INTERVIEW

NOISEMAKER “AXIS” INTERVIEW!!

Interview by Chie Kobayashi
Photo by Shingo Tamai

NOISEMAKERが2月16日に新作EP『AXIS』をリリースする。昨年6月に発表した楽曲「APEX」を中心にした本作は、ロックバンドとしての新たなサウンドが確立されたと言っても過言ではないだろう。自身も「ロックバンドの新しい軸の提示ができた」と語る本作について、メンバー4人に話を聞いた。

ロックバンドとして新しいサウンドを探して辿り着いた作品に

──『AXIS』聴かせていただきました。NOISEMAKERの新たな“軸”になりそうな1枚だと感じましたが、皆さんの手ごたえはいかがですか?

HIDE(Gt):いつも通りです。

AG(Vo):そうですね、いつも通り、手応えも歯ごたえもあります!

──6月にリリースされた「APEX」がアルバムの軸になっているのでしょうか?

HIDE:「APEX」と同時期にできた曲がほとんどですが、「APEX」と一緒に並んでも違和感のないものが入っているとは思います。“「APEX」みたいな曲を”ということではなくて、ただその時期にやりたかったことをやったらこれまでとは違う曲ができたという感じです。

──その時期にやりたかったことというのは?

HIDE:「イェイイェイ」っていう感じの……(笑)

AG:アバウトだな(笑)。

HIDE:「特にこういうもの」と気張って作ったわけじゃないですけど、「クラップが入ってる曲」とか「この曲はサビをこんなふうに」とか、作ってみたい曲を作っている感じで。いつも「今までとは違う曲を作りたい」という気持ちはあるので。

──単純に、今までとは違うことを求めていったらこういう曲ができた?

HIDE:そうそう。毎回そういう感じですね。

 

──AGさんは先ほど「手ごたえも歯ごたえもある」とおっしゃっていましたが、“歯ごたえ”の内容をもう少し詳しく聞かせていただけますか?

AG:ロックバンドってサブスクもあんまり回らないし、世界のトレンドの上位にもほとんど上がってこない。そういう中で戦っていかなきゃいけないという気持ちはあって。かといって、トレンドを追えば、ボーカルのソロプロジェクトのようになってしまう。でも俺らNOISEMAKERは、始めからずっと、ジャンルに捉われないというのを掲げていて、自分たちがそのときにいいと思うものを取り入れて、なおかつバンドとしての軸は絶対に崩さないようにバランスを見つけようとしてきたんです。例えば最近のハイファイなヒップホップのフロウを入れようとすると、もっとデジタルになってしまうと思う。今作はそういうものとはまた違う、新しいサウンドを探して辿り着いた作品になったなと思います。

──それこそ本作は、ボーカルのソロプロジェクトやシンガーソングライターが作るバンドサウンドでは実現できない音楽になっているなと思いました。

AG:メンバー4人の存在価値や、NOISEMAKERという音というものは、いつも意識していることですね。似たような音は作れるかもしれないけど、NOISEMAKERとしての個性のある音楽というのは常に考えています。

 

“神アルバム”に

──UTAさんは、今作の手ごたえいかがですか?

UTA(Dr):カッコいいですよねぇ(笑)。僕の中で、NOISEMAKERで一番の“神アルバム”は『RED APHELION』(2017年10月発売)だったんですが、今作はそれが塗り替えられたかもしれません。ただただ曲がカッコいいじゃないですか。ライブやってない段階でもこんなにカッコいいんだから、ライブをやったらもっとカッコいいんだろうなって。

──電子音の割合も多かったりして、特にリズム隊はやることがこれまでとは変わったのではないかと思うのですが、その点はどうでしたか?

UTA:やることが変わったというよりもやることが増えたという感じですね。これからは、ライブでどう再現するかを考える工程です。

 

──YU-KIさんはこのアルバム、どんなものになったと思いますか?

YU-KI(Ba):1曲1曲がすごくキャラのある、素敵な作品になったなと思います。

──音楽的に新しいことも多いかと思いますが、YU-KIさんの中で新しいことはありましたか?

YU-KI:毎回、そこに必要なものをブチこむっていう感じなので、あまりそういう意識はないかもしれないです。毎回新鮮で、毎回同じというか。音的にはオールドな感じが好きというのもあるし、バンドとしても、ハイブリッドな音と、生楽器の枯れた感じの音が融合していて。だからといって、ずっと同じことをしてるわけでもないんですけど……。

AG:一番カッコいいと思う音がこれだってことだよね。

YU-KI:そうそう。

AG:流行りのバンドサウンドを聞いてもカッコいいと思わないというか。

YU-KI:そうそうそう。

AG:すぐ飽きちゃうよね。

YU-KI:そうそうそうそう!……いや、僕はそこまで攻撃的なことは言ってないですよ(笑)。

AG:あはは(笑)。&page:&

当たり障りのない言葉じゃ伝わらないと思った

──歌詞では、“最後に希望が見える”というベクトル自体はずっと変わらないことでもあると思うのですが、これまでよりもストレートで強いメッセージが綴られている印象を受けました。

AG:NOISEMAKERの曲って、これまでは寄り添うようなリリックが多かったと思うんですけど。ここ1~2年で、ロックバンドとして、もうちょっと踏み込んだことを歌ったほうがいいかなと感じたので、ストレートに書いてみたという感じです。嫌われてもいいから、刺さる人に刺さってほしいなと思って。

──ここ1~2年で何があったのでしょうか?

AG:ライブをやってステージに立ってみて感じたことというか。当たり障りのない言葉じゃ伝わらないと思ったんですよ。例えばコロナに対しての考えひとつとっても、人それぞれ考え方は違うじゃないですか。俺も親とも考え方が違うし。でもだからって違う考えの人とケンカするんじゃなくて「俺はこうだ」「私はこうだ」って、それぞれが主張するのが大事なんじゃないかなと思ったんです。考え方が違うからって、全員に当てはまるようなフワッとしたことを言うのはロックバンドのやることじゃないなって。ロックな音楽のアートとしては本当のことを言うべきだと思った。

──前作のインタビューでは、こんな時代だから明るい言葉が必要だと思ったとおっしゃっていましたが、その感覚は変わりました?(参考:https://satanic.jp/news/detail/ODA5

AG:そうですね。今は別に明るい曲は必要だと思ってないですね。前よりもみんなコロナウイルスというものを理解して、前に進んでる感じがするから。ツアーを回ったり、人と話したりする中で、今みんなが求めているものは気休めのような「大丈夫だよ」って言葉じゃない気がしていて。メディアやSNSで流れているよりも、現実はもっとみんな前に進んで、希望を持って強く生きてるんですよね。だからもうコロナに対するネガティブな気持ちはいらないんじゃないかなって。

──コロナに焦点を当てるよりも、コロナ禍の中での日常を歌ったほうがリアルというか。

AG:そうですね。結局はコロナのことを歌っていますけど、パフォーマンスだけの「でも希望はあるよ」みたいな言葉じゃなくて、もっと本心で書いたらこうなったという。

 

──今作の歌詞についてAGさん以外の皆さんはどう感じられましたか?

HIDE:歌詞を書く前に「こういう強いメッセージを書こうと思うんだけどどう思う?」と話をされたんですが、普通にいいんじゃない?と思いました。彼は「やっぱり言い過ぎかな?」「言わな過ぎかな?」と迷ってもいましたが、僕は「“わかる人にはわかる”でいいじゃん」って思っていて。自分の中から伝えたいことが出たんだったらそれを書くベき。別にメンバーの中ではそう思ってない人がいるかもしれないけど、それはそれというか。受け取る人もいれば、受けとらない人もいるっていうだけかな。

──バンドの総意かどうかではなくて、AGさんが歌いたいことを歌うのがNOISEMAKERということ?

HIDE:それが一番じゃないかな。絵も、何人もで描くことってないわけで。伝えたい一つの芯があって、それを目指して描くべき。いろんなスタイルがあるとは思うけど、NOISEMAKERはそういうスタイルです。

UTA:俺も、HIDEが今言ったように、AGが今言いたいこと、伝えたいことを伝えられていたらそれでいいと思っています。それがNOISEMAKERだから。

 

「え、俺のこと歌ってる?」

──YU-KIさんは今作の歌詞についてどう感じられましたか?

YU-KI:最近の歌詞はAGの強さがにじみ出ていてカッコいいなと思いますね。いい歌詞って「えっ、俺のこと歌ってる?」ってなるじゃないですか。AGの歌詞はけっこうそう思うものが多くて。すげー才能だなと思います。

AG:YU-KIのこと想って書いたんですよ(笑)。

YU-KI:だろ?(笑)

AG:あはは(笑)。

──メンバーがそう思うのっていいですね。

AG:うれしいです。

──特に「これ、自分のこと?」と思った曲はありますか?

YU-KI:「APEX」ですね。……でもそうだよな、同じバンドだからそりゃ共感するわ。

AG:状況が同じだから。

YU-KI:そうそう。めっちゃ当たり前の話してましたわ(笑)。うん、でもシンプルに尊敬してます。

 

──個人的にはAGさんのボーカルが、より柔らかく、より感傷的になったように感じました。

AG:え? そうですか? あ、新しい機材入れたからかな。海外のプロデューサーがトップアーティストのレコーディングのときに使うセットで録ったので。歌い方自体は特に変えてないですけど。

YU-KI:表現力が豊かになってるんじゃない? 「CROWN」のラップのところの挑発的な感じとか。本人は無自覚で自然なんだろうけど。

AG:曲のキャラクターにあわせて歌うことは意識しているから、それもあるのかな。

──音も、全体的にリッチな感じがしました。

HIDE:毎回ですけど、レンジ感や音の位置には気を遣っているので、リッチに聞こえるのかもしれないですね。金かけてるんで(笑)。ちょっとしたことで聞く人の印象って変わるじゃないですか。それって気付かれないようなことの積み重ねだと思っているので、結果、それが伝わっていたらうれしいです。

──このアルバムが、ライブでどう表現されるかも楽しみです。

HIDE:ライブ、すごそうですよね。

UTA:他人事だな(笑)。&page:&

誰にも真似できないバンドに

──アルバムのタイトルに“軸”という意味の単語「AXIS」を冠した想いを教えてください。

AG:バンドにとっても、聴いた人にとっても、この作品やメッセージが生活の一部になったらいいなという想いで付けました。あとは、ロックシーンやロックサウンドの“軸”を更新するつもりで作ったので。ジャンルの壁はないと言っても、やっぱり「これをやったらガッカリする」とかってあるじゃないですか。そういうのを取っ払って、NOISEMAKERは誰にも真似できないバンドになっていけたらいいなと思って。

──今作が今後のNOISEMAKERの軸になっていく?

AG:それはわからないですが、コロナ禍で、またツアーが控えていて……という状況の中で、この作品を軸にうまく回っていけばいいなという想いも込めています。あとは、このアルバムでロックバンドの新しい軸の提示ができたんじゃないかという自信もあります。

 

ステージさえあればどこでも戦える

──DVDには、昨年11月に行われたホールツアー「NOISEMANIA PREMIUM HALL TOUR」のうち、東京国際フォーラム ホールC公演の模様が収められます。初のホールツアーにして、ダンサーやゴスペル隊を迎えた、それこそロックバンドとして例を見ないライブでしたが、ホール公演はいかがでしたか?(参考:https://satanic.jp/news/detail/MTMxNA==

HIDE:やってよかったです。コロナ禍でモッシュやダイブができなくて、どうしようかと知恵を絞った結果ですが、すごく豪華なライブになりました。NOISEMAKERにはバラードもあれば、がっつりオルタナティブな曲もあって。いろんな曲があるからこそ、ダンサーやゴスペルがハマったと思うので……いろんな曲を作ってきてよかったなーと思いました。

UTA:いいものができたなと思います。メンバーが横一列で、後ろにLEDのスクリーンがあって……と、初めて尽くしだったけど、全部がいい経験でしたね。ボーカルがフィーチャリングゲストとして参加するというのはよくあると思いますけど、ゴスペルだったりマーチングバンドだったりとのコラボっていうのは普通のライブじゃできないと思うので、そこは見どころですね。

AG:やれることを全部詰めこんだ結果、ほかのどのバンドにもできないことができたんじゃないかと思います。俺らがやったから、今後、ほかのバンドはダンサーとかゴスペル隊とのコラボってやりづらくなりますしね(笑)。先にやっといてよかったなーって。「NOISEMAKERってこういうこともできちゃうよね」って言える、強い武器ができたんじゃないかな。

YU-KI:金が許せば何回でもやりたいですね(笑)。……と言うくらいには、映像を見て改めて、すごいショーだったなと思います。

──バラードが続いたときに見違えるのもNOISEMAKERだからこそですよね。

AG:確かに。そういう意味でも、どこでも戦えるバンドになったんじゃないかな。ライブハウスでも戦えるし、ホールでも戦えるし。ステージさえあれば戦えるバンドになりました。

──MCでAGさんが「本当はライブハウスでやりたい」とおっしゃっていましたが、やっぱりライブハウスでライブがやりたいですか?

AG:あのセットをライブハウスに持っていけたらいいなと思いますね。モッシュもダイブもありで、あのセットで、全部が揃ったライブをやりたい。そしたらもっとすごいものが見せられるんじゃないかなって。

──モッシュやダイブは恋しい?

AG:そうですね。特にNOISEMAKERは一緒にシンガロングするポイントが多いから。でも、今はない中でのライブで鍛えられているところなので、コロナが終息したときにどうなるのか楽しみですね。

──『AXIS』リリース後にはツアーも控えていますが、どんなツアーになりそうですか?

AG:初めて対バンをするバンドも多いので、チャレンジになるかなと。会場もNOISEMAKERのキャリアの中で一番大きい規模になるので、今までやってきたことを更新したものを見せたいと思います。


 


NOISEMAKER「AXIS」

CD
1. Hunter or Prey
2. SPEAK UP
3. FREEZE
4. CROWN
5. APEX

DVD
NOISEMANIA PREMIUM HALL TOUR Live at 東京国際フォーラム ホールC
1. Change My Life
2. THIS IS ME
3. SADVENTURES
4. Spineless Black
5. MAJOR-MINOR
6. Better Days
7. One Day
8. Dharma Light
9. SILENCE
10. APEX
11. Something New
12. RARA AVIS
13. NAME
14. To Live Is


NOISEMAKER presents AXIS TOUR

日程:2022年2月23日(水・祝)
会場:北海道 PENNY LANE24
出演:NOISEMAKER / CVLTE

日程:2022年2月25日(金)
会場:宮城県 Rensa
出演:NOISEMAKER / FIVE NEW OLD

日程:2022年3月5日(土)
会場:福岡県 DRUM LOGOS
出演:NOISEMAKER / Newspeak

日程:2022年3月6日(日)
会場:岡山県 YEBISU YA PRO
出演:NOISEMAKER / ハルカミライ

日程:2022年3月12日(土)
会場:石川県 Eight Hall
出演:NOISEMAKER / a crowd of rebellion

日程:2022年3月13日(日)
会場:東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
出演:NOISEMAKER / UVERworld

日程:2022年3月17日(木)
会場:愛知県 DIAMOND HALL
出演:NOISEMAKER / Paledusk

日程:2022年3月18日(金)
会場:静岡県 LIVE ROXY SHIZUOKA
出演:NOISEMAKER / RED ORCA

日程:2022年4月2日(土)
会場:大阪府 なんばhatch
出演:NOISEMAKER / MY FIRST STORY

日程:2022年4月3日(日)
会場:香川県 festhalle
出演:NOISEMAKER / Age Factory

NOISEMAKER official website