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column

SATANIC ART CHRONICLE Vol.16 by KISHI KOUJI

シーンの中でバンドのリリースする作品のアートワークやマーチャンダイズのデザインを手掛けるデザイナーやアーティストたち。彼らのデザインは音源の顔として我々の印象に残っていき「あー! あの飛行機のジャケのやつね!」なんていう会話に繋がっていく。
SATANIC CARNIVALでも、シーンで活躍するアーティストが多々参加している。本企画"ART CHRONICLE"では、このシーンにいるアーティストに彼らのルーツを紹介してもらう。そのルーツは少なからずアーティストに影響を与えているし、このシーンが好きなのであれば知っておくべきレジェンドたちだ。
アーティストに教えてもらえるアートのお話、"ART CHRONICLE"。第16回はKISHI KOUJIがリコメンダー。Roy Lichtenstein(ロイ・リキテンスタイン)をピックアップ。

Profile KISHI KOUJI


グラフィックデザイナー。パンク、ストリート、ポップアートなどに強い影響を受け、友人のバンドのフライヤーを手掛けることでキャリアをスタート。音楽シーンを中心に、アパレルブランドや企業にもアートワークを提供している。
http://irodoristudio.com/
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KISHI KOUJI SELECT.07:Roy Lichtenstein

アメリカのポップ・アーティスト、画家「Roy Lichtenstein(ロイ・リキテンスタイン)」。

1923年、ニューヨーク生まれ。1940年、オハイオ州立大学でファインアートを専攻し、その後、同大学で講師を務める。1960年代初頭に、コミックをテーマにした作品を発表し注目を集め、アンディ・ウォーホルらと共にポップ・アートの代表とされるアーティスト。

コミックのワンシーンを拡大し描かれた作品は、青・赤・黄の三原色と、黒の太いラインで描かれる事が多く、コミックをごく近くで見た時に思いついたという印刷の網点(ドット)まで再現し描かれているのが特徴的。

リキテンスタインの作品をギャラリーで見たアンディ・ウォーホルは同時期にコミックを題材にした作品を制作していたが、その完成度の高さにコミックを題材にすることをやめ、別の作風に変えていったという話がある。

「Look Mickey(1961)」

コミックをモチーフに描き出したのは、子供と過ごす中でミッキーマウスを描いてあげたことがキッカケだったらしい。

リキテンスタインを知ったのは、女性を描いた、ガール・シリーズ。どこかで見たことのある、誰もが想像するいわゆるアメリカン・コミックの絵で、以前から知っていたような錯覚があった。(そのような題材をわざと選んで引用してきているからそりゃそうである。。)吹き出しや、ポップなカラー、インパクトのある構図が10代の自分にも分かりやすく、すぐに好きになった。

学生の頃、新生活を始める際にリキテンスタインのカレンダーを部屋に飾っていたり、妻と出会って間もない頃「We Rose up Slowly(1964)」のポストカードに書かれた手紙をもらったことは、とてもいい思い出で、今でも大切に保管している。新婚旅行で訪れたMoMAで「Girl with Ball(1961)」を一緒に見れたのも感動的だった。

先日、リキテンスタインの書籍を見返していたら、6歳になる息子が「なんか面白そうな本見てるねー」と隣から覗き込んできて、子供にも一目で伝わるインパクトとポップさを再確認した。

ポップな第一印象を受ける一方で、切り取られた女性の表情は、感情をあまり感じられなかったり、どこかもの悲しげなものが多く、クールで虚無感を感じられる。

また戦闘機や銃など、戦争をモチーフにした作品も、ポップな見た目とその内容のギャップが、無機質な表現によってより際立って感じられた。

バンドのデザインをする時には、いつもパっと見のインパクトを心掛けている。ギャラリーで白い壁に並べられて、ゆっくり時間を掛けて見てもらえるものではなく、ライブハウスでは、フライヤーは束で渡され、ポスターは暗い照明の下、壁一面に貼られた一部となり、物販席にはいつも、いくつものバンドTがひしめき合っている。スマホの中でスクロールされる事が多くなったフライヤーやジャケットも、その小さい画面からでも伝わる、見た人の心を一瞬で掴むインパクトや力強さが、より必要だと感じている。

「OSAKA VICKI!(1997)」

大阪心斎橋アメリカ村の入り口にあるリキテンスタインの作品で、1964年に制作された「VICKI!」に、亡くなる直前、ビルに合わせて上部のブラインドや下部のドット、額縁が描き加えられた作品。

10代の頃、アメ村に遊びに来てここを通るたび、都会的でポップでインパクトがあって、街のイメージとピッタリなこの作品が印象的で、心躍らせてここを歩いた。

1997年から時代が変わった今も変わらず、ずっとそこにあって、久しぶりにゆっくり見たが、いつでも見られる環境にあるのが嬉しくなった。

大阪で暮らし初めた頃の、緊張と興奮した気持ちをリキテンスタインは今でも思い出させてくれる。

SATANIC ART CHRONICLE ARCHIVES

Vol.15 by KISHI KOUJI - JIM PHILLIPS
Vol.14 by Hirotton - Mark Foster
Vol.13 by TM paint コラム番外編! サタニック反省会
Vol.12 by Hirotton - Hundertwasser
Vol.11 by KISHI KOUJI - FRANK KOZIK
Vol.10 by TM paint - Melodic Punk Cover Art 2000年ver
Vol.09 by KISHI KOUJI - 佐伯俊男
Vol.08 by Hirotton - BB BASTIDAS
Vol.07 by TM paint - -僕が影響を受けた "90sくらいのMelodic Punk Cover Art" を描くアーティストたち-
Vol.06 by KISHI KOUJI - Boris Tellegen / DELTA
Vol.05 by Hirotton - USUGROW
Vol.04 by KISHI KOUJI - Andy Warhol
Vol.03 by Hirotton - SWAMPY
Vol.02 TM paint - さくらももこ
Vol.01 KISHI KOUJI - 村上隆