LIVE REPORT

Report by ヤコウリュウジ
Photo by Taka"nekoze photo" / Yoshifumi Shimizu

2024.4.6 @幕張メッセイベントホール
The BONEZ 10th Anniversary Tour 47 AREAS Grand Finale "SUNTOWN" 

 

どこを切り取っても熱く、温かく、生命力が溢れ出すライヴだった。The BONEZが結成10周年を記念した47都道府県ツアーの最終公演であり、バンド史上最大規模のワンマンとなった幕張メッセイベントホール。そう感じる要素はいくつも折り重なっているのだが、ライヴ中だけでなく帰路につく道中にも残る、それだけでは説明がつかないような多幸感に満ちていたのだ。

この特別な1日を盛りたてようと、エントラスから入ってすぐのところにフォトブースが設置されていたり、Black Flys、MAKAVELIC、AMERICAN SOCKSといったブランドのブースが出店されていたり、BAYDECKが「SUNTOWN」スペシャルフードを提供していたり、The BONEZを取り巻くカルチャーが大集結。The BONEZというバンドの生き様が体感できるような形はこの日ならでは。1Fにはお馴染みの機材車も一緒に記念写真が撮れるように停めてあるのもニヤリとさせられてしまった。

フロアへ足を踏み入れれば、ステージ前方ブロックはTシャツ自体がチケットという試みによって、お揃いのTシャツに身を包んだBONER(ファンの総称)で埋め尽くされているという、テンションしかアガらない状況が飛び込んでくる。もちろん、後方ブロックもスタンド席もビッシリと埋まっており、開演前から気持ちの高まりを押さえきれないほどあった。

そして、定刻となり、これまでの軌跡を振り返る映像が流れ出すとBONERは大熱狂。この瞬間を待っていたんだと大きな声を上げ、JESSE(Vo/G)、T$UYO$HI(Ba)、ZAX(Dr)、KOKI(G)を盛大に迎え入れる。とんでもない興奮が渦巻く中、まずは「It's time to let go」を放っていくが、ZAXの躍動するドラミングからその勢いが凄まじい。ステージに向けられている愛情を何倍にもして返そうとする姿勢。T$UYO$HIも遠くまで視線を飛ばし、KOKIもグッと前のめりになってギターをかき鳴らす。「行くぞ！」と先導しながら高らかな歌声を飛ばすJESSEも流石。温かく力強いThe BONEZのサウンドとスタンスが爆発していくのだ。

もちろん、まだまだスタートダッシュを決めたのか、決めようかとしている段階。だが、太陽のように輝くステージから溢れ出る凄まじいエネルギーで幕張メッセが覆い尽くされていく。快活でハリのある「You and I」、ナチュラルにコール＆レスポンスが起こった「GIMCRACK」と続き、その勢いが止まらない。

「ちょっと待って！ お前ら、(会場が)パンパンやないかー！」とZAXと大声を上げ、「この日をどれだけ待ったか。ひとつのバンドが夢を叶える瞬間、ぜひ観ていってください」とJESSEが呼びかけて始まったのが「Numb」。全身全霊でBONERの気持ちの開放を促すように、誰も置いていかないんだというメッセージを伝えるように、T$UYO$HIも広いステージの端まで動きながらプレイ。KOKIのリフで大歓声が生まれた「Louder」では会場中からとんでもないコールも起こりつつも「まだそんなもんか！」とJESSEが煽っていったが、それはこの10年で築き上げた信頼があるからこそ。当然、負けるもんかとステージへ向けて絶叫するBONERの姿も実に頼もしかった。

JESSEが「オレはもっとそっちまで行きたいんだ！」とアリーナに飛び込むだけにとどまらず、その中央までかき分けて進み、会場全体を引っ張った「Adam & Eve」の後は、珠玉の名曲をギュッと詰め込んだメドレーを披露。ジャンルレスでハイブリッドな曲を一気に堪能できる嬉しさもあり、BONERが思いを馳せる曲を少しでも多く披露したい、という心意気も感じられる一幕であった。

ステージとフロアがより連動した空気の中、ここでJESSEが改めて各地から駆けつけてくれたBONERへ謝辞と決意を述べ、「このバンドはひとりの死から始まった。決して楽しい始まり方じゃなかったし。人の死って、9.9割、悲しさしかないけど、Kに関しては0.1%だけいいことがあるのを証明する為に走ってきた」と想いを口にする。「もう生きてたくないかもって思う人、ここだけじゃないぜ、オレらずっと見せるから。目に見えないモノ、感じていってください」と続けた後に鳴らした「Sun forever」はいつまでも心から離れないシーンのひとつ。ひとつひとつの音を丁寧に紡ぎ、情熱的に歌を乗せていく。雲間から光が射すような優しさがたまらない。

中盤戦に入っても熱狂はとどまることを知らず、輝かしいロックチューン「Remember」、JESSEのタイトルコールとイントロでぶちアガった「Friends」、ZAXがクラップを誘い、さらに一体感を高めてスタジアム級のスケール感じさせた「For You」と連投していき、スペーシーな匂いがしつつもThe BONEZらしい温もりで生き抜くこと、そして輪廻転生を歌う「LIFE」へ。紙吹雪がはらはらと舞い散っていく演出、クライマックスでのBONREの大コーラスも相まって、フワッと心も身体も軽くなる瞬間を生み出してくれた。

また、メンバーひとりひとりがこの日の感謝を話していったのもワンマンならではであろう。「1曲目で出てきたときから感動が止まらなくて」とこぼし、47都道府県ツアーを完遂できた嬉しさ、ZUZUとNAKAというThe BONEZを支えたギタリストへの敬意を評したKOKI、ありがとうしかないと言いつつもひとつだけという前置きから「KOKI、JESSE、つよぽん……大好きでーす！」と絶叫したZAX、260人というスタッフが自分たちだけの為に設営してくれている様子を見てスイッチが入り、「めちゃくちゃ幸せです。バンドはスタッフもそうだけどみんなもいないとできないから、これからもよろしくね！」と感慨深そうに語ったT$UYO$HI。この日の意味を噛みしめるには十分すぎる言葉の数々だったはず。

「飛ぶ準備できてますか？」とJESSEが焚きつけ、音も言葉もすべてぶつけようと前のめりに繰り出した「We are The BONEZ」、まだまだ行くぞと踏み出した「Love Song」の後、まだまだこんなパワーがあるのかと驚かされたのが「Rusted Car」。モッシュもダイブも何でもアリなフロア、そこに降り注ぐ鮮烈なサウンド。ポジティブさが極まったウォール・オブ・デスの「New Original」も強烈だった。

ライヴも終盤戦に入り、「（曲を）始めたくない」とJESSEがこぼす場面もあったが、The BONEZから後ろ向きなバイブスが発せられることはない。汗も涙もグチャグチャになる狂乱が生きがいなBONERもじっくり曲を噛み締めたいBONERも共存できる空間を作っていく、ライヴハウスという文化を守っていくという宣言から「Leaf」を繰り出せば、会場はこれまで以上に自由なムードになっていく。巨大なサークルピットも生まれた「Place of Fire」では、声を振り絞るBONERもいれば、拳をグッと握りしめて聴き入るBONERもいたり、それぞれのスタイルで想いを重ねていく姿。能登半島へ向けて、とJESSEが呼びかけてプレイした「Thread & Needle」も本当にいいムードを醸し出していた。

本編ラストはThe BONEZの代名詞ともなった「SUNTOWN」。何度聴いても心が熱くなる曲だ。「オレらのこの街、オレだけじゃ守れねえから、一緒に守っていってください。次の代も、その次の代も、SUNTOWNは永久不滅なんでよろしくお願いします！」というJESSEの呼びかけ、会場にいるすべての人の想いを投影するように舞い上がった金テープ、BONERの笑顔や歌声が合わさった「SUNTOWN」は何倍にも何十倍にもパワーが増幅されていた。

感動的なエンディングではありながらも、もう少しこの時間を、というBONERのコールに応えるようにスクリーンに「重大発表」との文字が踊り、何があるのかと待ち構えていたところへ「特にありません(笑)」と映し出すユーモアで緩ませてからのアンコールは最後の力をまさに振り絞っていく。ここからまた新たな景色を目指すという決意表明とも受け取れる「That Song」から豪速球ナンバー「Zenith」、名残惜しさを見せつつもしっかりと前を見据えて「Hey, You」をプレイ。拳をフロアへ向けて突き出し「オレらに夢を与えてくれてありがとう！」と叫んだJESSE。その姿がこの日の素晴らしさをすべてを物語っていた。

 

The BONEZ official website
https://thebonez.com/