LIVE REPORT

FOMARE大陸2024 DAY1 LIVE REPORT!!

Report by Chie Kobayashi
Photo by 橋本塁

 

FOMARE主催のライブイベント「FOMARE大陸」が10月5、6日にGメッセ群馬にて開催された。2年に1度開催されるFOMARE大陸。二度目の開催となった今回は、前回よりパワーアップし2DAYS開催となった。この記事では5日に行われたDAY1の模様をレポートする。

 

2024.10.5 @Gメッセ群馬
FOMARE大陸2024

開演前にはFOMAREメンバーと群馬県のマスコット・ぐんまちゃんが登場。大歓声に包まれた会場をゆっくりと見渡し、カマタリョウガ(Gt, Cho)が「朝からめっちゃいい感じじゃん!」と笑顔を見せる。アマダシンスケ(Vo, Ba)は初日のチケットがソールドアウトしたことに触れ「高崎でこの規模をソールドアウトなんてマジで半端じゃないこと」と喜び、イベントの幕を開けた。

 

一番手を務めたのはハルカミライ。彼らは前回の「FOMARE大陸」でもトップバッターを務めた。橋本学(Vo)は「朝が早い(笑)」と笑いながらも、「どうやらFOMAREは俺たちハルカミライにFOMARE大陸で最初に音を鳴らしてほしいらしい、ってことなら朝が早いとか眠いとか言ってらんねえっすね!」と気合を入れて、「ファイト!!」や「春のテーマ」を次々と叩き込んでいった。「誰にせよなんにせよ、やらかしちゃったら、おもいっくそ反省してまた帰ってきて、またみんなで揃ってライブしよう」と誰へとは言わずとも言葉を贈ったり、ステージにどかっと腰掛けて「俺のためにこのフェスが存在している、すべては俺のため、くらいに思っといていいと思うよ。それが音楽のいいところだから」と言って「世界を終わらせて」へ入ったりと、連日のニュースによりバンドシーンを取り巻いていた嫌な空気を、軽快に蹴り飛ばすような言葉を一つ一つおいて言ってくれる。さらに「2週間前も山人音楽祭で群馬に来て、今日ここに来て。いわゆる地方って呼ばれている場所で、バンド主催のフェスが2つもあって。そんな町、他になくない? すごい場所だと思う」と拍手を送ってから、エモーショナルに情景を歌う「October's」を届けて、群馬という街、そしてその群馬に根ざしているFOMAREへのリスペクトを表した。

 

続いては「FOMARE大陸」初出演、そして数日前にアメリカツアーから帰ってきたばかりのHEY-SMITH。彼らは音楽の自由な楽しみ方を提示するように、「Into The Soul」や「Inside Of Me」「California」など、多彩な楽曲群を次々と投下していく。また「やっぱ次の曲はKUZIRAに送るしかないよな。『Don't Worry My Friend』……じゃなくて『Drug Free Japan』!」とキャンセルになったKUZIRAの話題も笑いに変え、さらにはそれをバンドと観客のエネルギーに変えてしまう頼もしさを見せた。アマダが好きだと言うラブソング「The First Love Song」では途中からアマダが登場し、うれしそうに同曲を歌う一幕も。そのままうれしそうにステージをあとにするアマダを見ながら、猪狩が「英語やのに結構覚えてたな(笑)」と声をかける。これがHEY-SMITH流の愛情であり、感謝の気持ちだ。さらに「出会ったときは、FOMAREが作ったこんなヤバいイベントに出ることになるなんて想像もつかなかったな。“群馬の若いバンド”としか思わなかったけど、群馬の最高にヤバいバンドになってこんなイベント持ってくるなんて……最高の気分です!」と賛辞を送ると「I'm In Dream」を届けた。しかしもちろんとドラマチックなムードで終わるわけはなく。「Come back my dog」でしっかりフロアを大暴れさせてそのステージを締めくくった。

 

04 Limited Sazabysは初年度に続き二度目の出演。04 Limited Sazabysの主催フェス「YON FES」にFOMAREが出演するなど、呼び呼ばれ合う関係だ。彼らはGEN(Ba, Vo)の伸びやかなボーカルから「Milestone」でライブをスタート。「ぐんまちゃんと楽屋が隣でテンションが上がった」とゆるいMCで笑わせつつも、前メンバーから高崎でデモを受け取ったとFOMAREとの出会いを振り返り「こんな景色を見せてくれるようになりました。感慨深いです」と語ると<愛故に>と歌う「Every」へ。さらに「My HERO」、キャッチーな「Kitchen」、エモーショナルな「Grasshopper」などを続ける。2度目のMCでも、GENはFOMAREとの思い出を回想。「最初はこんなやつら認めたら終わりだと思ってたんですけど、気付いたら呼んで呼ばれ合う関係になりました」「すげーたくましいバンドになりました」と目を細め「いろんなことがあるけど、こうやって一緒に楽しいことができる生活をできるだけ長く続けたいなと思います」と語ると「Feel」「monolith」をプレイ。さらに時間が余っていることに気づくと「days」を滑り込ませ、持ち時間目一杯めいっぱい楽しんでいった。

 

パンキッシュなバンドが続いていたこの日の空気を、一瞬で変えてしまったのはSaucy Dog。1曲目にバラード「いつか」をチョイスすると、石原慎也(Vo, Gt)のエモーショナルな歌声で会場内を満たした。歌い終えると「俺たちは俺たちのやり方で見せたいと思います」と宣言し、さらにミディアムチューン「シンデレラボーイ」を続けた。MCを挟んだあと、「現在を生きるのだ。」でライブを再開。しっとり聴かせていた序盤から打って変わって、熱量をむき出しにしていく。最近アマダと飲むことが多いという石原は「あいつ、すごいいいやつでさ。すごいチャラそうじゃない? でも先輩に対してとか後輩に対してとか、あんまり分け隔てないっていうか、表裏のないやつで、表裏のないバンドだと思っています。そういうバンドに呼んでもらえてうれしい限りです」と言い「こんな温かいFOMARE大陸の会場、ここにいるあなたに送ります」というと、当初用意していた楽曲から変更することに。その理由を「伝えたいことが変わっちゃったんで」と説明した。その前のMCでこの少し前のMCで盛り上がるフロアをうれしそうに見渡し、「飛んでるやつもさ、なんとなく飛んじゃったみたいに見えてるけどどうなんだろ。それって一番正しい飛び方じゃない?そういうのが見れて俺的には幸せです」と話していた石原。そのことと繋がっているか真意はわからないが「怪物たちよ」を選曲。どこまでもまっすぐなライブでリスナーの心を打った。

 

本来であれば、KUZIRAがライブを行うはずだった時間帯。場内BGMとしてKUZIRAの楽曲が次々と流れると、フロアからは自然と盛大なシンガロングが発生。いくつもの拳も突き上がっていた。

そして本日の主役・FOMAREがステージに登場する。アマダが「『FOMARE大陸』ラスト1バンド、高崎のFOMARE!」と声を上げて3人が演奏を始めたのは、なんとKUZIRAの「In The Deep」のカバー。予想外の選曲、仲間への想いなどを感じ取ったフロアは序盤から大いに盛り上がる。さらにバンドが「Lani」を続ければ、場内にはさっそく盛大なシンガロングが響き渡った。「2年ぶりに開催ができました。2年前は(コロナ禍で)ガイドラインがあったんですけど、ようやくそれを超えた『FOMARE大陸』ができました。ありがとうございました。全員があの扉を出るとき、心から楽しかったなって思うイベントにできたらと思っています」と、最初のMCから思いが溢れてしまうのもアマダらしい。コロナ禍にライブハウスへの思いを書いた「愛する人」では、場内が大合唱と笑顔であふれる。そんなフロアの様子にアマダは「ちょっと泣きそうなんですけど」と感動を口にした。「Melody」では<移り変わる時代や感覚 一番大事なモノはここに><誰にでも刺さる言葉じゃなく 突き刺したいのはあなただけで>と歌う。彼ら高崎のライブハウスから、その思いを曲げることなく、歌い続けてきた。だからこの景色がある。改めてFOMAREの楽曲の力を感じさせられる。

「FOMARE大陸」では、メンバーが普段からよく行くという地元の飲食店が出店したり、ぐんまちゃんとコラボしたりと、隅々まで群馬への愛情で作り上げられている。そんなイベントに大勢の観客が集まったことに触れたアマダは、「いつも群馬で飲みに行くお店が出店してくれて、そういうお店にみんなが並んで、食べてくれているのがうれしかったです」と、この日を振り返った。さらに16歳のとき、群馬で開催されているG-FREAK FACTORY主催フェスに行ったことを回想。「いつかこういうフェスに出たいな、いつか俺らもこんなフェスやってみたいなと思っていて……やっと開催ができました」と目を滲ませながら喜びを語る。「群馬ってちょっとバカにされがちな街なんですけど、FOMAREがいます。『FOMARE大陸』があります」「群馬の音楽シーンももっともっと明るくできたらいいなと思っています。バンドマンがバンドをやりやすい群馬を作りたいし、ライブキッズがライブに行きやすい群馬を作りたい」「この景色を守りたい」と思いを重ねる。そして観客が体を揺らしながら大きな声で歌った「夢から覚めても」で再び幸せなムードで包んだ。

そして一息おくと、アマダのアカペラからバラード「23:12」へ。切ない歌声と音色で観客の胸を打つ。さらにアマダは「ここにいる全員が正しいことだけをして生きてきたわけじゃない気がしています。それでも求めてくれる人がいて。どうしても間違いとか失敗で終わらせたくなくて、俺はメロディを書いて歌詞にしてバンドの音楽にして、こうやってステージに立って、少しでも刺さってくれて、ちょっとでも自分の中の正解に自分の中の幸せとか、になったらいいなと思ってやっています」と言葉を選びながら話し、さらにこの日出られなかったKUZIRAについて「僕たちはKUZIRAのことを友達だと思っています。だから待っててあげてください。よろしくお願いします」と素直な思いを述べた。会場から温かな拍手が送られると、バラード「長い髪」、アマダの切ない歌声が印象的な「holo」を感傷的に届けた。

<秋色に染まる孤独な街>と歌う、この時期にぴったりな「秋の夜」でロマンチックに彩ったあと、キラーチューン「Frozen」で本編を終える。アンコールでは「この楽しいフェスをずっとずっと続けていきたい」と改めてFOMARE大陸への未来に思いを馳せ「Continue」を力強く送った。

 

ステージを締めくくる際、アマダは「群馬の、高崎の、small indies tableの、FOMAREでした」と言った。群馬、高崎、small indies table。それらは彼らが今、背負っているものだ。好きな場所、好きな人、好きなものを、まっすぐに愛する。それがFOMAREというバンドなのだ。


https://fomaretairiku.com/
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