SHANK “BLAZE UP NAGASAKI 2022“ DAY2 LIVE REPORT!!
Report by ヤコウリュウジ
Photo by 岩渕直人
2022.11.20
BLAZE UP NAGASAKI DAY2 @出島メッセ長崎
BLAZE UP NAGASAKI 2022、2日目。日中は半袖でも過ごせるような好天にも恵まれたこの日、まずはオープニングアクトとして龍招宝による龍踊りが登場。昨日に続いて観たオーディエンスも多かったのであろう。逃げ出した龍を呼び戻す際、本来ならば「もってこーい!」と叫ぶのだが、この状況下。その代わりにみんなで起こす拍手の大きさが莫大。このお祭りを一緒に作り上げる気持ちが表れているようであり、今日もいい日になるはずだという確信めいたモノを感じたタイミングにもなった。
■dustbox
昨日の熱狂を超えるべく、トップバッターとして切り込んでいったのがdustbox。JOJI(Ba/Vo)は「よっしゃー!」と叫んでピースサインを示し、SUGA(Vo/G)もはやる気持ちを抑えきれないようであり、バンドはフルスロットルで「Right Now」へと駆け出していく。
ギタートラブルはあったものの、そこは百戦錬磨のライヴバンド。動じることなく突き進み、鋭いリフも印象的な「Emotions」に「Bird of Passage」、キラーチューン「Try My Luck」に美メロを心地よく響かせる「Bitter Sweet」と圧倒する5タテ。彩り豊かなバンドらしいアプローチで楽しませてくれるのだ。
トラブルを受けてか、もう1曲増やしたいとMCもそこそこに切り上げ、「Riot」から後半戦に突入。皆々が心の中でシンガロングして始まった「Here Comes A Miracle」、改めてアクセルをベタ踏みしての「Hurdle Race」とイイカワケン(HEY-SMITH)がゲストとして加わった「Jupiter」から、JOJIがNAOKI(10-FEET)にベースを渡し、自身はハンドマイクを握りしめての「Neo Chavez 400」を追加として投下。らしさ溢れる、怒涛の内容だった。
■04 Limited Sazabys
現在、新作『Harvest』のリリースツアーの真っ最中であり、この日は敬愛する同世代のメロディックヒーローであるSHANKが主宰するBLAZE UP NAGASAKI。いつも以上の気合いの入りっぷりを見せてくれたのが04 Limited Sazabys。現在進行系の最高を見せつけるように新作から「Keep going」をセレクトして始まったライヴは、対SHANK仕様とでも言うべきか、淀みなく叩き込む強靭なスタイルだった。
オーディエンスの熱狂を受けても、もっとできるだろうと、「燃え上がる」という意味を持つBLAZE UPにかけて、「着火して、一緒に燃やしていきませんか?」とGEN(Ba/Vo)が投げかけ、「やろうぜー!」とRYU-TA(G/Cho)が叫んで放った「monolith」は強烈すぎる一撃。いつもならその場に応じて変える歌詞もそのままに、ド直球なメロディックサウンドを炸裂させていく。
シリアスなムードも漂う「fiction」、再び新作からヘヴィに切り込みながらフロアを揺らす「Finder」と続け、「SHANKが長崎でこのイベントをやる意味はよくわかってるつもりだし、カッコいいイベントを一緒に守っていきたいと思いますし、オレらも少しでも役に立てれば光栄です」とGENが語り、大切な曲だと告げての「Buster call」は印象的なシーンのひとつ。コロナ禍でいろんなモノが壊れた今、リスタートを告げるこの曲はとても鮮やかに沁み渡っていったのだ。
■10-FEET
「よっしゃ、行こうかー!」から「ありがとうございました。10-FEET、最後の曲です」という、TAKUMA(Vo/G)の伝統芸能並みに貫かれたいつものユーモアから名曲「RIVER」をプレイし、期待感を上回る空気を生み出して幕を開けた10-FEETのライヴ。躍動感がありながらも、真摯に音を紡ぎ、大切にしたためた言葉を歌うスタイルは頼りがいしかない。
続けて「ハローフィクサー」を鳴らし、「aRIVAL」へ入る直前に「5回ぐらい死んだるねん、今日。で、6回生き返ったるねん」とTAKUMAは口にしたが、軽快にジョークを飛ばす彼らしい軽口にも聞こえるかもしれないが、10-FEETというバンドの精神性を象徴するような言葉でもあるだろう。那須川天心と武尊による世紀の対決の為に書き下ろされたこの曲、コロナ禍で押しつぶされがちな欲求を爆発させるようでもあり、決して屈しずに己を貫く彼らのスタンスが投影されていると言っていいからだ。
近未来的なニュアンスをダンサブルに響かせる新曲「第ゼロ感」、フロアを常に焚き付けながら放った「その向こうへ」と続け、「カッコよく生きろよ! みんなにとって、じゃなくてもいいよ。誰かにとって、大事な人にとってカッコよかったら」とTAKUMAが語りかけ、ラストは温かく抱きしめてくれる「ヒトリセカイ」。思わずグッと拳を握りしめたくなるポイントだらけのステージはこの日も素晴らしかった。
■SPARK!!SOUND!!SHOW!!
「こーんにちわー! 錦鯉だよー!」とタナカユーキ(Vo/G)が場を和ませつつ、キメるところはしっかりキメて、オーディエンスを踊らせまくり、メッセージを突き刺していったのがSPARK!!SOUND!!SHOW!!だった。
EDM、ラップ、ハードコアをブレンドした音世界はアクが強いが強烈にキャッチー。こういったフェスにはもってこいの存在であり、SHANK好き好き倶楽部の東京支部と公言するだけあって、やってやろうという意気込みがビシビシと伝わってくる。巧みなフロウと極悪なサウンドがマッチした「かいじゅうのうた」、ぶっちぎりの速度を見せつけた「†黒天使†」と続ければフロアは狂乱のパーティー状態。無邪気に飛び跳ね、みんなで遊べる「HAPPY BIRTH DIE」や3MCスタイルで繰り出した「感電!」の追撃も見事な流れ。とにかく楽しそうという表現がふさわしい空気で会場全体を覆い尽くしていく。
そんなお祭りムードの中、鮮烈だったのがストレートに物言うタナカのラップ。<オレたちはルールの下、このステップ、ダンスであらがってきた>、<このまま思いやりを絶やさずに、隣に分け与えながら、BLAZE UP NAGASAKI、今日もいいパーティーにしましょう>とリアルな感情、意地、目指すべき先を提示する姿。現場でライヴを重ねれば重ねるほど、支持を勝ちってきた理由がそこにはあった。
■SUPER BEAVER
「過去最高の長崎、一緒に作りませんか?」と語りかけ、「本気でいくんで本気でかかってきてください」と渋谷龍太(Vo)が突きつけたSUPER BEAVERは、その言葉に違わぬ大熱演のステージ。口火を切った「名前を呼ぶよ」からハリがあり体全体から鳴る歌声、一瞬の隙も見逃さずに食らいつくような演奏とコーラスが一体となり、観る者の体温をグッと上げていく。そのまま「突破口」へとつなげれば、さらに引き寄せ、諸手を挙げて高まる気持ちを伝えるのだ。
ここで「(SHANKとは)同い年で、長崎っていう場所を背負って、いろんなことをやろうとしている姿勢が凄くカッコいいと思ってます」と主宰SHANKへの想いを渋谷が口にしつつも、そこはやはりロックバンド。「オレたちに任されたのは、BLAZE UPとか長崎とかSHANKとか、そういうのを無視してあなたに楽しんでもらうことだと思う」と食らいつくように「証明」へ。
彼らの素晴らしさはいくつもあるが、触れておきたいのは互いに共鳴しようとするスタンス。激情をぶつけながらも「届いてる?」や「見えてるよ!」とオーディエンスに語りかけ、ともに最高の時間を作り上げることを常に求めているのだ。だからこそ、まだリリース前であった新曲「ひたむき」でもあれほどの絶景が描かれたに違いない。
■HEY-SMITH
登場しただけで上がる温度。音が鳴る前から積み上げてきたモノがありありとわかる、パンクロックモンスターHEY-SMITHはさすがの役者っぷりだった。猪狩秀平(G/Vo)の「ぶっ飛べー!」という号令から「Endless Sorrow」と「Dandadan」を投下し、「やるならド派手にいこうぜ!」と「Over」へ続けてハイスピードでフロアを蹂躙していく。
YUJI(Ba/Vo)のフロアの奥まで届く歌声、オーディエンス以上に躍動しっぱなしのホーン隊も決して止まらない。ライヴ中、「お前ら、暴れる準備できてんのかー?」や「踊り狂ってけー!」といったアジテートを猪狩は繰り返すが、そういった言葉以上にエグいサウンドとノリ。現場で培ってきたバンド力が大木のようになっており、会場が広かろうとも絶対にブレないのだ。
「やりたいこと、全部やって帰れー!」と猪狩が投げかけ「Be The One」でかき回し、
「I’m In Dream」や「We Are...」等で畳み掛けた後、ゴキゲンすぎる反応なフロアに向かって、サビになったら歌がないから踊りまくれと新曲「Inside Of Me」をプレイ。より自由な状況で何ができるのか、そう突きつけられるようでもあるが、その問いかけにバッチリと応えるオーディエンス。それぞれが思い思いに踊り、型にハマらない盛り上がりはHEY-SMITHの精神性とも重なり、忘れがたい名シーンとなっていった。
■SHANK
いよいよ大トリ。もちろん、1日目に引き続き登場したのはSHANKだ。2日間に渡る、盟友たちの大熱演を受けてのステージ。ちょっとぐらいは緊張した面持ちがあるのでは、と考えてもいたが、それは邪推だったよう。いつもと同じく、庵原将平(Vo/Ba)、松崎兵太(G/Cho)、池本雄季(Dr/Cho)の3人はゆったりと登場し、定位置へ。松崎が瓶ビールを掲げて乾杯の仕草をし、池本がSEに合わせて手を挙げ、庵原がガツンと歌い出す「Surface」からライヴはスタート。
いいテンション感を生み出し、熱量を弾丸のように撃ち込む「Departure」へ繋げたのだが、凄まじいグルーヴに圧倒されてしまう。フロアを大いに揺らし、ダンスホールを作り上げる「Life is...」もそうだったが、メンバーそれぞれがまっすぐに高みを目指した音を出し、それが渾然一体となって大きなうねりを生み出す。思わずのけぞってしまうぐらいの勢いだ。
熱気渦巻く中、いきなりSUPER BEAVERの渋谷龍太の色気について語り出すMCというのもSHANKらしいところか。「色男を超えよるやん。艷男」と松崎が、「同い年でこんなに明暗が分かれることある?(笑)」と庵原と話し、否定する声もあったかもしれないが、会場中から笑いが起こる。
そんなゆるい話から、「とにかく、ここまできたのは強靭なバンドとあなたたちのおかげです。ありがとうございます」と庵原が謝辞を述べ、松崎のそそるリフから始まる「620」へ。庵原が歌い出すと一気に会場全体が張り詰め、瞬く間に湧き上がる盛大なクラップ。どんな話をしようとも、どんな流れであっても、曲とプレイで空気を作り上げることができるバンド、それがSHANKだ。まざまざとその力を見せつけられてしまった。
間を置き、再びリラックスムードも漂う「Set the fire」、「Take Me Back」と引き締め、明るい未来へとつながる「Bright Side」へ。衝動感丸出しで叩きつけるが、そのグッドメロディーの輝かしさによって浸透度が凄まじく高いのだ。
ここで松崎が「昨年はイスがあったけど、今年は好きなところで立って観れるようになって。バンドの力だけじゃなく、いろんな関係者も含め、あなたたちのおかげだと思ってます」と環境面でも前へ進むことができたBLAZE UPを振り返りつつ、「僕ら以外にすげえたくさんのスタッフのおかげで今日やれてます」とスタッフへ改めて感謝の気持ちを伝えるとフロアからも大きな拍手が起こる。BLAZE UPの顔役だという責任感もあるのかもしれないが、シンプルに関わってくれた人たちへありがとうを伝えたい、それだけなのだろう。
ノリ良く「Time is...」を放ち、スティーヴィー・ワンダーの名曲「Isn’t She Lovely」を甘すぎない絶妙なテイストで鳴らした後、シリアスかつハードな「Smash The Babylon」をプレイするコントラストも抜群。軽快なポップチューン「It’s not a game」の華やかさもまた良かった。
そして、「また来年につながる日になったのかなと思います」とこの2日間の感触を庵原が述べ、「何より、こういうバンドが死なないのはあなたたちのおかげです。本当にありがとうございます」という言葉から「My sweet universe」。真摯に愛を歌い、このまま時間が止まればいいのにと願う曲のメッセージとシチュエーションが完全にリンクし、得も言われぬ気持ちが湧き上がる。2日間を通しても有数の名場面だったのではないだろうか。
ラストスパートとして「Honesty」をエネルギッシュに奏で、本編の締めくくりとして「Movie」をドロップ。この場所を守り続けるんだと自らの背筋を伸ばすように鳴らしていくのだ。
大きなクラップでステージへ呼び戻されると、庵原が「Crossfaithが活動休止の間はオレがやります」と宣言し、ハイボール缶のプルタブを引く音をマイクにディレイをかけて拾わせる。仲間を想う粋な行動にオーディエンスは拍手を贈り、心温まるムードの中、フィナーレ感を増幅させる「Wake Up Call」、長崎の童謡「でんでらりゅう」を引用した「Knockin’ on the door」と続け、「バイバイ! また来年会いましょう!」と庵原が告げて「submarine」。劇的な勢いで駆け抜けていった。
オールスタンディングに戻り、長崎という土地柄もより色濃くなったBLAZE UP NAGASAKI 2022。駆けつけた参加者にとって、他のフェスとはひと味違う体験ができたのではないだろうか。開催自体、簡単なことではないし、コロナ禍もまだ抜けきれているわけではなく、楽観視できるような状況ではない。ただ、来年もまた、という気持ちを多くの人たちが共有したことは間違いない。大いなる期待を込めて、また来年、この地に集まりましょう。
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BLAZE UP NAGASAKI HP