Northern19 "LUCKY CHARMS tour" final- LIVE REPORT!!
Report by Chie Kobayashi
Photo by 半田安政
2022.11.19 @LIQUIDROOM
Northern19「LUCKY CHARMS tour」final
バンド結成19周年。普通なら節目として区切ることのほとんどないタイミングだが、あるバンドにとっては特別な意味を持つ。そう、Northern19だ。笠原健太郎(Vo, Gt)と馬場豊心(Dr, Cho)が19歳のときに結成したNorthern19。そんなバンドが19年後に、LIQUIDROOMでツアーファイナルを実施した。結成当時の秘話やバンドの紆余曲折をエモーショナルに語るなんてことはなく、ただただ溢れ出る熱量を汗だくで爆発させる、まさにNorthern19らしいアクトで記念すべき日を彩った。
この日のゲストはNorthern19と付き合いの長いGOOD4NOTHINGとHAWAIIAN6。GOOD4NOTHINGは、MAKKIN(Ba, Vo)が着ているNorthern19のロンTをU-tan(Vo, Gt)が褒めるなど、隅々までNorthern19への想いでいっぱいに(MCでは前日に泊まったホテルでのウォシュレットの話だったけれど)。何よりも、この日彼らがNorthern19に伝えたかったのは、紆余曲折を経た今も楽しくカッコよくライブをしている姿だろう。「20周年でメンバーが抜けて、シングル出したらまたメンバーが抜けて……(笑)」と冗談めいて話していたけれど、彼らも現在は未来に光が見えてきているという。形が変わってもライブハウスを熱くしてくれる彼らの姿が、きっとNorthern19にとっての光になっていることだろう。
HAWAIIAN6は本ツアーの序盤、5月21日に越谷EasyGoings公演に出演。HATANO(Dr)は「健太郎は真面目だから、不真面目な俺たちを呼んだことで不真面目になればいいと思って」と話しつつ、今日の会場の雰囲気を見て「いい感じに回って来れたんだな」とホッとした様子を見せる。「大好きなNorthern19へ」と「A LOVE SONG」を送る一方で、コロナ禍でのライブのあり方への姿勢をはっきりと示して「PROMISE」を叩き込む姿は、まったく不真面目なんかじゃなく、ひたすらに頼もしかった。
そしてこの日の主役・Northern19は馬場の力強いドラムを合図に「GO」でライブをスタートさせる。そのまま勢いを加速させると「MEMENTO MORI」「CALL ME」、「恵比寿、ダンスできる?」と焚きつけた「FANTASY」と、『LUCKY CHARMS』の収録曲を次々と畳み掛けていく。3人は向かい合って息をあわせたり、笠原と敦賀壮大(Ba)がフロントに進んで背中合わせに演奏したりと、まるで少年のようなキラキラした表情で演奏を楽しんでいる。19周年の記念のライブなんていうのが嘘のよう、なんなら初ライブなんじゃないかと思わせるように瑞々しい。一方で、3人のプレイはまさに19年の貫禄。それがもっとも感じられた曲の一つは『LUCKY CHARMS』収録曲「DUMB」ではないだろうか。「こんな馬鹿野郎でも幸せでもロックしてるし、これからもしてやる。そんな歌を」との言葉から始まった同曲。深みのある笠原のボーカルを、馬場と敦賀が骨太なビートで支えつつも軽やかさもあわせ持ち、間奏での笠原のギターソロは自由奔放。まさに今のNorthern19だからこそ出せるしなやかさが感じられる。
「19年前にNorthern19を組んで、いつまでやれるとかどれくらいやるとか考えてなくて、漠然とロックしたいからやってきたけど、めちゃくちゃ……」と、ゆっくり言葉を選びながら話をするも「あー、言葉にできないな」と笑う笠原の姿から、万感であることがうかがえる。そんな笠原を見て、馬場も「いろいろあったな〜」と口に。きっとそこには楽しいことだけじゃなくて、苦しいことや大変なこともあったのだろう。しかし、笠原は「でも今とてもハッピーな気持ちです。バンドやってて、今が一番幸せかもしれない」と続け、「これからも俺たちの曲聞いて元気出してよね!」と声をかける。言葉にならない喜びや感動を、ビートとメロディに乗せる。言葉にならない怒りや苦しみを、ライブで表現する。それを19年間続けてきたのがNorthern19なのだ。
笠原の優しいボーカルから始まった「TONIGHT,TONIGHT」、逆光の中に3人のシルエット姿が浮かび上がった「THE WORLD IS MINE」、「BELIEVER」とひときわ美しいメロディのナンバーが続けられると、より一層エモーショナルなムードが会場を包んだ。その後に笠原が「とてもいいツアー、とてもいい19周年を迎えています」と笑う。さらにここまでで“第1章”が終わった感覚だといい「ここからは“Northern1(ノーザンワン)”みたいな感じ」と独特な言葉選びで表現しつつ「そんな感じでこれからもいつもフレッシュにいたい」「来年は20周年。元気に俺たちにしかできないことをやっていこうと思う」と来年への展望を口にした。
「これからも元気にロックしていきます」という宣言を表すように「NOW OR NEVER」や「SURVIVE」といったアップテンポなナンバーからラストスパートをかけると、本編最後は、1stアルバム『EVERLASTING』の1曲目で、Northern19のアンセムともいえる「STAY YOUTH FOREVER」。ようやくシンガロングも戻ったLIQUIDROOMで、2022年に同曲が元気に届けられた。アンコールでは「THE NIGHT WITHOUT A STAR」「CRAVE YOU」「SUMMER」を一気に駆け抜け、とにかく熱くて元気いっぱいなライブの幕は下りた。
「こういうご時世だけど俺たちのやってる根本は変わっていなくて。いろいろあってもステージに立って演奏していると変わらない自分が出てきちゃうんだよね。こんなに汗もかいちゃうし、38歳にもなってまだまだこんな天パだったりするし、機材車の運転もうまくできなかったりするし。あの頃と何も変わってない自分がいたりして。そういうのはそういうので幸せっていうか。ステージに立ってNorthern19をやれることがやっぱり一番幸せだなって、自分の選び取った人生最高だなって思います」
笠原がこの日「言葉にできない」と言いながらも、盛り上がるフロアを見渡しながら話したこの言葉がすべてだろう。