INTERVIEW

Northern19 x EGG BRAIN x LOCAL SOUND STYLE “三国同盟” INTERVIEW!!


Text by Chie Kobayashi


Northern19、EGG BRAIN、LOCAL SOUND STYLEの3組による共催イベント「三国同盟『-江戸 訪問編-』」が2月9日に東京・高田馬場 CLUB PHASEにて開催される。

2011年4月に、Northern19の地元・新潟、EGG BRAINの地元・神戸、LOCAL SOUND STYLEの地元・弘前の3都市を回るツアーとして行われた「三国同盟」。EGG BRAINとLOCAL SOUND STYLEの活動休止・活動再開を経て、このたび14年ぶりに同じ顔ぶれで開催される。そこでNorthern19の笠原健太郎(Vo, Gt)、EGG BRAINのJOEY(Vo, Gt)、LOCAL SOUND STYLEのTakayuki(Ba, Cho)に、「三国同盟」への思い入れ、14年間の互いの変化などを語り合ってもらった。

 

「カップリングツアー的なもの、何かする?」

──「三国同盟」が開催されるのは14年ぶりということですが、そもそも最初に三国同盟を開催することになったのはどういった経緯からだったのでしょうか?

JOEY(EGG BRAIN) Northern19とEGG BRAINのダブルレコ発の時だったよね。LOCAL SOUND STYLEが同行していて、佐賀公演の打ち上げのときに「カップリングツアー的なもの、何かする?」って話で盛り上がったのがきっかけだよね。

Takayuki(LOCAL SOUND STYLE) そうそう。その前からNorthern19とEGG BRAINとはライブとかイベントで一緒になることが多くて。で、一緒にやろうって具体的に話が持ち上がったのが佐賀だった。

笠原健太郎(Northern19) 佐賀GEILSの外のスペースで、みんなで座って話しているうちに「やるか!」ってなったのを覚えているな〜。

──実際にやってみていかがでしたか?

Takayuki 初日の弘前が2011年の4月だったんですが、その1ヶ月前に東日本大震災が起こって。ライブを自粛する流れもあった。だけど、俺たちは音楽しかやることがないし、せっかくだから行こうということになったんですよ。行ったところで停電になっているようだったらアコースティックでもいいし、ライブ自体ができないんだったら飲みに行くなりして現地にお金を落とそうって。まずは行ってみなきゃわかんないからって。それが「三国同盟」の始まりになった。

笠原 そうそう。新潟では、リハーサル中に大きな余震が来てね。びっくりした。

Takayuki 結局、3公演とも無事にできたんだけど……そのツアーのコンセプトが“がっつり打ち上げもやる”だったから、それぞれ翌日をオフにして。

JOEY そうそう。弘前公演をやってオフがあって、新潟公演をやってオフがあって、神戸っていう。

Takayuki 打ち上げが大変だったよね(笑)。

JOEY うん、打ち上げがマジで大変だった!(笑)

笠原 楽しかったんだけどね(笑)。

Takayuki でもイベントとしては大盛況だったよね。当時はまだ俺ら3組とも地方でのライブにはそんなに強くなかったけど、地元を背負っている3バンドが気合いを入れて開催するということで、地元のお客さんも集まってくれたし、3箇所ついてきてくれるお客さんもいたしね。すごく意味のある1週間になった気がする。

JOEY そうだね。俺らのライブで弘前にあんなに人が入っているところ、見たことなかったもん。このイベントを楽しみにしてくれている人がこんなにたくさんいるんやってびっくりした。

Takayuki しかも震災の直後だったから、「音楽でいい影響を与えよう」って10人で意思を統一して。お客さんも一つになっていた感じがした。それこそSNSでライブやオフショット、打ち上げの写真をあげたり、「これは見せられないね」とか言って載せないようにしたり(笑)。

笠原 意識してみんなで元気を出していた感じもあったよね。

──それはやはり、震災の翌月だったから?

Takayuki そのこともあったかもしれないし、あとは本当にこの3組でのツアーが実現した喜びが大きかったのもあるかな。

JOEY 本当にどのメンバーともツーマンで話せる感じがあったよね。だいたい対バンしても「あの人とはあんまりしゃべらへんな」っていうメンバーがいたりするんやけど、この3バンドはほんまに誰とでも話ができる。

Takayuki メンバー以上に仲良かったりしてな。

JOEY  しかもあのツアーでさらに仲良くもなったし。うん、すごく良かったよね。


濃密で印象的な1週間

──そんな「三国同盟」を、今回14年ぶりに開催することになりました。

笠原 実際に動き出したのは黒瀧(Takayuki)から連絡があったからだけど、俺とかEGG BRAINのメンバーは数年前から「また三国同盟やりたいよね」って話をしていて。

JOEY してた、してた。

笠原 だけどローカルが活動休止中だったから、「ローカル次第だよね」と言っていて。そしたらローカルが復活して。ワンマンライブを見に行ったらすごく良かったから、「できるときが来たらやろうよ」って話をして。そしたら今回、満を持して黒瀧から連絡が来た。

Takayuki LOCAL SOUND STYLEは「三国同盟」のあと、2011年6月に活動を休止してしまって。そこから8年間休止していた。EGG BRAINも2015年から2019年に休止していて。もうこの3バンドが一緒にやることはないんだろうなって思っていたんだけど、休止中も、健太郎と会うと「三国同盟楽しかったよね」って話をしていて。健太郎は僕らが復活しない前提で「またやりたかったよね」って言ってくれていたから、再開したときに、まず筋を通さないといけないのは「三国同盟」だと思った。しかもコロナ禍も経ていたから、「やれるときにやろう」っていう気持ちにもなっていて。Northern19とEGG BRAINが出ている八食に行って、直接「三国同盟をやりたい」と行ったら……速攻オッケーだったよね。

JOEY・笠原 うん!

Takayuki で、今に至ると。

 

──ただ、「三国同盟」って言ってしまえば3公演だけだったわけじゃないですか。それでも筋を通したいと思うほどに3バンドにとって大きい存在だったのはどうしてだったのでしょうか?

Takayuki 俺らにとっては、活動休止直前の自分たち主催の企画だったというのが大きいのかも。

JOEY あー、そうか。

Takayuki 個人的にも、バンドを休止している間に頻繁に連絡を取っていたのがNorthern19とEGG BRAINだったし、活動していない間も大切にしてくれていたというのも大きかったような気がします。

JOEY 僕としては、まず自分自身が楽しかったツアーだったし、またやりたいなという気持ちがあったのが一つ。それと、終わったあともお客さんから「また『三国同盟』やってください」ってほんまにずっと言われていて。「ローカル引っ張り出してください」って(笑)。お客さんも楽しみにしてくれているんやっていうのもあって、絶対にまたやりたいなと思っていました。

笠原 俺は単純にめちゃくちゃ楽しくて。

JOEY うん、そうだよね。間違いない。

笠原 たった3本、しかも東名阪とかじゃなかったのに、なんかすごく濃密なツアーで。すごく素でいられたし、なんかいろいろなタイミングが合致して、3組ですごくスパークしたんですよね、いろんな意味で。

JOEY・Takayuki スパークした!

 

笠原 あと、これは声を大にして言いたいんだけど、「三国同盟」って、3〜4バンドでスプリットツアーするっていうものの走りだったと思うんです。今でこそTRIPLE AXEとかいろいろあるけど、俺たちとしては「9人の侍」(THUMB、SHORT CIRCUIT、CAPTAIN HEDGE HOGによるスプリットツアー)以来のスプリットツアーくらいの気持ちでもありました。

JOEY バンドマンからの反応もすごかったよね。「何これ」みたいな。

Takayuki そうそう、「ずるい!」みたいな感じだった。

笠原 うんうん。そういうこともあって、なんかすごく特別で印象深いイベントでしたね。


Northern19とEGG BRAINの良さは身長の高さ!?

──せっかくの機会なので、お互いのバンドの魅力も語り合ってください。

JOEY まず曲ですね。

Takayuki 俺も! Northern19もEGG BRAINも曲がすごく好き。

JOEY どっちも、対バンする前にタワレコの視聴機で聴いて「めっちゃカッコいいバンドいてるやん!」って思っていたから。

笠原 ローカルはお互いデビュー前から知っているんですけど、まず曲がめっちゃいいなと思って。話してみたら、メンバーがめっちゃ青森訛りで。そのギャップにやられた。EGG BRAINもめちゃくちゃキャッチーで、メンバーは関西弁で。そのギャップというか人間性みたいなところにも惹かれましたね。

JOEY そうだよね、人間性を知ってさらに大好きになるよな。

Takayuki あとはNorthern19もEGG BRAINもそうだけど、ライブが熱いじゃん。クールにかますんじゃなくて、泥臭い。JOEYなんてこんなに外見さわやかなのに!(笑) それでいてライブを楽しみながらやっている。それが仲良い俺たちだけじゃなくて、お客さんにも伝わってる。もうこの歳になったらさ、お金とか名誉のためじゃなくて、音楽に対する熱量が伝わるかどうかが大事になってくると思うんだよね。2組ともそれが伝わってくるから好き。あとはEGG BRAINもNorthern19も、フロント2人の身長が高いのがうらやましい!(笑)

JOEY・笠原 あはは(笑)。

Takayuki 俺らは中肉中背おじさんだから(笑)。


──お話にも何度も上がっていますが、前回の「三国同盟」のあと、LOCAL SOUND STYLEとEGG BRAINは活動休止もありました。お互い、この14年間の変化をどのように見ていますか?

笠原 まずEGG BRAINは、戻ってきたときに、シンプルに自分たちのやりたいことをやろうとしている感じが伝わってきて。もちろんもともとあったんだけど、それがわかりやすく伝わってきた。メンバー間の雰囲気も良くなったと思うし、メンバーみんな大人になって、「バンドを続けていくんだぞ」というモードになっている感じがしていいなと思った。

JOEY 確かにそういう意味では、EGG BRAINは休止が良かったのかも。時間が空いて視野が広がって。

 

笠原 ローカルに関しては、だいぶ止まっていたわけだけど……復活したときのワンマンライブを見に行ったら何も変わってなくて。タイムスリップしたんじゃないかと思うくらい。だからすごく感動したし、「これこれ!」って思った。だからこそ余計に、新曲とか今後の活動が楽しみ。音楽の流行りってあると思うんだけど、ローカルに関してはそれをすっ飛ばして今までのままの楽曲を作ってくれたとしたら、それはそれで超上がるし、今っぽいものを取り入れてきて「おやおや?」って思うのもいいなあって(笑)。これからどういうものを作っていくのかが楽しみだし、それに影響を受けたい自分もいる。EGG BRAINもそうだけど。

──ちなみに、2組が休止していたとき、健太郎さんとしては寂しさもありましたか?

笠原 うーん……しょうがないと思っていたかな。でも寂しさがなかったかといえば、もちろんそんなことはない。だから戻ってきてくれてうれしかったし、けど一方では「ただで戻って来れると思うなよ」という気持ちもある。「こっちはずっとやってんだから」みたいな。

JOEY そりゃそうだよね。

笠原 でもカムバックしてくれたのは本当にうれしい。

Takayuki Northern19はずっと昔から聴いているけど、やりたいことを曲に思う存分に入れてきて、どんどん、何て言うのかな……わがままボディになっているなって思う(笑)。曲もライブも。それはうらやましかったな。実際に健太郎は豊満なボディになってきているんだけど(笑)。曲を作る時って、さっき言っていたように流行り廃りもあって、ライブで盛り上がる曲をとか、いろいろなことを考えてしまうんだけど、健太郎はもうそこを超越して、ずっとやりたいように突き進んでいる。ジャンルわけしようと思ったらいろいろあるけど、“Northern19”という唯一無二の階段を登り続けているイメージがあって。その間で止まっている自分たちが申し訳なさもあったし、一緒についていきたかったなという気持ちもあったけど、Northern19とEGG BRAINが、俺らのいない時代を歩んでくれているのがうれしかったな。

笠原 そう言ってもらえるとうれしいね。

 

Takayuki EGG BRAINもやっぱり唯一無二を作っている。特に俺はKUNちゃんとはよく飲んで、いろいろな話をしていたから、凹むことがあることも知っていたし、そのなかでどんどん良くなっていく姿を見ていて。そんな姿を見て、頼もしいなと思っていました。

JOEY 2人の話を「俺もそうやな」と思いながら聞いていたんですけど……Northern19とは最近も対バンしていますけど、ほんまにNorthern19らしさを突き通していて。でも健太郎くんは今でも常に新しい音楽を吸収しているから、それが楽曲に反映されて進化し続けている。それがほんまにすごいなって思う。それは演奏面もそうで。見るたびにバチバチに合っていて負けていられへんなって思う。大好きです。

笠原 ありがとうございます、です!

JOEY ローカルにはずっと戻ってきてほしいなって思っていたし、戻ってきたらほんまに何も変わっていなくて、泣きそうになった。心の底から「おかえり!」って思ったし、「三国同盟」もやりたいし、俺たちのツアーにも出てほしいなって思った。健太郎くんも言っていたけど、ローカルの新しい曲も聴きたいなと思う。14年間いろいろ吸収したやろうし。それが楽しみですね。


あの頃に戻る感覚も、先に進んでいる感じも味わいたい

──そんな3組による三国同盟「-江戸 訪問編-」、どんなライブにしたいですか?

JOEY やっぱり対バンなので、3組のなかで一番カッコいいライブをしたいというのはもちろんあります。でも仲間なので、とにかくめちゃくちゃ最高な、楽しい1日を過ごしたいですね、14年分。

笠原 いつも通りの感じでやるんだけど、いつも通りの感じにはならなそうというか……いつも通りじゃないものにしたい。とにかくこの3バンドじゃないと出せない雰囲気ってあるだろうし、3組が順番にライブをすること自体がバトンになるだろうし、そういうことも含めて特別なライブにしたいなと思います。あの頃に戻るみたいな感覚も味わいたいし、そこから先に進んでいる感じも味わいたいし。お客さんにも、予想を超えていく喜びみたいなものを味わってもらえたらいいなと思いますね。

Takayuki ローカルは、EGG BRAINとNorthern19みたいにライブを頻繁にやっているわけじゃないから、正直ステージに立ってみないと何が起こるかわからない(笑)。下手したら、同級生を集めた披露宴レベルのライブをするかもしれない。そうならないように、メンバーの意識は高まっているんだけど。とりあえず、「三国同盟」をこの3バンドでできているという喜びを噛み締めながらライブをすれば、それが自然とライブに出てくると思うから、とにかく楽しみたい。そうすれば自然とこの3バンドでしか出せない空気が出来上がるんじゃないかな。ただ本当にわからない(笑)。とりあえずそういう気持ちだけは持って挑みたいと思います。

──ちなみに……今回以降の「三国同盟」も期待しても良いのでしょうか……?

JOEY そうですね。いろいろと考えてはいます。

笠原 具体的に何かが決まっているわけではないんですけど、今回はとりあえずやってみて、いろいろな感触を確かめて、またタイミング見てやれたらいいねって感じですね。ただ、できることややりたいことを叶えていかないと、どんどんおじさんになっちゃうし、また誰かが止まっちゃう可能性もある。だからこれからも無邪気に、前のめりに楽しいことをやっていきたいって感じかな。

JOEY うんうん、やりたいときにやりたいことをやっていかないとね。


 

Northern19 x EGG BRAIN x LOCAL SOUND STYLE presents 三国同盟「-江戸 訪問編-」

日付:2025年2月9日(日)
会場:高田馬場 CLUB PHASE

 

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