CULTURE

ONE'S PROPERTIES Vol.04:AG&HIDE from DOTS COLLECTIVE/NOISEMAKER

SATANIC ENT.がお届けするアーティストのルーツを多方面から追究する企画、ONE'S PROPERTIES。第4回目はNOISEMAKERのAGとHIDE。2人はDOTS COLLECTIVE名義でアートプロジェクトを展開し、最近ではアパレルコレクションも展開する。音楽を起点、アートとファッションなど自らの想像力をフルに発信する2人をフォーカス。ここでは、あえてバンド活動ではなく、DOTS COLLECTIVEとしてのアート表現に対する考え方や活動をピックアップする。
取材場所はNOISEMAKERに関する活動の拠点でありアトリエ。なんと内装や家具も自らDIYで整えていったのだそう。とことんまでDIYで自分の表現を追究する彼らの思考とは。

 

about ART ROOTS

ストリートアートへの好奇心からシルクスクリーンやステンシルにトライ

ーNOISEMAKERは7月1日に7枚目のミニアルバム『H.U.E.』をリリースされるわけですが、このジャケットのアートワークもDOTS COLLECTIVE(以下、DOTS)が制作されています。バンドとしての活躍はもちろんですが、展示会や作品提供など、アートに関する活動も顕著ですね。改めて、DOTSの成り立ちについて教えてもらえますか? 

HIDE:明確にDOTS COLLECTIVEというプロジェクト名でアート制作の活動をスタートさせたのは2017年の10月頃からです。絵は小さい頃から描いていて、その延長線で10年ほど前から自然と自分たちのバンドグッズもデザインしたりしていたんですよ。他の人に頼んだり、デザイナーにお願いしたこともあったんですけど、もっとこうしたい、ああしたいという願望がでてきたので、だったら自分たちでやろうというのが、1番最初のキッカケです。 

AG:そうだね。バンドのためにマーチャンダイズをデザインしたり、そもそもお互いに絵が好きで描いていたりグラフィックを作っていたことを、より前面に出して表現していった方が良いんじゃないか、と思ってアートプロジェクトとして始めたんです。 

HIDE:DOTS COLLECTIVEの名前にある"DOTS"は、すべての絵が1つの点から始まっていることからDOTを採用していて、AGと2人でやっているからSを付けて"DOTS"。点と点が繋がるってよく言うと思うんですけど、そこからすべてが始まるじゃないですか。音楽にしろアートにしろ。そういう意味合いがプロジェクト名に込められています。
 



 



 



ーDOTSとして表現しているアートはシルクスクリーンで描かれていたり、ステンシルを用いているところが特徴ですね。こういったテクニックはどこで習得されたんですか? 

AG:シルクスクリーンやステンシルアートに関してはYouTubeだとか、WEBを介して好きなグラフィティライターがやっている動画を見たり、その手法を紹介しているサイトを自分たちで観ながらやり方を覚えていったんですよ。もう、見よう見真似で。 

ーすごい……。見てできるものですか? 

HIDE:いや、手探りでしたよ。最初の方は失敗も多かったです。展示会用にシルクスクリーンで作った作品がインクが滲んでしまったりとか。インクも水性が良いのか油性が良いのか、乾かし方1つ取ってもそうなんですが色んなやり方があるので、失敗を繰り返しながら学んでいったんです。 

ーなぜ、シルクスクリーンやステンシルをやろうと思ったんですか? AG:シルクスクリーンやステンシルは1つの技法としてチャレンジしようと思ってやり始めただけなんですけどね。それまでは手描きだけでやっていたので。それに、Banksy、Mr. Brainwashだとか、ストリートアートが好きだったので、自分もトライしてみようと思ったんです。 

HIDE:初回の展示を開催するときに初めて実践してみたよね。 

AG:そうそう。(展示に)来てくれた人が気軽にアート作品を手にしてくれるようにって。 

HIDE:シルクスクリーンだと同じ作品を量産できるわけなので、比較的リーズナブルな価格帯で展示販売することができる。自分たちの展示会に来てくれる人は若い子も多いので、そういう人にもDOTSのアートを提供したいって気持ちもありましたね。それに、シルクスクリーンにしろステンシルにしろ、まずシンプルにカッコいい技法じゃないですか。最初にシルクスクリーンでプリントするところを見たときはこんな感じなんだ、面白いなって思いましたしね。僕らもAGがTシャツにシルクスクリーンでプリントしているところをムービーで撮影して発信し、カルチャーを伝えたりしています。

 



 



 



ー2人にとってのアートのルーツを教えてください。 

AG:WK interactですね。これは中学生くらいのときに買った本かな? 雑誌で存在を知って初めて見たときはものすごい衝撃を感じて。ストリートアートとの出会いだったね。

 



 



 



HIDE:それ、AGの部屋にあったの覚えてるよ。Tシャツにしたりしてなかった? 

AG:いや、Tシャツにまではしてなかったかな。ここに載っている作品を模写したりしてたね。でも、うん。Tシャツは確かに高校生の頃からデザインして自分でプリントしたりしてたかもね。そして、WK interactは6枚目のミニアルバム『RARA』のジャケットアートワークをやってくれたんですよ。 

HIDE:相当嬉しかったでしょ? AG:本当にそうだよ! 実際にWK interactが描いている姿を見て、たくさんテクニックを知ることができたし、あれはDOTSにとっても大きな経験になったよね。海外のアーティストにとってはテクニックをシェアすることは当たり前なのかもしれないけど、日本じゃなかなか見れないことなんで、すごく勉強になった。 

HIDE:日本であんな大きな壁にアートを描くのも初めて見たし。やっぱり写真とは違う魅力を体感することができたよね。 

AG:うん。実際に会ったときも気さくで陽気な人で。 HIDE:それでいてすごくしっかりとプロデュースする人で。「こっから写真を撮ってくれ」とか映像もそう。当時のアー写にも意見をくれたりしたよね。 

AG:そうだったね。「トランポリンを用意した方がいい」って。何するんだろう? って思ってたら「絵の前でジャンプしろ」って。結果的に良い写真が撮れたからさすがだよね。

 

※実際の模様を記録したムービー ー対してHIDEさんのアート的なルーツは? HIDE:昔っから大友克洋さんが大好きで本は全部持っているんですよ。これは、そのオムニバス的な1冊です。あと、最近好きなアーティストの作品で韓国の世界的イラストレーター、Kim Jung Gi(キム・ジョンギ)さんの作品集も。キムさんはシングル「MAJOR-MINOR」のジャケットアートワークをやってくれて。彼も日本のアニメに影響を受けた部分があるらしく、そんな部分に惹かれたんだと思います。下書きなしでバーっと絵を描いていく人なんですけど、キムさんが生で絵を描いているのをみたときは本当にヤバかった。「何描いてるんですか?」って聞いたら「わからない」って言ってましたからね。目の前でガンガン想像しながら描いていくので。やっぱり自分にできないことをやっている人には惹かれますね。

 



 



 



 



 


※「MAJOR-MINOR」は12インチレコード仕様でもリリース。合わせてプレイヤーも製作した

AG:そのキムさんがインスタグラムに@noisemaker_officialを付けてポストしてくれてるんだよね、これ見た? 

HIDE:知らなかった! すごいな。AG、これ口元似てない?? 

AG:オレ、こんな顔してるかな?(笑)。 

一同:笑


 



 

about FASHION ITEM

ファッションに対して作り手として違う視点を持つように


 



ーDOTSは現在アパレルも多数展開されていますね。今日もTシャツがDOTSのアイテムです。 

HIDE:そうです。このTシャツは¥6380です。もう完売しちゃったんですけど、ちゃんと宣伝しておかなくちゃいけないですからね。ーというのは冗談で、こういうこともやっているってことを知って欲しくて。


 



ーシルエットが特徴的ですね、幅広でドロップショルダーの作りになっていて。 

HIDE:そう、Tシャツもパターンから作っているんですよ。でも、本当に難しいですね。服に関してはまったくの素人ですし、人によって体型はバラバラじゃないですか。ちょっと失敗してはやり直し、その繰り返しで作っています。基本的にはAGと2人でDIYでやっていることなので、色々勉強しながら続けています。


 



 



 



 



 



 



ー最近の好きなファッションスタイルが表現されている? AG:僕が肩幅あるんで、自分に合わせるとこういう感じのシルエットになるんですよね。 

HIDE:でも、実際に最近はこういうシルエットの服をよく着てますね。あと、トレンドだから売れるかなって。 

AG:ちょっと(笑)。そんなストレートなこと言う? HIDE:冗談ですよ、好きなんです。こういう服が。さっきの発言はカットしてください。 

ーおす(笑)。ウエアはアウターやハット、バッグまで。かなり幅広い展開になっていますが、服作りはもともと興味があったんですか? 

AG:どっちかと言うと最初はグラフィックデザインの方に興味があったんです。当時、色々なTシャツなんかのグラフィックとかが好きで。それで、自分でも始めた感じです。


 



 



HIDE:実際に自分たちで服作りをスタートさせてから今まで以上に色んな洋服を見るようになりましたね。メンズに限らずウィメンズだとかファッションの歴史だとか。ブランドのコレクションを見ながら、ここをこう変えたら面白いんじゃないかって考えながらやっているんです。そういう意味で、ファッションに対しても、また違う見方ができるようになってきました。 

ー今後はアパレルラインも幅広く展開していく予定ですか? HIDE:それができたらいいなと思っているんですが、1番最後ですね。まずはバンドがあってのことなので。音楽活動を第1に続けながら、余裕がある範囲でちゃんとやろうと思っています。

about DOTS COLLECTIVE

好きな世界観と文化をできるだけ広く伝えていきたい


 



ー今後のDOTSの予定を可能な範囲で教えてもらえますか? 

HIDE:昨年同様、展示会を予定していたんですけどね。こんなご時世なので開催を断念していて。様子を見ながらになりますけど、できるだけ早く開催したいと思っています。今、ライブができないじゃないですか。だから、せめて展示会などで、少しでもファンが楽しめるような場所を提供していけたら、と頭の片隅で考えています。 ー次に開催される展示会はどんな内容になりそうですか? 

HIDE:開催するとなったら、すごいことになりますよ。詳細は言えないですけどね。 

AG:とあるマシーンを手に入れて。アートを新たな形で楽しめるような展開を考えています。その世界の中に入り込んでいけるような……。 

HIDE:うん。何か面白いことができれば、と思っていますし、この構想が実現できたらNOISEMAKERのライブや会場作りにも活かすことができるんじゃないかなって、楽しみに企画しているんですよ。


 



ーなんかすごそうですね……。改めてな質問ですが、アートを作る楽しさをどこに見出しているんですか? 

AG:描いていて純粋に楽しいのと、出来上がった瞬間がすごく気持ちいいんですよ。自分の中でしっくりくるカッコいい作品ができたときはずっと作品を眺めちゃいますね。あの感覚が忘れられないからやり続けているんだと思います。完成したときの喜びが半端じゃないっていうのは音楽にも似ている部分があるんじゃないのかな。 

HIDE:音楽とアート、両方やっているからこそ楽しいし、音楽からの派生でアートを表現しているからいいんですよね。昔から絵が好きで描いてきているんで、趣味の延長でもあるわけなので、本当にリラックスして楽しんでやれていることなので。 

AG:それに、NOISEMAKERのファンに、こんなにもアートに興味を持ってもらえるとは思っていなかったですよ。絵を買うっていう文化自体が、受け入れてもらえないんじゃないかって、最初の頃は心のどこかで思っていたんです。でも、予想に反して多くの人が手にしてくれて、買いたいっていう人が増えてきてくれて。そこはすごく嬉しかったですね。


 



ーDOTSの活動を通してアートの楽しさを、このシーンが好きな人に伝えていきたい? AG:そうですね。特にDOTSが表現しているアートはストリートファッションともリンクする部分があると思うので、若い人にも伝わりやすいし、気軽な気持ちで手にすることができると思うんです。そういう自分たちの好きな世界観はできるだけ広く伝えていきたいと思いますね。結果として、音楽に繋がっているので。DOTSとして活動することで、NOISEMAKERとしても"音楽×アート"っていう1つの強いジャンルを獲得することができたんじゃないか、と思うんです。そんな風に両者の存在感と結びつきを強く表現することが今、自分たちには出来ているはずなので。

 

DOTS COLLECTIVE

https://www.dotscollective.net/
https://www.dotscollectiveshop.com/
https://www.instagram.com/dotscollective_official/
https://twitter.com/dotscollective

 

NOISEMAKER

http://noise-maker.net/

 

ONE'S PROPERTIES ARCHIVES

Vol.05: KAT$UO from THE CHERRY COKE$
Vol.04:AG&HIDE from DOTS COLLECTIVE/NOISEMAKER
Vol.03:豊島”ペリー来航”渉 from バックドロップシンデレラ
Vol.02:Kazuki from SHADOWS
Vol.01:Yu-ki Miyamoto from COUNTRY YARD