INTERVIEW

Northern19 “MAGIC TIME / CREEPSHOW” INTERVIEW!!

Northern19がニューシングル「MAGIC TIME / CREEPSHOW」をリリースした。

今年結成20周年を迎えたNorthern19。6月にシングル「FRESH / DESTINATION UNKNOWN」をリリースし、続けての新曲リリースとなった。20周年という節目の年を、彼らはどのように捉えているのか。3人に話を聞いた。


Text by Chie Kobayashi

20周年イヤーはできるだけ攻める年に

──6月9日に「FRESH / DESTINATION UNKNOWN」発売、8月16日に「MAGIC TIME / CREEPSHOW」発売と、怒涛の新曲リリース施策が始動していますが、まずはこの企画意図から聞かせてください。

 

笠原健太郎(Vo, Gt) 去年は“19”周年で「LUCKY CHARMS」をリリースしてツアーを回りました。じゃあ20周年はどうしようかと考えたときに、「できるだけ攻めたいけど、19周年とは違った動きをしたいよね」という話になって。で、自主企画「HOLY DIVERS」も復活させることになったので、だったらそのイベントにあわせて2曲ずつリリースしていくのがいいんじゃないかということで、連続リリースになりました。

 

──連続リリースの楽曲はどういった作品にしようかという構想などはあったのでしょうか?

 

笠原 特になかったですね。リリース時期が決まるよりも前から「いずれにしても20周年では新曲をリリースしたい」と思って曲作りをしていたので、とにかくそこに向けて曲数を揃えていった感じです。

 

──現時点で「FRESH」「DESTINATION UNKNOWN」「MAGIC TIME」の3曲を聴かせていただいたのですが、大人っぽいというか、さらにソリッドになった印象を受けました。

 

笠原 大人っぽいか。

 

馬場豊心(Dr, Cho) 「FRESH」「DESTINATION UNKNOWN」は確かにそういう印象はあります。

 

敦賀壮大(Ba, Vo) 確かに。どしっとした感じの曲的には。そんな感じがあるかもしれない。

 

馬場 僕らの中では「MAGIC TIME」は直球のメロディックパンクっていう認識ですね。

 

笠原 若々しいというか、青臭いメロディックパンクというか。

 

敦賀 でも全曲のレコーディングが終わったときに健太郎さんと「メロディックパンクを始めたばかりの子には明らかにできない曲だよね」という話はしましたよね。積み重ねがないとできないというか。パッと出してできるような楽曲じゃないという手応えはあります。

 

笠原 確かにね。

 

──まさに私もそう感じました。楽曲自体は直球ですが、もし若手バンドが出しても同じ曲にはならないだろうなと思わせるような、良い渋みを感じます。

 

笠原 自然とそうなりました。俺らが面倒くさがって雑にアレンジしたらもうちょっと若手感が出るのかもしれないですが、「もっとこうしたほうが」っていうのを繰り返した結果、こうなったと言う感じで。かといって、特別なことをしているわけじゃないですけど。でもめっちゃ細かく話し合いました。

 

敦賀 一度完成してから「やっぱこっちのほうがいいから」と変える作業が今までの作品の中で一番多かった気がします。

 

笠原 そう。精査に精査を重ねて、細かいところにまでこだわった。その結果、めちゃめちゃ良いものができたなと思っていますね。


イノセントなメロディックパンクにハマった壮大のボーカル

──「MAGIC TIME」のメインボーカルは壮大さんですよね?

 

敦賀 そうです。

 

笠原 最初、キーが今よりも高いBだったんですよ。だけどBだとリフとかが付けづらいなと思って、試しに1つ下げてAにしてみたら良い感じのリフも浮かんで。で、「このキーだったら壮大が歌ったら良いんじゃない?」と思って。結果、めちゃくちゃハマりましたね。ここが着地だったんだなと思いました。

 

敦賀 レコーディングはとにかく必死でした。まだライブでやっていないので(※取材は7月下旬に実施)どういう気持ちになるのかはわからないのですが、ライブで歌ってみてどうなるか、ワクワクしています。

 

──壮大さんがメインボーカルを取る楽曲は「NOW OR NEVER」以来ですが、「NOW OR NEVER」は曲調が壮大さんのルーツと近いからという理由だったと思います。今回はまた違う理由でボーカルの歌い分けができて。Northern19にとってもまた新たな武器の1つになりそうですね。

 

笠原 「MAGIC TIME」はイノセントなメロディックパンクなので、その感じも壮大の声質にすごくマッチしていて。結果、壮大のボーカルになるべき曲だったというか。そうなるように作らされたみたいな感覚がありますね。まぁ作っているのは俺なんですけど(笑)。直球のメロディックパンクですけど、途中のタッピングのフレーズとかは、他にはなかったりして、その絶妙な感じがすごく良いなと思っています。

 

馬場 この曲は、引き算と足し算をすごくうまく使えたかなと思います。いらないところはなるべく排除して、詰め込むところはなるべく詰め込むみたいなバランスがすごくうまくいった。さっき全体を通して何度も作り直して精査したという話がありましたけど、僕個人でもすごくいっぱいやったんですよ。だいぶ細かくこだわって作りました。それこそ“超メロディックパンク”みたいなドラムにあえて振り切って。

 

敦賀 今、思い出したんですけど、ボーカルもかなりこだわっていて。例えばAメロ。1番と2番でメロディは同じなんですけど、歌の長さをコンマレベルで変えているんですよ。「こっちのほうが合うと思うのでやってみていいですか?」って自分から言って。

 

笠原 そういうディテールまでこだわれるようになってきているなとは思いますね。もちろん毎回こだわっているんですけど、さらに見えてきたというか。ドラムにしても、ギターのフレーズにしても1つ1つ意味がある。“なんとなくやっている”と、それは音に出ちゃうから、一つ一つ突き詰めていくようにしました。

 

──昔からNorthern19は多作で、ずっと曲をリリースしている印象があります。曲作りが好きなんでしょうね。

 

笠原 うーん、そうっすね。好きなんだと思います……いや、間違いなく好きです。もちろん最初は苦しいですよ。ちょっとしたネタとかメロディは浮かぶけど、そこから発展させていくのは大変。でも最近気づいたのは、最初の元ネタが良いと、そんなに心配しなくても最終的に良いものができるんだってこと。もちろん壮大や馬場くんの力は必要ですけど、ちゃんと自分が理想を描きながら作っていけば、良い曲はできる。そう思ったら、これからもガンガン曲が作っていけそうな気がしています。

 

──頼もしいですね。

 

笠原 とか言ってね、毎回カツカツでやってるんですけどね(笑)。

 


「バンドって結局人間と向き合うことなんですよね」

──Northern19は今年で結成20周年。19周年のタイミングで笠原さんにバンドのターニングポイントを振り返っていただきましたが(Northern19 19th anniversary INTERVIEW!!)、今回はお三方の、20年間の中で音楽やバンドに対する考え方が変わった瞬間を教えていただければと思います。

 

敦賀 俺はやっぱりこのバンドに加入したことですね。加入してからずっと、単純にNorthern19と、この2人と向き合うという意識でずっといたと思います。楽器も変わったし。

 

──加入してからNorthern19というバンドと向き合い続けているとのことですが、加入前と、加入してみて、Northern19というバンドの印象は変わりましたか?

 

敦賀 メロディックパンクの先輩って、けっこうきっちり怖いイメージがあって。

 

笠原 きっちり怖いって何?(笑)

 

敦賀 好き嫌いがバチっと分かれているみたいな。でもNorthern19に関しては、思ったよりライトでした。

 

笠原 恐怖政治ではなかった?(笑)

 

敦賀 はい。恐怖政治ではなかったです。僕が入ったときは、2人も、3人が混ざるように歩み寄ってくれた部分もあると思いますし。加入して4年経ちましたけど、この4年間、ちゃんと“3人でやれている”という感じがします。

 

──壮大さんが加入してバンドの雰囲気は変わったなと、側から見ていても感じます。

 

笠原 そうですね。壮大も言っていましたけど、バンドって結局人間と向き合うことなんですよね。理想を追うのはもちろんですけど、理想通りにいかないこともあるし、時間がかかったりもする。それは僕たちもメンバーチェンジを経て学んだことですね。「バンドは水物」とよく言いますけど、本当にそうで。お風呂に浮かべるアヒルあるじゃないですか。あれを水に浮かべたときに、野放しにしていたら、アヒルたちは散って行っちゃうと思うんですよ。だから頑張ってちょっとずつ中心に集めておく。そういうイメージ。自然と勝手に何かになることはないんですよ。結局、一人一人向き合っていかないと、理想にもいけないし、良くもなっていかない。それはすごく感じました。

 

馬場 それで言うと僕のターニングポイントも、メンバーチェンジかも。メンバーチェンジをきっかけに考えることがすごく増えたので。それまでなんとなく、わかっていながらもやれていなかったこととかいっぱいあったんですよ。お互い人だし、くだらないプライドが邪魔をして、どうでもいいことで衝突したり。でも、メンバーチェンジを経てからは、そういうものは一旦置いて、まずはバンドとしてより良くなるためにはどうするかを考えるようにシフトしました。

 

──バンドとしての結束力を意識して動くようにした。

 

馬場 そうですね。それまでのNorthern19は、各々が各々のやることをこなすみたいな感じだったんです。それがうまいバランスで成り立っていた。だけど、じゃあ全員が同じ方向を向いていたかといったら、だんだんそうじゃなくなっていったのかなと思う。それってあまり良くないなと思って。本当は全員の足並みを絶対に揃えないといけなかったんですよね。意識を同じ方向に向けたほうがモチベーションも上がるし。だから今は話し合いのたびにそれを言っています。

 

──先ほど笠原さんがおっしゃったアヒルの話のように、意識してちゃんと真ん中に集まっている必要があると。

 

笠原 本当にそうなんですよ。前は自分の持ち場だけやっていればいいみたいな考えが少なからずあったんですけど、それで成り立つのは他の人がいるからであって。自分の持ち場をちゃんとやるのと同時に、他の2人が何をやっているかもちゃんと見る。それがバンドをやることというか。壮大が入ってからそういう気持ちになりました。そうなってから、楽しくなりました。楽しいというか……。

 

馬場 風通しが良くなった。

 

笠原 うん、風通しが本当に良い。し、自分の得意なことをもっと生かさなきゃと思うようになったかな。

 

──各々の持ち場をやっていたときよりも、他の人が何をやっているかを見た状態の今のほうが、自分の得意なことを生かさなきゃと思っているのは不思議ですね。

 

笠原 本当ですね。結局、その中で他の2人に良いと思ってもらえたらいいなというか。そういうところなんですよね。お互いにちょっと良さを見せ合うことで「俺も頑張ろう」と思える。そんな単純なことなんですよ。


より良いバンドになっていきたい

──そんな中で、Northern19としては、この先、もっと上に行きたいと思っているのか、それともそれよりも楽しく続けていきたいと思っているのか。目指しているのはどこなのでしょうか?

 

笠原 うーん、両立っすかね。

 

馬場 「是が非でも売れたい」みたいな気持ちは、若い頃よりはないですね、正直なところ。

 

笠原 「上に行く」というのが、売れるとか人気が出るとか、もっと大きいステージに立つということを表すのであれば、それではないというか。もっとカッコいいバンドになるとか、やべえ曲を作るとか、もっと自分たちが楽しめるバンドになるとか、そこから生まれるものをみんなに発信したいとか。そいう意味での“上”に行きたいという感じですね。より良いバンドになりたいというか。

 

馬場 それが結果的に、大きなステージとかに繋がっていったら一番良いよね。

 

笠原 うん。良い曲とかいいバンドが前提じゃないと本末転倒というか。今回作った曲もそうですけど、出した曲に対して良い評価はめちゃくちゃ欲しいんですよ。良いものを作ろうと思ってやっているので。その評価してくれる人をどうやって増やすのかというイメージですね。めちゃくちゃいい曲ができたから、もっとたくさんの人に聴いてもらうためにはどうしたらいいのかな?って。そういう意味で上に上がっていきたいですね。

 

──つまりは、これからさらにカッコいいNorthern19を見続けられることを期待して良いということですかね?

 

笠原 はい! 

 

──20周年イヤーの今年ですが、今年の残りはどんな活動がありそうですか?

 

笠原 細かくは言えないですけど、まだまだいきますよって感じです。6月に「FRESH / DESTINATION UNKNOWN」が出て、8月にまた出て「また新曲出るの?」って思った人もいると思うんですけど……今年はまだまだありますよって。

 

馬場 年末くらいまで、いろいろまだ隠し球があるので。

 

──楽しみにしています。

 

笠原 いつも似たことを言っているんですけど、今回の「MAGIC TIME / CREEPSHOW」も、Northern19らしさはありながらも、最近の洋楽とかからもインスピレーションをもらって自分なりに昇華しています。だから日本のメロディックパンクファンの人で「最近刺激が足りねえな」とか「最近のメロディックパンク面白くねえな」って思っている人はマジでNorthern19を聴いてほしい。「Northern19、昔聴いてた」とかエゴサでいっぱい見るんですけど、ずっとNorthern19聴いとけばいいじゃんって思うんですよ。

 

馬場 たぶん、昔より今のほうが全然カッコいいよね。

 

笠原 本当にそう。

 

馬場 もちろん、どっちもの良さはあると思うけど、内容の濃さは全然違うから。

 

笠原 うん、全然違うし、ちゃんと進化しているし。よく「昔と変わっちまったな」とか言うじゃないですか。俺らは、ちゃんと変わってないし、ちゃんと変わっている。そういうバンドでありたいと思っているし、俺らなりにそうやっているつもり。だから世代とか「昔聴いてた」とかそういうんじゃなくて、「このバンドやべえ」「新曲やべえ」って、それだけでいいんですよ。マインドを自由にしてNorthern19に触れてみてほしいです。ライブにも来てほしいし。

 

──それこそ「Northern19、20周年か〜」みたいな、節目を理由にひさしぶりに観に来るのもいいですしね。

 

笠原 そうっす! 「今でも良いな」とか「やっぱりライブハウス良いな」とか、きっと感じられると思うので!



Northern19「MAGIC TIME / CREEPSHOW」

配信URL:https://northern19.lnk.to/MAGICTIME-CREEPSHOW


Northern19 presents HOLY DIVERS vol.6 OSAKA Special Northern19 20th ANNIVERSARY

2023年9月16日(土)大阪府 BIGCAT
出演者:Northern19 / Maki / SHANK

チケット一般発売中 https://eplus.jp/holydivers/

 

>>>Northern19 Official Web Site