CULTURE

ONE'S PROPERTIES Vol.05: KAT$UO from THE CHERRY COKE$

SATANIC ENT.がお届けするアーティストのルーツを多方面から追究する企画、ONE'S PROPERTIES。第5回目はTHE CHERRY COKE$のKAT$UOさん。SATANIC CARNIVALではWISHBONES 刺繍 FACTORYというブースを展開している。バンド以外にもブランド、ANIMALIA(アニマリア)をディレクションするなど、音楽から派生した様々なクリエイションを展開しているKAT$UO氏に、その仕事の内容やブランドのルーツ、今現在のバンドの状況などを聞く。

about THE CHERRY COKE$

バンドから9月11日に"大切なお知らせ"をします

ーこの企画はバンドの近況からKAT$UOさんが音楽活動以外で行われていることを掲載させていただく企画です。まずTHE CHERRY COKE$ですが、このコロナ禍にあってどのような活動をされてらっしゃいますか? 

KAT$UO:8月18日に渋谷THE GAMEで「チェリコの日」というライブをやりましたね。これが久しぶりにお客さんと共にライブハウスでやったライブでした。例年だと4月9日に開催している「チェリコの日」なんですが開催延期となっていたので、その倍返し的な意味で、月も日も倍の数字である8月18日開催となったんです。やっぱりすごく楽しかったですし、お客さんも楽しんでくれたようでした。9月11日には予定していたイベント「Dong Chang Cruise 2020」の開催中止に伴って番組配信を行うんですが、この中で"大切なお知らせ"をする予定です。 

ー9月11日、非常に気になるところです……。 

KAT$UO:ここで発表することは、このコロナ禍でイベントや企画がキャンセルになっちゃったりして、ライブやツアーができなくなった今、何か他にやれることはないかを探した結果の1つなので、具体的な内容はお楽しみに、というところですね(笑)。

ーコロナ禍がバンドに与えた影響について思うことはありますか? 

KAT$UO:何か今までやってこなかったことをやろうと考えて実践することは、この状況だからこそのアイディアと行動だと思うので悪いことばかりではないですよね。モチベーションに関しても、むしろ良い影響を与えられていると思っていますよ。

about CONPANY "WISHBONES"&EMBROIDERY

最初は1本のジーンズを作る企画から始まった


 

 ※SATANIC CARNIVAL'19におけるWISHBONES 刺繍 FACTORYの模様 ー話が変わるのですがSATANIC CARNIVALでは"WISHBONES 刺繍 FACTORY"を展開されてらっしゃいますよね。キャップにその場で刺繍を施す内容を展開されていて、毎回人気を博しています。 

KAT$UO:ありがたい限りです。これまでに刺繍でイベントに参加したことはあったんですけど、音楽関係でいくとSATANIC CARNIVALが初めてだったんですよ。実際にブースには僕もいて、他にもヨッシーくん(G-FREAK FACTORYのNobuyuki Yoshihashi(Ba))やMOJAさん(LIONHEAD)が立ってくれていて。出演した翌日には刺繍ブースにいたりして、お客さんとのコミュニケーションを楽しませてもらっていますね。 ーその場で刺繍ができていく様子は見ているだけで純粋に楽しいです。改めて、どのような経緯で刺繍を始めたのか教えてもらえますか? KAT$UOさんのブランド、ANIMALIA(アニマリア)のスタートと被ってくると思うのですが。 

KAT$UO:もともとを辿ると、昔、アパレルをやっている友達の企画でジーンズを作ろうって話があったんですよ。そのとき、僕にも色々と構想があってやりたいことがたくさんあったので、話をしていくうちに「会社を立ち上げてやってみたら」ってアドバイスをもらう流れになったんです。色々と縁にも恵まれて2014年にWISHBONESという会社を立ち上げたのが始まりですね。そこにMOJAさんが加わり、彼が刺繍をやっていきたいという思いを強く持っていたので刺繍機を導入しました。会社自体は自分のブランド、ANIMALIAをやるために作ったんですが、起業して2、3ヶ月後には刺繍機を入れることを決め、会社としてブランドと刺繍をやっていこうと決めていたんです。 

ーでは、きっかけを辿るとジーンズの企画が発端になるんですね。 

KAT$UO:そうですね。特にジーンズ作りの知識があったわけじゃないんですけど、ジーンズの歴史を辿ると、1850年頃のゴールドラッシュの時代感や西部開拓時代が好きなので、そこから始まるジーンズの物語を作りたいと考えたんですよね。その時代のディテールを現代に落としこんだジーンズが作りたいっていう思いがありました。このコンセプトがANIMALIAにも繋がっていったんです。最初は、そのジーンズが作れれば、それで充分だと思っていたんですけどね。 

ーちなみに、WISHBONESでは刺繍機を使ってどんなことを行っているんですか? 

KAT$UO:基本的には刺繍加工全般ですね。企業案件も含め幅広くやっているんですけど、受注仕事以外にもWISHBONESのオリジナルキャップを展開しています。メインが2型あって普通のスナップバックキャップとカーブキャップのちょっと深い版を用意し、ここにオリジナルの刺繍もオーダーできるということをやっています。あとはANIMALIAの生産背景を利用してTシャツやシャツに刺繍を入れたり、ということもやっています。 WISHBONES Original Cap ーどんな流れでオーダーがくることが多いんですか? 

KAT$UO:やっぱり繋がりのある人からのオーダーが80%くらいを占めていると思います。僕はバンドマンですけども、一緒にやっているMOJAさんもお笑い芸人として幅広いコネクションを持っていますし、これまで色んな人のために動いてきた人ですし、人から好かれる性質なので、彼の営業力なくしてWISHBONESはやってこれなかったと思いますね。その繋がりが新たな繋がりを生んで、という形でどんどん広がっていったと思います。

about BRAND"ANIMALIA"

ANIMALIAを着ている人を街で見たら緊張する(笑)


ーなるほど。ではブランド、ANIMALIAのブランドコンセプトやテーマを教えていただけますか? 

KAT$UO:先ほどもお話しましたけど、やっぱりジーンズに対する考え方がベースにあるんですよ。ジーンズと言えばリーバイスですよね。ゴールドラッシュと西部開拓時代にいた、一攫千金を狙って金塊を目指して旅をしていた人や炭鉱夫、ネイティブアメリカン。彼らが歩んだ様々な歴史的背景のうえで、リーバイスは存在して成功し現代にも存在するのですが、そんな一握りの人間が財を成すまでに、色んなドラマや犠牲になった人が存在したんだってことをANIMALIAのテーマにしたいと最初に考えたんです。ANIMALIAは動物界を意味する言葉なんですけど、 ブランドロゴはANIMALIAの綴りを上下逆さまにしたものを重ね合わせているんですが、ここには動物界において「上も下も左も右もない」といったメッセージを込めているんです。なので、当初はジーンズや、当時着られていた麻素材のヘンリーネックシャツだったり。時代背景を踏まえた素材が活きるプロダクトを現代流に展開したいと考えていましたね。 

ーそこからブランド自体のファンも増えてきて。 

KAT$UO:そう。ブランドとして規模を広げることを考えたときに、そういう洋服だけでは成立しないな、と。そこで、シーズン毎にコレクションテーマを決めて、よりストリート感のあるウエアやプロダクトを展開するようになりました。ディーラーさんや買ってくれるお客さんの層が、当初、僕が思っていたよりも若い世代が多かったんですよ。そうなると、自分の趣味だけで洋服作りしていても届かないじゃないですか。より手に取りやすいものやテーマを決めたグラフィックを施したり。そんな風に、この6年間でANIMALIAはより幅広い方向に進化し、着てくれる人の層も広がってきているのかなと感じています。 

ーTHE CHERRY COKE$のファンも多く着用されていますよね。 

KAT$UO:ファンも多いと思うんですけど、僕が把握していない層まで達しているように感じますね。実際に自分のことを知らずにブランドとして気に入って着ていただけている人も多いと思います。以前、電車に乗ろうとしたらANIMALIAを着ている人が乗っていて「あっ!」って思ったんですよ。それで、緊張しちゃって車両を移動しちゃいましたもん(笑)。すげぇ嬉しいんだけど、めっちゃ緊張するっていう。なんか照れちゃうんですよね。地元でも着てくれている人がいるって話を友人から聞いたりして、嬉しいのと同時にちょっと不思議な感覚に陥るんですよね。何なんだろう、あの感覚(笑)。 

ー今、ANIMALIAは2020AWコレクションを発表した段階ですよね。 

KAT$UO:そうですね。すでにシーズンルックも公開しました。9月4日には渋谷のJUMPで僕とRYOくん(SECRET 7 LINE、Gt&VoのRYO)がバーテンみたいな感じでお店に立って、そこに遊びに来てもらって新作をお披露目したんですよ。こんなご時世なので展示会の代わりに何か面白いイベントをやろうと思って。 

 

 

 

 

※公開中のANIMALIA 2020 AUTUMN&WINTER COLLECTION ルックビジュアルより抜粋
ANIMALIA 2020 AUTUMN&WINTER COLLECTION

ー今回のシーズンコンセプトは何ですか? 

KAT$UO:今シーズンはSwagger Clothingsと謳っているんですが、ご覧の通り、ロゴグラフィックがNetflixで大人気の、あのドラマにインスパイアされているんですよね。あのドラマの世界観、アメリカの80年代をオマージュしている作品をさらにオマージュしたようなグラフィックを施しています。ドラマを観た人はよくわかると思います。 

KAT$UO:大体、その時々に自分がハマっているものや「これ、好きかも」って思うものからコレクションを構築していくことが多いですね。ブランドアイコンのKSKUN(カスクン)も健在ですね。全体的に遊び心満載な展開になっています。 ![_K__0093本テ?ータ] ーANIMALIAは"OLD WEST"への憧れを表現しているブランドでもありますが、ゴールドラッシュ・西部開拓時代のスタイルが好きになったきっかけは何だったんですか? 

KAT$UO:もう完全に音楽ですね。小さい頃は家にテレビもなくてラジカセしかないような環境で育ったんですけど、母親が好きだったカントリーやロカビリーのカセットテープをひたすら聴いていたんです。小学校高学年になるくらいまでそんなだったんですよ。それが根底になるので、音楽=カントリーやロカビリーという感じだったんです。その後、様々な音楽に出会い、あらゆる文化を吸収しましたけど、やっぱりルーツは変わらないですからね。当然、ゴールドラッシュ・西部開拓時代にカントリーやロカビリーが存在したわけではないんですが、映画の世界では西部劇にカントリーやブルース、ロカビリーが流れたりするじゃないですか。そこでリンクして、その情景だったり時代背景を知ることで、あのスタイルが好きになっていったんです。それこそ、初めて車を買うときは絶対にアメ車だと思っていましたしね。 ー影響を与えられた映画を1つ挙げるとすれば何ですか? 

AT$UO:『スタンド・バイ・ミー(Stand by Me)』ですね。もう台詞を暗記して言えるくらい観ましたもん。初めて観たときは小学生だったんですけど「オレは生まれる国を間違えた」と思うくらいのインパクトでしたよ。こんな昼休みに野球なんてしてる場合じゃない! なんて思って、友達と無駄に家出をしてみたりとか(笑)。そんなことをしていました。あの作品は1950年代後半を舞台としているので、サントラにもロカビリーが入っていたりするので、そこも好きになったポイントでした。

 

ーANIMALIAのルーツを示すアイテムを教えてください。 

KAT$UO:例えばこの指輪。バッファローのロングホーンをイメージしているんですが、これがブランドで1番最初にリリースしたアクセサリーなんです。 

 

KAT$UO:ネイティブアメリカンの文化に関連するものはよく作っていて、フクロウをモチーフにして4、5パーツを組み合わせたプロダクトもあります。

KAT$UO:あとはドッグタグ。"A GOOD DAY TO DIE(死ぬには良い日だ)"と刻んでいますが、この言葉はインディアンの教えなんです。狩りに出かけるときに自分たちを鼓舞し、勇気付ける言葉としてあったそうです。インディアンの教えを落とし込んだアイテムは、これ以外にも多数展開していますね。グラフィックにも入れています。

about FASHION CULTURE

憧れた"音楽×ファッションの"文化を残していきたい

ーブランドを続ける楽しみをKAT$UOさんはどこに見いだしていますか? 

KAT$UO:目の前にいられると緊張しちゃうけど、着てくれる人の姿を見るのが1番嬉しいですよね。本当にTHE CHERRY COKE$のライブ現場でも、昔と比べるとANIMALIAを着てくれている人たちが多かったりだとか、そういう繋がりから僕らが出ていないライブとかでも、着てくれている人たちがいて。正直、ライブキッズが着る洋服としてはちょっと値段が高いと思うんですよ。そこで、プライドを持ってANIMALIAを着てくれている感覚があるんだとしたら…。いえ、多分あると思うんですけど、それはありがたいし嬉しいですね。僕としては洋服と音楽って同じカルチャーの中にあるし、そうあって欲しいと思っているので。そんな風にブランドに接してくれる人がいるところに楽しさと嬉しさを感じています。 

ー最近では音楽×ファションのカルチャーが薄れていると感じる部分もあるのですが、KAT$UOさんは、そこに対して何か感じる部分はありますか? 

KAT$UO:今も昔も変わらないんでしょうけど、残るところには残っていると思うんですよ。昔だってダサいヤツはダサかったじゃないですか。そのダサさにもカッコよさがありますけど、僕らはファッションと音楽が同じカルチャーの中にあるシーンを好きになって憧れてきたわけなので、今後も残していきたいと思っています。今の日本のパンクシーンの中も全部が全部、そこを大事にしているかと言ったら、そうじゃないでしょうし、それでいいと思います。せめて僕自身は好きで憧れていた音楽×ファッションのシーンを残していけたらいいと思っています。まずは発信する側が重要ですよね。もしかするとバンドマンはもう少しそこに頓着を持った方が良いのかもしれませんね。着飾らなくともカッコいいというスタイルは絶対にあると思いますから。

 

 ーバンドやブランドのことも含め、今後やりたいことはありますか? 

KAT$UO:THE CHERRY COKE$で言えば、ツアーファイナルの1個手前でツアーが飛んじゃってファイナルだけできなかったので、ツアーを完結させたいですね。コロナの問題が解消される日がやってきて日常が帰ってきたら、きっとどのバンドもそこから一斉にリスタートすると思うんです。そのときに、今までの日常をさらに超えるスタートラインに持っていきたいと思いますね。そのために、今何ができるのかを考えています。ANIMALIAはブランドスタートから6年目を迎えて仕事としてもそうだし、自分がやっていることというか、発信することとしてもそうだし、もっともっと認知度を上げていきたいですね。より多くの人が着てくれて、そんな人を街中で見かけて僕がドキドキするような感じになりたいなって(笑)。 

 

 Dong Chang Camp 2020 Summer配信決定
放送日:9/11(金) 20時~
※アーカイブ無し
チケット価格:¥1,000
https://w.pia.jp/t/dongchangcamp2020/

チケット販売期間:9/3(木) 18時~9/11(金) 20時迄
※予約・入金は9/10(木) 18時まで
※9/10(木)18時~9/11(金) 20時はクレジットカード決済のみ対応可能
 

THE CHERRY COKE$

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KAT$UO

https://twitter.com/KATSUO_TxCxCxS
https://www.instagram.com/katsuo_txcxcxs/

 

ANIMALIA

https://www.wishbones-japan.com/
https://twitter.com/ANIMALIA_JP
https://www.instagram.com/animalia_japan/

 

ONE'S PROPERTIES ARCHIVES

Vol.05: KAT$UO from THE CHERRY COKE$
Vol.04:AG&HIDE from DOTS COLLECTIVE/NOISEMAKER
Vol.03:豊島”ペリー来航”渉 from バックドロップシンデレラ
Vol.02:Kazuki from SHADOWS
Vol.01:Yu-ki Miyamoto from COUNTRY YARD