COLUMN

ROCK CLASSICS SELECIONS Vol.01 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi

この世に数多溢れる名盤と呼ばれる音源の数々。このシーンにおいても、そんなキラキラ金ピカのままに輝き続けるロックのクラシックが存在するわけです。この連載企画"ROCK CLASSICS SELECTIONS"では、現在のシーンに繋がるパンク、ロック、ラウドの名盤を各セレクターにピックアップしてもらい、セレクターの思いと共にお届けしたい。このシーンが好きでCDショップやサブスクでもっとディグりたい! というアナタに捧げる名盤特集。最高のロックエクスペリエンスをどうぞ! 第1回目のセレクターはBONE$ aka Shuhei Dohiが担当。記事のラストには、今回セレクトした1枚に紐づくオリジナルプレイリストもSpotify上で作成しているので、聴いてみて。このプレイリストだけでも、めっちゃディグれると思う!

##Select ROCK CLASSICS ![rage_1st_2]
###Rage Against the Machine / S/T (1992)
"90年代ロックヒストリーの中で外すことのできないRage Against the Machine(以下レイジ)の1stセルフタイトルアルバム。 91年に結成され、制作された12曲入りのデモをほぼそのままパッケージング。 アルバムの元となったこのデモテープ(カセット)は当時半年で約5000本を完売、メジャーレーベルの争奪戦の末「クリエイティブ性を100%自分たちでコントロールする」という異例の条件のもとエピック・ソニーと契約しリリースされたのが本作。現代では半ば当たり前となったロックとヒップホップをクロスオーバーさせた「ミクスチャーロック」を定義づけ、発売から約30年を迎える今なお金字塔として輝き続ける作品です。 ちなみに最近、レイジの初ライブの映像なるものがYOUTUBEにアップされています。
 

 


ご覧の通り楽曲はほぼそのままのものも多く、すでに完成されています。ライブ開始時は人が全くいないものの、だんだんと人が集まり出す光景は当時からレイジに並々ならぬポテンシャルがあったことが窺えます。 ジャケットに使用されている写真は、ベトナム戦争への抗議の焼身自殺をするティック・クアン・ドック僧。ここからも読み取れるように、リリックは政治批判という怒りにあふれています。 カリフォルニアの白人社会の中で、貧困層メキシコ人として育ったパンクスであるザックと、ぶっ飛んではいるもののハーバード大学卒でバキバキの優等生だったトムが出会い、レイジは結成されます。2人は共通して政治活動に大きく関わっていた両親を持つことからレイジの歌詞のアイデンティティが形成されたと言えるでしょう。 ヒップホップ/ファンクとパンク/ロックの奇跡の黄金比こそレイジの持ち味ですが細かく分析していくとかなり興味深いんです。 Minor ThreatやFugazi、Bad Brainsのハードコアの精神性や荒々しいトータルサウンドバランスをベースに、Run DMC、Beastie Boyz、Public Enemy、Cypress Hill直系のラップを乗せ、サンプリングミュージック、ブラックミュージックを踏襲した骨太かつシンプルでグルービーなループリズムパターンが土台を支えます。リズムに関しては手法こそヒップホップに近いのですが、鳴っている音はパンクそのままというのも大きなポイントです。 さらにアイコニックなのは、一度聴いたら忘れない、Led Zeppelin、Black Sabbath、MC5ゆずりのロウなルーツロックのギターリフ。それらに加え、トムはスイッチング、ブラッシング、エフェクターを駆使する型破りなノイズプレイをぶっ込んできます。こういう部分にはJimi Hendrixなどの影響も強そうですが、同時にヒップホップのトラックの上物を人力で再現しているようにも取れます。

 

 

 


*めちゃめちゃ丁寧に説明するなぜかサングラスのトム・モレロ
なんだか文字だけ読むと「一体どんだけゴテゴテしたバンドなんだよ」って感じなんですが、それがただただシンプルに無骨にまとまっているのがレイジの凄いところで、全く無駄のないソリッドさ故に唯一無二。それだけにフォロワーと呼べるバンドは極端に少ないように感じます。 92年に発売された作品ながら「Wake Up」が99年の映画「マトリックス」にも挿入歌として使用されたりと、いかに息のながぁ~い作品だったことが見て取れます。 この作品の後、レイジの活動は破竹の勢いで栄華を極め、紆余曲折をへて休止へと向かっていきますが、最近二度目の再結成ツアーをアナウンス。残念ながらコロナウイルスの影響で延期となってしまったようですが、本作の楽曲たちはセットリストから外せない曲ばかり。知らない方でも1st聴いときゃ大丈夫(語弊)。ツアー見たいなぁ~、日本きてくれぇ!! 先ほど「フォロワーは少ない」ということも書きましたが、92年当時センセーショナルだったスタイルも30年後の現代ではある意味スタンダードになり、影響が香るバンドもちらほら。プレイリストにはそんなアーティストも加えたいと思いますのでフムフムと聴いていただければ嬉しいです。" BONE$ aka Shuhei Dohi PLAYLIST"All about Rage Against the Machine"

Selecter's Profile ![bones]
Hollow Suns(Vo/Gt),As We Let Go(Gt),Doggy Hood$(Gt)として活動中する傍ら、Webデザイナー/コーダー/ディレクター、ファッションブランドWeird Nerveのディレクションなども担当。ロック、パンク、ハードコア、ヒップホップに傾倒し、ひたすら東京をレペゼンするが実は福井県出身。東京育ちだということだけは言わせてもらいたい37歳。
https://www.instagram.com/bones0513/
https://twitter.com/bones0513
http://hollowsuns.com/top/
いかがでしたでしょうか、連載企画"ROCK CLASSICS SELECTIONS"。RAGE AGAINST THE MACHINE、いやぁ、カッコいいですよね。それでは、第2回目もお楽しみに!!

ROCK CLASSICS SELECIONS 

Vol.19 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - Descendents “Everything Sucks”(1996)
Vol.18 selected by SENTA - TURNSTILE “GLOW ON” (2021)
Vol.17 selected by Taishi Iwami - RED HOT CHILI PEPPERS “BLOOD SUGAR SEX MAGIK” (1991)
Vol.16 selected by Taishi Iwami - The Jesus And Mary Chain “ Psycho Candy”(1985)
Vol.15 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - LIMP BIZKIT "Significant Other"(1999)
Vol.14 selected by TAISHI IWAMI - The Vines "Highly Evolved"(2002)
Vol.13 selected by SENTA - SWITCH STYLE "....TO INFINITY"(1997)
Vol.12 selected by TAISHI IWAMI - Machine Gun Kelly "Tickets To My Downfall"(2020)
Vol.11 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - NOFX “Punk in Drublic”(1994)
Vol.10 selected by TAISHI IWAMI - The Music "The Music"(2002)
Vol.09 selected by SENTA - V.A. "NEW YORK'S HARDEST"(1995)
Vol.08 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - Korn “Korn”(1994)
Vol.07 selected by TAISHI IWAMI - Jet "Get Born"(2003)
Vol.06 selected by SENTA from NUMB - Madball “Set It Off”(1994)
Vol.05 selected by TAISHI IWAMI-GREEN DAY “Dookie”(1994)
Vol.04 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - blink-182 “Enema Of The State”(1999)
Vol.03 selected by SENTA from NUMB - HATEBREED / Satisfaction Is the Death of Desire (1997)
Vol.02 selected by TAISHI IWAMI - Matthew Sweet / 100% Fun (1995)
Vol.01 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - Rage Against the Machine / S/T (1992)