LIVE REPORT

"TRIPLE AXE TOUR'18" LIVE REPORT!!!

特別無料公開中!

 

Report by SUNEOPhoto by TAT OFFICIAL

 

 

2018.4.12TRIPLE AXE TOUR’18 @新木場STUDIO COAST



TRIPLE AXE TOUR'18、SiM × coldrain × HEY-SMITHが合同で企画し、それはそれは大切にしているイベントである。各バンドがフェスを主催したり、トリを任されるという超売れっ子であるにも関わらず、このイベントだけは欠かさないことに、絆の深さがうかがえる。昨年はツアーバスにメンバー全員を詰め込み、全国行脚。今年は海を渡り台湾公演を行い、日本では新木場で締めくくろうとしている。

ステージには暗幕が垂らされていて、誰が出てくるのかがわからない。誰がトップバッターになろうが関係ないという気構えのオーディエンスが多いのだろう、フロアはもちろんパンパンだ。フェスでありがちな、「XXX推し」「XXX待ち」ではなく、純粋に逃すことのできない瞬間の為にフロアにいるのだ。
SEが鳴り、この時点で誰がトップバッターなのか瞬時に理解したオーディエンス。coldrainの登場だ。王者の風格というか、堂々とゆったりとステージに現れた。「来いよお前ら!」とMasatoが咆哮すると“TO BE ALIVE”を投下し、いきなりのモッシュとリフトを築き上げる。真っ赤な照明に包まれた“FEED THE FIRE”ではバウンスからコールまで、一気に会場をまとめていた。「回れー!」とサークルピットを要求した“F.T.T.T”では、待ってましたとばかりに走り狂うオーディエンス。Masatoの「TRIPLE AXEだぞ!お前ら!好きなだけ遊んで帰れ!」の煽りで、スピードはさらに加速していった。まだ3曲なのに、この飛ばしようは。。。


「言うことはない。やりにきているよな、お前ら。」と王者からの問いかけにギラつくオーディエンスの顔は、正直常軌を逸してるな、、、と思った(笑)。日本では1本しかないTRIPLE AXEに、この瞬間に全てをかけると宣言したcoldrainだが、バンドとオーディエンスの戦いという雰囲気ではなく、どこか、共に上がっていこうというか、「お前らを楽しませてやる」といったような大きなパワーで引き上げていこうという意思が感じられた。王者だ、、、これは王者の風格そのものだ!と、思わされる存在感だった。アンセムである“THE REVELATION”では、サークルピット→モッシュ→ヘドバン→ハンドクラップ→リフト→コール&レスポンスと全てを体現。「誰のファンだろうが、全員でTRIPLE AXEしていってください。宜しくお願いします!」とMasato。“24-7”では煽るわけでもなく、自然とW.O.D.が発生、“GIVEN UP ON YOU”では会場中が「Wow,Wow~」と歌い上げ、続けて“BURY ME”に。決してアゲアゲの楽曲ではないこの楽曲を、このイベント、このステージでセットリストに入れてこれるところは、coldrainのバンドとしての強さが本物であるという証明になったとボクは思っている。自らの世界に引き込むことができないと、このような楽曲を聴き入らせることはできないからだ。彼らはそれをやってのける。海外ツアーを回って、内から湧き上がってくる力強さを持ち得たのだなと思った。

「1番手の使命は残りのバンドを苦しめること」とMasatoが語っていたが、もう十分苦しめたと思う。もう勘弁してやってくれ、とボクは見ながらに思っていた。しかし、そこから“FIRE IN THE SKY”“DIE TOMORROW”を投下し、さらに残りのバンドにプレッシャーを掛ける。「最後まで、最高のライブにしてください」とMCで喋りながらも、完全に首を取りに来ているかのようなセットリストで、“ENVY”を演奏し、coldrainのターンを終了した。ライブは勝ち負けじゃない!と言いながらも、完全に勝ちにいっていた。残りの2バンドにプレッシャーが掛かったことは間違いない。



coldrainが作り出した熱気で、すでにスタジオコーストがヌルヌルになる異常事態。しかし、フロアから離れようとしないオーディエンス。瞬間瞬間を逃したくないのだ。またしても暗幕で閉ざされたステージからは、最小限のサウンドチェックだけで、SiM、HEY-SMITHのどちらが先に出てくるかはわからない。
暗幕が開くとサイレンが鳴り響き、「SiMだ!」とすぐに反応したオーディエンスが、リフトを作り上げている。まだ、SEが鳴っただけなのだが。。。“Get Up, Get up”からスタートしたSiM。すぐにリフトはクラウドサーフに流れ、フロアはバウンスへと移行。“Amy”では、MAHが「掛かって来い」と言わんばかりの手招きをしたことで過激なダンスフロアに。続けざまにダブナンバー“ANTHEM”では、コール&レスポンスでのオーディエンスの声に不満だったのか、「足りん!」と一括(笑)。さらに「こいよ!」と煽られるとサークルピットからの高速スカダンスへ。すでに茹だりそうなオーディエンスに水を掛けるMAH。気遣いというか、「欲しいんでしょ?」的なニュアンスであるところが悪魔たる所以か。

 

「手を上げてくれ!モンキーダンスしようぜ!」と“GUNSHOTS”を演奏。一糸乱れぬモンキーダンスをスタジオコーストのミラーボールが照らす光景は、この為に備えつけられているのではないかと錯覚するほど、素晴らしい情景だった。「coldrainが終わり、いい感じで身体が温まったところで真打ち登場です」と、悪魔節が炸裂。「悪魔2世が爆誕!」と自身の世継ぎが生まれたことを発表し、父親になって初のライブがTRIPLE AXEになったことを告げた。下々の者(?)たちに「宇宙一かっこいいパパ」になることを宣言し、“KiLLiNG ME”を投下。お決まりの「座れ!」では、またしてもフロアがパンパンで座りきれないオーディエンスも多数。やはり、無理がある(笑)。それでも「イケんのか!新木場!」と煽られるとバウンスにリフトにとめちゃくちゃになるフロアがすごい。むしろ、SiMの調教の賜物か。

 


世間で騒がれている警察官の射殺事件や自殺した事件を、こんな時にする話では、、、と前置きしながらも自身の見解を述べたMAH。サウンド面ばかりがクローズアップされがちだが、SiMの楽曲はメッセージ性も強い。“Murderer”をこの場で投下するのにも、バンドとしてのアティチュードがあったからだと思う。「解ろうともしない奴には中指を立てろ」と“I HATE U”を演奏し、サークルピットを誘発した。「カルマってわかる?『業』自分がしたことが自分に回り回って返ってくるってこと。何かを投げ出した奴は、誰かに投げ出される。諦めなかった奴は、何かを得ることができる。お前らなんかの為に歌ってやってんだよ!届いてるか!新木場!」と緩急つけたMCで次の曲をコールすると思いきや、、、まさかのコールミス(笑)!しかし、そこも笑いに変えて、自分たちの雰囲気にまた戻す懐の深さをすでにSiMは持っている。そこからドロップされた“JACK.B”“Blah Blah Blah”は、まさに圧巻だった。リフトの壁に、受け止めるセキュリティが心配になる程だ。そんな現状にもまだ「ぬるいな!新木場!」と、これ以上の光景を望むSiMは「これにてTRIPLE AXE終了します!」と“f.a.i.t.h”でフロアをカオスにして、ステージを去った。次のHEY-SMITHにバトンを渡すというより、「ここ、締められんの?」と煽ってるようにも感じられるから、不思議だ。



いよいよ、トリの時間。もうお腹いっぱいかもしれないオーディエンスに対して、どんなライブをするのか、、、という原稿を書きたかったのだが、フロアを見ると全く移動していないオーディエンスが。どのバンドに対しても、同じ熱量であることがうかがい知れる。TRIPLE AXE、恐るべし!
SEが響くとフロアからはリフトが上がり、HEY-SMITHを待ち伏せ。「お前ら!暴れる準備はできてるかー!!」と入場すると、ポリティカルな曲らしく「北朝鮮とアメリカに叫べ!」と“Endless Sorrow”をドロップ。続けざまに“2nd Youth”“True Yourself”を演奏し、スカダンスをさせたかと思えば、バウンスさせて、今までのラウドなノリから一気にパンクの雰囲気に、いわばHEY-SMITHの主戦場の雰囲気にまで持っていった。さすがと言ったところか。「世界一のツアーにようこそ!この曲はお前らの曲だ!」と始めた“Don't Worry My Friend”ではリフトの壁が上がる。何度も立ち上がってはクラウドサーフによって決壊していく、このリフトに「Don't Worry」とはよく言ったものだ(笑)。4曲を一気に駆け抜けたところでドラムのリズムをバックにMCタイム。調子が悪いのか、MCを噛み倒す猪狩。失笑をさらうも「自分次第だから、心を強く持って」とオーディエンスにも自分にも言い聞かせるようなトークで、会場を笑いに包んだ。coldrainとSiMを武道館アーティストと揶揄しながら、HEY-SMITHは「ゴリゴリのインディーズバンド」と評していたが、同じステージに立てば、同じ熱量を持ったただのバンドであることは、オーディエンスもわかっている。だからこそ、このTRIPLE AXEが成立しているのだ。同じ熱量だからこそ、勝負をしたくなるのが性(さが)。「誰がNo.1かジャッジして帰って!」とオーディエンスを煽りながら“Go Back Home”“No Worry”を畳み掛ける。「Hey!! One day you will die Just get it And make it!」とコールをすると次々と立ち上がるリフト。“Let It Punk”が始まるともみくちゃになった後は、“Magic Leaf”で陽気なスカダンスへ。「死ぬほど熱いな。。。」とMCを始めると、7年前から行っているこの企画での思い出や、想いを語る猪狩。音楽性が決して同方向を向いているわけではないが、同じ志を持ったバンドが集まれば、こんな素晴らしい光景が創れるということを語り、オーディエンスに向かって「バンドやってる奴おる?いつか一緒にやろうぜ!」と熱いメッセージを送った猪狩。からの“Before We Leave”は、ハンドクラップが起きて当然だ。“Truth Inside”“Surely comes tomorrow”と連続で投下されたパンクロックソングは、TRIPLE AXEだからこそ際立っていたようにも思う。

“We sing our song”が流れ始めると、フロアの中心にピットの準備を始めるオーディエンスが目立ち始め、「OiOi」と雄たけびを上げている。「PUNKであれよ!」と猪狩が煽ると、一気にカオスなフロアに。“Drug Free Japan”では、今日一番の高速サークルピットができたかと思えば、“Download Me If You Can”に一気になだれ込み、ラストは1stアルバムから“I’m In Dream”で締めくくった。TRIPLE AXEの7年前を思い起こすかのようなラストだったのかなと。フロアからはすぐに「ONE MORE~」の声が。その声に応えるように再度登壇。まだ来年のTRIPLE AXEが決まってないことに触れ、「打上げで来年のこと話してくるから」とオーディエンスに宣言し、“Dandadan”を演奏。ステージサイドに目を向けると、バンドのメンバーもいる中で、各バンドのスタッフ陣も揃って、HEY-SMITHのステージを楽しんでいる。バンドだけではない一体感。安い結束でないことが分かる一場面だった。“Goodbye To Say Hello”ではMasatoがスタンドマイクを持って登場し、ゲストソロボーカルとして参加。「最高の気分やから、もう1曲」とコールした“Come Back My Dog”ではMAHが参加したかと思いきや、各メンバーが入り乱れて登壇し、TRIPLE AXEらしい豪華な絵面(笑)で終幕した。

三者三様のスタイルがあるバンドが集まり、打ち出しているイベントであるのに、一枚岩とも言えるような結束は、バンドたちだけでなく、そのスタッフ、そのファン、時間を共にしたオーディエンスの中にも見えたような気がした。商業的なイベントでなく、志で繋ぐイベントだからこそ、それは周囲にも伝わり、熱を帯び、それがまた誰かの原動力になっているのだろう。その熱量が新たな種火になってシーンに灯されることを願ってもいる。それは、coldrain、SiM、HEY-SMITHも同様の想いを抱いているのではないかと勝手に思いながら、「また来年!」という言葉を信じて、楽しみにしておきたい。



[SETLIST]
>coldrain<
TO BE ALIVE
FEED THE FIRE
F.T.T.T
THE REVELATION
24-7
GIVEN UP ON YOU
BURY ME
FIRE IN THE SKY
DIE TOMORROW
ENVY

>SiM<
Get Up, Get up
Amy
ANTHEM
GUNSHOTS
KiLLiNG ME
Murderer
I HATE U
JACK.B
Blah Blah Blah
f.a.i.t.h

>HEY-SMITH<
Endless Sorrow
2nd Youth
True Yourself
Don't Worry My Friend
Go Back Home
No Worry
Let It Punk
Magic Leaf
Before We Leave
Truth Inside
Surely comes tomorrow
We sing our song
Drug Free Japan
Download Me If You Can
I'm In Dream

Dandadan
Goodbye To Say Hello(with Masato from coldrain)
Come Back My Dog(with MAH from SiM)

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