ライブハウスを記録するシーンの第一線で活躍するライブカメラマンたち。彼らがいなくては、その現場で何が起こっているのかが歴史として残らない。
SATANIC CARNIVALにおいても"SATANIC PHOTOGRAPHERS 写真展"が展示され、写真を楽しむことができる。だが、その1カット1カットには、フォトグラファーたちの思いがある。そのメッセージを写真だけではなく言葉でも知りたい。
この企画では、そんなシーンに関係するフォトグラファーに、この1枚の写真に、どんな思いがあるのか。語れる写真を紹介してもらう。
企画タイトルは"SCENE"。ライブ写真に限らず、風景や生き物、人や場所、彼らが撮影した写真群とメッセージを伝えていきたい。
Yukihide [JON...] TakimotoのSCENE、第8弾。テーマは「バックショット」。

SCENE by Photographer Edit. Yukihide [JON...] Takimoto 08

バックショット

近頃ではもう定番になりつつある、ドラム後ろなどステージ後方から客席までの全景を撮影するバックショット（たぶん。）
そうじゃなくても、ステージ後方からいい感じで撮影するとてもおいしい構図のバックショット（たぶん。）
巨匠 橋本 塁氏が大胆不敵に切り開いていったであろうと思われるバックショット（きっとそう！）
誰もが一度は憧れるバックショット（たぶん。）

だが、正直私は苦手である。

なんやかんや言うても
単純に”目立つ”からである。
黒子たるもの目立つとはなんたることか！！

カメラを予めセットして目立たず撮る方法や、一脚を使いカメラをニョキニョキと上げて撮る方法もある、とは言え、自分の目で見て構えて撮影しないと撮った気にならない！
なので、目立たぬようにとコソコソ撮影するのも撮影しづらい上に、うまく構図を決められない。
極力目立って撮りたくはないのだが、リクエストがあったりするとそうも言ってられないこともある。(うーん)

ライブの最高潮を撮影するバックショット。
一撃必殺に近いバックショット。
覚悟を決めて挑むバックショット。
バックショットが、すべてではないけども
バックショットとはなんなのだろうか……。

ステージに上がり撮影するという行為が
私の中ではプレッシャーがとても高い部類の撮影なのです。
そこまでして撮る理由は？
たまに、このバックショット必要？
なんて、疑問に思ってしまっていたりする。

もちろん撮るからには中途半端にしてはいけない。しかし、ときにタイミングを見失い躊躇してしまってテンパって中途半端な写真になってしまい申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら終わる時もある……。

その中でも特に緊張したのがこの写真↓

雑誌の裏表紙に使われる予定で、会場の規模感が見えて3人の表情が『確実に』わかる感じで、なおかつ、ライブ中であるということ。
ゲー……吐きそうでしたが、ライブに集中してもらいたいのに3人の協力もあり、なんとか撮れてホッとした思い出があります……。
ほんま感謝です。

タイミングと照明の具合と度胸、ときには勘、あとは、そのライブの空気感と一緒になれていれば自然と撮ることが出来るのかな？と思っています。

とはいえ、やっぱり我々はバックショットを今日も明日も撮るんです。
求められても求められなくっても、すべてを収めようと撮るんです。

そして、バックショットの醍醐味として会場の造形を撮るんです。

バンドだけじゃなくてライブハウスの景色を残したいと思うのも、そして先日惜しくも閉店したSTUDIO COASTのバックショットも、フォトグラファーなら誰もが憧れたのではないでしょうか。

↑無観客配信ライブ中にバックショットを撮影している筆者

そしてドキドキワクワクしながら、今日もバックショットをやっぱり撮るんです。