INTERVIEW

RAD ENTERTAINMENT×JAILHOUSEの強力タッグにより2025年3月15(土)・16(日)の2日間に渡りAichi Sky Expoにて初開催されるパンク・ラウドフェス「RUMBLE×JAG 2025」。開催に向け、ENTHのダト・ダト・カイキ・カイキをキュレーターとした対談企画を届ける。今回の対談相手はBRAHMANのTOSHI-LOW。敬意と憧憬を持って対談に挑むダト・ダト・カイキ・カイキに対してTOSHI-LOWが抱くENTHのイメージとは。ダト・ダト・カイキ・カイキ×TOSHI-LOWを急接近させた

「RUMBLE×JAG 2025」開催間近のある夜の話。

Interview by 柴山順次（2YOU MAGAZINE）
Photo by サカイマサト

 

-TOSHI-LOWさんとダトさんはこうしてしっかり話すのが意外と初めてとのことですが。

TOSHI-LOW：何処かで一緒だったよね？
ダト：「山人音楽祭」でご一緒させて頂いて。 打ち上げで一緒にテキーラを飲みました。
TOSHI-LOW：あ、俺がテキーラ戦車だったときだ。
ダト：そうです、そうです（笑）。あと「BLAZE UP NAGASAKI」の打ち上げでカラオケしているTOSHI-LOWさんも拝見しています（笑）。
TOSHI-LOW：今のとこ良いとこしか見てないじゃん。
ダト：「BLAZE UP NAGASAKI」の打ち上げ前にはスイカ割りもしていましたね。
TOSHI-LOW：素手でしょ？
ダト：はい。素手でスイカを割っていました（笑）。その流れで初めてご挨拶させてもらおうと思ったんですけど、ちょうど綿さん（綿谷“wata”剛：RAD ENTERTAINMENT）とTOSHI-LOWさんが話しているタイミングで「おまえたち、綿谷のとこのバンドだろ？お前たちがこいつを甘やかすから調子に乗るんだぞ」「綿谷はなんでFREEDOM NAGOYAをやっているんだよ。どういうつもりでやっているんだよ」って違う話が始まっちゃって。
TOSHI-LOW：なんだよ、ただの俺のド正論じゃねえかよ（笑）。


-ダトさんはTOSHI-LOWさんに対してどんな印象を持っていましたか？

TOSHI-LOW：そんなの俺のいないとこで聞けよ。
ダト：あ、でもやっぱり最初は勝手にめっちゃおっかない人なんだろうなって。なんか界隈の強そうな奴全員と組み手しているみたいな噂もあって。
TOSHI-LOW：あははは。
ダト：素手で何かを破壊したとか、何かを持ち上げたとか（笑）。でもフェスとかでご一緒すると鬼のコスプレをしたり、雷様のコスプレをしたり、「思ったより冗談効くのかな？」みたいな。あと「鬼弁」とか。でも停電でブチ切れているライブ映像とかも見ていたので「やっぱり怖い人だな」っていうのが最初の印象でした。

 

-TOSHI-LOWさんはENTHはご存知でしたか？

TOSHI-LOW：知ってるよ。最初はほら、速いメロディックの印象があったのよ。だからそういう風に見ちゃっていたんだけど、イッチャン（LOW IQ 01）がENTHをべた褒めしてたのよ。
ダト：マジすか。
TOSHI-LOW：「ENTHになりたい」って言っていたからね。（笑）それで「ただの速いメロディックじゃなかったっけ？」って音源を聴いたらぶっ飛んだ。前のアルバムの『NETH』も良かったけど、新しいアルバムの『ENTH』がむちゃくちゃ良かったのよ。イッチャンがべた褒めする意味が分かったというかさ。俺らが出てくる前の90年代初頭の肌触りに凄い似てんの。ハイスタ（Hi-STANDARD）がまだ4人だった頃の時代、NUKEY PIKESとか。ちょっと実験的だし、何処かふざけているし、インタールードなのか何なのか分からない同機の曲があったり、おちゃらけているシークレットトラックがあったり。あといきなりリミックスが入っていたり。そういう遊び心が、俺の聴いていた90年代のそれと似ているなって。しかもそれがリバイバルとかじゃないっていうね。あのとき俺が憧れて、最先端だったバンドの人たちがやっていた遊んでいる感じにENTHは似ているんだよね。だからむっちゃセンスいいなって。新しい『ENTH』は特に。
ダト：嬉しいですね。でも僕はその世代の音楽を全然ルーツとして通っていなくて。G-FREAK FACTORYの茂木さん（茂木洋晃）に「お前ら、絶対にNUKEY PIKES好きだよ」って言われて、それからめっちゃハマってレコードとかマーチとか買っているんですけど。そしたら一昨年の年末にゴリラホールのイベントでLOW IQ 01さんと初めてご一緒したときにNUKEY PIKESの「EASY LOVE BABY」をアコギで歌っていて。ちょうど僕はNUKEY PIKESにハマりたてのフレッシュな時期だったので「NUKEY PIKESですか？僕、ENTHというバンドをやっています」みたいにご挨拶させて頂いて。でもリハの時からめっちゃ褒めてくれて。ライブが終わってからも自分でケーブルを畳んでいたら「それも最高だよ」って言って頂いて。普段、人にやってもらう時もあるんでちょっと気まずかったんですけど（笑）。
TOSHI-LOW：いや、マジでドンズバだろうなって思う。イッチャンがSUPER STUPIDをやる前にやっていたACROBAT BUNCHにも通じるものがあるんだよね。ACROBAT BUNCHではイッチャンはサックスだったのよ。FISHBONE的な感じでSKAやSOULが入っている初期ミクスチャーみたいな。その頃を知っている人たちはみんなENTHの肌触りを好きなんじゃないかなって。

 
-あの時代の質感に似ている部分はありますよね。NUKEY PIKESとかBEYONDSとかCOKEHEAD HIPSTERSとか。

TOSHI-LOW：そうそう。その後にハイスタが売れて、AIR JAMが始まって、インディーズブームになっていく流れでそこが段々薄くなっていったんだよね。どうしてもみんな一般化しちゃって遊ばなくなっていくみたいな。でもあの頃の遊んでいる縛りのない感じをENTHから感じたんだよ。
ダト：ありがとうございます。一生懸命作って良かったです。
TOSHI-LOW：でも一生懸命やっていることを感じさせないじゃん。「こいつら、ふざけてんな」って思わせる感じがENTHはいいんだよ。
ダト：メンバー含めて僕の人間性的にもそっちの方が肌が合うんですよね。
TOSHI-LOW：ちょっとチャラく思われていた方がいいよね。だって次に捕まるのはENTHでしょ？
ダト：それ、SNSでめっちゃ言われていました（笑）。
TOSHI-LOW：別にかっこよく思われたって意味ねえんだからさ、それくらいでいいよね。バンドマンなんてステージ降りたら酷いんだから。それこそ茂木なんて馬鹿代表の生き物だから。
ダト：どうリアクションしたらいいんだろう（笑）。

-BRAHMANとENTHはフェス以外での対バンはないですよね。

ダト：ないですね。
TOSHI-LOW：名立たるバンドのツアーの対バンとか見ると大体ENTHが入ってるでしょ？
ダト：有難いことに呼んでもらっていますね。
TOSHI-LOW：でしょ？だから「じゃあいいや」って。
ダト：拗ねないでください（笑）。
TOSHI-LOW：ヤリ〇ンみたいな。みんなヤッてるから俺は口説かないみたいな。本当は興味ある癖に。
ダト：口説いて下さいよ（笑）。
TOSHI-LOW：がっつりやってみたいなとは思うよ。音楽の良さもそうだけど、一緒にいて面白そうじゃん。
ダト：僕らも対バンは一緒にいて面白いかどうかで決めますね。大事なのは友達になれるかどうかっていう。仲良くしてくれている先輩も、勿論リスペクトしているんですけど、そこをすっ飛ばして、同じクラスにいたら友達になっているような人と一緒にツアーに行きたいので。
TOSHI-LOW：でもひとつだけ嫌だなって思うポイント言っていい？
ダト：え、怖。
TOSHI-LOW：揉めたり和解したりすること（笑）。
ダト：あははは。バンド単位では揉めていないですって（笑）。
TOSHI-LOW：いやいや、俺さ、コロナ禍のENTHの動きを見ていて思ったのよ。自分らの責任の上でやっているんだし、やっとそういう風にはみ出してやる人が出てきて最高だなって。そしたら最後には一緒に写真とか撮っちゃってあれ何だったの？（笑）。
ダト：揉めて和解っていうか、ネット上では対立関係って印象になっていたのをネット向けに治めてくれたって感じだと思います。考え方が違っただけで、僕らは僕らで好きなことをするし、ENTHの現場に来ているお客さんは僕らのマインドを理解してくれているんで。ネットでは「謝れ」って滅茶苦茶言われましたけど。
TOSHI-LOW：謝る必要なんてないでしょ。
ダト：「ENTHを出すな」みたいな抗議をイベントや市にするバカがいて、出演を辞退したり迷惑かけたりもしたから、迷惑かけた人には直接謝罪もさせてもらったんですけど、他の知らん人たちには絶対に謝らないスタンスでいこうって。
TOSHI-LOW：事の真相が分かって良かったわ。
ダト：アレの翌週に自分らのオールナイトイベントも組んでてぐちゃぐちゃやるの確定してたんで、「もう2度とやりません」とかは言えないなと思って。絶対すぐやっちゃうし。
だからこの件については現場は現場、ネットはネットでって感じでした。
TOSHI-LOW：それが正解だよ。

-TOSHI-LOWさん、ENTH事情に詳しいですね。

TOSHI-LOW：なんか凄く嬉しかったんだよ。みんなそれぞれの考え方があって、自分の責任でやっているんだから、全部を一緒くたにする必要なんてないじゃん。だってENTHだって最初から腹括ってやってんだもん。
ダト：僕らもただ滅茶苦茶やりたい訳じゃないので、ライブハウスのルールやイベントのルールがあるなら守っていたし、その代わり自分たちの冠のついたイベントなら暗黙みたいな感じでやっていて。それなら僕の責任になるんで。あと僕らが「モッシュしろ」って言ったからモッシュが起きるんじゃなくて、昔からどうその現象を起こすかを考えてライブをしてきて、やっとそういうフロアが出来上がったのに、それを僕らからコントロールするのは違うと思って。その衝動はこっちから制限しないっていう。でもモッシュした奴が摘まみだされたらそれはあの時期だしその土地その土地のライブハウスのルールがあるから仕方ないっていう。
TOSHI-LOW：俺、中2の頃にCOBRAのライブを見に行って、市民会館だったんだけど、パンクスたちが前の方に「ワー！」って走っていったから行けるんだと思って付いて行ったの。そしたら警備員8人ぐらいに袋叩きにされてボロボロにされて市民会館の外に捨てられて。でも俺は「やったぜ！」っていう謎の達成感があったんだよね。（笑）そういう体験をしてきたから、やっぱりはみ出しちゃう奴を見ていると嬉しくなるんだよね。

 
-先ほど「リバイバルではない」という話もありましたが、今の時代に自然発生的にENTHがENTHを作り上げていることが面白いなと。

TOSHI-LOW：だからまた面白い時期に来ているんじゃない？同世代だとAge Factoryとかもでしょ？エイスケ達はロックのオルタナじゃん。でもENTHはパンク/ハードコアのオルタナっていうか。その感じってやっぱり俺の中ではNUKEY PIKESよりなんだよね。それはきっとENTHにとって自然な流れなんだろうけど、俺なんかからしたら「よくぞやってくれました」っていう。なんかずっと思っていたのよ。新しいタイプのバンドが出てこないかなって。そんなときにENTHの『NETH』を聴いて『ENTH』を聴いて「これだ」って思ったんだよね。
ダト：僕らって最初はメロディックだったけど、今ってきっと「これ」っていうジャンルに括りにくいと思うんですよ。でも昔からそういうバンドになりたくて。バンド名がジャンルみたいな。
TOSHI-LOW：だって色んなところから持ってきてるでしょ？1カ所に絞っていない感じがいいよね。俺たちも雑食系のバンドだからさ。最近なんてトルコのビートとか影響受けたからね。トルコの奴が叩いているドラムだけの動画を見て「誰が喜ぶんだ？」とか思いながら（笑）。
ダト：僕らも今度、盆踊りでライブをするんですけど、ベタに「炭坑節」のカバーとか、自分たちの曲の音頭バージョンをやったりするんですよ。それは演奏しないで楽器も弾かずに踊るんですけど（笑）。
TOSHI-LOW：最高じゃん。日本の祭りが一番狂ってるから。みんなで死者の為に踊ってんだぜ。サークルモッシュして。
ダト：最遅のサークルモッシュですね（笑）。
TOSHI-LOW：ビートダウンのダウンのダウンよ。

-そしていよいよ「RUMBLE×JAG 2025」という狂った祭りが名古屋で初開催されます。

TOSHI-LOW：ENTHが大トリなんでしょ？
ダト：激重いです。
TOSHI-LOW：大丈夫だよ、何かあったら最後に吾郎（武内吾郎：ジェイルハウス）と綿谷が爆破ボタンを押して終わるから。
ダト：あははは。全員爆死するっていう。
TOSHI-LOW：でもさ、マジの話、ENTHの世代に流れをひっくり返して欲しいのよ。もういつまでもトリが横山健とか10-FEETじゃなくていいじゃん。自分たちもその世代で出ておいてなんだけど循環した方が健全だって思うのよ。
ダト：でも自分たちより20歳くらい上の先輩たちが元気なのはある意味ボーダーにもなるんですよ。僕らもあと20年は頑張れるんだなって。要は何千人、何万人規模のステージに立つパンクシーンの先輩たちがやっている年齢までは自分らもガンガンいけるんだなっていう。だから20年先までは確定したっすね。
TOSHI-LOW：その為には薬物を辞めないとな。
ダト：なんでやっている前提で話すんですか。（一同笑）

 

RUMBLE×JAG 2025

開催日 : 2025/3/15(土)・16(日)
開催場所 : Aichi Sky Expo展示ホールA
開場/開演 : 10:00/11:00
チケット代 : 1日券 ¥7,700 / 2日券 ¥14,000
主催 : RAD ENTERTAINMENT / JAILHOUSE
企画制作 : RAD ENTERTAINMENT / JAILHOUSE

3/15(土)出演アーティスト 
＜GOROGORO STAGE / GIZAGIZA STAGE出演＞
The BONEZ / Crossfaith / Dizzy Sunfist / FOMARE / KUZIRA / Maki / NOISEMAKER / OVER ARM THROW / ROTTENGRAFFTY / SCAFULL KING / SHADOWS / SHANK / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / ハルカミライ
＜GIRAGIRA STAGE出演＞
THE BOOGIE JACK / May Forth / SHE'll SLEEP / SideChest / Some Life / the奥⻭'s / かずき山盛り 

3/16(日)出演アーティスト : 
＜GOROGORO STAGE / GIZAGIZA STAGE出演＞
10-FEET / Age Factory / BRAHMAN / dustbox / eastern youth / ENTH / G-FREAK FACTORY / Hawaiian6 / Ken Yokoyama / KOTORI / locofrank / Paledusk / ヤバイTシャツ屋さん 

＜GIRAGIRA STAGE出演＞
VII DAYS REASON / BACK LIFT / GOOD4NOTHING / Knosis / Northern19 / NOT REBOUND / POT 

一般発売：https://w.pia.jp/t/rumble-jag2025/

 

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