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culture

タイトル

THE CRAFTMAN SATANIC CONNECTION Vol.05:Taichi Nishimaki

Text by YT
Photography by Yuta Kato


SATANIC ENT.はライブハウスから生まれるシーンを紹介するメディア。では、ライブハウスではバンドやアーティスト以外にどんな人が働いているんだろう? ライブハウスの店長さんやスタッフさんはどんな経緯を経て、そこで働いているんだろう? 言わば"ライブ職人さんたち"に、そんな疑問をストレートに投げつけまくるのが本企画"THE CRAFTMAN SATANIC CONNECTION"! 登場するのはPA、照明、バンドのマネージャーさんやレコーディングエンジニア、ライブハウスシーンを取り巻く人を徹底追求!

第5回目は吾妻茂樹さんからのバトンを受けて、go!go!vanillasやバックドロップシンデレラにサザンオールスターズ、星野源と幅広くアーティストの撮影を手がけるフォトグラファー西槇太一さんに出演してもらう。彼の力強いライブ写真と日常的であり温かみのある家族写真の二面性のルーツなど気になるところを追求する。


INTERVIEW


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8年続けた仕事を34歳で辞めて思い切って独立

ー吾妻茂樹さんから紹介していただきましたが、簡単に西槇さんの自己紹介をお願い致します。

西槇太一(以下、西槇):西槇太一、40歳です。今は写真を生業にしていて、主に音楽業界で写真を撮っています。あとは家族写真をずっと撮り続けています。

ー地元はどこになるんですか?

西槇:生まれも育ちも東京は足立区、綾瀬の辺りになります。今は実家をリフォームしてそこに住んでいますね。

ー西槇さんは学生時代はどう過ごしていたんですか?

西槇:僕は音楽漬けの学生生活でしたね。中学2年の時にThe Offspringの「Smash」って曲を聴いたんです。その曲が衝撃的すぎて。「なにこれ!? すごい!って(笑)」。そこからパンクなどのロックを聴きはじめました。それで高校になってバンドを始めて、Hi-STANDARDのコピーバンドをやったり、PIZZA OF DEATH周辺のバンドをコピーして、文化祭を目標に頑張っていました。大学入ってからは、また別のバンドを組んでギターボーカルをしていて。そのバンドでオリジナルの楽曲を作ってライブをやっていました。なので学生時代は毎日バンドのリハをして、家に帰ってからもずっとギターを弾いているような日々を送っていました。

ーちなみに、今もバンドの活動はされているんですか?

西槇:バンドはもうやれていなくて、まあ家でちょっとギター弾くぐらいにはなってるんですけど、ここ最近はバンドをまたやりたいなとは思っています(笑)。

ーそうなんですね。では、そんな学生生活からどう今のお仕事に繋がったのでしょうか?

西槇:そもそも、僕はフォトグラファーを始める前はマネージャーだったんですよ。バンドのマネージャーを8年くらいやっていて。そこで色々経験というか音楽業界の仕組みとかを学べました。

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ーでは、結局どのようにフォトグラファーになったのですか?

西槇:写真が仕事になったのは2015年の2月からですね。今で6年目。そういえば2月15日が独立した日になります。マネージャーの仕事をやる前からフォトグラファーとしてやっていきたいとは考えていて、前職のときから趣味で撮影をしていたんです。

ー前職がマネージャーとなると、撮影方法はどのように学んでいったんですか?

西槇:ずっと独学でやっていました。前職のマネージャーをやめたのが2014年の6月で。その後、すぐに撮影スタジオに入ったんです。ライブだったり自然光での撮影は、雑誌とかを見て学んでたんですけど、ライティングが全然わからなくて。そこはスタジオマンをやらないといけないなって思いました。そして知り合い経由でスタジオを紹介してもらったんです。「34歳なんですけど、入れますか? ライティング学びたいです」って。最初は「難しいよ?」って言われてしまいましたね(笑)。でも、次第に気持ちが伝わって、「働いてみてもいいんじゃない?」って納得してもらえて。

ー熱意が伝わったんですね。

西槇:そうですね。もう10個下の先輩とかもいたりするなかで雑務をこなし、たまに隙間からスタジオの様子を見て(笑)。その環境で7〜8ヶ月仕事をしていました。年齢的にそんなにゆっくりできないとは感じていたので最低限のことだけ学んで、そこからは自分の現場でブラッシュアップしていこうっていう考えで行動していました。それが、2015年の年明けで、その頃に独立しています。

ー30代半ばでお子さんもいる状態で独立しようとなると、気持ち的にも大きい部分がある気がします。

西槇:そうですね。いわゆる、その日暮らしじゃないですけど、仕事が必ず入ってくるかわからない状況で、かつ子供が1歳半くらいだったんで、なかなかリスキーでした。でも今しかないなって。あと2〜3年したら絶対フリーのフォトグラファーにはなれないって思って。奥さんには正直反対されるかなって思ったら、「お金はいいよ、私が稼ぐから」って言ってもらえらたんです。そこで背中を押してもらえました。それも大きい要因ですね。

ー独学で写真を学んだとのことですが、影響を受けたフォトグラファーはいますか?

西槇:特に写真をアートだと感じたのが、野村浩司さんと川内倫子さんですね。自分の中での2人は偉大な写真家です。

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ーどのようにこの2人の作品を知ったんですか?

西槇:野村さんの作品は僕がバンドをやっていたとき、高円寺のライブハウスでフリーペーパーで見つけたんです。当時、写真は趣味でなんとなく撮っていた感じだったんですけど、そんな自分でもカッコいい! って衝撃を受けたのは、やっぱり野村さんです。倫子さんの写真は、吉祥寺のヴィレヴァンで立ち読みしてるときに見つけて即買いをしました。めちゃいい! って(笑)。これは中判カメラでフィルムがデカいカメラを使ってるんですよね。それで写真の解像度も高いし、この質感が大好きで。僕はこの2人からものすごく影響を受けてますね。

ー家族写真とかは、川内倫子さんの作品に近いものを感じますね。

西槇:意識はしていると思います。例えば、倫子さんって比較的に被写界深度が浅くて、後ろがボケている写真も多くて。そこは影響を受けてますし、自分の使っているPHASE ONEっていうカメラが中判カメラで、CANONとかNIKONのカメラよりもセンサーがデカイんで、ドーンとした雰囲気を出せるんで家族写真では結構これを使ってます。

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ーカメラは使い分けているんですか?

西槇:そうですね。ポートレートとか楽器を撮る際は必ずPHASE ONEでとります。楽器の質感や雰囲気が一番よく出るんです。

ーちなみに。ライブはどんなカメラを?

西槇:ライブ用のカメラはつい最近新しい物に買い換えたんです。CANONのミラーレスでEOS R5っていうカメラなんですが、それはフォーカスのスピードが凄くいいですね。シュシュシュって反応するんで。これだけ高性能だとちょっと写真の撮り方変わっちゃうなって思いました(笑)。

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100%美しいものが120%だったり130%になる時のゾクゾク感は凄く楽しい

ー普段の仕事ではアー写を撮る割合が多いんでしょうか。

西槇:アー写、ライブ写真、あとは、取材系ですね。取材は特に楽器系が多いですね。そこらへんを色々やらせてもらっています。

ーちなみに、撮影をする上でアーティストさんの良さを引き出すためにしていることとかはありますか?

西槇:そうですね、基本的にはガシガシ動いてもらうってのは僕はあまりしない方で。その場に立っているだけでも各々のアーティスト性が表現できるような写真っていうのを常に意識しています。つまり、どのシチュエーションで撮るのかとか、どのライティングで撮るのかとか、そういうところでその人やそのバンド、ミュージシャンの音楽性を表現できたらいいなって。

ー家族写真にも共通することですか?

西槇:家族写真はまた別で。僕の写真は少し距離感があるんです。その空間の中に居るようでちょっとだけ外にいて。「はいじゃあこっち向いてね」っていうのはあまりやらないんです。そうしちゃうとその現場の空気が淀んじゃう気がして。そこはありのままが好きなんだと思います。

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ーなるほど。

西槇:で、この感じってライブのオフショットを撮るときとまったく同じ感覚なんです。なかにはいなくて、少し引いたところから、状況をスっと抜くんです。もう楽屋とかなんとなくいます。空気のように(笑)。なのでコミュニケーションを積極的にはとらず、一歩引いて撮るっていうスタイルなのかなって思います。

ーそうですね。写真見ていて日常の中に溶け込んでいるような写真が多いなとは思いました。ちなみに、バンドの写真もすごく幅広く撮られてますよね。

西槇:そうですね。本当に幅広くやらさせてもらってますね。

ーちなみに、よく撮影されているバンドやアーティストってどなたになるんですか?

西槇:ヒトリエや9mm Parabellum Bulletにバックドロップシンデレラ、人間椅子、AA=、go!go!vanillas。あとは、進撃の巨人だったりガンダムユニコーンの曲を作られてる作家の澤野弘之などなど。それに加えて、最近映像とかもやらさせてもらっていて。

ー映像もやられているんですね。

西槇:写真の延長で撮影して、編集は今回のこの連載を紹介してくれた吾妻君に任せてっていうのは実は結構前からやっていました。バックドロップシンデレラの映像とかもそのような形で何本も撮っていたりしたんです。今までは編集はやらないっていう勝手なこだわりがあったんですけど、去年のコロナ騒動から家にいる機会も増えたし、時間もあるので家族の動画の編集からやってみたんです。そうしたら意外に面白いなって。そんな流れで去年は何本か制作させていただきましたし、今後は自分の幅を広げるって意味で映像もできたらいいなってのはすごく思いますね。

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ーでは、フォトグラファーの仕事の醍醐味はどこになりますか?

西槇:色んなライティングや撮り方、切り方で100%美しいものが120%だったり130%になるときのゾクゾク感というか。みんなの目が輝くあの瞬間はいつもすごく楽しいなと思っています。それとライブ写真においては、現場に来れない人たちにその空間の純度を下げずにどれだけストレートに伝えられるのか。また実際に会場にいたお客さんが後日写真を見返した時に、ライブで感じた想いや匂いとかそういったものを思い出してくれたら嬉しいし、そうでありたいって強く思います。

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ー1番テンションの上がった撮影って何になりますか?

西槇:色々と楽しいことはたくさんあるんですが、僕はHi-STANDARDが大好きなのでギター・マガジンの表紙で横山健さんを撮影できたのはすごく嬉しかったですね。初めて買ったギター・マガジンの表紙が横山健さんでしたし、ずっと表紙で撮りたいっていうのは頭の片隅にあったので、依頼が来たときは純粋に嬉しかったです。でも、ご本人に好きですって言えなくて(笑)。ギターマガジンでも過去何度か撮らせていただいてたり、いろんな取材でもお会いしてるんですけど、未だにまったく喋れないです(笑)。

ーわかります、その感覚(笑)。

西槇:でも、特にこのアーティストというのではなく、アー写を撮るってアーティストやバンドにとってある期間の看板になるわけじゃないですか。そこの看板を任せてもらえるってのは本当にありがたいです。

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ーちなみに、この作業場に置いてあるレコードは今でも集めたりしているんですか?

西槇:最近買う機会減っちゃったんですけど、この作業場にレコード用の棚も置く予定なのでまた増えてくと思います。

ーやっぱりレコードで聴くのに意味があると考えていますか?

西槇:何でもそうなんですけど、手間をかけるほど印象に残りやすいと思っていて。簡単になればなるほど、瞬間的には簡単ですごくいいって思えるんですけど、気持ちが残りづらいなって感じているんです。まぁCDならずっと流れてるし、サブスクなら再生を押せばそのままずーっとかかってるじゃないですか。それに比べてレコードは、いちいち針を落として曲が切れたら裏返してって工程を挟んじゃいますけど、結果音楽に向き合えて印象に残るので僕は好きなんです。もちろん、それが正解とは思わないですけど、1つの方法として。

ーちなみに作業場を浅草にした理由ってありますか?

西槇:去年父親が亡くなって今は浅草の東本願寺ってお寺に寝てるんですけど、最終的には僕もそこに入る予定なんです。自分のゴールが浅草なんだなって思ったら、浅草をもっと知っておいた方がいいかなって感じたので。それに仕事の帰りに少し寄って帰るとかもしやすいんですよね。立地的にもすごくフィットしていて。あと、浅草は観光地なので基本的にポジティブな気持ちが街に溢れてるので、そういった面でもすごくいいなって。夜は夜で全然人がいないので。そこのギャップもすごく面白いし気持ちいいんすよね。それに僕は裏方って感覚が圧倒的にでかいので、浅草の土臭い感じが性に合ってるなって(笑)。

ー浅草いいですよね~。観光もできますしね。

西槇:そうそう。浅草寺行ったらいいじゃん。おみくじ引いてこいよって(笑)。まだ、ここにきて2週間経ってないですけど、やっぱよかったなって思いますね。

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ーでは、自分を動物や物に例えると何になりますか?

西槇:なんだろうな・・・。全然浮かばないです(笑)。

ーでは、唐突ですが好きな女性のタイプは?

西槇:まぁ一緒にいて楽しい人ですかね(笑)。

ーなるほど。ありがとうございます(笑)。ちなみに、行きつけのレストランやお店はありますか?

西槇:僕はすき焼きがすごく好きなので、今半にちょくちょく行きますね。

ー浅草の今半ですか?

西槇:そうです。すぐに行ける場所にあって、ランチもめっちゃうまい。

ー最後に2つだけ、今後仕事で貪欲にやっていきたいとか考えていることはありますか?

西槇:常に学ぶ姿勢はこれからも大切にしていきたいです。まだ撮りたいものがたくさんあるし、死ぬまでずっと学んでいくんだろうなって思います。やっぱり環境が変わったら新人ですからね。なので今後も常に新人のつもりで頭を柔らかくして学んでいけたらいいなって思います。

ーでは、この業界で音楽系のカメラマン目指している若い子に向けてメッセージとかありますか?

西槇:それは、たくさん写真を撮ってたくさん音楽を聴いてくださいってところですかね。本当に好きな人には叶わないですもんね。

ーそれは間違いないですね!!

Taichi Nishimaki
http://taichinishimaki.com/

THE CRAFTMAN SATANIC CONNECTION ARCHIVE

Vol.04:アヅマシゲキ
Vol.03 豊島”ペリー来航”渉 from Ikebukuro Live Garage Adm
Vol.02 Naomi Fujikawa aka FUJINAMI
Vol.01 Jun Yoshizaki from LIVE HOUSE FEVER