SATANIC PARTY 2024開催直前対談:RYO[Knosis]×masa[View From The Soyuz]
10月27日にSpotify O-EAST & duo MUSIC EXCHANGEで開催される『SATANIC PARTY 2024』。今回のサタパにおいて、もっともフィジカルで、もっともプリミティブで、もっともフェティッシュな2バンドでもある、KnosisとView From The Soyuzのフロントマンに、現在のハードコア、メタルコアのシーンとサタパについて話し合ってもらった。
Text by Ryo Tajima(DMRT)
RYO
2023年にスタートしたプロジェクト、Knosisのフロントマン。今年の9月にアメリカのレーベルSHARPTONE RECORDSと契約。9月27日に花冷え。をフィーチャーした楽曲「FUHAI」をリリース。
https://linktr.ee/knosisofficial
masa
2021年にスタートした東京拠点のハードコアバンド、View From The Soyuzのフロントマン。次世代のシーンを担う最右翼若手バンドとして、ハードコアやメタルシーンに限らず、各地から注目を集めている。
https://viewfromthesoyuz.com/
上も下も関係なく全員でシーンを盛り上げていこうって感じなんですよ
ーmasa
同じ時代に同じシーンで活動する仲間として見てくれるのが新鮮に感じます
ーRYO
ーKnosisとView From The Soyuzですが、対バンの経験はありますか?
RYO:はい、去年の5月にエイジアで開催されたイベントで一緒でしたね。ジャンルミックスなイベントだったんですけど、今日はそれ以来です。
※2023年5月に渋谷のclubasiaで開催された『FALLING ASLEEP × LIFE is SAMPLING pre. INNER CITY』にて初対バン
masa:そうですね。そのイベントで初めてお話させていただきました。
ーmasaさんから見て、Knosisはどんな存在ですか?
masa:自分から見ると、Knosisは最先端を貫いているイメージが強いです。メタルとハードコアを基軸にしながらも電子音を巧みに取り入れつつ、歌詞も英語と日本語をミックスさせて、まったく新しい音楽を表現しているように感じます。ネクストステージというか、これまでとはまったく違うところを目指しているのかなって、勝手に解釈していました。
RYO:ありがとうございます、まったくもってその通りです。自分から見ると、View From The Soyuz(以下、View)は今の時代に出るべくして出てきたバンドだなと思っていて。Viewも歌詞は日本語と英語もミックスだし、サウンドも昔のメタルやハードコアの要素を取り入れて、日本における新時代のエクストリームミュージックを表現していると思っています。
ー2人とも、昔からハードコアやラウドシーンの現場にいたと思うんですが、自分たちがいる今のシーンについてどう感じていますか?
masa:10年ほど前、僕がお客さんとして通っていた時代に比べて、すごく下の世代をフックアップする感じが、いろんなバンドに見られると感じています。先輩も後輩も、いろんなバンドがお互いの立ち位置を踏まえたうえで、同じ目線で関わり合って、縦も横も大きくしていこうとする力をすごく感じますね。こうしてSATANIC PARTYが僕らのことを呼んでくれましたし、これからもバンドの世界がどんどん広がっていきそうだと感じています。
RYO:特に若い世代は自由に活動していると見ていて思います。その自由度が楽曲にも反映されているし、masaの周辺にいるハードコアシーンの次世代のバンドたちは先輩も巻き込んで一緒に新しいものを作ろうとするエネルギーをすごく感じますね。
masa:それこそRYOさんもそうなんですけど、今まで自分がフロアからライブを観ていたバンドから認知されるようになって、声をかけてもらう機会が、この1、2年増えてきました。そこで自分たちとフラットにお話していただけるので、そうなると、もう上も下も関係なく、とにかく1つになってガーッと盛り上げていこうぜ! みたいな感覚になるんです(笑)。
RYO:うん、だから自分的にも世代感をあまり感じなくなったんですよね。変な対抗心や排他的な考え方を抜きにして、今の若手バンドマンたちは、自分のことを、同じ時代に同じシーンで活動する、いちミュージシャンとして見てくれるように感じるんですよ。そんな風に仲間のような感覚で見てくれるという視点が、すごく新鮮に感じます。
masa:RYOさんが仰るように、自分らの周りは友達同士、全国のハードコアバンド同士で繋がって一緒にシーンを盛り上げていこうぜって感覚は強いですね。もちろん、ハードコア同士で固まったライブも多いですけど、そこで仲を深めたバンドと、まったく違うジャンルのクロスオーバーイベントに出演したりすることもあって、そこで自分たちの成長を感じたり、逆に『先輩に負けちゃったな……』って感じることあったり。そういうことも含めて、すごく楽しいと感じています。
RYO:みんなで集まって、しっかりとシーンを作っている光景っていうのは、自分からすると純粋にうらやましいんですよ。なんだか、シンプルにジェラシーを感じる(笑)。思い返してみれば、自分がmasaくらいの頃にも、全国のバンドと繋がって、みんなでやっていけばよかったんじゃなかったのかな、なんて思っちゃりするほど、今のシーンはいい感じですね。
ー最近では、ハードコアやメタルなど、これまでアンダーグラウンドとされてきたライブハウスのシーンにも注目が集まり、メディアがピックアップしたりなど、トレンドめいた熱も感じます。その辺りについて、何か実感するものはありますか?
masa:流行りはわからないんですけど、“のっている”状態だなって感覚は少なからずありますね。コロナ禍が明け、ライブハウスに自由に出入りできるようになり、お客さんがお客さんを呼んでどんどん人が増え、それが新たな刺激となって、コミュニティがバーっと広がっていくのを体感してきた数年間でした。そんな今、僕らが仲間のバンドマンと言い合っていることは、「いつか熱が冷めるときがくるから、それをどうやって絶やさないようにするかだよね」ってことなんです。2015〜2020年にかけて、全世界的にメタルコアがムーブメントになっていったのは、僕も感じていました。それをきっかけに、2020年以降から徐々にハードコアシーンにも勢いが出てきて、国内でも若い層がどんどん出てきた流れがあって、今の盛り上がりにつながっていると思うので、僕らもこの熱を絶やさないように活動していきたいと思っています。
RYO:masaが言うように、メタルコアがメインストリームになるというサイクルを経て、今また新しいサイクルが始まろうとしているんだなって感覚は自分も感じますね。そこれこそ、メタルコアがムーブメントになっていく始まりの時期に、自分は最前線で活動をして、シーンを大きくしていきながら、時代のうねりを目の当たりにしてきたんですよ。今、その時代感の中心にViewがいるんだろうし、だからこその勢いを感じる。よりリアリティを求めたオーディエンスはハードコアシーンに刺激を求めて、ライブハウスに通うようになっている。そんな状況なんだと思います。だから、繰り返しになりますけど、見ていて本当に面白いです。
今回の注目はトップシークレットマン!
ーRYO, masa
ー今回のSATANIC PARTYはシーンごちゃ混ぜ、かなりのジャンルクロスオーバーイベントでもありますが、楽しみにしているバンドはいますか?
RYO:個人的にはトップシークレットマン。以前からSNSやYouTubeなどで名前を知っていたんですけど、現代の神聖かまってちゃん的なサブカル感とアングラ感を感じるというか。同時に、ハードコア的な爆発力もある独特なバンドだと思うので楽しみです。
ートップシークレットマンはすごく次世代感を感じるバンドの1つですよね。
RYO:めちゃめちゃ感じます。突然変異感も感じるし、こういうバンドが活動しているのを見ると、ああ、10代に戻りたいな、なんて思っちゃったりします(笑)。10代で、これを生で体感したら、すごく人生が変わるだろうなって。そう思うほどに、すごく楽しみにしています。
masa:今回の対談があるということは、この質問をされるんだろうなって思って考えていたんですけど……。僕もトップシークレットマンですね。
RYO:そうなんだ!(笑)。
masa:僕らよりも年齢が下だと思うんですけど、RYOさんが言うように、神聖かまってちゃん的なサブカル感と青春パンク感、そこにノイズミュージックとヒップホップ、いろんな要素が1つにまとまって初期衝動を感じるので、どんなライブをするのかすごく楽しみです。あと、個人的にはSee You Smile。1年以上前から、「今度一緒にやろうね」って話をし続けてきて、今回一緒にできるのですごく楽しみです。彼らはすごくピースなライブをするので。僕らもある意味ピースなんですけど、アプローチは真逆ですから(笑)。楽しみにしています。
ー最後に、お互いに聞きたいことはありますか?
masa:今、Knosisは音源を制作したりしているんですか?
RYO:ちょうど、アルバムを制作中で来年の早い段階でリリースできればいいなと。自分たちは、どっちかというと、メインストリームに至ったメタルコアの再解釈的な音楽をやっていて、音楽の間口を広げて、エクストリーム感と新しさをミックスさせようとしているんですよ。メタルコアを使って、そのシーンに対するカウンターになるっていうのが個人的な目標で、Viewの世代とは違う新しさを表現していきたいなと思っているんですよ。
masa:めちゃくちゃ楽しみにしています!
RYO:Viewはバンドとしては今後どうしていきたいと考えてるんですか? そういう夢を聞きたいです。
masa:ひと言で言ってしまうと、なるべく大きいとこでやりたいっていうのが目標なんです。僕らはオールドスクールなメタルやハードコアをリスペクトして楽曲を作っているんですけど、この音楽性を変えずに大きい場所に立ちたいってことを考えていますね。どうしても、僕らみたいな音楽はメインストリームになりにくいと思うんですけど、それは、単純にこういう音楽がメインストリームに流れていないだけだって思うんですよね。フェスなどで知らない人が聴いて体感したら、「これ、よくね?」ってなるんじゃないかって。それこそ、僕が学生の頃に、SATANIC CARNIVALでSANDやPALMを観て食らったように。それがきかっけでメタルやハードコアに没頭していって、今こうしてバンドをやっているという現状があるので、多くの人に認知されるためにも、大きなステージに立ちたいと考えています。
RYO:うん、素晴らしいです。海外でもKnocked Looseだったりが、スタイルを変えずにどんどんビッグになっている現状があるし、現実的に可能性があると思いますね。Viewも海外からの注目はすごいし、実際に海外の現場でViewの話題になることもあるので、早く海外ツアーを組んでほしいです。
masa:めちゃくちゃ頑張ります!
SATANIC PARTY 2024