来てくれたみんなと、急遽出てくれたバンド、ブース!本当にありがとうございます!」と目頭を熱くさせながら感謝の気持ちを伝える。「待ってたよ!」とオーディエンスからのリアクションもあり、このフェスを待ちわびた人達の期待値が窺えた。「この奇跡の1日を、来れなかった人たちの分まで思いっきり楽しんでいこうよ渋谷!」とポジティブな想いをオーディエンスにぶつけ、予定通りに開催できなかったフェスをより良いものに作り変えようとするバンドの強い想いを感じる事ができた。それは会場にいた誰もが感じていたに違いない。なぜならそれは、この次に演奏した『Lost In Forever』での暴れっぷりが証明していたからだ。最初のメロディが流れると同時に多くの歓声が上がり、サークルピットにサビ部分のシンガロングで、バンドとオーディエンスが一体となり、最高の時間を作り上げた瞬間であった。
そんな熱い想いを共有したまま『Mercury』へと続き、「Tonight!Tonight!Tonight!」のシンガロングとともに拳を突き上げ、ボルテージも最高潮に達する。「このまま全員踊り散らかせ!」と煽り、『Mercury』同様にオーディエンスのシンガロングが注目の『Apollo』が始まる。フロアの全員が拳を突き上げサビをシンガロングする。そんなバンドとオーディエンスの熱い対話を目にすることができた。「久しぶりの曲やります!」と言って始まったのは“The Sign”に収録されている『New Romancer』。高速のギターのリフが特徴的で、普段あまり演奏することのない、レアな楽曲も織り交ぜ、Crystal Lakeが持つラウドサウンドの多様性を映し出していく。
「座りながらいこう」と、荒れた息を整えながらゆっくりと話し始めるRyo。「実は、俺らの友達でアメリカから来てる人たちもいて、その人たちも明日帰らないといけなくて、今日じゃなかったら観れなかった、ほんとに奇跡のような1日だと思います。改めてほんとにありがとうございます!まじで感謝してもしきれないです」。と何度も目頭を熱くし、改めて感謝の想いを伝える。「そして残念ながら今回出れなかったバンドもいるんだけど、またいつかみんなの前に連れてこれたらと思ってます。俺らの、TRUE NORTHの想いは場所が変わっても時期が変わっても何も変わらないんで。これからもよろしくお願いします。やばいツアー見せたいし、また何度でも何度でも、何度でも戻ってくるんで!」と熱い想いを語ると、拍手で迎え入れる暖かい空間が生まれた。
久しぶりのロングセットに少し息を切らしながらも、YD(Gt)はギターを下ろし、MCではオーディエンスとの距離の近さを感じられるトークで盛り上げる。「ほんとにRyoが言ったように、今日はなんかあると思います。もちろん災害があって、ダメージを食らって困っている人もたくさんいると思うけど、それを超えて今日皆さんが無事に来れて、奇跡のO-EASTで開催できること、本当にもってんなと思いました!」と、YDも感謝の気持ちを伝える。「自分たちのチームとか、ほんとにクイックな対応で頑張ってくれました。バンドも、この時間がない中で、快く受けて調整してくれて。何よりもここにきてくれた皆さん本当にありがとうございます!」そんなMCに続き、すでにSNSにアップされLIVEに来れなかったファンもご存知の発表が。「今日来てくれたみんなの為、来れなかったみんなの為、出れなかった、出てくれた全てのバンドの為にも、来年TRUE NORTH FESTIVAL、2DAYSやります!」と発表し、今日一番の歓声が沸き起こる。「来年オリンピックだけど、俺らのオリンピックはここ(TRUE NORTH FESTIVAL)なんで!2020年に向けてさらにでっかくしていきましょう!」とRyoがさらにオーディエンスを煽る。ここでそんな来年の2DAYSに向けたお祝いとしてシャンパンが用意されていたのだが、YDが開けるよりも先に、用意されていたシャンパンが開いてしまっていたハプニングがあり、会場を笑いに包む。そんなほっこりするやりとりも束の間。
「来年倍返ししてやりますよ!さあ後半戦!準備はいいですか渋谷!久しぶりの曲やります!今日はゲストはいねーけど、お前ら全員でゲストボーカルやってくれ!」と煽り『Beloved』のリフが流れ始める。フロアにいる全員が飛び跳ねさらに勢いを増して暴れまわる。MCを挟んで息を吹き返したオーディエンスに、バンド側も『Omega』のヘヴィーなサウンドで追い打ちをかけるようにたたみかけ、更に熱気が増し地獄絵図のように。「次が最後の曲だ!焼き尽くせよ渋谷!回れ渋谷!」と悪魔のような叫びをあげ、間髪入れずに『Prometheus』へと続く。サークルピットやサビでのシンガロングにモッシュピットと、バンドの煽りにオーディエンスも全力で受け応える。
アンコールが始まる前には、Crystal Lakeの元ボーカルKentaroがステージ上へ。そしてYDがCrystal Lakeの結成当初の歴史について話し始める。「2022年、20周年なんですけど!すごいよ。はっきり言って。よくやったよ。」と遠い過去を振り返るように話し始める。「だって子供がいたら20歳だよ!?そんくらいバンドをやってるってことは誇らしかった。本当に。ちょっとKentaroさん放置してこんな熱くなるのもあれなんだけど、20年ってすごいことだぜってKentaroさんが言ってくれて!2022年、20年だよって言ってくれて。20周年を迎えたらなんかやろうと思うんで。それまで応援よろしくお願い致します!」と常に前向きで、ポジティブなアナウンスでオーディエンスを沸かし、元ボーカルKentaroの言葉がCrystal Lakeの背中を押す。「そんな20周年迎えられるのも、今までの歴史と、歴史と歴史と、ニュージェネレーションとこれからの世代と来てくれたみんなと、裏方全員で創り上げるものなんで!まだまだこっからよろしくお願いします!」とRyoが最後に熱く叫び、会場にいた全員が待ちわびた『The Fire Inside』で、シンガロングにクラウドサーフと最初から最後までアツい空間を創り上げた。
台風の影響を受けてしまった今回のフェスを奇跡の1日と言っていたが、スタッフやオーディエンス、そして何よりも出演バンドからも厚い信頼を得られているからこそ、開催することのできたものだったことは間違いないはず。そして、Crystal Lakeが常に前進し、およそ20年の年月をかけて創り上げた歴史と今現在、そして未来へと繋げているのは、自分たちのバンドの成長だけではない。自分たちのいるシーンを底上げし、さらには若手、ベテラン、海外のバンドと自分たちの周りにいるバンドも巻き込み、オーディエンスと共にシーン全体を盛り上げている。そんなCrystal Lakeが創り上げて来たものを体現していたのが今回のTRUE NORTH FESTIVAL EXTRAであり、また来年の2DAYSへの足がかりを掴み、さらに3年後のバンド結成20周年へ向けて勢いを増していこうとするこのバンドから目を離すことはもはや不可能である。
[SETLIST]
01.Aeon
02.Hail To The Fire
03.Six Feet Under
04.Machina
05.Lost In Forever
06.Mercury
07.Apollo
08.The Sign-New Romancer
09.Beloved
10.Alpha
11.Omega
12.Prometheus
En01.The Fire Inside
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