LIVE REPORT

G-FREAK FACTORY "RED EYE BLUES" TOUR 2023-2024 final LIVE REPORT!!

Report by Tomoo Yamaguchi
Photo by KAZUYA KOHSAKA

2024.2.3 @Spotify O-EAST
G-FREAK FACTORY "RED EYE BLUES" TOUR 2023-2024 final
 

「帰って来たな、ライブハウス! そして、おめでとうかわからないけど、なんとなく年が明けたんで、一応言っとくわ。おめでとう! 日本のアフリカ、群馬県で27年間活動してまいりました。何を隠そうビジュアル系バンド、G-FREAK FACTORYです。見ての通りかっこよくてすみません。“RED EYE BLUES” TOURの最後ということで田舎者にはらしからぬこんなに大きな大都会のハコを押さえてワンマンライブでやらせてもらいます。このワンマンでG-FREAK FACTORYを初めて見る奴もいるのか? なんで来たの? 大丈夫?(笑)」(茂木洋晃/Vo)

 

昨年9月にリリースしたシングル『RED EYE BLUES』をひっさげ、10月1日から全国を回ってきた「“RED EYE BLUES” TOUR 2023-2024」が2月3日、20公演目となる東京・渋谷Spotify O-EASTでファイナルを迎えた。

 

「正直、“RED EYE BLUES” TOURが全部回れるなんて思ってなかった。きっとまた何かに邪魔されて、きっとうまくいかないんだろうなと思ってた。でも、全公演中止にすることなく、みんな元気で回ってくることができた。いろいろな地方のライブハウスに来てくれた奴もいるし、心強い対バンの仲間もライブハウスも元気でよかったと思ってます」(茂木)

 

「人生で初めて全国を回って、いろいろなところで演って、いろいろな人と出会って、一番感動したのは、G-FREAK FACTORYってこんだけ愛されてるんだって全国各地で肌で感じたことでした。本当に楽しいツアーでしたありがとうございます。人との繋がりって、本当にすごいと思いました」(Leo/Dr)

 

各地、盟友と言えるバンドと対バンしながら2マンで回ってきたツアーの成果は、茂木とLeoが、それぞれにMCで語った前掲の言葉通りだが、今回のツアー中唯一のワンマンライブとなったこの日、G-FREAK FACTORYは『RED EYE BLUES』収録の「RED EYE BLUES」と「アメイロ」も含む新旧の計20曲を2時間にわたって披露。曲間では、すっかり平和ボケしてしまったこの国に対する痛烈な言葉も交えながら、ダイブはもちろん、コール&レスポンスのレスポンスに加え、ほぼ全曲、シンガロングで応える観客と大きな一体感を作りながら、ライブバンドとして、彼らが持っている底力を存分に見せつけていった。

その意味では、開演前からスタンディングのフロアに熱気が立ち込める中、ジャムセッションから、演奏になだれこんだとたん、観客がステージに押し寄せた「APPLAUSE FOR THE LOCAL HERO」、原田季征(Gt)が奏でるヘヴィなギターリフと《どうかしちまったニッポンは》という茂木のシャウトがいきなりフロアを揺らした「RED EYE BLUES」、前へ前へとたたみかけるLeoと吉橋“yossy”伸之(Ba)のプレイが観客の気持ちを駆り立て、ダイブを誘った「SOMATO」と序盤から見どころの連続だった。吉橋、Leo、原田と繋げたソロ回しも含む4曲目の「乞え~KOE~」の白熱する演奏に観客が拳を振る頃には、2階席まで上がってきたフロアの熱気が会場の温度をぐっと上げ、6曲目の「日はまだ高く」では観客達が複数の円陣を組んで、レゲエのリズムに合わせ、飛び跳ねるというピースフルな光景が目の前に広がる。それに対して、「最高だ!」と茂木は快哉を叫んだ。

 

しかし、ライブの一番の見どころとなると、やはり観客のシンガロングが会場中に響き渡った「Too oLD To KNoW」、魂のレベルで共鳴する者同士の絆の証として、TOSHI-LOW(BRAHMAN/OAU)のサプライズ客演が実現した「ダディ・ダーリン」、茂木の胸に込み上げてきたツアー中のさまざまな感慨が観客にも響き、再び精一杯のシンガロングの声を上げさせた「Fire」――G-FREAK FACTORYのライブには欠かせないアンセミックなロックナンバーとバラードを立て続けに演奏して、曲そのものの魅力はもちろん、それを凌駕するほど熱いバンドの思いが観客の感情を大きく波打たせたこの3曲の流れとなるのだろう。そうなるのだとは間違いなく思うのだが、実はこの日、筆者が個人的に一番感動したのは、ワンマンライブならではの長いセットリストだからこそ表現できる楽曲の振り幅と、その振り幅を際立たせる楽曲の魅力だった。

 

せっかくなので、このレポートではそこにスポットを当ててみたいと考えているのだが、その意味で一番の聴きどころだったのは、G-FREAK FACTORYらしいタフな歌詞をアーバンな曲調に載せた「DAYS(#29)」だったかもしれない。この日、観客が手を横に振るいわゆるワイパーで応えたのは、この曲のみ。そこからもこの日のセットリストの中で「DAYS(#29)」が異色曲だったことはわかってもらえるかも。サポートのキーボード奏者が奏でるエレピの音色、バッキングでもソロでもペダルを踏んだ原田によるワウ使いも聴きどころだった。もっとも、そういう曲を演奏しても、ただしゃれのめしたまま終わらず、コール&レスポンスを交え、最後はきっちりと盛り上げるところがG-FREAK FACTORYならではなのだと思うが、Leoのドラムが絶妙に跳ねるポップなレゲエナンバー「EVEN」は、茂木が歌い上げるハートウォーミングなメロディがフォークソングを思わせるところが興味深い。それを言ったら、同曲を演奏する直前にツアーで訪れた札幌で足を滑らせ、骨折してしまった肋骨が完治しないままステージに立っていることをカミングアウトした原田がイントロで奏でたフレーズもどこかトラッドフォーキーだ。さらに言えば、《平和を何と無く繋いでつもりで いつかその平和とやらを誰かが破くのでしょうか》という歌詞が象徴するメッセージ性を考えると、ますますライブにおける重要度が増してきたように思える「ダディ・ダーリン」はともかく、ツアーが終わる惜別とともにアンコールの1曲目に演奏したフォーキーな叙情性を持つバラードの「呉々も日の暮れと」のような曲にじっと耳を傾けることができたのは、やはりワンマンライブならではなのかもしれない。

 

要するに何を言いたいのかと言うと、魅力がぎゅっと凝縮されたフェスや対バンライブもさることながら、G-FREAK FACTORYが持っている深い音楽性をしっかりと味わいたいなら、ワンマンライブにも足を運ばないと……という極々当たり前のことなのだが、話がライブの流れを行ったり来たりして申し訳ない。深い音楽性ということなら、三味線の音色を同期で鳴らした「REAL SIGN」のヒプノティックなグルーブおよびサイケデリックなサウンド、そしてたたみかけるようにそこに繋げた「Unscramble」のメズマライジングなギターリフをはじめ、90sオルタナの影響が窺えるラウドロック・サウンドも楽曲のかっこよさとともに楽曲の振り幅を際立たせるという意味でセットリストのハイライトになっていたと思う。

 

やはりフォーキーな叙情が滲むエモーショナルな「アメイロ」で本編を締めくくり、山人音楽祭の開催を発表して、観客に歓喜の声を上げさせてからのアンコールでは、さらに3曲を披露。前述した「呉々も日の暮れと」、ストレートなレゲエパンク・ナンバー「BE ALL AROUND」、そして最後まで観客にシンガロングさせたレゲエナンバーの「GOOD OLD SHINY DAYS」――バンドがそんなことを考えていたとは思わないが、個人的にはダメ押しするように楽曲の振り幅を際立たせようとしているようにも思えた選曲に、最後の最後までわくわくさせられっぱなしだった。特に、サビの跳ねるリズムアレンジも含め、こんなにもポップな曲が書けるんだと改めて感嘆させられた「GOOD OLD SHINY DAYS」の印象は、ある意味強烈なインパクトとともに、この日の記憶にしっかりと刻みこまれている。茂木が言った「ローカルバンドの最高傑作」は決して伊達ではない。この日、筆者はまた別の形でG-FREAK FACTORYの底力を見せつけられたのだった。
 

>>G-FREAK FACTORY official site