Who’s Next by SATANIC Editing Room Vol.11: Some Life
photograph by Ryusei Sabi text by YT
連載企画"Who's Next"はSATANIC ENT.を編集するスタッフが、今現在気になっているけど、まだSATANIC ENT.ではピックアップしていない次世代のバンド・アーティストに会いに行き、ルーツや活動、それを取り巻くカルチャーなどを一方的に紹介するというシンプルかつ偏愛極まりない企画。第11回目は名古屋を拠点に活動するSome Life。R&BやHIPHOPにJ-POPなど様々なジャンルを取り入れたメロウなバンドサウンドに、日本語ラップを織り交ぜた、どこか懐かしくそして新鮮な心地いい音を生み出す彼らに話を聞く。
L to R:Kohei(Gt.),Daiya-tan(Vo.),Kaede(Dr.),Ryoma(Ba)
幼馴染の仲間が集まり遊びの延長で結成
ー今日も暑いですね。
Daiya-tan:そうですね。
ー僕も地元は名古屋なんですけど、東京よりも名古屋の方が暑くないですか?
Daiya-tan:いや、最近はずっと雨だったんで。ちゃんと晴れたのは久しぶりでしたね。
ー昨日名古屋はめっちゃ雨降ってなかったですか?
Ryoma:めっちゃ降ってたし、めっちゃ濡れた。
ーすごかったですよね(笑)。
Ryoma:原付だったんですけど、雨の中疾走してました。
ーSome Lifeは名古屋のバンドですが、みなさん地元は同じなんですか?
Daiya-tan:そうですね。みんな同じ中学です。年も近いですし。
Kohei:僕だけ後から加入していて兵庫出身になります。
ーあ、Koheiさんだけ違うんですね。
Kohei:はい。2年前に加入しました。
ーKoheiさんおひとりだけ、後からの加入ですよね?すぐに打ち解けられたりしましたか?
Kohei:すぐだったよな?
Kaede:なんか入る前から、バイブスが合ってたんですよ。だから誘ったってのもあって。
Kohei:自然と入ってました。
Kaede:対バンしてる時から、Koheiくんとは仲がよかったんです。後輩に好かれる人なんで。
ーそうなんですね。では、まずバンド結成の経緯からお聞きしてもいいですか?
Daiya-tan:もともと、16歳くらいのときに幼馴染の音楽が好きなやつとか、楽器を演奏出来るやつらが集まって、曲作ったりとかバンドやってみたりして遊んでいたんです。でも結局、音楽から離れたり進学したり別でバンド組んだりして減っていって。最後に残ったのが、僕とKaedeとRyomaでした。それと、もう1人ギタリストがいて、その4人になったタイミングで、Some Lifeって名前で活動をし出したんです。それが2017年。そこからギタリストの子が裏方に移って、今は映像とかを撮ってくれているんです。で3人でやっている時に、Koheiくんを口説いて加入してもらったって感じですね。
ーなるほど。
Daiya-tan:なので新体制になったのが2019年ですね。
ーメンバーそれぞれのルーツになっているアーティストはいますか?
Kohei:僕はBUMP OF CHICKENですね。初めてバンドというものを知ったのがBUMP OF CHICKENで。その当時、家にお姉ちゃんのベースがあってそれを弾いていたんですけど、もっと目立ちたいなと思ってギターになりました(笑)。
Daiya-tan:僕は姉が二人いるんですけど、小学校低学年の時に姉が高校生でした。なので姉は世代的に2000年初期の音楽を聞いていたんですよ。僕はそこから影響を受けていて、それが、RIP SLYMEや宇多田ヒカルにORANGE RANGEとかその辺りでした。バンドサウンドとしては、日本だとDragon AshやRIZEにマキシマム ザ ホルモン。そして、海外だと311やP.O.D、Kottonmouth KingsにRage Against the Machineがルーツであり、リファレンスに直接繋がっているアーティストです。
Kaede:僕は小中くらいのときに、テレビのエムオン!とかスペースシャワーTVとかを見ていて、バンドってかっけえなって思ってドラムを始めていましたね。いつの間にか。
Ryo-ma:俺はマキシマム ザ ホルモンですね。お兄ちゃんのiPodに入っていたのを聞いて衝撃を受けました。で、高校でみんなに出会い、始めはスタッフみたいな感じでずっと一緒にいて。ベースが抜けるタイミングに僕がメンバーとして加入して、そこから楽器を始めました。
Kaede:あれ?その時ベース始めたんだっけ?
Kohei:確か、弾けなかったんだよね?弾けないからアンプの後ろで弾ける人が弾いて、表に立っているRyomaが当て振りで。
一同:(笑)。
Kohei:めちゃめちゃや(笑)。
ーそれは本当にやってたんですか?
Ryoma:3~4回はそれやってたよね。ワイヤレスっぽく見せる為に缶詰をガムテープで巻いて。
ー最高です(笑)。では逆に最近注目しているアーティストはいますか?
Daiya-tan:最近は90年代のアーティストですね。ゆらゆら帝国っていうアーティストか、UKバンドもよく聞いています。それに踊Foot Worksとかも良いなって思います。
ーレゲエとかHIPHOPよりもポップスの方が多いんですね。では、作詞作曲は誰がやっているんですか?
Daiya-tan:僕です。
ーそれをみんなでアレンジ加えて?
Daiya-tan:そうですね。エンジニアとメンバーでアレンジしています。
ーSome Lifeは基本日本語のリリックですよね?
Daiya-tan:さっき言ったみたいに、ルーツが日本人のアーティストなんで、バンドサウンドをやっている上に、ラップをのせるのも日本語の方がスッと入ってくるというか。
ー日本語の方が言葉の選び方とか比喩など、表現の幅が広がる印象です。
Daiya-tan:日本語だと侘び寂び感が出るし、かっこいいなって。僕ら日本人だし。
ーDaiya-tanのラップの歌い方って、誰かに影響を受けているんですか?
Daiya-tan:ラップに関しては、岐阜がローカルのMakerってラッパーがいるんですけど、そのアーティストのリリックがユニークで、ストレートすぎず抽象的で声もかっこいいっていう・・・。正直めちゃ参考にしていますね(笑)。
ーリリックを書く際は、伝えたいメッセージがあって書いていますか?それとも日常のことを書いているんですか?
Daiya-tan:リリックも抽象的な言葉を使った歌詞もあれば、ストレートに人間性を書きたいって時の2パターンあります。どっちのスタイルで行くにしろ客観的に見て自分が魅力的だなって思う言葉を選んで書くようにしています。自分だけしか分からない言葉じゃダメだなって思っていて。抽象的でもどこか引っかかる詩になる言葉を選ぶように意識しています。
ーちなみに、一番最近のリリースの『KUNG-FU!』には、テーマとかはありますか?
Daiya-tan:1stアルバムの『24/7』を出してから変わってないのは、自分の好きなプレイリストを作る感覚で、一枚のアルバムに仕上げていて。ジャンルとかシーンとかも気にせずに、今自分が聞きたいものを最新のインプットから、仕上げているって感じですね。なので 『KUNG-FU!』もリリースのタイミングで、自分がSome Lifeじゃなくて普通に音楽をやってない学生のリスナーだとしてSome Lifeがこういう新作を出したら最高、っていうのをイメージして作ってます。ちゃんと自分が好きになるようなアーティストをイメージして自分が作っています。
ー結構客観的というか俯瞰して見ているんですね。
Daiya-tan:そうですね。こういう曲出したら上がるな~。これはやられたな~って感覚は大事にしています。
直感でかっこいいと思ったものを作り続ける
ー僕は、SEE YOU SMILEからSome Lifeを教えてもらって、まずMVで「KUNG-FU!」を見たんですけど、見ていてすぐにEskimo Callboyの「Hypa Hypa」のMVを連想したんです。動画としてはあれをサンプリングしているんですか?
Kohei:僕らその映像のこと全く知らなくて。ただ監督やってくれている人が、Some Lifeの映像をいくつか撮ってくれているんですけど、その映像を打ち合わせの段階で見せてくれて。『これマンマでいいんじゃね?』『バレてもよくね?』って(笑)。
Kaede:敢えて寄せていこうって。
Ryoma:センスを信じて。いつかお会いして挨拶できたらいいんじゃない?
ーそういうことだったんですね。Some Lifeは、ポップなグラィックも印象的ですよね。
Ryoma:映像やアニメーションのグラフィックも、僕が担当しているんで。
Daiya-tan:俺らのデザイン系は全部Ryomaが。
ーそうなんですね!デザインはどのような過程で出来上がっていくんですか?
Ryoma:『KUNG-FU!』は、MVを取りに行く時の車内でできたんです。作ったら反応が良くて、みんなはどう見てるかわからないですけど、割と頑張って書いたんで。
ー車内でやったんすね。
Ryoma:数時間でサクッと。割とポロっと生み出した作品の方が周りからの評価が良いことが多いです。
ーメンバーみなさんが楽曲を制作する際にも、数時間でサクッと作っているんですか?
Kohei:僕は、結構その場でパッと思いついてやっています。
Kaede:僕もそうだね。
Kohei:ていうのが多いです。ひとつのパートに対して1時間くらいで考えて。それの感想を取り入れたりとかですかね。でも結構みんなその場で思いついた割にはめちゃいいよね。
Kaede :僕も日によって思い浮かぶフレーズが違うんで、まあ4人のテンションをみて変えたりはしますけど、そういう感じですね。
ーでは結構即興に近い感じで。
Kaede:そうですね。なんとなくいいなっていうのが多いかも。
Daiya-tan:グルーブとかノリは大切にしています。ただ、僕はめちゃくちゃ時間かかります(笑)。結構ルーズに見せますけど、信じられないくらい時間かかってます。
ーなるほど。じゃあそれは書かないほうがいいですよね?
Daitya-tan:全然大丈夫です(笑)。
ーちなみに、Some Lifeの代表曲って何になりますか?
Daiya-tan:代表曲・・・。迷っちゃうな~。僕らリード曲とかそういう概念があまりなくて。直感でかっこいいと思ったものを作り続けているので、それが代表かって言われると答えづらいですね。でもサブスクとかで一気に聞いてくれたら、人によってリード曲って変わってくると思うし、これが一番好きっていうのが出てくるだろうし、なので敢えてこれっていうのは用意していないですね。
ー確かに聞いていて飽きないというか、アルバムを通していろんなジャンルを聞いている感覚になりますよね。
今池のフッドスターになりたい
ー話は変わりますが、Some Lifeの地元は名古屋ですよね。ローカルで大事にしているところはありますか?
Daiya-tan:名古屋市内に今池って街があって、小さい頃から育った場所なんですけど、the 原爆オナニーズってバンドとか、nobodyknows+ってヒップホップグループだったり、既に先輩のフッドスターがいて、毎年今池祭りってところで最高のライブをしているんです。そういうのをちっちゃい頃から見ているので、今池出身で音楽やるからには、今池祭りの時には必ずそこへ帰ってライブをして、フッドスターみたいな扱いになりたいっていうのがありますね。まあまだ出たことないんですけどね。
ーそうなんですね。
Daiya-tan:今後したい事ですね。
ーこのバンドメンバーのファッションもかっこよくて、いい意味でバンドマンぽくないのかなと思っていて。服はどこで買っていますか?
Daiya-tan:僕は、今も着ているんですけど、DJ RYOさんがやってるブランドのドリームチームってブランドが名古屋にあるんですけど、そこが多いですね。
ーDJ RYOさんと繋がっているんですか?
Daiya-tan:いや全然繋がってないです。ただ名古屋をREPしてるブランドだから、バンドマンだけど着たいって思いです。
ー他のメンバーの皆さんはどうですか?
Kohei:スケートだったり今流行っているストリートのブランドを扱っているセレクトショップとかですかね。
ーtimeforlivin'とかですか?
Kohei:そうですね~。あとは、THE BE-SHAREには友達も働いていたりとかして。
Kaede:僕はあまりこだわりはないですね。適当に。
Romya:僕は古着を。名古屋にも最近古着屋が増えてきていて。
ー増えましたよね。下北沢にあるお店が名古屋に出店していたり。
Ryoma:最近どんどん増えているんで、面白いです。
ーではそれぞれで買うお店は違うんですね。
Daiya-tan:そうですね。でも結構みんなで買いに行ったりもします。
ー結構仲がいいんですね。
Daiya-tan:休みも一緒に過ごしたりとか。
Kohei:こんな話しか出てこなくてすんません。
ーいやとんでもないです(笑)。お休みとかは何するんですか?
Kaede:最近はレコーディング中なんで、めちゃ曲作ったり、
Daiya-tan:か神社行くか。
ー神社によく行くんですね!あ、全然言えない事とかあったらオフレコにするんで。
Daiya-tan:いや僕ら全然悪い事はしないですよ(笑)。
一同:(笑)。
Kaede:僕はとりあえず飲みに行きますね。実は、Ryomaの家が隣なんですよ。ここめっちゃ会うんですよね。ゲームもやるし。ね。
Ryoma:うん。
Kaede:まじクソ暇でも、とりあえず会ってますね。昼飯一緒に行ったりとかします。
ーだいぶ仲がいいですね。
Kaede:そうです。まあみんな家は近いんですけど。とくに小学校も一緒でしたし、いつでも電話したら来る仲ですね。
ーちなみに、Some Lifeと仲がいいバンドってどこになりますか?
Daiya-tan:もちろんSEE YOU SMILEもそうなんですけど、京都のGarden Of Chicken Cokesって3ピースのミクスチャーバンドは、年も近くて結構2~3年くらい仲良しですね。会うたびにお酒飲んでました。あとはレーベルメイトですけど、STAY HOME ALONEとか。彼らは同じ時期にレーベル入ったんですけど、ツアーは30本くらい全部一緒でしたね。それで仲が良くなりましたね。
ーでは先輩では?
Daiya-tan:ENTHですね。あとはスサシも。あまり可愛がってくれてるってイメージではないですね。
ーといいますと?
Daiya-tan:可愛がってくれているっていうよりも、友達として見てくれている感じはします。僕たちからするとありがたいです。
ー名古屋といえばENTHだと思うんですけど、ENTHを見て取り入れようとしていることはありますか?
Daiya-tan:兄やんだし多いよね。生き方というかスタンスとか。
Kaede:バンドを長く続けててその分認知度がある部分も当たり前だけど尊敬するし、人として背中を見させてもらっています。
Daitya-tan:後輩思いだし、後輩を友達として接してくれるんです。そういう感じに俺らもなりたいなって思います。
ーでは、逆に名古屋の後輩で芽が出てきているバンドはいるんですか?
Daiya-tan:いますね。かっこいいなって思うのはKannaっていうバンドで、バンドサウンドの上でラップしてるんですけど、スタイルも近くて好きなカルチャーも近かったりします。
ー今ミニアルバムが出てますけど、今後新曲を出す予定はありますか?
Daiya-tan:今年中に出せたらいいな~とは思っています。
ーでは、今後の目標とか、考えていることとかあれば教えていただけますか?
Daiya-tan:僕は作品は作り続けたいですし。健康で、このメンバーで、ずっとやれたら自然に叶っていく夢もたくさんあると思いますのでね。まず健康でい続けることですかね。
Ryoma:もっといろんなアーティストやクリエイターの人たちと、Some Lifeを作っていきたいですね。
ー最後に、告知的なのはありますか?
Daiya-tan:なんか丁度良いこと言いたいな。
Ryoma:あ、妹が高校に入学しました。
Kaede:僕も弟が高校に上がりました。
Kohei:えー、お姉ちゃんに子供ができました。甥っ子が生まれます。
Daiya-tan:みんな告知いっぱいあるな。
ーおめでたいですね。ありがとうございます。
Daiya-tan:こちらこそありがとうございました。とりあえず、みんなでタバコ吸いに行きましょう。
Some Life
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Who's Next by SATANIC Editing Room
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