LIVE REPORT

Northern19 presents “TONIGHT A LIVE” LIVE REPORT!!

Report by Chie Kobayashi
Photo by 半田安政

 

2020.11.22
Northern19 presents “TONIGHT A LIVE”@渋谷wwwx


新型コロナウイルス感染予防のための新しい生活様式。ガイドラインを遵守したうえで楽しむエンタテインメント。私たちは少しずつそれに慣れていく。マスクを着けての日常、密を避けた行動、1席空けの劇場。そしてキャパシティを制限したライブハウス、大声での歓声や発声を禁じたフロア。慣れたつもりではいたけれど、シンガロングのないNorthern19のライブだけはどうしても想像がつかなかった。

11月22日。Northern19は「TONIGHT A LIVE」と冠したワンマンライブを行なった。バンドにとっても2月以来となるライブで、会場に集まったファンのみならずメンバーにとっても待望の一夜となった。会場内には間隔を取って椅子が用意されるなど、感染予防も万全の体制。ライブハウススタッフからは「声ではなく拍手や拳を使って盛り上げてください」とアナウンスがなされ、いつもとは違う雰囲気が漂う中、暗転するとSEに乗せてメンバー3人がどこか緊張した面持ちでステージに登場した。

ライブはコロナ禍中にリリースされた最新シングル「YES」の表題曲でスタート。シンガロングパートでは歓声の代わりに力強い拳がリズムにあわせて上がり、皆一様に心の中で歌っていることがわかる。さらに“MESSAGE”、“TRUTH”とライブ定番曲が続けられると、いつもとは違う状況であることを忘れそうになるほどの熱気が会場を包んだ。

最初のMCで笠原健太郎(G, Vo)は「みんな元気だった?」と口を開く。ガイドラインを守ったライブについて馬場豊心(Dr)が「いつもよりしっかり見えちゃうからバレちゃう(笑)」と冗談を飛ばすと、笠原は「これもこれでいいね。変わりないNorthern19を見せようと思ってる」と意気込みを話した。

笠原が「Northern19の曲の良さを存分に味わってくださいよ」と話した通り、以降もメンバーは惜しみなく楽曲を次々と繰り出していく。“BELIEVER”ではシンガロングの代わりにハンドクラップで盛り上げるオーディエンスを敦賀壮大(B)がうれしそうに見つめ、“[UNTITLED]”ではリズム隊が細かく刻んだサウンドに乗せて笠原がテクニカルなギターで魅せるなど、3人はひさしぶりのライブを楽しんでいた。

最新作収録曲“LETTER”で始まったブロックで、笠原の歌心が炸裂する。“TONIGHT, TONIGHT”では笠原が情感豊かに弾き語りで歌い始め、たっぷりとためたあと、「我慢の3連休、集まってNorthern19のライブをやるのも悪くねえだろ?ロック悪くねえよな?最高だよな!」と思いの丈を吐露。テンポアップしたバンドサウンドに乗せて、その思いをぶつけるかのように熱く歌い上げ、観客の胸を打った。その後、鈴の音が場内に響き渡り、“SNOWBLIND”へ。この季節ならではの選曲と演出でさらにライブを盛り上げた。

本来であれば「YES」リリース後、ツアーを回る予定だったNorthern19。この日はツアーファイナルとして同会場でライブを行う予定だった。しかしコロナ禍でツアーを行うことができなかった。と、同時にこの日は現メンバーでの初めてのワンマンライブでもあった。このことについてメンバーから振られた敦賀は「途中加入だったので、新しく組むバンドで『曲を作って、ライブやろうぜ!』っていうのができなかったから、バンドを揉む時間が取れてよかったと思いました」とこの自粛期間をポジティブに振り返った。

笠原が「楽しかった?」と観客に尋ねると、大きな拍手が送られる。それを受けた3人は笑顔になり、「俺もすごく楽しかった!」と笠原。続けて「今日のことは忘れないでおきたいな。いい日だったね。ロック最高、バンド最高。それを実感できた」と振り返ると、3人は「みんなに捧げる曲」として“NEVER ENDING STORY”をプレイ。そして“STAY YOUTH FOREVER”の始まりを思わせるギターを弾き始めると、「歌わないでくれ。ちゃんと出るから。俺たち生きてるから。心燃やして、どデカい歌を聴かせてくれよ」と叫び、シンガロングパートへ。観客は一様にステージをじっと見つめ、力の限り拳を突き上げる。笠原はステージの前方まで進み、歌声を聴くようにフロアをぐるりと見渡していた。余韻を残したまま3人は本編を終え、あっというまにアンコールへ。3人は“THE NIGHT WITHOUT A STAR”、“CRAVE YOU”を届けたあと、『来場者へのプレゼント』の上映が行われ、ひさしぶりのワンマンライブは幕を下ろした。

ライブ前、私は「シンガロングのないNorthern19のライブは想像がつかない」と思っていた。Northern19の楽曲は、むしろライブハウスでのシンガロングがあってこそ完成するものだと、「シンガロングがないと寂しいんだろうなあ」と思っていた。しかし大事なのは歌声ではなかった。ライブ中、笠原が言っていた。「みんなの声が聴覚に届かなくても、ちゃんと俺たちはみんなの心を燃やしに行くし、みんなの心が燃えてたら伝わりますから」と。Northern19の楽曲やライブはちゃんと私たちの心を燃やしてくれた。ライブに必要なのはあくまでも、手段としてのシンガロングではなく、燃えた心の、結果としてのシンガロングだったのだ。「TONIGHT A LIVE」。そう冠された意味が、よくわかったライブだった。でもいつかまたうるさいくらいの、メンバーの声が聞こえないくらいのシンガロングで満ちたNorthern19のライブが、見たい。

■セットリスト
01. YES
02. MESSAGE
03. TRUTH
04. RED FLOWER
05. BELIEVER
06. DIVE
07. MY DAWNING
08. DRAIN
09. [UNTITLED]
10. LETTER
11. WISH
12. TONIGHT, TONIGHT
13. SNOWBLIND
14. THE DEPARTURE~HEARTBREAKER
15. NOTHING BUT MY HEART
16. SUMMER
17. NEVER ENDING STORY
18. STAY YOUTH FOREVER
<アンコール>
19. THE NIGHT WITHOUT A STAR
20. CRAVE YOU

>>Northern19 "YES" INTERVIEW!!
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