INTERVIEW

Northern19 “LUCKY CHARMS” INTERVIEW!!

Interview by Chie Kobayashi
Photo by Taio Konishi

Northern19が4月20日にミニアルバム「LUCKY CHARMS」をリリースする。

今年、結成19周年目を迎えたNorthern19。大切な“19”周年目に、彼らが届ける「LUCKY CHARMS」とはどのような作品になったのか。笠原健太郎(Vo, Gt)と馬場豊心(Dr, Cho)に話を聞いた。

より“バンド”になった「MOVE ON TOUR」

──昨年11月の“MOVE ON TOUR FINAL”を拝見して、3人が“バンド”になった感じをすごく感じました(Northern19 “MOVE ON TOUR FINAL”LIVE REPORT!! )。まず前回のツアーの手応えを聞かせてもらえますか?

馬場豊心(Dr, Cho):正直、自分的には「これでいいのかな」と思いながら回ったところがあって。コロナ禍で、観てくれる人の反応もあまり目には見えないし、対バンもいなくて「良かったね」も「悪かったね」も言われないから。チームの人に「よかった?」と聞きながら回っていた感じでした。

笠原健太郎(Vo, Gt):僕はすごく良かったですね。馬場くんが言うような側面ももちろんありましたけど、公演ごとにちょっとずつライブが良くなっている実感はあったし、何よりとにかく楽しかった。ワンマンだからこそいろいろなことを試すこともできて。おっしゃってくれたように、より“バンド”になっていった感覚は自分たちにもあって、実りのあるツアーでした。

──ファイナルでもずっと「楽しい」と言っていましたし、本当にバンドを始めたばっかりの少年みたいに楽しそうでした。

笠原:コロナ禍で目に見える形でお客さんとコミュニケーションが取れない状態だったから、単純に自分たちが楽しんでないとダメだなと思ったんです。ステージ上で自分たちがいいバイブスを出せば、それをとっかかりにいいライブになるんじゃないかなって。「ライブができているだけでありがたくて最高なことじゃん」というスタンスでいたので、それが自然と出たんじゃないかな。

馬場:それこそお客さんはじっくりと僕らを見ているから、僕らが楽しんでないとすぐわかっちゃうんですよね。「調子悪そうだな」とか。そのためにもこっちが心の底から楽しまないとダメだなというのは改めて気付かされたツアーでしたね。

──そのために何かやっていたことや意識していたことはあるんですか?

馬場:黙っているお客さんを沸かせるためにはどういうライブをするかと考えると、やっぱりこれまでとは変わってくる。「今まで通りにやっていてもダメだよね」ってみんなで話して、ストイックにクオリティを上げるようになりました。ライブが終わったらみんなでライブ映像を見返して意見を出し合って。ワンマンだからライブ後に時間もあったので、移動の車内でそれぞれ映像を見返して意見を共有して。

笠原:その場でそれが共有できたのは良かったですね。

馬場:今までだったら各々が持ち帰って見るという感じだったんですけど、終わってすぐの熱量で見ることで、効果もすごくあったと思います。

──より“バンド”になったのは、そういうことの積み重ねだったんですね。

笠原:そうだと思います。

 

“19周年目”に出すべき作品とは

──そしてNorthern19にとって大きな節目、“19周年目”最初のバンドのアクションとしてミニアルバム「LUCKY CHARMS」をリリースします。本作の制作に“19周年目”ということは影響していますか?

笠原:はい。「節目の19周年目に出す作品はどういうものがいいんだろう」と考えたときに、今までのNorthern19の総括みたいなものだろうなと思ったんですけど、そういうものって狙って作れるものじゃないんですよね。というか狙ったところで前の曲を超えられない。だから「19周年目だからこういうものを」みたいなことは考えないようにしたんです。けど、やっぱりどこかは意識していたというか、今のNorthern19、新しさみたいなものは提示したいし、でもNorthern19らしいものも必要だし……って考えたら、結局今までやってきたことと変わらなかったっていう。

──結局、いつも通りの作品作りをすることが、節目の年にやるべきことだったと。

笠原:はい。

──そして出来上がった「LUCKY CHARMS」は多彩な作品になりましたね。前回のインタビューでも「しばらくは新しいことをやっていくモードでいきたい」とおっしゃっていましたが(Northern19「GOODBYE CRUEL WORLD」INTERVIEW!! )、まさにその通りというか。

笠原:ありがとうございます。でも本当はもっと前衛的なことというか、それこそ前作の「MOVE ON」の系統というか、自分たちにとって新しいことをしたかったんです。けど自分の中から出てくるものがポップなもの、明るいバイブスのものばかりで。最初は自分がそれに戸惑っちゃったんです。「思っているものと違うな」って。でもこれはこれで自分たちにとっては新しいことだなと振り切ってこっちに舵を切った感じです。

──どうして明るいものが出てきたんだと思いますか?

笠原:……わかんないっす(笑)。わかんないですけど、自分がそういうものを求めていたんでしょうね。メロウなメロディとか、ロマンチックなものを求めていたんだと思う。

──自分のテンションが明るかったというよりは、明るいものを求めていた?

笠原:うーん……でも自分のテンションも明るかったと思います。それこそツアーもいい感じで回れたし、精神的には明るかったと思います。でもだからといって明るい曲ができるとは思わなかったですけど(笑)。

──馬場さんはこの6曲を聴いた時はどんな印象を持ちましたか?

馬場:確かに明るい曲が揃ったなという印象でしたね。だからこそ、自分のプレイとしてはあまり難しいことをしないようにしました。曲の雰囲気が明るめで開けているので、変に詰め込み過ぎないほうがいいかなと思って。むしろいろいろ削ぎ落としてシンプルにしました。

笠原:バンド全体としてもそういう方向にシフトしたよね。個々のプレイよりも、バンド全体のアレンジを考えて。前作くらいからどんどん客観的になっているような気がします。

 

“今まで”を超えるNorthern19らしい曲

──ここからは収録曲について詳しく聞かせてください。まずは1曲目「MEMENTO MORI」。今作の中で一番苦労した曲だそうですね。

笠原:最初に話した話にも繋がるんですが、19周年目だからNorthern19らしい曲を入れたいと思って取り掛かったんですけど、実はそういう曲を作るのが一番難しいんですよ。作ろうと思えば作れますけど、今までの曲の二番煎じになってしまって、今までの曲を超えるのが難しい。Northern19らしさって、端々にあるんですよね。ビート、コード進行、曲の展開、メロディ。どれも妥協したくなかったので、そのために「ここが違うな」を繰り返してちょっとずつ完成に近づけていきました。

──今までの自分を、真っ当に越えていかなきゃいけないんですもんね。

笠原:そうなんですよ。でも最終的に「これはいい!」と自分で思える曲ができたので、よかったなと思います。

──Northern19らしいと言いつつ、一か所日本語のフレーズが入ります。日本語詞が入るのはひさしぶりですよね?

笠原:1stアルバムに入っている「DON’T GO AWAY」以来です。そういう意味でも19周年目っぽさもあるかなって。

──日本語詞はどこかに入れたいと思っていたんですか? それとも自然と?

笠原:全体的に邦楽っぽいメロディだったので、「日本語もアリだな」と思って考えていたら入ったというか。曲に導かれたみたいな。

馬場:僕個人的には、日本語詞の曲って、Northern19でやるには抵抗があったのですが、この入り方は全然抵抗なかったですね。無理やり日本語にした感じもなくて。

笠原:僕としても、無理に日本語にするのは嫌だったけど、自然にやれるタイミングだったら全然入れても良いと思っていたので、今回はいい感じに入れられて良かったです。

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目指すは「よくよく聴くと深みあるな」

──2曲目「CALL ME」については、頂いた資料によると、笠原さんが「特にドラムが攻めていて、繰り返されるリフと相まって壮絶なビート感がすごい」とコメントされています。馬場さん、このドラムパートはいかがでしたか?

馬場:「忙しい」ですね。単純に叩く数が多い。曲の速さで言うと、僕らの曲にはよくあるスピードなんですけど、やってることが忙しいというか。

笠原:16ビートの曲じゃないんだけど、16ビートっぽいドラムなんですよね。だから聴いている分にはシンプルでさっぱりしていると思うんですが、よくよく聴くとけっこう細かいことをやっていて。実はドラム以外もみんな忙しいんですよ。でも“難しいことやってます”みたいな感じは出したくなくて。

──聴いている分には忙しさのようなものはまったく感じませんでした。それこそ19年目というか、大人だからできることなのかも。

笠原:そうなんですよね。パッと聞きで派手なこと、難しいことをやってるなと感じるようなものはあんまり好きじゃなくて。「よくよく聴くと深みあるな」と感じるものを作りたいなとずっと思っているので、それができたなと思います。

──5曲目「NOW OR NEVER」は壮大さんがメインボーカルを務める曲です。

笠原:壮大がメインボーカルを取る曲があってもいいなとイメージしながら作ったんですけど、結果SHORT CIRCUITみたいな曲になっちゃいました(笑)。「壮大が歌うならどういう曲がいいだろう」「それを俺が作るなら?」と考えていたんですが、壮大のルーツがポップパンクなので、そういう曲を作っていったらパッとできたんですけど……(原)直央さんの声で脳内再生されちゃって(笑)。でも仕上がりを聴いたらちゃんとNorthern19になっていたのでよかったです。SHORT CIRCUITが大好きなので、こういう曲ができたことが俺的にはすごくうれしかったし、壮大のイノセントなボーカルがいい感じにハマって。

──今後は壮大さんがメインボーカルの曲も増やしていく予定ですか?

笠原:そうですね。壮大が自分でそういう曲を持ってこられると一番いいなと思いつつ、俺も「壮大が歌ったほうがいいな」と思う曲ができたら歌ってもらいたいと思っています。

 

封印していたコード進行を解き放った

──あと、これは全体的に言えることなのですが、昨年から笠原さんがdustboxのアコースティックセットに参加していることも、曲作りに影響を与えているのではないかなと思っていて。

笠原:それはめちゃくちゃあります。実は今作は今までそんなに使ってなかったコード進行を使っていて。それこそdustboxだったりHAWAIIAN6だったり、周りのバンドがけっこう使っているコードだったから、「同じことやるのもな」と思って封印していたんです。でも今作では自然と解き放たれちゃって。それがちょうど自分から出てきたポップな曲とマッチしたんだと思います。

馬場:もう私生活でもよく越谷行ってるもんね。

笠原:そう。だから自然とdustboxと会う機会も増えて。dustboxの中に入って一緒に演奏しているといろいろと気づきがあるんですよ。「俺、こだわりすぎてたな」とか「この発想すげえな」とか。そういう影響もあって、年々自分の中の「こうでなくちゃ」みたいなものがなくなってきているような気がします。

馬場:「SURVIVE」の遊んでいる感じもdustboxの影響はかなりあるんじゃないかなと思いますね。dustboxってああいう遊びがうまいから。

笠原:でも「SURVIVE」に関しては、「よし、ガチャガチャにしてやるぞ」っていう感じで作ったんじゃなくて自然とそれしか考えられなかったんですよ。逆に「MEMENTO MORI」は封印していったコード進行を使っているので、もし封印したままだったら“今まで”は超えられなかったかもしれない。結果的に、「LUCKY CHARMS」は今までのNorthern19と、今のNorthern19、どちらも見せられる作品になったなと思います。

──「LUCKY CHARMS」というタイトルに込めた想いを教えてください。

笠原:この音源を聴いた人や、自分たちのライブに来た人がちょっとでもいい感じになったらいいなと思って付けました。幸運のお守りというか、ラッキーアイテムのようなものになったらなと。これを聴いたり持っていたりすると運気上がりますよって(笑)。自分も好きなバンドの新譜を聴いて良かったらうれしくなるし、これがそういうものになったらいいなと思ってこのタイトルにしました。

笠原:あとジャケットにもこだわりがあって。パッと見はカラフルで楽しげなんですけど、よく見ると怪しいアイテムがちょこちょこ描かれているんです。これには「物事は見方によって変わるよ」という意味を込めています。生きていればネガティブなことって誰しもあると思うんですが、自分の頑張りでいい感じにできるし、何かのエネルギーに変えてポジティブにしていけるよ、って。

──それこそ、先ほど言っていた「パッと聞くと難しいことをやってなさそうなのに、実は難しいことをやっている」というNorthern19の音楽も同じですよね。

笠原:そうなんです。自分たちにもいろんな側面があるし、いろんな曲があって。どこを好きになってくれても、どこを聴いてくれても正解なので。

──このアルバムを携えて、5月からはツアー「LUCKY CHARMS tour」が始まります。

笠原:新曲を演奏するのが楽しみですね。演奏が大変な曲もありますけど、今はそれが張り合いになっています。あと、新曲が入ると、旧曲の新たな魅力が出てくることがあるんですよ。「こういうフックになるんだな」とか。そういうのを発見するのも楽しみです。

馬場:今のメンバーで作った曲も増えてきたよね。だから「LUCKY CHARMS」の曲はもちろん、「YES」「GOODBYE CRUEL WORLD」の曲もスタメンにできるように育てていきたいですね。

笠原:すでに、今までだったら絶対スタメンだった曲がちょいちょい外れていってるんですよ。

馬場:それっていいことだよね。

笠原:うん。

馬場:そういう強い曲を、ライブで増やしていけたらいいなと思います。

笠原:それこそリリースツアーのあとにやると、お客さんの反応がツアー中よりもよくなることもあって。そういう意味でも「GOODBYE CRUEL WORLD」「YES」の曲をやるのも楽しみですね。とにかく最高のツアーにするんで、遊びに来てほしいです。19周年目のNorthern19もよろしくお願いします!

Northern19「LUCKY CHARMS」

01. MEMENTO MORI
02. CALL ME
03. FANTASY
04. DUMB
05. NOW OR NEVER
06. SURVIVE

Northern19「LUCKY CHARMS tour」

2022年5月19日(木)千葉県 千葉LOOK
2022年5月21日(土)埼玉県 越谷 EasyGoings
2022年5月22日(日)東京都 町田CLASSIX
2022年5月28日(土)愛媛県 WStudioRED
2022年5月29日(日)香川県 高松DIME
2022年5月31日(火)広島県 Hiroshima CAVE-BE
2022年6月16日(木)長崎県 Studio Do!
2022年6月18日(土)大分県 clubSPOT
2022年6月19日(日)福岡県 小倉FUSE
2022年6月21日(火)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2022年7月23日(土)岡山県 CRAZYMAMA 2ndRoom
2022年7月24日(日)島根県 出雲APOLLO
2022年7月30日(土)京都府 KYOTO MUSE
2022年7月31日(日)静岡県 UMBER
2022年8月5日(金)東京都 Hachioji RIPS
2022年8月13日(土)宮城県 仙台MACANA
2022年8月14日(日)山形県 酒田Music Factory
2022年8月19日(金)群馬県 高崎clubFLEEZ ※会場閉店につき代替え会場調整中
2022年9月2日(金)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
2022年9月17日(土)石川県 金沢vanvanV4
2022年9月18日(日)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
2022年9月29日(木)茨城県 mito LIGHT HOUSE
2022年10月1日(土)岩手県 the five morioka
2022年10月2日(日)青森県 LIVE HOUSE FOR ME
2022年10月15日(土)北海道  旭川CASINO DRIVE
2022年10月16日(日)北海道 Bessie Hall
2022年10月22日(土)沖縄県 Output 
2022年11月4日(金)福岡県 LIVEHOUSE CB
2022年11月5日(土)大阪府 UMEDA CLUB QUATTRO
2022年11月6日(日)愛知県 NAGOYA CLUB QUATTRO
2022年11月19日(土)東京都 LIQUIDROOM


Northern19 Official Web Site