Who’s Next by SATANIC Editing Room Vol.43:KRUELTY
ハードコアのダンサブルなサウンドに、デスメタルやドゥームのヘヴィネスを掛け合わせたサウンドで、国内外のヘヴィミュージックシーンに名を刻んできたKRUELTY。2017年に東京で結成し、1stアルバム『A Dying Truth』(2020年)、カナダのProfound Lore Recordsから発表した2ndアルバム『Untopia』(2023年)、アメリカのClosed Casket Activitiesと契約してリリースしたEP『Profane Usurpation』(2024年)と作品を重ねてきた。アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアをツアーで回り、今年5月にはPeeling Fleshの全米ツアーにも帯同。日本のハードコアバンドの中でも屈指の海外経験を持つ存在で、この連載で紹介するのが不要なほどの実力派だ。ここでは、Gt&VoのZUMAにWEBインタビュー。ルーツから、海外で活動する理由、日本のシーンに対する印象を聞く。SATANIC PARTY 2026で、どんな化学反応が起きるのか楽しみでならない。
Interview&Text by Ryo Tajima(DMRT)
Live Photo by saylaphotos
ハードコアの中でもヘヴィネス&ダークネス重視
それは今も変わらない
──SATANIC PARTYに先駆けて、KRUELTYを知らない人にどんなバンドなのかを伝えたいと思っています。早速ですが、結成は2017年でしたよね?
ZUMA はい、2017年の7月です。21、22歳くらいでした。ハードコアの中でも、僕はメタルからの影響が大きくて、その要素を強く押し出したバンドをやりたいと思ったんです。最初はもう少しニュースクール寄りの曲を何曲か作っていたんですが、手探りで作曲を続けていくうちに、もっと重苦しいものをやりたいと思うようになって。それが最初に出した1stデモの曲につながっています。それ以降は、ハードコアの中でも重さ、及び暗さを重視していて、今も根本は変わっていません。
──ZUMAさんがハードコアのライブハウスに通い始めたきっかけは何だったんですか?
ZUMA 日本のDisconformityというバンドが、たしか2013年か14年に新大久保EARTHDOMで開いた企画が最初だったと記憶しています。ヘヴィなハードコアとデスメタルをやるバンドが真正面からぶつかるようなライブでした。僕はもともとデスメタルやグラインドコアを聴いて育ちましたが、ちょうどその頃にState CraftなどのニュースクールハードコアやHatebreedなんかのメタリックなハードコアに惹かれるようになっていました。そうしたライブを経て、ハードコアのライブにも通うようになったんです。だから日本のハードコアバンドは、音源よりも先にライブで知ったバンドの方が多いんですよ。メタルも好きでしたが、フロアのアグレッシブさや、お客さんのエネルギーという点では、ハードコアのショーに勝るものはないと、当時から感じていたんです。
──ハードコア界隈では、メロディックハードコアから入ったという人も多い印象ですが、ZUMAさんはまったく逆のルートなんですね。
ZUMA そうですね。メロディックハードコアを聴いていて、対バンのハードコアバンドを観てヘヴィな音楽を聴くようになったという人は多いようですが、僕はメロディックハードコアをほぼまったく通ってこなかったので。今回のSATANIC PARTYはそういうバンドが多いと思うので、僕にとってはむしろ新鮮で、その意味でも楽しみにしています。
──では、そもそもメタルを聴くようになったのは?
ZUMA 中学2年の頃、最初はX JAPANなどの初期ヴィジュアル系が入りでした。僕が中学生だった頃は、ナイトメアやthe GazettE、シドが活躍していたのですが、心を掴まれたのは90年代のV系バンドでした。Xを聴いて、YouTubeのおすすめを辿っていったらMetallicaに辿り着き、並行してメロスピ(メロディック・スピード・メタル)も聴いていて、Helloweenのようなハイトーンのボーカルが好きだったんですが、スラッシュメタルに出会って、叫ぶという表現があるんだと知りました。そこから順当にSlayer、デスメタルと聴き進めて、グラインドコアやブラックメタルやメロデスまでひと通り聴き漁りました。その後も長く聴き続けたのは、やはりデスメタルですかね。

どれだけ遊びに本気になれるかの方が大事
──冒頭の質問とも多少被りますが、KRUELTYがインスパイアを受けてきたのはどんなバンドなんですか?
ZUMA かつての日本には、いわゆる“極悪系”と呼ばれるようなビートダウンハードコアを基調にしたバンドがたくさんいたと思います。メタル寄りのバンドが好きだったので、ハードコアの中ではそういうバンドを好んで聴いていました。一方で、ヘヴィミュージック全般で言えば、海外のスラッジやドゥームをよく聴いていたので、それを掛け合わせたら面白い、新しいものになるんじゃないかと考えました。当時は今よりもドゥームやスラッジの要素が強かったんですが、正直に言えば、当時の自分たちの技量も影響していますね。演奏できる範囲の中で最大限の表現をしようとした結果が、デモの曲でした。お客さんとしてライブに通うようになって4年ほど経っていて、とにかく早くバンドをやりたかった気持ちが表れているかもしれませんね。
──そうした試行錯誤を経て、デスメタル×ハードコアというKRUELTYならではのスタイルになったわけですが、今のスタイルを構築したのはいつ頃ですか?
ZUMA 2024年に出したEP『Profane Usurpation』が目下最新作なんですが、あれが僕がギターボーカルになってから最初の作品です。2023年の4月に前ボーカルが脱退したため、最初は自分がピンで歌うかもしくは新しいボーカルを探すことも考えました。ただ、自分で作った曲は自分で弾きたかったですし、海外でのツアーを続けていきたいという思いもありました。ただ語学力という面を考えると新たなボーカルを探すのはハードルが高く、それならということで自分がギターを弾きながら歌うということにしたんです。この体制になってもう3年ほど経ちます。
──なるほど、意外と最近なんですね。
ZUMA そうなんです。もともとは、メタルに寄りすぎないようにブラストビートを入れないことにこだわっていました。でも6年続けてくると、その縛りにも限界を感じてきたんです。始めた頃は、何年続けるか、何枚作品を出すかなんて考えていませんでしたから。それで『Profane Usurpation』からはブラストを取り入れ、速い曲も作るようになりました。この2年ほどで今のスタイルになったという感じです。

現地でたくさんライブできることが海外で活動する第一の条件
──KRUELTYといえば、海外での活動も顕著です。どういった経緯で海外でツアーするようになっていったんですか?
ZUMA きっかけは、2019年にフロリダのMoment of Truthというハードコアバンドとスプリット(EP『The Beginning to the End』)を出したことです。海外から反応をもらえたのは、それが初めてでした。2020年の3月にDaymare Recordingsから1stアルバム『A Dying Truth』を出して、本来は翌年1月にフロリダのハードコアフェスのFYA Festに出演する予定だったんですが、コロナで1年延期になりました。ただ、そのおかげで準備の時間が取れたんです。InstagramやXを通じて海外にも友人ができて、FYAの前後でどこどこでライブをやらないかとたくさん声をかけてもらうようになり、結果的にライブ計14本ほどのツアーを組むことになりました。
──それが初の海外ツアーだったと。
ZUMA そうです。2022年の1月ですね。ボストンからフロリダまで休みなしで南下して。ちょうど2ndアルバム『Untopia』のレコーディングをLAで行う予定だったので、西海岸でも4本ほどライブをしました。日本のバンドの初海外ツアーというと、韓国や台湾など近い国から始まることが多いと思います。でも週末だけ行って帰ってくるのでは、自分にとっては不十分なもので本当の経験にはならないと当時は強く思っていました。だから最初からアメリカツアーだったんです。
──いきなりアメリカを2週間。相当な覚悟ですよね。
ZUMA 全員仕事を辞めたり休職しましたからね、たしか(笑)。でも、1度そのくらいの規模で回ると、自然とシーンの中で話が広がっていくんですよ。大きなバンドでもないのに、地球の裏側からやって来て2週間も回る。その姿勢を海外の人たちは評価してくれます。どうせブッキングするのならば熱意あるバンドと組みたいというのは万国共通ですから。世の中的には仕事に真剣に取り組むことが1番大事なのかもしれませんが、僕らにとっては、どれだけこの遊びに本気になれるのか、という方が大事ですから。とはいえ、ここまで続けてくると活動自体をただの遊びと呼ぶのは違うというところまで来てしまいましたが。でも、考え方のベースにある部分ではやはり遊びの延長なんです。やらなきゃいけないものではなくて、ただやりたいからやっている。その気持ちが伝われば、海外のシーンも評価してくれると思います。
──海外でも活発に活動していきたいと考えている日本のバンドシーンや世代問わず多いと思います。実際に相談されることも多いのでは?
ZUMA そういう声はよく聞きます。ただ、数日しかツアーできない状況だと、正直に言って難しいと思います。これは意地悪で言っているわけではなく、普通に考えればそうなんです。アメリカのレーベルであればアメリカのマーケットを、ヨーロッパのレーベルであればヨーロッパを、まずは最優先に考えますよね。そこでプロモーションをするなら、この手のジャンルでは現地でライブをすること以上によい方法はありません。エクストリームミュージックは、バンドが現場で何を表現するかをお客さんも1番大切にしていると思うんです。いいアルバムを作ってもライブが物足りないと思われたらそこで終わり、というのが僕の持論です。
──たしかに、アメリカへライブしに来ないバンドのレコードを現地の人がわざわざ買うのか、と問われると当たり前に難しいように感じますね。
ZUMA そうですよね。ブラックメタルとか、あとはよほどアーティスティックなバンドは例外ですが。下の世代から海外で活動するためにどうすればいいのかと聞かれることもあるので、そこは率直に伝えています。自分は人脈には自信があるので、各地のレーベルを紹介したい気持ちはあるんです。でも、現地でガンガンライブをするつもりがないバンドを紹介するわけにはいかない、というかしてもしょうがない。後に続く人たちが出てきてほしいとは心から思っているんですけどね。そこが難しいところです。

日本のシーンのためにやっていること
──ZUMAさんは、レーベルのDead Sky Recordingsの運営や、海外バンドの招聘(CKS Productions)も手がけていますよね。その活動についても少し教えていただけますか?
ZUMA 今年はPeeling Fleshの来日ツアーを手がけましたが、話をもらった時点で、DCと組み合わせるしかないと考えていました。結果的に、Peeling FleshもDCのライブを楽しんでいたと思いますし、しっかりとした手応えを感じました。というのも、あのくらいの規模になり、全世界で年間200本もライブをしているようなバンドは、毎日違う前座を観ることに疲れてしまって、対バンをあまり観なくなるものなんです。本人たちに悪気はないと思うのですが。でも、僕はそういうバンドはなるべく招聘しないようにはしています。というのも、日本のシーンのためにならないことをしても仕方がないと考えているので。海外からバンドを呼ぶのは利益のためにやっているわけではないので、集客が見込めても好きではないバンドは呼びませんし、基本的には対バンをきちんと観てくれるだろうと思えるバンドしか招聘していません。また、Peeling Fleshのときは3公演ともお客さんが最初からしっかり来てくれました。ヘッドライナーの出番直前に来る人を否定するつもりはありませんが、僕は日本のシーンのためにやっているので、最初から観てくれる人の存在が本当にありがたいですね。

SATANIC PARTYは1つの挑戦
──今回のSATANIC PARTYですが、正直、オファーしても断られるんじゃないかとも考えたりしたんですよ。出演OKしてくれたのは何か理由がありますか?
ZUMA たしかに、僕らは日本の大規模フェスやイベントに何にでも出ているようなバンドではないです。基準は主催者サイドのテーマ性がしっかりと感じられるかどうかなんです。サタニックに関しては、身近にいるハードコアバンドがSATANIC CARNIVALに出演した年もありますけど、良くなかったという話は聞きませんでしたし、それはつまり、きっと楽しかったんだろうと思います。SATANIC PARTYは同じ方々が手がけているイベントですし、オファーをくれたのも実際に自分たちのライブを観たことがある面識のある人でした。そんな運営陣が、KRUELTYがこの場にいたら面白いと判断してくれたのであれば、それは僕らにとって1つの挑戦ですし、やってみる価値や学びがあるはずだと思ったんです。
──それはうれしいです!
ZUMA こういったブッキングにしてもそうなのですが、肝心なのは人同士のつながりだと思うんです。ハードコアに携わっているバンドマンは、みんなそうですよね。それを身内ノリと言われれば、そういう面もあるかもしれません。でも、ハードコアシーンの歴史を振り返れば、各国のレジェンドたちも同じようにつながりを大切にしながら、お互いのシーンをぶつけ合って文化を作ってきたわけじゃないですか。それを理解した上で(このジャンルを)好きになるかどうかという話なんだ、と若い頃に気づいて、僕はその輪の中の1人になることを選びました。それから10年あまりが経ち、今回のSATANIC PARTYです。異なるコミュニティ同士の化学反応を楽しむ1日になると思っていますし、普段一緒にライブをしていないバンドがどんなライブをするのかを観てみたいです。同時に僕らのやり方を見てもらえたら、よい1日になるんじゃないかと思っています。せっかくのこの機会に、お互いにどんなライブを見せ合えるか。そう考えながら楽しみにしています。
──最後に、今後の活動について教えてください。
ZUMA 今年からドラマーが変わり、またバンドの雰囲気が変わって、すでに新しいバンドの側面を表現できていると感じています。それを形にするために、3枚目のアルバムを制作しているところです。遠くないうちにお披露目できれば。
──ニューアルバム、本当に楽しみにしています。まずはSATANIC PARTYのライブを楽しみにしています!
INFORMATION
SATANIC PARTY 2026
2026年11月1日(日)東京・Spotify O-EAST
開場13:00/開演13:30
KRUELTY出演:16:25〜(CENTER STAGE)

>>SATANIC PARTY 2026オフィシャルウェブサイト