
山人音楽祭 2025 DAY 2 LIVE REPORT!!
Report by Chie Kobayashi
Photo by HayachiN(赤城)、半田安政(榛名)、タマイシンゴ(妙義)
前日に続き、DAY 2もまた赤城STAGEのトップバッターを務めるのは、初めて赤城STAGEに立つバンド。昨年、2度目の出演ながら榛名STAGEのトリを飾ったバックドロップシンデレラだ。彼らはこの役目を「赤城の1発目ってめっちゃ大事だよな? 赤城の中で2番目3番目くらいに大事なところだよな?」と理解し、そのプレッシャーも力に変えるとばかりに、「バズらせない天才」や「フェスだして」などで盛り上げる。同時に「ブクロック!フェスティバル」でのG-FREAKがとても良かったことから「ブクロックでやられたから、今日は山人で見せたい」との言葉から、その思いを轟音に乗せた「桜。轟音にのせ」など、朝から感情を大いに揺さぶってその役目をしっかりと果たしていった。
「なんでもかんでもランキング」で、G-FREAK FACTORYのかわいいところベスト3を発表したのは四星球。3位は「四星球のライブ中に『シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜』を歌ってくれるyossyさん」、2位は「四星球との対バンだからとダンボール小道具を作ってくれた原田さん」、そして1位は「四星球とのアンコールで歌う『恋するフォーチュンクッキー』を楽屋で一生懸命覚えてくれた茂木さん」と発表すると、そのままバンドは「恋するフォーチュンクッキー」へ。茂木も登場し、深い関係性ならではのステージを見せていく。しかし彼らは、ただ仲良しなだけではない。平和を歌うG-FREAK FACTORYにとって大切な意味を持つ8月に共にツアーを回っている四星球は、そのツアーを終えてから新曲「あんぽんたん」を作ったと言い、その曲も披露した。シンパシーを覚えているバンド同士だから、共に共鳴し合っているのだった。
レゲエミュージックで榛名STAGEを盛り上げていたJ-REXXX BANDは、「ロックフェスに出させてもらっても、いつも最初はガラガラなんだけど、今日はリハから人がいてくれて泣きそうだった」と言う。「山人音楽祭」に集まっている人たちは、アンテナも高いし、ロックだけでなくレゲエミュージックでの遊び方も知っているのだ。これもまた「山人音楽祭」が積み重ねてきたものの一つだろう。
雨のちらついた前日から一転、終始晴天となったこの日は、野外の妙義STAGEはひときわ過ごしやすい。群馬の音楽家集団・上州弾語組合のあとに登場したのは、山人音楽祭初出演の片平里菜。ずっと出たかったという彼女は「山人っていうからどんな山の中なのかなと思っていたんですけど、山を見上げながら、山の風を感じるんですね」と目を細め、沖縄滞在中に作ったという「夏の祈りのなかで」を祈るように歌う。またG-FREAK FACTORYやBRAHMANなどの姿から、自身の歌いたいものを見つけられたというエピソードを丁寧に語ってから「ロックバンドがやってきた」を、感情を振り絞るように歌い上げた。四星球の「あんぽんたん」しかり、この「ロックバンドがやってきた」しかり、G-FREAK FACTORYという存在から生まれた曲が、前橋に響き渡るDAY 2だ。
山人音楽祭の名物企画「山人MCバトル×戦極MCバトル」が復活したことも、今年の大きなトピック。DOTAMA、bendy、KOOPA、GOMESS、溝上たんぼ、FCザイロス、risano、Sitissy luvit、歩歩、Armadillo、NAIKA MC、STILL BLUTOという8名のラッパーが参加し、多くのオーディエンスの前でバトルを繰り広げた。
そして山人音楽祭の10周年を語る上で欠かせないのは、妙義STAGEの常連・NakamuraEmi。彼女は「こんなに自分を呼び続けてくれる人は1人しかいない(笑)。いつもありがとうございます」と感謝を告げる。また今年初めて自身の地元・厚木で凱旋ライブを行った彼女は「人が自分の街に来てくれるってこんな気持ちなんだなってすごく感じた」と噛み締め、来年1月にデビュー10周年を迎えるにあたり作ったという最新曲「デイジー」や、ラッパーが多く出演するライブに出演した際の心境を歌った「梅田の夜」、厚木でできた曲だという「YAMABIKO」などをパワフルに届けていった。
そして山人音楽祭の歴史を語る上で、もう1組欠かせないのがFOMAREだ。妙義STAGE、榛名STAGE、昨年は赤城STAGEと、各ステージで山人音楽祭を盛り上げてきた。榛名STAGEに登場した彼らは「このフェスの榛名ステージ、FOMAREが1番出てると思う、ここにたくさん出てる俺たちだからこそ俺たちにしか作れないステージがあると思う」と意気込むと、「夢から覚めても」や「愛する人」「Lani」を次々とプレイ。山人音楽祭のオーディエンスにFOMAREはしっかり浸透しているようで、それを証明するかのように、全曲で盛大なシンガロングが発生。まさにFOMAREにしか作れないステージだった。
BRAHMANのステージでは、「最後の少年」で“群馬の少年”茂木が登場。2人の元少年が熱狂を生み出した。そして一緒にいると似てくるとよく言うように、TOSHI-LOWは茂木と「だんだん似てきた」と笑いながら話していく。そして「そもそもバンドを始めた理由も似ている」と切り出すと、「根っこにある社会への反逆、反抗」とG-FREAK FACTORYとのマインドの共通点を辿った。そしてステージに立ち続けるための魔法の言葉として「順風満帆」を置いて、盟友・G-FREAK FACTORYへのステージへと繋いだ。
この日のG-FREAK FACTORYはハードな「SOMATO」からツービートに乗せた「WHO UNCONTROL」と、スキルフルな楽曲でお出まし。2曲を歌い終えると「ライブハウスはボロボロになっちまって、スポーツももう気力がなくて、街は悲壮感しかない。だけどやっぱり人が作るもんだなって思う」と、群馬という街への思いを語り、群馬のサッカー選手・細貝萌との出会いから生まれた「Parallel Number」を歌唱。群馬の音楽シーンだけでなく、群馬という街で起こるすべてに心を寄せ、心を痛め、奮闘する。改めて、G-FREAK FACTORYが“ローカルバンドの最高傑作”であるということを噛み締める。
そして「Too oLD To KNoW」でイベントはいよいよグランドフィナーレへ。山人音楽祭というイベントを「人が作るものだ」と茂木は何度も言っていたが、アーティストやスタッフだけでなく、グリーンドームには集まった“すべての音楽バカ共”の歌声が広がり、たくさんの拳が突き上がる。この景色を含めて、人が作る山人音楽祭なのだ。そんな山人音楽祭について、茂木は「気に入らないけど、当然ながら、一番好きなフェスです」と少し照れながらもきっぱりと言った。「ダディ・ダーリン」では先ほどのお返しで、TOSHI-LOWが参加。途中、言葉を噛み締めるように朗読になる。そんな二人の言葉を漏らさず受け取るように、先ほどまで大熱狂していたグリーンドームが静まり返る。山人音楽祭における音楽は、馬鹿騒ぎするBGMではなく、音楽に乗せて届けられるメッセージを、音楽を鳴らすアーティストたちの生き様を目の当たりにするものだ。そう実感した静寂だった。歌い終えるとTOSHI-LOWは「今年もいい風景を見せてくれてありがとう」と言葉をかける。それを受けて茂木も「すごい景色だった」とポツリ。そして「群馬でずっとこれをやり続けてきたこと、そしてこんな景色が見られるなんてのは想像もしていなかったです」「大きくなることがいいわけじゃなくて、もっと濃くなれば良いんじゃないかなって、そう思える10歳の誕生日でした」と山人音楽祭への思いを重ねていった。そしてその思いを「Fire」に乗せ、本編を締め括った。
アンコールでは、成功を祝して、2日間会場の入り口に鎮座していただるまに目を入れ、また妙義STAGEで描かれたライブペイントを紹介。群馬で生まれたアートや音楽、群馬とG-FREAK FACTORYに魅せられて集まった人で満たされた温かな空気の中「らしくあれと」で、10歳の山人音楽祭の幕を下ろした。
https://yamabito-ongakusai.com/2025/
https://g-freakfactory.com/