INTERVIEW

G-FREAK FACTORY “RED EYE BLUES” INTERVIEW!!

G-FREAK FACTORYがニューシングル「RED EYE BLUES」を9月6日にリリースした。

前作「Dandy Lion」以来、約1年ぶりのスタジオ音源となる今作。表題曲は茂木洋晃(Vo)が、フラストレーションもアンチテーゼも吐き出して、かつ“最初から最後まで韻を踏む”というお題を自身に課して書き上げた渾身の1曲だ。

表題曲含むシングル「RED EYE BLUES」について、新ドラマー・Leoを迎えたバンドの状況について、茂木に話を聞いた。

Text by Chie Kobayashi
Photo by Yuta Kato

 

フロアに降りるパフォーマンスはなるべくしないでおこうと

──「SATANIC CARNIVAL2023」のG-FREAK FACTORYのステージで、茂木さんがお客さんの上で歌っている姿を見て、ようやくライブにおけるコロナ禍の収束を感じました。茂木さんはライブにおけるコロナの収束を感じていますか?

 

今ライブハウスに来ている人たちも含め、あの現場にはもう微塵もないかなと思う。ただ全員がそういうマインドではないだろうし、コロナ禍で初めてライブハウスに行った人たちは今の光景が異様だろうし。それぞれでいいんじゃない?と思っているかな。

 

──茂木さんご自身は、声出しが解禁になったり、アーティストがステージを降りられるようになったりする状況が戻ってきた現状をどう捉えていますか?

 

ステージから降りるとか、ああいうパフォーマンスはなるべくしないでおこうと思っていて、実は。

 

──なぜですか?

 

コロナになるまでは「スタンディングのライブじゃなきゃやらないよ」と言っていたけど、コロナ禍でシッティングとかホールでライブができるようになった。これをもっと大事にしたいなと思って。コロナによって、フロアに降りないでもライブを成立させるということにずっと挑戦してきたから、そこは大事にしたい。本来ステージ上で成立させるものをすっぽかしていた部分もあったのかなと気付いたというか。予定調和で“ここで必ず降りてくる”みたいなものはもうしたくない。降りるのが当たり前になってくると、それはもうプロレスになっちゃうので。勢い余って降りちゃうことはもちろん今後もあるだろうし、逆に良くないライブの時に「このままじゃ何も刺さらない」と思って降りるとかはあるかもしれないけど(笑)。

 

──逆に言うと、コロナ禍でのライブを経て、フロアに降りなくても、ステージ上でメッセージや熱量が伝えられるということを確信したということでしょうか?

 

確信はしていない、正直。していないんだけど、それができるようになりたいと思っているかな。コロナによってマイナスになったものばかりの中、1つでも2つでも「コロナがあったからこれがあるんだね」っていうプラスのものを持っていたいというのもある。「ただ3年間、棒に振っちゃったね」ということはしたくない。その中の一つが「フロアに飛び込まないでライブをやってみよう」ってことだったから。そこはプラスに捉えていきたいなって。

 

 

──コロナ禍で行なった高崎芸術劇場での山人音楽祭では、2階席へライブを届けることの難しさを実感したというお話もされていましたね(https://satanic.jp/contents/562938)。

 

うん。「ああ、こんなに足りてねぇんだな」っていうのが自分でわかったから悪いことばっかりじゃなかった。コロナがなくて、あのままのライブハウス現場だったら、ルーティーンのように変わらないライブをやっていただろうから、コロナで考え直させられてよかったなと思う。いろんな気付きがあっただろうから、俺たちに限らずコロナ禍を経験しているバンドは、アフターコロナとはちょっと違うと思うよ。

 

──ちなみに、フロアに降りない、ステージ上で完結させるライブを行う上で意識していること、大切にしていることは?

 

弾き語りをやって、ごまかしが全く効かないということがわかって。「歌はちゃんと歌わなきゃいけねぇんだな」っていうのに気付いたのがコロナだったな。例えばピッチだとか、伸ばしだとか、そういうものが少しズレただけで素に戻っちゃう。それまではそんなの気にならないくらいのステージだったのに、弾き語りとか、コロナ禍のライブハウスは、もっと冷静に見ているし見られている感じがあって。混ざり合うことなく、ただボールを投げて、キャッチするもしくはスルーする。そういう3年間だったでしょ。照明のこととかももっと考えるようになったし。

 

──“見せる”みたいな考え方になった。

 

そう。今までとは違って、みんな“見る”から。

 

──モッシュ・ダイブのあるライブだと、ステージを見ていないこともありますもんね。

 

そうそう、見ちゃいない。下手したら聴いてもいないよね(笑)。

 

──そんな中で、今のG-FREAK FACTORYはフロアに降りないライブに挑戦しているということですが、最近のライブでは“混ざり合う”みたいな感覚は持てていますか?

 

うーん、もうちょっとかな。でも例えばYouTubeで、レゲエミュージックのライブでゆっくりとしたふわっとしたダイブが起こっている映像を見たときに「こういうのがやりてぇな」って思うようになった。

 

──理想が見えてきたと。

 

そうだね。


新ドラマー・Leoがバンドの良い歯車に

──そして約1年ぶりのニューシングル『RED EYE BLUES』が完成しました。前作は初めてリモートで曲作りをされたタイミングでしたし、試行錯誤しながらの楽曲制作だったかと思いますが、今作の制作はどのように進めていったのでしょうか?

 

作り方は基本的に変わっていなくてリモート。リモートで作るのが一番早くて良いものができるというのがわかったし、俺たちも馴染んできた。それに今回はドラマーのLeoが参加して初めての楽曲制作だったんだけど、あいつも「そのやり方が一番いいと思います」ってことだったので。最初のデモからどんどんどんどん化けていく。そんな様だったな。

 

 

──前作のインタビュー時はどこか、コロナ禍での曲作りに悩んでいる最中の様子を感じたのですが、今作を聴かせていただいて、そこから抜け出したように感じました。実際、茂木さんのモチベーションはどのようなものでしたか?

 

今、この世の中の感じにみんながロックとかパンクロックで、何を言うんだろうなっていう楽しみがあって。その中で「俺だったらこれを言うな」っていうのを羅列したのが、「RED EYE BLUES」。この混沌とした世の中に対して俺が言いたいことを羅列して、抜粋して、並べて、パズルしていくみたいな、そういうリリックの作り方をしていった。そこに、今までは妥協して崩していたけど、今回は最後まで韻を踏んでやろうと思って。これ作り終わったあと、ちょっと知恵熱みたいな熱が出ちゃったもん(笑)。でもそれくらい、この曲を作っているのは本当に楽しかった。毎日どんどん言葉が降ってくるし、毎日毎日「ここを差し替えよう」っていうアイデアも出てきて。言いたいことの核は決まっているのに、韻を踏むという手法に振り回されて、もともと言いたかったことの本質が表現できなかったりすることもすげえあったんだよね。だから大変だったけど、すごく気に入ってる。

 

──リリックも含め今回のシングルでは全体的にG-FREAK FACTORYが新しいことに挑戦していると感じました。音楽をやるということに対してすごく前向きなのかなと感じたのですが、いかがですか?

 

そうだね。コロナがあったからというのもあるかもしれないし、あとは新メンバーのLeoがすごく良い歯車になってくれていたりもする。そういうモチベーションも含めて、バンドのコンディションがすごく良いんだろうなと思う。

 

──Leoさんはどんな方ですか? 確か皆さんに比べるとかなり若いんですよね。

 

そう、26歳。前任のPxOxN(渡部“PxOxN”寛之)が辞めることが決まった頃くらいに、知り合いに紹介してもらって。一回ドラムを見て「いいドラマーだな」と思ってからは、スタジオに入ったりヘルプという形でライブを何本かしてトントン拍子に決まったんだけど、あの若さで俺たちの過去のアーカイブを全部漁って体に入れてくるわけだから、本当にすごいと思う。ドラムもすごい上手だし。上手っていうか、現時点でこれだけやれるんだから、末恐ろしいドラマーになるだろうなって。

 

──人柄的としてはどんな方ですか?

 

優しくて、柔らかい。……って言っても、今のところだけどね(笑)。

 

──音楽のルーツとしては?

 

俺たちよりももうちょっとラウド系かな。だからそういう要素を、これからは入れていきたいと思ってる。世代も違うぶん、俺が通ってない音楽をLeoは通っていたりするわけで。そういう要素を掛け合わせたらまた面白いものができるだろうし。どんどんチャレンジしていきたいね。

 

──それにしてもG-FREAK FACTORYに20代のドラマーが加入するとは。素敵な縁ですね。

 

一人ずつ20代に替えていって、しまいにはボーカルも20代にすれば、結成50年くらいまでやれるんじゃない?(笑)

 


「すげぇ嘆いているから、そこ大事にしたほうが良いよ」

──「RED EYE BLUES」の話に戻りますが、このシングルには「最狂のレベルミュージック」というキャッチコピーも付いています。改めてG-FREAK FACTORYがレベルミュージックを掲げる理由、今、この世の中でレベルミュージックを鳴らす意味みたいなものはどう感じていますか?

 

俺自身はレベルミュージックをやっているというつもりはそんなにないんだけど、現状に満足したくねえとは思っているし、それを音楽にしたら、それがレベルミュージックなんだよね。そもそも俺自身がそういう心を動かされるようなものから音楽に入ったし。「アナーキー・イン・ザ・U.K」のイントロが流れた瞬間に「うわぁ、きた! 今日も頑張ろうぜ」ってなったし、レゲエミュージックに出会ってラブ&ピースとサーチ&デストロイは紙一重なんだと知って。コロナ禍で弾き語りを始めて、俺はこういう音楽が好きなんだなって改めて思ったんだよね。弾き語りライブでのカバー曲の選曲で、その人のルーツとか好きなものってすごくよくわかると思うんだけど、ある人に「お前、全部泣いてるよな」って言われて。「すげぇ嘆いているから、そこ大事にしたほうが良いよ」って。ルーツミュージックというよりはブルースなんだけど。

 

──弾き語りの選曲をしながら改めてご自身のルーツにも向き合ったと。ちなみに選曲や、実際に歌う中で特に印象的だった曲はありますか?

 

RCサクセションかな。「スローバラード」って曲なんか、“車のなかで昨日寝たんだよ”っていうだけの話なんだけど、その何でもない中にも何かがあるんだろうなって探したくなる。忌野清志郎という人は、こういうものを残したんだなと思うと、すごいよね。

 

──お話を聞いていると、弾き語りの経験は様々な角度で茂木さんに大きく影響していますね。

 

ああ、そうだね。一瞬でも怯んだら終わりだからね。いろんなものを得た気がする。

 

 

──3曲目の「the latest」はスペーシーなサウンドで、新しいG-FREAK FACTORYを感じました。この曲はどのように生まれたのでしょうか?

 

これはキーボードのアレンジャーの大ファインプレーだと思う。バンドとしてはキーボードはアシスト的に滑らせる感覚でいたんだけど、キーボードの旋律を一番前に出したいくらいすげぇアレンジが返ってきて。

 

──バンドとして「こういうものを」という提示したのではなく、おまかせで投げたらこれが返ってきたと。

 

そうそう。いつも作曲の時点ではキーボードの音は入れないの。だからキーボードはオーバーダブで来るんだけど、そこがあまりにもすごい場合はそこをフィーチャーしていく。もちろん全部使わないという選択肢もあるし、「ここはいらなくない?」って削ることもある。今回は、そこがすごく良かったから結果的にスペーシーな曲になったっていう感じかな。

 

──歌詞も未来について歌っていますが、そこはサウンドから引き出されたものなのでしょうか?

 

そうだね。

 

──「VINTAGE」もそうでしたけど、年齢を重ねて、G-FREAK FACTORYとしてもキャリアを重ねて、それに対して、悲観はしないけど変にポジティブにも捉えないところがリアルですよね。

 

先輩で言ったら、The Birthdayのチバ(ユウスケ)さんとかILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB)だって、そのまんまを出すよね。ああいうふうになりてぇえなって思う。無理して若作りはしたくないなって。

 

──そこが、G-FREAK FACTORYの支持される理由ですよね。

 

だと良いんだけど。

 

──変な話、G-FREAK FACTORYはキャリアも長いですし、作品を定期的に作らなくてもバンドとしては成り立つと思うのですが、1年に1枚は必ず作品を作るのはどうしてですか?

 

どうしてかな。例えば「EVEN」って曲は、出来た当初、過去最高作品だったんだけど、今はもうライブではあまりやらなくなって。「ダディ・ダーリン」ができたときは、これを推すセットリストにしたいなと思って、「ダディ・ダーリン」がないセットリストはないくらいになって。そしたら今度は「ダディ・ダーリン」を超えたくなる。毎回毎回、超えられるか? という不安はあるけど、次はセットリストから「ダディ・ダーリン」を外しても成立するバンドにならなきゃダメだと思う。そういう気持ちを持っている間、それに対して面白さを感じているうちは曲が書けるし、チャレンジができるね。

 

──自分との戦いのようなものに。

 

そうだね。そんなものはもう一生書けないかもしれない。だけど、それにチャレンジしようとすることは必要だし、それがなかったら今のメンバーでやっている意味が全くないと思う。いつも「さぁ、越えようか」と思いながらやってるよ。なかなか難しいことだけど。

 

──そういう意味では、今作の手応えはいかがですか?

 

これからどう育っていくか、じゃないかな? 「ダディ・ダーリン」だって、こんなふうに育つと思っていなかったもん。


やっとグリーンドームに帰れる

──ライブといえば、9月に群馬・グリーンドーム前橋で「山人音楽祭2023」が開催されます。ひさしぶりのグリーンドームでの開催ですね。

 

「やっと帰れるな」というのが一番の本音で。あそこは決してアクセスが良いわけではないけれど、あそこで始まったことだから。ここ3年、「やります」と言って「やっぱりできません」みたいなこともあったし、会場を移したりもあったし、やっと今年帰ってこれるので、みんな田舎に大集合してほしい。

 

──特に楽しみなことは?

 

全部楽しみだよ。演者もそうだし、会場に来てくれているオーディエンスの人たちが毎回いろんなドラマを作ってくれているから。具体的にどうというよりは、もう一回確認したいかな。

 

──内容的には、基本的に今まで通りですか? 何か新しいことや変わることは?

 

スリムにする予定。飽和状態のときにふわふわしていたことがいっぱいあったので。具体的には、野外のステージをなくして。エネルギーが散らないようにぐっとしたいなって。グリーンドームで開催できなかった時期を経て、一回めちゃくちゃニュートラルになっているはずだから、今年でいろいろ確認して、この先につなげていきたいね。

 


G-FREAK FACTORY「RED EYE BLUES」

【CD収録曲】
01. RED EYE BLUES
02. アメイロ
03. the latest

【初回限定版付属DVD収録映像】
山人音楽祭2022(2022年12月3日高崎芸術劇場)
01. Too oLD To KNoW
02. Unscramble
03. REAL SIGN
04. EVEN
05. Fire
06. ダディ・ダーリン
07. らしくあれと
08. 日はまだ高く


『山人音楽祭2023』

開催日程:2023年9月23日、24日
会場: 日本トーターグリーンドーム前橋(群馬県前橋市岩神町1丁目2-1)

9月23日
KUZIRA/G-FREAK FACTORY/SHERBETS/SHANK/四星球/TETORA/バックドロップシンデレラ/ハルカミライ/HAWAIIAN6/FOMARE/フラワーカンパニーズ/マキシマム ザ ホルモン/Rickie-G/LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS/ROTTENGRAFFTY(※五十音順)

9月24日
亜無亜危異/Age Factory/OVER ARM THROW/Creepy Nuts/G-FREAK FACTORY/SUPER BEAVER/竹原ピストル/10-FEET/NakamuraEmi/NUBO/BRAHMAN/HEY-SMITH/ヤバイTシャツ屋さん/RED ORCA/locofrank(※五十音順)

http://yamabito-ongakusai.com/2023/



G-FREAK FACTORY“RED EYE BLUES”TOUR 2023-2024

2023年10月1日(日)愛知県 DIAMOND HALL
2023年10月7日(土)岩手県 KESEN ROCK FREAKS
2023年10月8日(日)岩手県 KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
2023年10月14日(土)岐阜県 柳ヶ瀬ants
2023年10月15日(日)福井県 福井CHOP
2023年10月21日(土)京都府 KYOTO MUSE
2023年10月28日(土)青森県 青森Quarter
2023年10月29日(日)秋田県 秋田Club SWINDLE
2023年11月3日(金・祝)香川県 高松MONSTER
2023年11月4日(土)大阪府 umeda TRAD
2023年11月17日(金)福岡県 BEAT STATION
2023年11月18日(土)広島県 広島SIX ONE Live STAR
2023年11月25日(土)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
2023年11月26日(日)静岡県 沼津QUARS
2023年12月9日(土)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
2023年12月23日(土)宮城県 Rensa
2023年12月24日(日)岩手県 盛岡CLUB CHANGE WAVE
2024年1月20日(土)北海道 cube garden
2024年1月21日(日)北海道 旭川CASINO DRIVE
2024年2月3日(土)東京都 Spotify O-EAST ※ツアーファイナル、ワンマン公演

 

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