COUNTRY YARD “Anywhere, Everywhere Tour” LIVE REPORT!!
Report by Chie Kobayashi
Photo by SUKE/S☆PRESSO
2022.12.18
COUNTRY YARD “Anywhere, Everywhere Tour” @渋谷WWW X
まるで節目のようなライブだった。バンドのこれまでを振り返り、充実しつつも、未来への光を感じさせる。それだけCOUNTRY YARDにとって、5枚目のフルアルバム「Anywhere, Everywhere」が大きいものなのだ。
ツアーファイナルの会場は渋谷WWW X。ステージ後方にはジャケットのアートワークが飾られ、ライブの幕開けを待ち構える。暗転すると、照明でアートワークが明るく照らし出され、Yu-ki Miyamoto(Gt, Cho)、Hayato Mochizuki(Gt, Cho)、Shunichi Asanuma(Dr)、Keisaku “Sit” Matsu-ura(Ba, Vo)がステージに登場。アルバム収録曲「Strawberry Days」でライブの口火を切った。アルバムの1曲目でもなく、疾走感あふれる楽曲でもなく、サイケな楽曲でライブを始めるのが今のCOUNTRY YARDのモードなのだろう。そして、この曲はSitいわく、心が燃えている赤や、争いの赤を表しているという。さまざまな燃えたぎる想いを示したあと、Sitが「COUNTRY YARD、ワンマン始めます」と宣言し、バンドは「River」「Where Are You Now?」とアルバム収録曲を連投し、「Anywhere, Everywhere」の世界へと誘っていく。
コロナ禍で音楽やバンドと改めて向き合ったという4人は、4人でステージに立てる喜びや、ライブができる喜びを心の底から喜んでいるのだろう。「One By One」の演奏前には、Shunが自身のキックのリズムにあわせて声を上げ、その様子を3人も笑顔で見守るなど、この日4人は終始、上機嫌だった。
「In Your Room」でさらに一段階テンションを引き上げられるフロアを見て、まさにCOUNTRY YARDの音楽が、本来のライブハウスに連れてきてくれたんだなぁなどと感慨深くもなってしまう。かと思えば、「Umi」では芳醇なサウンドでどっぷりと海底へ。COUNTRY YARDのライブは本当に自由で壮大で雄弁だ。
「Umi」の演奏後、Sitが「俺、今、COUNTRY YARDついにここまできたのかって思ったわ。町田SDRの初ライブとか思い出したわ。あのときこれできなくて当たり前だわ。この14年とか15年に感謝してぇ。マジ最高にカッケーわ、今」と笑った。そしてその次に選曲されたのは「Life」。Sitはその直前「Umi」で「あのときこれできなくて当たり前だわ」と話していたけれど、「Life」もきっと“今の”COUNTRY YARDだからこそ生み出せた楽曲だろう。
さらにMiyamotoが「来年で15周年」と振り返り始める。ツアー中、福岡からの帰り道に1stアルバムから順に聞いて歴史をさかのぼったといい、「『Anywhere, Everywhere』までたどり着いたときに、今の、この4人でやっている充実感を感じられました。バンドって友達であって友達でないし、仕事でもないし、同級生でもなければ家族でもなくてすごく不思議な間柄なんだよね。だからムカつくこともあるし。でもShunちゃんが入って4年くらい経って、ここからまたスタートみたいな。おじさんなんだけど青春をめっちゃ感じる」と、COUNTRY YARDへの想いを真摯に述べる。するとSitも「このアルバムは歩んできたそのままなんだよね。全部が自分たちの思い通りにいかないときもあるけど、やっぱりこれが正解なんだなって思うんだよ」と噛み締めた。そしてコロナ禍真っ只中の2021年3月にリリースした「Alarm」、コロナ禍での混乱の中でのバンドの想いを歌った「Two Years」を続ける。まさに「歩んできたそのまま」だ。
終盤には「Ghost From The Last Train」をライブ初披露。80年代のUKロックの影響を大きく受けた楽曲と当人たちも話していた通り、これもまた現在のCOUNTRY YARDのモードがまっすぐに出たナンバー。骨太なビート、浮遊感あるギターフレーズとコーラスで、楽曲の持つメッセージを彩った。
「Quark」「Starry Night」とキラーチューンが続けられたのち、本編を締めくくったのは「Dokoka」。サビで歌われるのは<どこか深く夢中で磨く歩幅探してた その多くが“現在に辿り着け”って言うようにさ 道をあける>というフレーズ。この日のライブで彼らが、演奏で見せてくれたバンドの歴史や変化、成長をそのまま写しだすようで、まるでエンドロールのようなラストナンバーだった。
アンコールでは「みんなが聴きたい曲かはわからないけど、自分たちが演奏したい曲を」と言い、「Seven Years Made My Now」「Far Flower」「Don't Worry,We Can Recover」の3曲を投下。言わずもがな、“みんなが聴きたい曲”でもあったのは明白で、熱狂と興奮に包まれる中、ライブの幕は降ろされた。
終盤のMCでSitが「俺たちは昔に戻るとかそういうこともよりも、次のページをめくりたくて必死でした。で、めくることができたんだよね。そのめくったページを今みんなは見ててさ。小さい頃みんなで図鑑とか見てたじゃん。ああいう感じで次のページめくっていったら面白いんじゃねえの?あいつがどうとかそういう文句よりも、『次のページやばくね?』とか言ってるほうが面白くね? 隣の奴がどうとかどうでもよくね?うれしいこと楽しいことやべーことかっけーこと、どんどん撒き散らしていきたいです」と言っていたが、まさにこの日のライブは、みんなで「今のCOUNTRY YARDやべー!」と共有したくなる、そんなライブだった。COUNTRY YARDは来年15周年を迎える。この先のページも、さらに楽しみだ。
セットリスト
01. Strawberry Days
02. River
03. Where Are You Now?
04. I'll Be With You
05. Passion
06. One By One
07. In Your Room
08. Umi
09. Life
10. Long Way Around
11. Mountain Path
12. Tonight
13. Alarm
14. Two Years
15. Alternative Hearts
16. Orb
17. Smiles For Miles
18. Ghost From The Last Train
19. Quark
20. Starry Night
21. Dokoka
アンコール
01. Seven Years Made My Now
02. Far Flower
03. Don't Worry,We Can Recover
COUNTRY YARD "Anywhere,Everywhere" INTERVIEW!! | SATANIC ENT.