LIVE REPORT

FOMARE大陸2024 DAY2 LIVE REPORT!!

Report by Chie Kobayashi
Photo by 橋本塁

FOMARE主催のライブイベント「FOMARE大陸」が10月5、6日にGメッセ群馬にて開催された。2年に1度開催されるFOMARE大陸。二度目の開催となった今回は、前回よりパワーアップし2DAYS開催となった。ここではDAYS2の模様をレポートする。


2024.10.6 @Gメッセ群馬
FOMARE大陸2024

この日も開演前にFOMAREメンバーが登場。注意事項などをアナウンスしたあと、アマダシンスケ(Vo, Ba)が「“昨日より”とかじゃなくて、今日は今日なりのFOMARE大陸を作れたら」とFOMARE大陸初の“DAY2”への思いを語って、トップバッターのヤバイTシャツ屋さんへつないだ。

 

実は、ヤバイTシャツ屋さんは開演前のリハーサルのあと、「みんなこの時間何してるの? アプリ?」と話しかけて早々に入場してライブを待つお客さんの時間も楽しませていた。根っからのエンターテイナーだ。そんな彼らが朝イチに集まったパーティーピーポーを盛り上げられないはずはなく。「知ってる人も知らない人も知ってるふりして楽しんで」と声をかけ、会場みんなが「キッス!キッス!」と盛り上がる「ハッピーウェディング前ソング」をはじめとするバラエティー豊かなライブアンセムを続け、まだイベントが始まったばかりで遠慮がちだった観客を一気にライブモードにしていく。こやまたくやは「FOMARE大陸」について「後輩がこんなすごいイベントをやっているのは気に食わへんな(笑)」と天邪鬼っぷりを見せて愛情たっぷりに喜びを語っていたが、「喜志駅周辺なんもない」ではコール&レスポンスで「FOMARE、めちゃくちゃカッコいい」と言ったり、最後のサビの歌詞をFOMAREの「愛する人」に替えたりと、随所にFOMAREへのリスペクトを示していた。

 

続いて登場したのは群馬の先輩・G-FREAK FACTORY。2週間前の山人音楽祭でFOMAREから受け取ったバトンを、同じ群馬開催のFOMARE大陸に持ってきた形だ。バンドはさっそくライブアンセム「Too oLD To KNoW」を投下。ヤバイTシャツ屋さんが心の扉を開けてくれたのなら、G-FREAK FACTORYはそこにブッ刺してくる。FOMAREの群馬の先輩である茂木洋晃(Vo)は「ここ群馬で活動してきたことはもしかしたら間違いじゃねえんかなって思うことがあった」と回想し、でもFOMAREと出会って、若い群馬のバンドたちとの輪が広がっていったと言い「数年前までは嫌いになりそうだったこの町が、なんか楽しそうな街になっている」「気がついたら群馬で音楽やってきてよかったなって思える瞬間がどんどん増えていく」とうれしそうに話す。また「このままじゃ終われねえなって思ってる。それを20代のあいつらが教えてくれた」とFOMAREの存在が群馬にとっても、G-FREAK FACTORYにとっても大きなものになっていることを明かした。そんな思いを明かしたあと、ラストに演奏された「らしくあれと」ではアマダが登場。茂木とアマダがうれしそうに顔を見合わせながら、<そこに愛さえあれば大丈夫さ>と歌う姿は実に頼もしかった。

 

尾崎世界観(Vo, Gt)がマイクを手に取り、一息で「ナイトオンザプラネット」の一節をアカペラで歌い出す。じっと息を飲んでステージを見守る観客。浮遊感のあるギターが曲を進める。クリープハイプのステージの始まりだ。その後も1曲ずつ暗転し、そのたびにさまざまな物語を見せるように「キケンナアソビ」や「グレーマンのせいにする」を届けていく。FOMAREについては「フェスとかでもほとんど誰も楽屋に来ないんだけど、FOMAREはよく来てくれて。邪魔なときもあるけど(笑)、基本的にはうれしく思っています」と尾崎らしい言葉選びで愛情を示す。また「ラブホテル」の曲中には「昔、高崎でライブをしたときにギリギリにメンバーが到着し、ライブ後メンバーが喧嘩をしていた」という高崎の街にまつわる思い出も語り、群馬へのリスペクトも欠かさない(その後、時間が足りなくなり「ギリギリにきて喧嘩してたバンドの話しなきゃよかった」と後悔していたけれど)。「栞」の演奏前、尾崎が「本当にありがとう。またぜひ対バンしてください」と言っていた。そう、FOMAREとクリープハイプはライブハウスでの対バンはこれまでないのだ。いつか対バンが叶う日を楽しみにしたい。そのときはFOMAREメンバーが喧嘩しないことを願う。

 

続くは、地元・長崎に根差し活動をしているSHANK。ベースボーカル、ギター、ドラムという構成も、なんなら3人の立ち位置もFOMAREと同じ。FOMAREが彼らに影響を受けているということは一目瞭然だ。一方のSHANKからFOMAREへの気持ちはといえば、前日札幌でのライブを行なっていた彼らが、翌日群馬に駆けつけるというスケジュールを組んだことから、これまた一目瞭然。その理由について庵原は「親愛なるFOMAREに呼ばれたので」とさらり。「スカバンド枠として踊らせていきたい」と言うと、「Set the fire」や「MONKEY FUCK」「620」などを連投していく。途中で「時間がない!」と焦り「群馬の皆さんとFOMAREの未来に幸多からんことを祈っております、あとKUZIRAも」とまたさらりと、友達へのエールも込めて「Wake Up Call」を送る。すると逆に3分余っていると言い、「やろう」(庵原)、「どっちを?」(松崎)、「どっちも!」(庵原)という、聞いているだけでうれしくなるようなやりとりののち「Cigar Store」「submarine」のどちらもを叩き込んでステージを降りた。

 

トリ前はFOMAREが敬愛しているMONGOL800。「『FOMARE大陸』、遊びましょー!」との声から「あなたに」が高崎に響き渡る。「DONʼT WORRY BE HAPPY」ではホーン隊とダンサーの“粒さん”こと粒マスタード安次嶺も登場し、会場はすっかり賑やかな雰囲気に包まれた。「小さな恋のうた」では、ブレイクになるとキヨサク(Vo, Ba)が「続き歌ってもらってもいいですか? FOMAREのシンスケー」とアマダを呼びこむ。アマダは「いいんですか!? こんないいところ俺が歌っちゃって」と言いながら登場し、MONGOL800の演奏に乗せて<夢ならば覚めないで あなたと過ごした時 永遠の星となる>と歌う。沖縄のバンド・MONGOL800に憧れてバンドを始めた群馬の少年が、自分のバンド主催のフェスのMONGOL800のステージで歌う。こんな夢みたいなことがあるのか。でもこれは夢じゃなくて、誰かに与えられたご褒美でもなくて、間違いなく、FOMAREが自分たちで手繰り寄せた未来、覚めない夢なのだ。MONGOL800はそんなFOMAREへとバトンを渡すため、粒さんによるダンスタイムからメンバー全員でパラパラを踊ったり、「TRY ME ~私を信じて~」「少年時代」をカバーしたりと、老若男女を楽しませるライブで場内をさらに温めた。

 

いよいよ大トリ、FOMAREの出番だ。この日のSEは、いつもの「雨の日も風の日も」ではなく、以前使用していたNeck Deepの「Can't Kick Up the Roots」。そしてアマダが「行けんのかー!」と焚き付けると、3人は勢いよく、初期からの人気曲「風」でライブをスタートさせる。さらに「Grey」「wave」と、パンキッシュなナンバーを続け、バンドのルーツがポップパンクやメロディックパンクにあることを全面に打ち出していった。さらに自身のルーツであるMONGOL800の「face to face」のカバーに入ろうとするも、アマダが歌詞を飛ばしてしまい、やり直しに。アマダは「MONGOL800のあとに『face to face』をやっているんだなとか考えたら全部飛んじゃった」と弁明。真剣に謝罪し、再度丁寧にカバーをし直した。

MCでは、アマダが下見から「FOMARE大陸」を振り返り感慨深くなる一方で、オグラユウタ(Dr, Cho)は「本当に2日間ありがとうございました! 本当に最高の景色です!」、カマタリョウガ(Gt, Cho)は「おかげさまでカレーめちゃめちゃ売れました!ありがとうございました!」と、それぞれ個性豊かな言葉選びで感謝を伝える。そしてアマダが「しんみりしちゃいそうなんで曲やります」と切り替えると、バンドはさらに「新しい歌」を続けて、再び場内を盛り上げた。サビで<誰にも奪われたく無いこの夜空に光る僕達よ>と歌う「REMEMBER」ではスマホのライトがフロアいっぱいに広がり、まるで夜空のような幻想的な空間に。

さらに2017年にリリースされた1stシングルの表題曲「stay with me」や、「ライブではたまにしかやらない」という「One Day」など、ロングセットならではのセットリストが展開されていく。性急な楽曲が多かったこの日のライブだが、一息おくと、ここでミディアムチューン「タバコ」へ。オグラのずっしりとしたドラムに乗せて、アマダは声を枯らしながら歌唱。カマタのギターもひときわエモーショナルに響き渡る。<いつまで経っても僕はここで歌っているよ><僕なりの僕であなたに歌を歌うよ>という自身の決意とも取れる想いを、しっかり高崎の地に響かせた。本編ラストは「愛する人」でピースフルに締めくくる。アンコールは「夕暮れ」。<都会でも田舎でもない俺の地元・高崎も 悪くは無いけどね>と替え、高崎への想いに満ちたイベントを締め括った。

 

この日のMCで、アマダは「FOMARE大陸は“主催フェス”って言ってるんですけど、デカいライブハウスを貸し切って対バンイベントをやっているような感覚でできている」とその手応えを語り、「これからも群馬で自分たちができることをして、みんなの遊びを守りたい」と、強い意志を見せていた。FOMAREがトリビュートアルバムでカバーし、この日のステージでも披露した、MONGOL800「face to face」に、こんな一節がある。<偶然にしないで 出会えたことを 距離も時間も超えて つながってる>。MONGOL800に憧れてバンドを始めたFOMAREが、自主イベントで群馬にMONGOL800を呼び、ステージではコラボやカバーなどを披露した。その一方で「FOMARE大陸」会場には、FOMAREメンバーがよく行っていたという楽器屋の協力で、楽器演奏ブースが用意された。その意図を説明する際、メンバーは「いつか、そのブースで演奏していたバンドがFOMARE大陸のステージに立ってくれたら」と夢を膨らませていた。それが夢で終わらないかもしれないことを、彼らは身をもって知っている。距離も時間も超えてつながれるということを、彼らは自分たちの音楽で証明したのだ。だからこそ、群馬のライブハウスやライブシーンを背負っているという自覚も強く持っている。2年後、さらにその次の2年後……FOMARE大陸の未来のステージが、さらに楽しみになった2日間だった。


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