Northern19 “FIVE FLESH” INTERVIEW!!
Interview by Chie Kobayashi
Photo by toya
Northern19が新作EP『FIVE FLESH』を2月25日にリリースする。本作にはNorthern19らしいストレートな5曲が収録されており、笠原健太郎は「また1stアルバムができた感覚がある」と言う。なぜこのタイミングで“フレッシュ”な1作が生まれたのか。笠原にじっくり聞いた。
「もう全部やったるわ!」で持ち曲全部やるツアー開催中
──現在Northern19は「5会場曲被りなし!持ち曲全部やるワンマンツアー!」を開催中ですが(※取材は1月下旬に実施)、そもそもこれはどういった思いで開催を決めたものなのでしょうか?
お客さんから「あの曲聴きたいです」とか言ってもらうんですけど、それって人によってさまざまで。「じゃあもう全部やったるわ!」という気持ちでやることにしました。
──全曲ライブって、リスナーとしてはものすごくありがたいですが、バンドとしては大変ですよね……?
大変なんですよ! 大変なんだろうなというのもわかっていたんですけどね。何せ去年の11月まで『FIVE FLESH』の曲作りとレコーディングをやっていたので。それが終わってからツアーのことを考え始めたので、思ったよりも大変でした、というか大変な思いをしている最中ですけど。
──そうですよね。
だけどやってみると、思っている以上に良くて。自分たちで昔の曲の良さを再確認するんですよね。「過去の曲ってかわいいな」って。子供の頃によく遊んでいたおもちゃが入っていた箱をひさしぶりにパッと開けたみたいな感覚なんですよ。お客さんが喜んでくれているのもうれしいし、「この曲はこういう反応が来るんだな」というのは今後のライブでも生かせるし、収穫の多いツアーになっています。

手垢のついたものを作り続けたい
──取材前に、これまでのリリース曲のジャケットが並んでいる資料を見て「うれしい」とおっしゃっていましたが、ライブのセットリストを考える上でもこれまでリリースした曲を並べてみたと思います。ご自身で改めてご覧になっていかがですか?
俺の手垢まみれだなと思いました。細かいところも見ると「この時期はこれにハマっていたな」とか「あの時期の感じが出てるな」と感じるんですが、だけどやっぱりどの曲も俺の作る曲だなという感じがします。あとは単純に「この曲、ここで悩んでたな」とか「迷ってこのアレンジにしたんだよな」とかそういう思い出もふわっと蘇ってきて。いろいろ感じますね。
──Northern19はコンスタントに作品をリリースし続けているので、曲数もすごい数ですよね。
やればやれるもんなんだなと思いますね。最初から「いつまで続けよう」とか「100曲作ろう」とか考えていたわけじゃないから。20年で130曲作ったんだと思うと、「オレ、すげえかも」と思うし、進化してるなとも思います。
──ちゃんと進化をご自身で感じられるのは良いですね。
うん、めちゃめちゃ思いますね。妥協はしたくないし、「前の作品がこうだったから、またこういう曲求めてるんでしょ」みたいなやつをずっといい意味で裏切りたくて。だから毎回いろんなトライアルをしてきたし、むしろトライアルのオンパレードだった。いろんなアプローチをしてきたんだなと、気合いみたいなものを感じましたね。
──20年間曲を作り続けるだけでもすごいのに、ちゃんと進化し続けているのもすごいですよね。
たとえば、一度妥協したり、自信のないものを出したりしちゃったら、取り戻せないものがある気がするんです。もしかしたら、トライアルのなかで、客観的に見たら失敗だったり、「もっとこうすればよかった」と思うものはあったかもしれない。だけど、常にちゃんとベタベタに自分の手垢が付いたものを出していきたいと思っていたから。ちゃんとそういうものが作れていたなとはすごく今思います。

──昨年、Wiennersの玉屋2060%さんにインタビューさせてもらった際、玉屋さんが5〜6年前にスランプに陥ってHAWAIIAN6のYUTAさんに相談したら、YUTAさんに「もうちょっとしたら楽しくなる」と言われて、本当に楽しくなってきたという話をしていたんですね(https://satanic.jp/contents/888483)。健太郎さんは曲を作るのがしんどく感じることもあるのでしょうか? はたからみていると、ずっと楽しそうに見えますが。
そう見えているならよかったですが、実際はしんどいときもありますよ。それこそ手垢をつけずに、思い入れを持たずに、作れないから。妥協できないぶん、それ相応のしんどさはあります。白いキャンパスに最初に絵を描くときは夢が膨らんでいるんですよ。「ここにあれも描ける、これも描ける」って。だけど、描いていくうちに「バランス取らなきゃいけないかな」とか、「これはここで描いちゃったからもう描けないな」とか、いろいろ考え始めちゃうんですよ。そこで「でももういいや、描きたいから描いちゃおう!」となるときもあれば、ちゃんとバランスを見て描くときもある。そうやって吟味しながらやっているので、さくさく曲はできません。
──そうなんですね。
だけど、基本的に曲を作るのはすごく好きで。なんでかって言ったら、唯一と言ってもいいくらい、数少ない自分の得意なことだから。それでみんなが喜んでくれたり、「いいね」って言ってくれたりするのって本当にうれしいんですよ。自分の好きなことをやって、それがいいって言ってもらえるって最高じゃないですか?それだけで「俺は幸せじゃん」って思える。だからやり続けられる限りは全力でやりたい。なんか、曲ができるときって“ここにしかない”みたいな感じでできるんですよ。その瞬間は時間も忘れるし、アドレナリンが出て本当に楽しい。なかなかできない経験だなと思います。
──“ここにしかない”みたいな感じで曲ができるのって、すごく気持ちよさそうですし、その喜びを味わってしまうと、やめられなさそうですね。
ちょっとスピリチュアルな話になっちゃうんですけど、オアシスのノエル・ギャラガーが、インタビューで「名曲は勝手に降ってくるから、それを待っているだけでいい」みたいなことを話していて。その気持ち、すげえわかると思ったんです。もちろん、ああだこうだ言って作ることもあるけど、結局はちょっとしたギフトのような感覚なんですよね。イタコみたいな感じで、いただいたものを、ただ俺が形にしているだけみたいな感覚があって。
──降ってきたものを絵に描くような。
そうそう。ただ、それを形にするためにはテクニックや経験が必要だから、俺は常に筋トレをしているだけというか。俺、基本的に無理やり曲を作ることってないんですよ。イントロだけできた、サビだけできたというときに、そこから自然とAメロやBメロもできていったら作るけど、浮かばないときは無理くり作らないで、寝かせておくんです。ふとしたときに、何かがつながってブワーッとできることもあるから。そこからまた寝かせるときもあるし。そうやって「いい感じ、いい感じ!」って作っていく。だから、ノエルの「待つだけでいい」っていうのがわかるなと思うんです。
──そのスタイルで、これだけの曲を作ってきていると思うとすごいですよね。
そうですね。
今のNorthern19が投げるストレート球
──そんななかで新作EP『FIVE FLESH』が完成しました。Northern19らしいストレートな楽曲が並んでいますが、どういう構想で作り始めたのでしょうか?
『CELLS』(会場限定CD)を作り終わったあと、メンバーで「次はもうちょっとシンプルでストレートなメロディックパンクにしたいかもね」という話をしていたんですよ。というのも、『CELLS』って、周りのバンドマンやお客さんから、思った以上に「いろんなトライをしているんだね」と言われて。自分たちではそんなつもりはなかったんですけど、言われてみたらそうなのかもなって思って。だったら、次はひさしぶりの流通音源だし、Northern19らしい、ど真ん中を射抜く作品にしたいなって。
──『CELLS』はご自身たちのなかでは、そこまでチャレンジングなつもりはなかったんですか。
うーん、言われてみればそうかもなっていう感じで。曲単位で見れば確かにいろいろなことをやっているんですけど、自分たちとしてはストレートを投げたつもりだったんですよね。だけど、それが周りから見ると、思ったよりもストレートじゃなかったみたいで。だったら、マジのストレートを投げてみようかなって。「FIVE FLESH」も「ストレート投げるぞ」って言ってみたものの、いい感じにちょっとシュート回転してたりするんですけど。でも「これが一番でしょ」って思うものができたと自分たちでは思っています。
──「ストレートなものを作りたい」というよりも、「Northern19としてストレートを投げようとした」という感じなんですね。
そうそうそう。でも実際「EVERGREEN」なんかはかなりストレートだと思うんです。
──タイトルからド直球ですもんね。
そうそう。この曲は最後にできたんですけど、最後のほうにできた曲ってピュアなもの、邪念のないものが出ることが多くて。「EVERGREEN」というタイトルにしようとか、何も考えず、とりあえず曲から作ったんです。そしたら自分でもどうしようと思うくらいすごくピュアなメロディができたので、これはシンプルな演奏にしようと思いました。歌詞も、このピュアなメロディに引っ張られて、そのままできました。
──まさに降ってきたんですね。
そうです。「EVERGREEN」というタイトルも、気がついたらついていた感じでした。
──Northern19が「EVERGREEN」というタイトルで曲を作るならこういう曲だろうなと勝手に想像してしまえるくらいしっくりくるタイトルですよね。
はい。自分でも「これは『EVERGREEN』だ」って思いました。この曲、最初は卒業式の合唱で歌われそうなメロディを作ってみたいなというイメージで作り始めたんですよ。ピアノの伴奏と生徒たちの声みたいな。
──そのイメージ、ものすごくしっくりきました。
だけど、歌詞は割と40代の今だから歌えるような内容で。そのマッチングも自分的にすごく気に入っています。
──お話を伺っていて思ったのですが、この曲に限らず、Northern19の楽曲って合唱曲に通ずるようなメロディがありますよね。耳馴染みが良くて、青春感があって。
そうですね。やっぱり曲って骨格がしっかりしていないといけないとずっと思っているから。しっかりしたメロディに、演奏でどういうアプローチをしていくかっていう考え方なんですよね。だから「EVERGREEN」をはじめとした『FIVE FLESH』の曲も、ほかの曲も、そういう観点で聴いてみると、すごくシンプルで、しっかりいい曲だと思います。
──そのアプローチで、遊びすぎないようにしたのが今作なんですね。
そうですね。とはいえ削ぎ落としすぎても面白くないので、バランスは取りましたけど。「NO GRAVITY」は基本的に1つのメロディしかないんですよ。だけど、後ろの演奏がどんどん変わっていっている。モチーフはずっと一緒だけど、背景が変わるみたいな。そういうのが好きなんです。
──なるほど。「DRAMATIC」も、本当にドラマチックな曲ですよね。
この曲も降りてきました。サビが降りてきて、そこからだいぶ寝かしてから肉付けしました。ざっくり言うと、洋楽っぽさと邦楽っぽさがいい感じに混ざっていて。
──意外とこういう質感の曲って、Northern19の曲にはなかったですよね。大人になったNorthern19というか。
確かに。この曲で言っておきたいことがあって。この曲のAメロのギターが、ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」そのまんまなんですよ。作っているときに「これめっちゃいい!」って入れてから「あれ、これSmells Like Teen Spiritじゃん」って思ったんですけど、もうやっちゃおう!と思って。
──導かれたのならオマージュとして捧げようと。
そうそう。気づく人いるかな? 誰も気づかないかもしれないから、言っておきます。そういう聴き方をしても面白いと思うので。そうやって俺らはニヤニヤしながら曲作りしてますよって。

他ジャンルへの気づきの扉を開いてあげられたら
──ストレートなものを作ろうというところから作り始めたEP『FIVE FLESH』、完成してみてどんな1枚になったと思いますか?
なんて言うんだろうな……“めちゃくちゃNorthern19だな”と思います。一周してまた1stアルバムができたみたいな感覚で。ちょうどこのタイミングで全曲披露ワンマンもやっていて。それは本当にたまたまなんですけど。そう考えると『CELLS』って一周する輪が閉じる直前の、最後の爆発だった気もして。それを持って、またスタート地点に立ったのが『FIVE FLESH』。だけど、本当の1stアルバム『EVERLASTING』とは確実に違う景色で。
──ある意味でのスタート地点に立ったということは、これから先また面白いことになっていきそうですね。
それこそ2月から『FIVE FLESH』のツアーが始まりますけど、普段はレコ発ツアーの初日って新曲ばかりで、俺らもお客さんもちょっとドキドキするんですけど、今回の5曲はもう全曲披露ワンマンでやっている。そのときの反応を見て、ツアーに挑めるのでいろいろできちゃうかもなって思って。
──楽しみですね。
はい、すげえ楽しみです。あと、全曲披露ワンマンをやっていて、改めてNorthern19ってオリジナリティがあるなと思ったんですよ。もちろんメロディックパンクには影響を受けているし、一番の軸もそこにあるんだけど、それだけに収まらないというか。だから、Northern19が、メロディックパンクを好きな人の、他ジャンルへの気づきの扉を開いてあげられたらいいなと思っているんです。そのためのいい意味での違和感みたいなものを楽曲に入れているつもり、というか、それが一番のNorthern19のミソだと思っていて。ただ、そのぶん、さっき話したように骨格だけはブレないようにしているんですけど。
──まさに、ニルヴァーナの一節を入れているのもその一つでしょうし。
そうそう。そこからニルヴァーナを聴いてみてもらってもいいし。メロディックパンクを聴いてこなかったけどこの曲いいなって思ってNorthern19や他のメロディックパンクを聴いてもらったり、逆に、メロディックパンクを好きな人が、Northern19を起点に他の音楽も聴いてくれたりしたら最高だなと思う。そういう存在になっていけたらいいなと思っています。

Northern19「FIVE FLESH」
01. NO GRAVITY
02. FIND MY WAY
03. DRAMATIC
04. WITH BROKEN HEART
05. EVERGREEN
Northern19 “FIVE FLESH tour”schedule
2月27日(金)千葉LOOK
3月1日(日)F.A.D YOKOHAMA
3月20日(金)神戸 太陽と虎
3月27日(金)仙台 enn2nd
3月29日(日)八戸LIVE HOUSE FOR ME
4月11日(土)広島cave-be
4月12日(日)岡山CRAZYMAMA 2ndROOM
4月16日(木)GUNMA SUNBURST
4月19日(日)札幌KLUB COUNTERACTION
5月8日(金)KYOTO MUSE
5月10日(日)松山double u-studio
5月16日(土)水戸LIGHT HOUSE
5月22日(金)静岡UMBER
5月24日(日)福岡LIVE HOUSE OP’s
5月29日(金)金沢van van V4
5月31日(日)大阪 LIVE HOUSE ANIMA
6月17日(水)名古屋 新栄シャングリラ
6月19日(金)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
6月26日(金)渋谷WWWX