
SATANIC CARNIVAL 2025開催直前:ライブペインターインタビュー careless
今週末にSATANIC CARNIVAL 2025が開催。ここではSATANIC GRAPHIC EXHIBITIONに初登場するクリエイター、carelessをインタビュー! DAY.2の6月15日にライブペイントも行う予定だ。その作風やルーツについてインタビュー。当日は絵を描いているcarelessに話しかけてみてください!
Photo: Yuta Kato, Text: Ryo Tajima

点描で描くのが1番気持ちいい
ーパンクやハードコアだったり、こういうライブハウスのカルチャーが好きになったのは何がきっかけですか?
careless:中学生の頃からBRAHMAN、Hi-STANDARD、HAWAIIAN6がめちゃくちゃ好きだったんです。最初に買ったCDは『MAKING THE ROAD』、『Love Is A Battlefield』、『ACROSS THE ENDING』などです。YouTubeなどネットを介して知ったので、AIR JAMの後追い世代という感じでしたね。その辺りの最初にきっかけになったバンドは自分で掘って見つけていきました。
ー実際にライブハウスに行ったのは、いつ頃ですか?
careless:同様に中学生の頃です。地元、八王子RIPSでDOLCEの企画に遊びに行ってthe band apartを観たりしていました。八王子にはSENSELESS RECORDSというレコードショップがあるんですけど、そこでSnuffy Smile周辺のバンドを教えてもらっていたのも自分のルーツですね。高校生になる頃にはMEANINGから入って、よりヘヴィな音を聴くようになっていきました。当時はCOUNTRY YARDがA.O.WやTHINK AGAINと対バンしていたり、ハードコアとメロディックパンクの距離が近かったので自然とどっちも好きになっていきましたね。ちなみに、MEANINGを知ったのはKen Yokoyamaの『DEAD AT BAY AREA』(2010年開催)のマキシマム ザ ホルモンが出演していた『EAST BAY』です!
ー純度120%のピザっ子ときたもんだ。では、絵を描き始めたのは?
careless:本格的にデザインやイラストを始めたのは25歳の頃なんですよ。スケートをやっていて、ローカルで遊んでいる中で、みんなが自分のレーベルやタグをプリントしたステッカーを配りあっているのを見て、自分も絵が描けるしちゃんとやってみようと思うようになったんです。その頃からcarelessという名義でやっています。
ーでは、スケートカルチャーからの影響が大きいわけですね?
careless:そうですね。2010年代中頃に入るとスモールスケートブランドのムーブメントが興って、海外ローカルのスケートクルーやコレクティブに注目が集まった時代がありました。彼らはありものボディに自分たちのロゴを刷って販売していて、それがファッション的にも人気を博していたんですよね。その動きを見て、自分にもできるかもしれないし、やっちゃっていいんだなってテンションになれましたね。
ー自分の画風に影響を与えたものは何ですか?
careless:そもそもステッカーを作りたいというところから絵を始めたので、ルーツでいくとステッカーという存在そのものが大きいです。具体的なアーティストで言うと、パスヘッド(PUSHEAD)ですね。パスヘッドの作品を見てからちゃんと絵の勉強を始めました。自分の絵が点描で構成されているのは、そこからの影響です。あとはジム・フィリップス(Jim Phillips)も大きいです。BBQ CHICKENSのマーチデザインってスケートカルチャーからのインスパイアものも多いじゃないですか。10代の頃、その元ネタを探してスケートブランドの存在を知り、サンタクルーズ(SANTA CRUZ)や、パウエル(POWELL)を着るようになっていきました。
※carelessのアート的なルーツにあるアートブックやステッカー。
ーアート的な影響を受けたスケートカルチャーというと2010年代ではなく、もっと過去のものなわけですね?
careless:そうです。70~80年代のドッグタウン(DOGTOWN)、ボーンズ・ブリゲード(BONES BRIGADE)がいて、という時代のものが大好きです。なので、スケートのシェイプも太いやつが好きなんですよ。絵を描き始めてから、あの時代のグラフィックをすごくチェックしています。自分が作る時も、オールドシェイプのデッキにハメた時に映えるようなデザインになるように考えてやっています。
ースケートカルチャーにどっぷりだぞと。carelessさんの作品は、ご自身が仰るように点描で構成されているわけですけど、自分ならではの絵の特徴はどういう点にあると思いますか?
careless:個人的には80年代のハードコア、パンクのフライヤーに載っているような落書きが1番気持ちいいと思っていて、そういう雰囲気を自分なりに昇華させてオリジナルのスタイルを確立させたいと思ってやっています。点描で絵を描く人は多いですし、上手な人はめっちゃ上手に描いていますけど、自分はあまり写実的には描けないので、そうじゃないところを実現しようと模索しています。あとは蛍光色が好きで使うことが多いです。蛍光色は実物でしか表現できないじゃないですか。PCモニターでは再現できないところに魅力を感じていて使っています。
ーこれまでに手掛けてきたアートワークのことも少し教えていただければと。
careless:MAN WITH A MISSION、dustbox、MOROHA、bachoなどのアートワークを担当させていただきました。ハードコアバンドのアートワークも描かせてもらうことも多くて嬉しい限りです。個展は過去にSTORMYで開催させていただいたことがあり、昨年は念願のスケートデッキをリリースさせていただきました。
ー今日、着ているTシャツも自分で作ったものですよね。その辺りのアパレルの話も教えていただけますか?
careless:Tシャツは自分が着たいと思うTシャツが出てきたら、少し多めに刷ってWEBで販売したり、仲間にあげたりしています。これもバンドへの憧れが形になったもので、バンドTシャツっぽい配置でデザインすることも多いんですよ。
ーなんでクラゲがモチーフなんですか?
careless:70年代、DOGTOWNにZephyr Surf Shopという伝説的なサーフショップがあったんですけど、そのショップロゴがクラゲをモチーフにしたデザインだったんですよ。それが由来です。それにクラゲって水族館だと可愛いし綺麗で人気ものじゃないですか。でも、海の中で出会うと刺されるかもしれないから嫌われ者ですよね。できれば会いたくない存在というか。その感じがスケーターと似ているなって。オリンピックや大会ではヒーローのように扱われているけど、ストリートスケーターはキックアウトされるし、厄介者扱いされたりもするじゃないですか。遠目で見る分にはいいけど近づかないでほしい存在という意味でスケーターとクラゲが近いと思ったので、デザインに使用しています。
ー『SATANIC CARNIVAL 2025』の当日はどんなライブペイントをしたいですか?
careless:自分のスタイルは点描で描くものなので地味に見えると思うんですけど、時間が許す限り、描きこんでカッコいいものを仕上げたいです。ライブの合間に見てくれたら嬉しいですね。
ー今後、やってみたいことは?
careless:壁画と絵本をやってみたいです。自分の中に伝えたいことがたくさんあるんですけど、それをもっともキャッチーに伝える手段は何かと思ったら絵本かなと。憧れも含めてやってみたいことの1つとしてありますね。メッセージを伝える上で絵だけだと足りない部分もあるので、それを作品に落とし込んでいきたいと考えています。どうやったらいいのか、これからも試行錯誤して考えて、作品を生み出していこうと思っています。
ライブペイント:6月15日
https://carnival.satanic.jp/2025/booth/
careless
https://www.instagram.com/careless_hardcoreart/
https://careless.base.shop/