LIVE REPORT

山人音楽祭2023 DAY2 LIVE REPORT!!

Report by Chie Kobayashi
Photo by 青木カズロー、半田安政

 

山人音楽祭が聖地に帰ってきた! コロナ禍により2020年は開催中止。2021年、2022年は高崎芸術劇場に会場を移して行われた「山人音楽祭」。今年はようやく“聖地”グリーンドーム前橋での開催となった。この記事では9月24日に行われた2日目をレポートする。

 

2023.9.24 @日本トーターグリーンドーム前橋
山人音楽祭2023

 

朝、会場内を歩いていると、段ボールを持って移動しながら、観客にもスタッフにも元気よく「おはようございますー!」と声をかけるスタッフさんとすれ違う。こんな気持ちの良いスタッフさんが集まるのも、G-FREAK FACTORYの人間力だろう。

 

そんな2日目もNAIKA MCの前説&フリースタイルラップから。そのラップからバトンを受け取り、2日目の山人音楽祭の幕を開けたのはCreepy Nutsだ。R-指定いわく朝にピッタリな「よふかしのうた」を1曲目に選曲した彼らは、さらにこの日並々ならぬ意気込みを持っていることを明かす。というのも、NAIKA MCのラップから繋がれたステージだから。R-指定は「袖のアイツにもかましたらんと」と言うと「とりあえずラップがやばい曲」として最新曲「ビリケン」をチョイス。その言葉通り、ひときわヤバイトラックとヤバイラップをお見舞いした。

 

 

続いて赤城ステージに登場したのは竹原ピストル。昨年の「山人音楽祭」にも出演したかったのに呼んでくれなかったと、自身のツアーの高崎公演で愚痴をこぼしたと言うほどの山人音楽祭の常連でもあり、山人音楽祭に愛し愛されているアーティストの一人だ。彼はいつものようにギターを手に一人でステージに現れると、G-FREAK FACTORYが自身のことを「群馬のオールドルーキー」と自己紹介することを知ってか知らずか、1曲目に「オールドルーキー」を選曲。グリーンドームを力強くも優しい歌声で満たした。演奏前に必ず、楽曲のできた経緯や曲に込めた思いを、やわらかい口調で説明してから歌唱してくれるので、オーディエンスも1曲ずつその世界観に引き込まれたり、自身の感情や状況と照らし合わせながら聴くことができる。そんな優しさの詰まった演奏に、1曲が終わるたびに客席からは温かな拍手が送られ、その拍手を受け取った竹原ピストルは「あったかくありがとうございます」と受け取っていく。最後には「また呼んでもらえるように精進していきます」というと最後に、ポエムをひとつ、高崎に置いていった。

 

 

一方で榛名ステージでは、横浜の……と言わずもがなのOVER ARM THROWからのNUBOという流れが待ち構える。OVER ARM THROWは「一発目からフルスロットルでいこうぜ」と焚き付けてライブをスタートさせていたが、そもそも自分たちがフルスロットルなんだから、こちらもフルスロットルで立ち向かわざるを得ない。寺本英司(Dr, Cho)が、榛名山のふもとにある榛名神社がパワースポットだと熱弁する場面もあり、朝から元気とご利益と横浜からの風がもらえる有り難いライブとなった。OVER ARM THROWから横浜のバトンを受けたNUBOは「またここに立ててうれしいです。何よりG-FREAK FACTORYに出会えたことを誇りに思っています」と感慨深く語り、序盤からエモーショナルなライブを展開。さらにコロナ禍を振り返り、「コロナ禍で必死に返してくれた手に救われた。そのときに救ってくれた手を借りたい」と、今年リリースの最新曲「クラウド」を届ければ、そんな“手”から生まれた温かなクラップが榛名ステージに広がった。

 

 

DJとラッパーによるCreepy Nuts、アコースティックギター一本の竹原ピストルと、バンドという形は取らずも熱く説得力のあるライブが繰り広げられたこの日の赤城ステージの冒頭。後半はHEY-SMITH、10-FEET、ヤバイTシャツ屋さん、SUPER BEAVER、BRAHMANと、ロックバンドの猛者たちが勢揃いした。HEY-SMITHは、数曲を終えたあと、猪狩が自身の主催フェス「HAZIKETEMAZARE FESTIVAL」にG-FREAK FACTORYが出演した際にヤバいライブを見せられたと言い「どんなライブをしてほしいかってことをわかっているつもりです」と前置き。するとさらにギアが入ったようにメンバー全員に一気に火がつき「Be The One」「Drug Free Japan」「We Sing Our Song」などをノンストップでプレイ。言葉通り“ヤバイライブ”を見せつける。そんな姿もG-FREAK FACTORYに教わったとばかりに「G-FREAK FACTORYはいつだって俺たちにバンドって何かというのを教えてくれます。たぶん俺らのリスペクトが消えることはないでしょう」とその思いを語り「Goodbye To Say Hello」を丁寧に歌い上げた。

 

 

この日が「山人音楽祭」初参上となったのはSUPER BEAVER。挨拶とばかりに「27」「ひたむき」を濃密なボーカルと芳醇な演奏で届けていく。これまで共演するチャンスが訪れるも流れてしまうということが繰り返されてきたという彼らは、初出演となった「山人音楽祭」について、他のフェスと違い「先輩が多い」と言い、「19年目の新人としてここに立たせてもらっています」と改めて挨拶する。また「オーバーグラウンドとかアンダーグラウンドとかそういうことをごちゃごちゃ言う人が一人もいないこの会場が最高」「ライブハウスみたいでよかったです。音楽やっているなって感じがものすごくします」とオーディエンスも含めた「山人音楽祭」を大絶賛。真摯なオーディエンスに囲まれた彼らは、安心したように、そしてそんな観客一人一人に歌うように、ミディアムチューン「儚くない」やツービートの「さよなら絶望」など多彩な楽曲群を鳴らしていった。

 

 

G-FREAK FACTORYの前に赤城ステージに登場したのは、BRAHMAN。TOSHI-LOWが「山人、おかえり!」と声を挙げたのを合図に「THE ONLY WAY」から「BASIS」、や「SEE OFF」を畳み掛け、前半を一気に駆け抜けていく。「ANSWER FOR...」では「New Acoustic Camp」のTシャツを着た茂木が参加する一幕も。TOSHI-LOWと茂木は同じ生年月日の同じ血液型。TOSHI-LOW「山人とニューアコも双子のように思っている」と言い、「山奥でライブやるの、あいつら(山人)じゃん?」と冗談を飛ばしつつ「いつか進化する山人も見たい」と期待を寄せた。そして「この曲だけは信じていてほしい」と言って始めたラストナンバー「満⽉の⼣」ではOAUのMARTINが参加し、幽玄な音色でG-FREAK FACTORYへと繋いだ。

 

 

そしていよいよ2日間の最後を飾るG-FREAK FACTORY。初日はグリーンドームへ帰って来られたことへの喜びや開催できた安堵感でいっぱいだったように思えた彼らだが、この日はさらに温度を上げているよう。それは「ライブハウス・グリーンドームへようこそ!」と声を上げたことからも感じられた。「らしくあれと」では歌詞の一部を<来年もまた山人やるから隠れないで帰ってこいよ>と替え、オーディエンスを喜ばせた。しかしその後のMCで「このフェスは来年ある保証はないです」ときっぱりと言い放った茂木。それはこれまでの山人音楽祭の歴史を振り返れば当然のこと。コロナ禍以外にも、開催できなかったことはあるし、私たちが思っている以上に紆余曲折あったのだろうと思う。彼は続ける。「だから俺は奇跡って言ってんだ」と。そして今年リリースしたばかりの「RED EYE BLUES」へ。まっすぐに前を見据え、強い眼差しで同曲を歌うと、オーディエンスもまっすぐに受け取った。「Too oLD To KNoW」 で盛大なシンガロングが広がったあと、MARTIN(Violin)とKAKUEI(Perc)(共にOAU)を迎え入れ「ダディ・ダーリン」へ。前日同様、スマホライトが照らす中、しっとりと演奏が始まる。するとTAKUMA(10-FEET)、TOSHI-LOWがボーカルとして参加。順に歌いつないでいく……はずが、途中からなぜか歌う順番を譲り合い「どうぞどうぞ」の流れに。そんな仲睦まじい姿、心を許した盟友たちのステージに、場内は笑いと温かな空気に包まれた。「ほんとに終わっちまうわ」「1人1人、1個1個、1秒1秒、一瞬一瞬一つも見逃したくない」と名残惜しそうにしながらも、バンドはラストナンバー「Fire」、そしてアンコールではHEY-SMITHのイイカワケン(Tp)を迎えて「⽇はまだ⾼く」をプレイ。最後にはこの日の出演者もステージに登場し、NAIKA MCのフリースタイルが炸裂したり、NUBOの一成があたふたしたりと、各々が自由に、そして楽しそうに最後まで山人音楽祭を堪能していた。最後に茂木が「これにて山人音楽祭2023、大成功!」と叫び、聖地での山人音楽祭は幕引きとなった。

茂木は「来年ある保証はない」とはっきりと言った。だからこそ奇跡だと。しかし、今年は同世代のみならず、若手アーティストも多数出演した、これまでで一番未来を感じさせる山人音楽祭だったように思う。「来年以降また面白いことができそうです」という、茂木の言葉を信じて、これからの山人音楽祭も楽しみに待っていようと思う。

 


 

>>DAY1のレポートはこちら

http://yamabito-ongakusai.com/2023/