SATANIC PARTY 2022 対談 < SABLE HILLS Takuya × FUNNY THINK 金野 >
photograph by Yasumasa Handa, Leo Kosaka, text by Teneight
これからのシーンを担っていくであろう次世代アーティストに大舞台でライブする機会を設けたSATANIC PARTY。今年初めての試みである本イベントに向けて、出演者の心境や意気込みをうかがう企画。共にSATANIC CARNIVAL 2022のオープニングアクトで出演を果たしたSABLE HILLSとFUNNY THINKは、ステージに立った後、一体なにを得ることが出来たのだろうか。今勢いに乗る両バンドのフロントマンに話をうかがう。
“どんな場所でも想いを込めたライブは、伝わるんだと実感した”(Takuya)
“ひとつ上のレベルへ、ステップアップすることが出来た”(金野)
ーお互いに面識はありますか?
Takuya:直接話したことはなかったんですが、FUNNY THINK のことは知ってます!
金野:SATANIC CARNIVALのときに観ていました!
Takuya:本当ですか!?嬉しいです。
ーでは、まずお互いのバンドの印象をお聞きしたいんですが、金野さんはSABLE HILLSの曲を聞かれたことはありますか?
金野:もちろんです。自分が今まで聴いてきたメタルのジャンルの中でも、かなりバンドサウンドの中に漢を感じています。それに、耳につきやすいキャッチーな部分もあったりだとか、単純にMVの映像もすごいカッコいいなって思っています。
Takuya:おー嬉しい。ありがとうございます!実はオレは最近まで聴いてなかったのですが、改めて聴いてみたらめちゃカッコよくて!
金野:ありがとうございます。
Takuya:ちょっと衝撃を受けました。こんなにカッコよかったの!?って。1番有名な「僕らはきっと美しい」のMVもチェックしたんですが、オレが思っていたスタイルとは全然違って、あの曲が凄い好きですね。金野くんの声は耳に響きやすくて、それに加えてライブ中の堂々とした立ち振る舞いとかをみると、だからSATANIC CARNIVALに呼ばれたんだろうなって感じました。
金野:ありがとうございます。嬉しいですね。
Takuya:あと、東北の出身ということで、地元の岩手をレップしているのも僕らには無い部分なのでいいなって。地元を背負っているバンドっていう強い印象があるので、いろんな想いがあってバンドをやっているんだろうなって感じています。なので、今日こうやってお話しできるのを凄い楽しみにしていました。
金野:ありがとうございます。僕も楽しみでした!
Takuya:褒めすぎ?(笑)
金野:ちょっと褒めすぎです。
ーオープニングアクトとして出演したバンド同士ですが、ステージに立ったときはどんな気分でしたか?
Takuya:SATANIC CARNIVALは、SABLE HILLSにとって初めての野外ステージでのライブだったことに加えて、日本のオーバーグラウンドなフェスに出演することが初めてのことだったので、正直緊張していましたがが、会場では今まで憧れて観ているだけだった先輩バンドとも会うことができました。実は前乗りして初日からいたんですけど、そんな先輩方と話す機会を作れた感動の1日で、その日を終えてからのライブでしたので背中を押されたんです。『明日観にいくよ!』って言ってくれる先輩がたくさんいて。ColdrainのMasatoさんや、CrossfaithのKoieさんにTeruさんとか。まあ、そういう人たちがステージ袖でたくさん観てくれていたのが緊張する要因だったんですけど(笑)。そんな中で扇風機ヘドバンをしたら、裾で笑って楽しそうに観てくれていて。
ー大勢詰めかけていましたよね。
Takuya:それにオープニングアクトだったので、オーディエンスはあまり入ってないだろうと思っていたのですが、いざライブが始まってみたら結構たくさん集まってくれていて。それでオレらも全力でメタルをやっていたら、ステージとの距離もある中、オーディエンスの熱意がライブハウスと同じように伝わってきたんです。そうやってオーディエンスもオレらに熱いパッションを返してくれたのを感じたので、どんな場所でも想いを込めたライブをしたら、伝わるんだと実感しました。
ー金野さんはどうですか?
金野:FUNNY THINKはバンドを始めたのが、中学2年のときで10年ほど前なんですけど、本当にその頃からSATANIC CARNIVALに憧れていて、目標だったんです。得に自分達は元々Hi-STANDARDだったりメロディックハードコアバンドのコピーからスタートしていましたし、Ken Yokoyamaさんに憧れて、Kenさんのコスプレをしてステージに立っているような少年でした。そんな憧れの場所にまさか自分が出れるなんて想像もしていなくて、夢のような話でしたね。そして、いざステージに立ってみたら、率直に楽しかったってことと、ずっとコロナ禍だろうがライブハウスを全国回り続けてやった成果が実って、自分なりの音楽をステージで出せたかなと思います。
ーお互いにスキルアップできる場所になっていたんですね。
Takuya:だいぶなりました。
金野:凄いなりましたし、報われたような気分になっちゃいました。
ーライブ後はお客さんからのリアクションもあったんじゃないですか?
Takuya:全然バンドと関係のない、小中学校の同級生とかから『SATANIC CARNIVAL出るのやばい!』みたいな連絡が来たりして、普段ライブハウスシーンにいない人たちにも届いたんだっていうのが嬉しかったですね。SABLE HILLSは一番フェスに呼ばれなさそうな音楽性なんですが、自分たちが信じたことは間違ってなかったなって感じてます。
金野:本当に同じことを言おうと思っていて。連絡をとってない友達までもが、連絡をくれたりしました。そのぐらいSATANIC CARNIVALの影響力の大きさを実感しています。
ーお互いにバンドとしてはSATANIC CARNIVALを経てどんな変化がありましたか?
Takuya:SATANIC CARNIVALのあとにヨーロッパツアーを控えていた段階だったのですが、あのステージがあったからこそ、ヨーロッパツアーを成功することができたと思っています。たまたまタイミングが良くて、本当にありがとうございますとしか言えないです。
金野:FUNNY THINKは、本当にライブハウスに足を運んでくれる人の数が増えたのと、リスナーが増えてくれました。SATANIC CARNIVALが終わってから地元では、いしがき MUSIC FESTIVALってのがあって、オレたちのホームでやっているフェスなんですが、そこでも大きなフェスを経験することができたんですが、それもSATANIC CARNIVALでの経験を踏まえた上での活動でしたし、ひとつ上へステップアップできたかなと思っています。
ーなるほど。SABLE HILLSはヨーロッパツアーも終えて、日本と海外のギャップを凄く感じたと思います。
Takuya:まずは音楽は共通言語だと再認識できて、海外との違いが日本語が通じるかそうでないかだけでしたね。あとは、皆さんも知っての通り、海外ではモッシュやダイブ、シンガロングなどなんでもOKの状態で、ヨーロッパは国民が主体性をもって行動しているように感じました。
ーそうなんですね。
Takuya:日本は国が規制をかけて、それに全員が従う感じだと思うんですけど、ヨーロッパは何をするのも自由な分、全て自己責任だよって状況で。それはライブでも同じで、チケットを買ってもライブにこないお客さんもいたりします。例えばバンドのチケットが1,000人キャパでソールドアウトしているんですけど、1,000人中300人しかお客さんが来ていないとか。でもそれは、チケットを買ってバンドのサポートはするけど、自分はコロナが心配だから行きませんって意味があって、そんな人がたくさんいました。そういうのが、ヨーロッパって良いなって思った点です。
ーそんな海外での経験は、今活かされているんですか?
Takuya:考え方を改めさせられました。ヨーロッパツアー中は死に物狂いでしたが、思い返すと、日本のライブのやり方に活かせているし考え方にも影響しています。考え方が根本的に変わったと思います。
ー具体的には?
Takuya:お客さんに主体性をもってもらうってことですかね。オレがお客さんを煽るとかではなくて、ライブを観てブチ上がったら、お客さんが主体性をもってモッシュやダイブをしたってオレは別にいいと思うようになりましたね。
ーなるほど。
Takuya:もちろん、主催者が決めたルールがあるときは話は変わりますが、オレらが主催のときはMCで『今日モッシュしていいらしいから、みんなやっちゃおうぜ』なんてことは言わないし、お客さんを突き動かす為に、熱いメタルをブチかませるよう、ライブをしていこうと思うようになりました。
ーFUNNY THINKは、今年の夏に1stフルアルバムをリリースしたばかりですし、ツアーファイナルを控えた状態で、さらに最近は凄い数のライブをこなしていますが、気持ちも高まっているんじゃないですか?
金野:そうですね。1st フルアルバムをリリースして、今まさに全国ツアーを回っているところです。オレたちはライブの数を凄い重視していて。やればやるほどいいと思ってるので、いろんなライブハウスでライブして自分達のレベルを上げて、友達も増やしていく。そういうやり方をしていますね。
ーちなみに、今年印象的だったライブはありますか?
金野:福岡のTHE FOREVER YOUNGがすごい好きで、憧れもあるんです。そんなバンドが東北に来たときは、よく対バンしているんですけど、今回初めて自分達のツアーに出てもらいました。それは福岡でのライブだったんですが、彼らの地元でできたことが凄い嬉しかったですね。
ーでは、結構お世話になっているバンドなんですね。
金野:かなりお世話になってます。あとは、いしがき MUSIC FESTIVALも印象に残っていて。先ほども言ったように地元を大切にしているのですが、その地元での反応が明らかに変わってきている印象ですし、対バン相手の方に良いって言ってもらえることが多くなってきました。
“I.S.Oさんの考え方に賛同した上でアツいライブをしたい”(Takuya)
“東北の看板を背負って、グッドメロディーを届けたい”(金野)
ー余談ですが、金野さんの地元には良いサウナはあるんですか?
Takuya:それは気になります。
金野:サウナ自体あまりないのですが、SPA銭湯ゆっこ盛岡ってところは良いって聞きますよ。詳しくないんですけど、盛岡ではアツいらしいです。
Takuya:それは温度的に?
金野:どっちもです。扉は2枚になってます。
Takuya:おー、2重扉!なるほど、良いですね。
ーサウナーのTakuyaくんから見てもアツいんですか?
Takuya:そうですね。熱を遮断してこもらせることが出来るんで、アツいです。ちょっと案内して欲しいですね(笑)。
ー話の腰を折ってしまいましたが、今回のSATANIC PARTYはマスク有りなら声出しがOKですが、そこについてはどう捉えているんですか?
Takuya:オレはポジティブにしか捉えてないです。いろんなものを背負った上で、I.S.Oさんがそういう決断をしたのは、凄くカッコいいと思うしその考え方に賛同した上でアツいライブをしたいと思っています。
ーありがとうございます。金野さんは?
金野:そうですね。自分もポジティブですし、やっぱり自分達の楽曲はシンガロングが多いので、近年ずっと一緒に歌うってことができていなかった分、その感覚を忘れつつあるので、久しぶりにみんなで一緒に歌えたらいいなって思います。みんなで一緒に歌える歌詞作りもしているのでとても楽しみです。
ー両バンドとも最近は新たな動きはあるんですか?
Takuya:年末にFRONTLINE ROADSHOWというツーマンの企画で、東名阪と神戸の4ヶ所を回ります。その後、2023年の3月25日に自主企画のFRONTLINE FESTIVALを開催します。そのあたりで、新曲のリリースも控えていますし、もっと遊びに来たいと思ってもらえるようなコンテンツを常に出し続けていきます!
金野:オレたちは、11月に青森の弘前と新宿と岩手の盛岡で、ツアーファイナルを開催します。気迫のこもったライブを観に是非足を運んでもらいたいです。
ーでは最後に今回のイベントに向けて、意気込みをお聞きできますか?
Takuya:まずはさっきも言ったことですけど、自分たちが主人公だって気持ちでライブを一緒にやりたいと思っていて。オレがルールを決めるんだってくらいの気持ちで観にきてもらうのが、ライブの本来あるべき姿かなとヨーロッパツアーで感じたので、一緒にライブを作っていきたいです。ただ、このシーンを支える大規模なイベント主催者のI.S.Oさんが声出しのみOKという決意をしたのは凄く大きな事でもあるから、そういう決意をしてイベントを開催するとなった意義もしっかり汲み取った上で、全力で一緒に大声出しましょうって言いたいです。
ーありがとうございます。金野さんは?
金野:自分たちFUNNY THINKは東北、そして岩手代表だと思っています。そして全国のライブハウスを回って、力を溜めてきました。なので、今回のイベントではオレらライブハウスバンドの最大限のパフォーマンスと、グッドメロディーと歌詞を皆に聴いてもらえればなと思います。そして皆で一緒にシンガロングしたいですね。
ーそこも楽しみですね。
金野:ありがとうございます。頑張ります本当に。
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