THE CRAFTMAN SATANIC CONNECTION Vol.17:YOSSY
SATANIC ENT.はライブハウスから生まれるシーンを紹介するメディア。では、ライブハウスではバンドやアーティスト以外にどんな人が働いているんだろう? ライブハウスの店長さんやスタッフさんはどんな経緯を経て、そこで働いているんだろう? 言わば"ライブ職人さんたち"に、そんな疑問をストレートに投げつけまくるのが本企画"THE CRAFTMAN SATANIC CONNECTION"! 登場するのはPA、照明、バンドのマネージャーさんやレコーディングエンジニア、ライブハウスシーンを取り巻く人を徹底追求!
第17回目は、前回の松下順二さんからバトンを繋いで、アーティストのグッズ生産やプリント製作を行う株式会社LOOWPに所属し、DJとしても活動するYOSSYさんにお話を伺います!
Photography & Text - Yuta Kato, Edit - Ryo Tajima(DMRT)
Job - Printer / DJ
ーご紹介いただきましたBuzz Frontの代表取締役 松下順二さんとはどういった関係でしょうか?
YOSSY:順二とはもともと同じバンドに所属していました。A.O.Wってバンドなんですけど。A.O.Wはライブスタイルが無茶苦茶なバンドだったんですよね、ボーカルがゴミ箱をかぶったり物壊したり(笑)ライブハウスにも好かれず、ここが俺たちの<ホーム>って呼べるような場所が1つもなかったんです。そんなときにあるきっかけで、当時、順二が店長をやっていたB.B.streetにライブブッキングで呼んでもらって。で、また、むちゃくちゃやったんですよ(笑)。謝罪もしなきゃとライブ終わりに順二に挨拶をしに行ったところ「これからも出てください」って言ってくれたんですよね。 元々ベースレスで活動していてその後、サポートベースで順二にも弾いてもらったりしていたのですが、新たにベースが決まった後にギターがバンドから脱退する事になって、その時「他の人がA.O.Wで弾くぐらいだったら、ギター頑張るんで俺にやらせてください」って言ってくれてメンバーに加入の運びに(順二氏はA.O.W二代目ギタリスト。普段はベーシストだがギターも弾ける)。順二のおかげでB.B.streetというホームが出来たし、ツアーも組んで一緒に回ったり。年間120本ライブをやりまくったり、今は友達ですね。
ーそして、A.O.Wが解散した今も順二さんとはお仕事で繋がっていると。
YOSSY:そうですね。Buzz Frontのグッズ制作を、僕が所属している会社LOOWPで一部担当しています。“グッズ生産の会社”と考えていただければわかりやすいかと。バンドやアイドルのTシャツを担当させていただいたり、ラバーバンドやパスケース、大きいフェスのプロダクトなどを、企画から生産まで一貫して受けている会社です。コロナを機に会社の方針も色々と変わって、3年前からは僕も群馬県の本社勤務で、基本的には<プリンタブル>という、いわゆるエンジニア業務を担当しています。ただ、小数精鋭な組織なので、社員全員が色々兼任していて、持ち場があっても営業活動したりっていうスタンスなんですよ。だから僕も商談に行きますし、みんなで仕事に向き合ってお客さんに喜んでもらおうよ、っていうやり方をしていますね。
ーなるほど。プリントはバンド活動のときから興味があったんですか?
YOSSY:そうですね。LOOWPに入る前から、シルクスクリーンを使って自分や友達のバンドの物販を作ったりしてきました。20歳から10年間は、バンドをやりつつアパレル業界にもずっといたので。そこでの企画、生産の経験が今のプリント業務にも活きている感覚があります。
ーLOOWPで働きつつ、現在はDJとしても活動されているとお聞きしました。そもそも音楽を好きになったきっかけは何だったんですか?
YOSSY:父親がオーディオがすごい好きな人だったんで、レコードやカセットが、たくさん家にあったんですよ。僕が小学生の頃に初めて買ったCDがUNICORNってバンドで大好きだったんですね。ビデオを見て「めちゃくちゃカッコいい」「バンドっていいな」って思ったり。幼少期、あまり陽気な感じじゃなくてどちらかと言えば暗かったんですけど、友達と外で遊ぶよりは、家でCDをじっくり聴きたいみたいな(笑)。だから父親の影響と自分の性格もあって、音楽は昔からよく聴いていました。それで、高校1年のときに友達と集まってコピーバンドを組んだりして。
ーそのとき手にした楽器もドラムでしたか?
YOSSY:そうですね。UNICORNの映像を見たときから、ドラムが1番カッコいいと思っていたので。父親や友達のギターは身近にあったんですけど、弾けないし、指痛いし、面白味がわからず弦楽器はハマらなかったです。だからまぁ、縁だと思ってますね。ドラムも、音楽も、人も。縁とタイミング。
ー現在活動されてますDJもご縁がきっかけですか?
YOSSY:はい。DJはバンドを辞めて落ち着いた頃から、誘ってもらえたら出るってスタンスでやっています。元々HIPHOP、R&Bなどには興味がったんですけど、昔、渋谷にGROPE IN THE DARKってヒップホップアーティストのTシャツやインポートグッズを取り揃えてる店があったんですけど、そこでバイヤーとして働かせてもらっていて。 そこの社長 DJ S@SがNAKED ARTZっていうラップグループのDJをやってた人で。その人からブラックミュージックをめちゃくちゃ教えてもらったんです。もうそこからどっぷり。ターンテーブルを二十歳そこそこで手に入れて、ずっと1人で家でさわっていたんですよ。それである日、友達に「DJやんない?」って誘われて、そっからお声がけいただくことが続いてるって感じです。
ーYOSSYさんは元々ハードコアバンドで活動をされてきて、今はDJでかけるメインの音楽はブラックミュージック。ジャンルが違っていて、そこが興味深いです。
YOSSY:まぁ、そうですよね(笑)。でも僕はレベルミュージックが好きなんですよ。例えばレゲエ、ヒップホップ、パンクやハードコアももちろんそうですけど。国々で人種や宗教があって、みんな何かしら抱えてるものがあるじゃないですか。何かアティチュードがあるものがすごく好きなんです。ジャンルを越えて通じるものが”そこ”にあるんですよね。同時に、広くカルチャーという意味でブラックカルチャーそのものが好きでもあるんです。ルーツを追うこと自体に興味があるというか。
ーYOSSYさんにとってDJとはどういう役割や仕事だと考えますか?
YOSSY:うーん……。他の人はどうかわからないんですが、自分のDJはBGMでいいと思っているんですよ。。例えばスクラッチができて、2枚使いができてとか、単純にそこのカッコよさってありますけど、僕は自分の好きな音楽をかけて、「この曲なんですか?」「これ〇〇って曲なんだよね」「めちゃくちゃいいですね」「でしょ!」とかって話ができればもう本当に楽しいし十分なんですよね。いわゆる『音楽でのし上がる』っていうモチベーションではない。そもそものし上がれないですし(笑)。 例えばですけど、イベントに出してもらって足代なんていただいたら、費用もかからずに行って帰ってこれるんだから、それだけで最高なんです。友達もいて、お酒も飲めて楽しい話もできてグッドタイムでしかないというか。僕にとって音楽って、ずっと友達と遊ぶツールなんですよ。過去にはバンドがそうで、今はDJがそうです。何をするにも、音楽がいつもそこにあったし、そのマインドで生きてるから、自分が集めた好きな曲を人前でかけて、みんなと聴いて、となったら嫌なことが1つもないんですよ。一つ欲を言えば今後また他県にも行ってプレイして友達と乾杯したいですね。
ー1つのことを深く知ると、コミュニケーションも広がると想像します。
YOSSY:そうですね。それに、知る気持ちよさってないですか?好きな曲を調べてみたら「あ、そうなんだ。実は〇〇がプロデューサーなんだ」みたいな。例えば、僕が大ファンのベイビーフェイスっていうグラミー賞を何度も取ってるアメリカの名プロデューサーでプレイヤーがいるんですけど、その人の作品を調べてみると、自分が過去にも、いいなって思ってた曲の大体が、その人プロデュースだったり。わかりやすいとこだと、Eric Claptonの「Change The World」とか。全然、畑が違うジャンルでも曲をプロデュースしたり。だけど波長というか進行で「あ、ベイビーフェイスだ」ってわかるんですよね。そういう答え合わせが面白い。そこの喜びですよね。
ー最後に、読者にお伝えしたいことはありますか?
YOSSY:LOOWPで生産のお仕事、お待ちしております。できれば、無理のない納期でお願いいたします(笑)。
YOSSY
https://www.instagram.com/yossy_finest/
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