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タイトル

ROCK CLASSICS SELECIONS Vol.10 selected by TAISHI IWAMI

この世に数多溢れる名盤と呼ばれる音源の数々。このシーンにおいても、そんなキラキラ金ピカのままに輝き続けるロックのクラシックが存在するわけです。この連載企画"ROCK CLASSICS SELECTIONS"では、現在のシーンに繋がるパンク、ロック、ラウドの名盤を各セレクターにピックアップしてもらい、セレクターの思いと共にお届けしたい。このシーンが好きでCDショップやサブスクでもっとディグりたい! というアナタに捧げる名盤特集。最高のロックエクスペリエンスをどうぞ!
第10回目のセレクターはDJ兼ライター、TAISHI IWAMIによるセレクション。来年の再結成ライブが待ち遠しいUKレジェンド、The Musicの1st。

Select ROCK CLASSICS

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The Music "The Music"(2002)


Recommend by TAISHI IWAMI

The Musicが2021年5月28日に地元のUKはリーズで、一夜限りの再結成公演を開催することを発表、ここ日本にも激震が走った。9年前の2011年に解散した遠く海の向こうの、誤解を恐れず言えば、世界的なトップスターと比べるとそこまでビッグな知名度があるわけではないバンドが、たった1度だけ現地で行うライヴのニュース。にもかかわらず、多くの日本人が熱狂していることには理由がある。

まずは、ここに紹介するThe Musicが2002年にリリースしたセルフタイトルデビューアルバムに象徴される彼らの音楽性、すべてはそこから始まった。その特徴は一言で言えばダンサブルでメロディアス。60年代のThe Beatles、そのあとのLed Zeppelin、90年代のThe Stone RosesやKula Shaker、同じく90年代から00年代にかけてのPrimal Screamらが巻き起こした、英国ロックのグルーヴ革命に連なる当時の最新版と言っていい。

トラディショナルなサイケデリックロックの酩酊感や、リフがフックとなったブルーズロックのパワー、彼らの登場する前夜のオルタナティヴロックのダイナミズムと、ダンスにフォーカスし打ち込みを駆使したサウンドを鳴らすクラブカルチャーやレイヴカルチャーからの影響を感じさせるサウンドを、生のギターとベースとドラムを土台に融合。すなわち、人が弦を弾き太鼓を叩き、空気を振動させるからこそのプリミティヴなエネルギーがダンスフロアやライヴハウスを支配し、そこに唯一無二のハイトーンボーカルの牽引力が重なれば、僕らはどこまでも躍り続けながら異世界へとトリップすることができる。


私の行動範囲ベースの話ではあるが、ロッククラブに行けば毎夜のようにシングル「The People」や「Getaway」が鳴り響いていた。エレクトロのDJもよくプレイしていた記憶がある。私も自分のパーティではレコードを買い直すくらい幾度となくかけてきた。そして今も、ここぞというときによくかける。その理由は踊れるからに他ならないが、こうして作品を紹介するにあたり、感覚的なところからもう少し詳しく説明するためにあらためて聴いてみると、現代のテクノロジーの発展により生まれた、低音を主体に踊れるグルーヴを組み立てていくエレクトロニックミュージックやロックを、生々しい人間の勢いが勝ってくるような、精密機械や底なしのパワーを持つロボットといった科学に生身の人間が勝つようなスリルがあるからなのだと思った。そこに魂を震わせるアンセミックな歌とくれば、 “永遠に最強”だ。古い感じがしない、18年も前のことのように思えないというより、今でも新しいというより、心のもっとピュアな部分が刺激されて、ロックって、バンドって素晴らしいと、叫びたくなる。The Musicはこのあと2004年に『Welcome To The North』と2008年に『Strength In Numbers』をリリース。どちらもキラーチューンがばっちり入ったカッコいい作品なので、ぜひあわせて聴いていただきたい。


そして、The Musicが日本でそこまで愛される理由はそれだけではない。The Musicの結成は1999年。本国ではデビュー前からNME誌に取り上げられたこともあり大きな注目を浴びていた。2002年の4月にシングル「The People」をリリースし、同年7月にはフジロックフェスティバルに出演。まだデビューアルバムの全貌が見えていないにも関わらず、期待に胸を膨らませるオーディエンスがレッドマーキーのステージに詰め寄り大盛況。そこから彼らとフジロックの歴史が始まり、翌年には出演キャンセルとなったThe Coralの代打も含めて2日間に渡りパフォーマンスを披露。2004年のサマーソニックに呼ばれた際には、大幅に前乗りしてプライベートで苗場の地を訪れ、2005年には再び演者として登場。2008年にはホワイトステージの大トリを務め入場規制に。解散を発表した2011年のグリーンステージでの、クロージングアクトとしてのパフォーマンスは今もなお語り継がれている。さらに彼らは、フジロックも含む最後の日本ツアーで、本国UKよりも多い公演数をこなした、名実・自薦他薦ともに“フジロックバンド”であり、大の親日家なのだ。

だからこそ、再結成が地元リーズのライヴだけに留まらず、来日公演が実現するその日に期待して、決して無理はしないようにと思いつつ、続報を待つ。

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Selecter's Profile taishi
TAISHI IWAMI
大阪を拠点に90年代後半よりDJを始める。心斎橋ROCKROCK、京都CLUB METRO、新宿ROLLING STONEといった東西老舗クラブでのレギュラーDJほかさまざまなイベントやフェスにも出演。レコードショップのバイヤーやラジオDJなども経験し、近年はライター/編集者として読むメディアの世界にも本格的に関わるようになる。2017年に上京。現在は執筆やDJ、イベント制作、自主でのマンスリー・パーティ・SUPERFUZZのオーガナイズなどを中心に活動中。
https://twitter.com/TAISHIIWAMI
https://www.instagram.com/taishi
iwami/
https://twitter.com/superfuzz2019
https://www.instagram.com/superfuzz2019/


いかがでしたでしょうか、今回の"ROCK CLASSICS SELECTIONS"。
フジロックでThe Musicにクラってしまった人も多いのではないでしょうか。そんな彼らが2021年に……。来日ライブやってくれないかなぁ。。
それでは、次回もお楽しみに!!

ROCK CLASSICS SELECIONS ARCHIVE

Vol.09 selected by SENTA - V.A. "NEW YORK'S HARDEST" (1995)
Vol.08 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - Korn “Korn”(1994)
Vol.07 selected by TAISHI IWAMI - Jet "Get Born"(2003)
Vol.06 selected by SENTA from NUMB - Madball “Set It Off”(1994)
Vol.05 selected by TAISHI IWAMI-GREEN DAY “Dookie”(1994)
Vol.04 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - blink-182 “Enema Of The State”(1999)
Vol.03 selected by SENTA from NUMB - HATEBREED / Satisfaction Is the Death of Desire (1997)
Vol.02 selected by TAISHI IWAMI - Matthew Sweet / 100% Fun (1995)
Vol.01 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - Rage Against the Machine / S/T (1992)